脚本、主演のシルヴェスター・スタローンが世界的な名声を得たことで自らの夢も実現することになった彼の出世作。 建国200年、どん底からのアメリカンドリームの体現を物語の中心に置きつつ描くラブ・ストーリーにして映画史上に残る傑作ドラマ。 製作アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ、監督ジョン・G・アヴィルドセン、タリア・シャイア、バート・ヤング、バージェス・メレディス、カール・ウェザース共演。 |
・シルヴェスター・スタローン / Sylvester Stallone 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・G・アヴィルドセン
製作
アーウィン・ウィンクラー
ロバート・チャートフ
脚本:シルヴェスター・スタローン
撮影:ジェームズ・クレイブ
編集
リチャード・ハルシー
スコット・コンダッド
音楽:ビル・コンティ
主題歌:“Gonna Fly Now”
出演
ロッキー・バルボア:シルヴェスター・スタローン
エイドリアン・ペニノ:タリア・シャイア
ポーリー・ペニノ:バート・ヤング
ミッキー・ゴールドミル:バージェス・メレディス
アポロ・クリード:カール・ウェザース
トニー・ガッツォ:ジョー・スピネル
トニー”デューク”エヴァース:トニー・バートン
ジョージ・ジャーゲンズ:セイヤー・デイヴィッド
本人:ジョー・フレージャー
スパイダー・リコ:ペドロ・ラヴェル
マリー:ジュディ・レツィジア
ディッパー:スタン・ショー
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ MGM
1976年製作 119分
公開
北米:1976年11月21日
日本:1977年4月16日
製作費 $1,100,000
北米興行収入 $117,000,000
世界 $225,000,000
■ アカデミー賞 ■
第49回アカデミー賞
受賞
作品・監督・編集賞
ノミネート
主演男優(シルヴェスター・スタローン)
主演女優(タリア・シャイア)
助演男優(バート・ヤング / バージェス・メレディス)
脚本・主題歌・録音賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1975年11月25日。
30才になるフィラデルフィアの三流ボクサー、ロッキー・バルボア(シルヴェスター・スタローン)は、スパイダー・リコ(ペドロ・ラヴェル)との試合を終え、わずか40ドルのファイトマネーを受け取る。
次の試合が2週間後だと知らされたロッキーは、帰宅して少年時代の自分の写真を見た瞬間、空虚な日々を送り、将来も見えないことに空しさを感じる。
そんなロッキーは、親友のポーリー・ペニノ(バート・ヤング)の妹で、ペット・ショップで働くエイドリアン(タリア・シャイア)に好意を持っていた。
ロッキーは、生活のために高利貸しトニー・ガッツォ(ジョー・スピネル)の取立屋もしていた。
しかし、甘い取立てをガッツォから責められ、運転手には間抜け呼ばわりされてしまう。
地元のボクシング・ジムにも出入りしているロッキーだったが、新鋭ボクサーのディッパー(スタン・ショー)に、ロッカーを奪われてしまう。
トレーナーのミッキー・ゴールドミル(バージェス・メレディス)の指示だと知ったロッキーは、彼に抗議に行くが、 相手にされずに引き下がる。
...全てを見る(結末あり)
参考:
・「ロッキー」(1976)
・「ロッキー2」(1979)
・「ロッキー3」(1982)
・「ロッキー4」(1985)
・「ロッキー5」(1990)
・「ロッキー6」(2006)
・「クリード」(2015)
・「クリード 炎の宿敵」(2018)
・「クリード 過去の逆襲」(2023)
*(簡略ストー リー)
フィラデルフィア。
30歳になる三流ボクサーのロッキー・バルボアは、先の見えない将来の不安を抱えながら、取立屋などをして空虚な毎日を送っていた。
そんな時、建国200年を記念して開催される、世界ヘビー級タイトルマッチで、チャンピオンのアポロの対戦相手のボクサーが負傷してしまう。
アポロは、話題作りのため、無名のロッキーを挑戦者に指名する。
ロッキーは、勝ち目のない戦いと知りながらも、一世一代のチャンスに挑む決心をする。
そして、愛するエイドリアンや、トレーナーミッキーらに支えながら、戦い抜くことだけを考えるロッキーは、想像を絶する厳しいトレーニングを始める・・・。
__________
2006年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品。
わずか110万ドルで製作された作品でありながら、北米のみで約1億1700万ドル、全世界では約2億2500万ドルの大ヒットとなった。
第49回アカデミー賞ではロッキー旋風が巻き起こり、作品、監督、編集賞を受賞した。
・ノミネート
主演男優(シルヴェスター・スタローン)
主演女優(タリア・シャイア)
助演男優(バート・ヤング/バージェス・メレディス)
脚本・主題歌・録音賞
厳つく粗暴に見えるロッキーの優しさなど、ジョン・G・アヴィルドセンの繊細な人物描写が光る。
日本初公開は、そのロッキー旋風が吹き荒れたアカデミー賞授賞式直後の1977年4月16日だったため、さらに大きな話題を呼んだ。
アメリカ建国200年を意識してるとは言え、これほどのストーリーを作り上げたスタローンの才能を、当時、誰もが大絶賛したものだ。
とにかく、スタローンの表情が実にいい。
ドラマの主人公として、また無名の役者としての達成感が、全身から感じられる。
極端過ぎるほど地味で、精彩のない雰囲気で登場するが、次第に心を開き、潜在的には真の強さを持つ女性を見事に演ずるタリア・シャイア、その兄で、惨めで無様な男ながらも、強かさも見せるバート・ヤング、世界戦挑戦者ロッキーに頭を下げて支援を申し出るものの、その後に甘やかさない姿がプロ
らしいトレーナー、バージェス・メレディスら、同様にアカデミー賞にノミネートされた、芸達者な共演陣の出色の名演も見逃せない。
世界チャンピオンというより、やり手のビジネスマンという感じで、鍛え上げた素晴らしい肉体も披露するカール・ウェザース、彼のトレイナーで、その後、シリーズ全作に出演するトニー・バートン、ロッキーの面倒を見る高利貸しジョー・スピネル、プロモーターのセイヤー・デイヴィッド、本人役のジョー・フレージャー、「ロッキー6」(2006)にも登場する、三流ボクサー、ペドロ・ラヴェル、期待の新鋭ボクサーでスタン・ショーも登場する。
当時、どこに行っても流れていたビル・コンティによるロッキーのテーマと、主題歌“Gonna Fly Now”の力強よさに圧倒されたことを思い出す。
今では使い古されているアメリカンドリームというフレーズも、本作あたりからよく使われてきたように記憶している。
成功物語映画の中でも、これほどの盛り上がりを見せた作品はない。
何をやっても中途半端なゴロツキのボクサー、惨めさや不器用な恋愛、一躍世界戦の挑戦者になるり、モチベーションも上がらない情けなさ、見掛けとは違うロッキーの優しさや、人間模様を淡々と静かに描く前半。
一転、目的が出来きて、潜んでいたエネルギーが爆発するトレーニングのシーン。
そして、フィラデルフィア美術館の階段を駆け上がるロッキーの姿で、盛上がりは最高潮に達する。
ロッキーの真似をして、その気になり、生卵をガブ飲みして、体調不良になった人もいたほどだ。
破れたスウェットパンツにトレーナー、生肉のサンドバッッグ、レンガを持ちながらのランニング、形振り構わず体を鍛えるロッキーの姿に鳥肌が立つほどの興奮したものだ。
そして試合、劣勢のロッキーが、エイドリアンの為に最終ラウンドまで戦い抜く結末の感動。
製作費の2000倍以上の興収を上げている作品だが、低予算映画だけあり、よく見ると世界タイトルマッチにも拘らず観客席が空席だらけで、エキストラも雇えなかったスタッフの苦労がわかる。
リアルタイムで観た、劇場の興奮を今でも鮮明に想い出す。