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猿の惑星 Planet of the Apes (1968)

1963年に発表されたピエール・ブール同名小説の映画化。
2ヵ月後に公開される「2001年宇宙の旅」と共にSF映画史上に残る傑作。
社会性のあるショッキングな内容はセンセーショナルな話題を巻き起こし続編が4作製作された。
監督フランクリン・J・シャフナー、主演チャールトン・ヘストンキム・ハンターロディ・マクドウォールリンダ・ハリソンモーリス・エヴァンス他共演。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


SF


スタッフ キャスト ■
監督:フランクリン・J・シャフナー

製作
アーサー・P・ジェイコブス
モート・エイブラハムズ
原作:ピエール・ブール猿の惑星
脚本

ロッド・サーリング
マイケル・ウィルソン
撮影:レオン・シャムロイ
特殊効果:L・B・アボット
特殊メイク:ジョン・チェンバース
衣装デザイン:モートン・ハーク
音楽:ジェリー・ゴールドスミス

出演
チャールトン・ヘストン:ジョージ・テイラー
キム・ハンター:ジーラ
ロディ・マクドウォール:コーネリアス
リンダ・ハリソン:ノーヴァ
モーリス・エヴァンス:ザイウス博士
ジェームズ・ホイットモア:アカデミー議長
ウッドロー・パーフリー:マキシマス博士
ジェームズ・ダリー:オナリアス博士
ルー・ワグナー:ルーシャス
ロバート・ガナー:ランドン
ジェフ・バートン:ダッジ

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1968年製作 112分
公開
北米:1968年2月8日
日本:1968年4月13日
製作費 $5,800,000
北米興行収入 $32,600,000


アカデミー賞 ■
第41回アカデミー賞

・受賞
名誉賞/特殊メイク(ジョン・チェンバース
・ノミネート
衣装デザイン・作曲賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1972年7月14日(船内時間)/2673年3月23日(地球時間)。
地球を飛び立ち半年が経過した、アメリカの宇宙船の船長ジョージ・テイラー(チャールトン・ヘストン)は、自動操縦に切り替え、人工冬眠に入ろうとしていた。

3978年11月25日(地球時間)
ある惑星の湖に不時着し、緊急脱出しようとしたテイラーは、一人の女性乗組員がミイラ化し、地球時間で約2000年が経過していることを知る。

ランドン(ロバート・ガナー)とダッジ(ジェフ・バートン)、二人の宇宙飛行士と共に脱出したテイラーは、 宇宙船が沈むのを確認して、この惑星に住むしかないと覚悟を決める。
...全てを見る(結末あり)

三人はこの地が、地球から320光年離れたオリオン星雲のある惑星であるだろうと推測する。

事実を受け止めるしかないテイラーは、ランドンが上陸地点に小さな星条旗を立てるのを見て、意味のないことだと思わず笑ってしまう。

その後三人は、酸素があり植物も生息する未開の大地の探索に出発する。

数日後、人工のかかしのようなものを見つけた三人は、その近くの水場にたどり着く。

水浴びをして生き返った三人だったが、ランドンが人の足跡らしきものを見つけ、その後、衣服や装備を何者かに盗まれてしまう。

わずかな衣類を取り戻し、森林地帯に入った三人は、そこで、地球の人間に似た原始人のような人々を目撃する。

しかし次の瞬間、武装した猿の軍団が現れて、人々を捕獲し始める。

テイラー達三人はバラバラにはぐれ、ランドンは気を失い、ダッジは射殺され、テイラーは首を撃たれてしまう。

やがて、捕らえられたテイラーは村落に搬送され、言葉を話し医療技術も習得している猿の医師に、首の傷の手当てを受ける。

その惑星は、なんと、人間と猿の立場が逆転している世界だった。

首の怪我で言葉が話せないテイラーは、心理学者ジーラ博士(キム・ハンター)に何かを語りかけようとする。

それを見たジーラは、テイラーに興味を持ち、この世界で最も見識が高いザイアス博士(モーリス・エヴァンス)に、彼の仕草などを見せる。

ザイアスは、下等動物の人間は排除すべきだと、ジーラの意見に興味を示さない。

その後テイラーは、ジーラの観察実験のため、人間の若い女性ノーヴァ(リンダ・ハリソン)と同じ檻に入れられる。

翌日ジーラは、フィアンセである考古学者コーネリアス博士(ロディ・マクドウォール)を、檻の中のテイラーに会わせる。

テイラーが、他の人間と違うことをジーラはコーネリアスに説明する。

その場に現れたザイアスは、テイラーが地面に文字を書いたことに気づく。

檻の中で暴れたテイラーは室内に連れ戻され、ジーラのメモを奪ってそれに自分の名前を書く。

メモを見たジーラは、テイラーを連れ出し、コーネリアスにその事実を伝える。

傷のせいで声が出せないテイラーは、自分の意思を、メモと身振り手振りでジーラとコーネリアスに伝えようとする。

猿の進化の過程を研究しているコーネリアスが、その事実を見ても信じようとしないため、ジーラは苛立つ。

ジーラは、進化を裏付ける証拠こそがテイラーであり、コーネリアスの研究が、立証できるチャンスだと主張する。

そこに、管理局長マキシマス博士(ウッドロー・パーフリー)を伴ったザイアスが現れる。

テイラーの危険性に気づいていたザイアスは、ジーラの身勝手な行動を批判する。

その後、テイラーは去勢されることになり、彼は檻を管理するゴリラを殴り倒し逃亡する。

結局は捕らえられてしまったテイラーは、猿達の前で言葉を発してしまい、法廷で審問にかけられる。

ジーラとコーネリアスはテイラーを弁護するのだが、科学アカデミー議長(ジェームズ・ホイットモア)やザイアス、そしてマキシマスらの前でも、テイラーは口をきいてしまう。

検察側のオナリアス博士(ジェームズ・ダリー)は、ジーラが医師と共に人間を実験材料にして、脳や声帯に手を加えたと主張する。

直接発言を許されないテイラーは、自分が他の太陽系から来たことを文章で伝える。

剥製にされたダッジの他にも、仲間がいるというテイラーの言葉を確認しようとした議長らだったが、生存していたランドンは脳外科手術を施されていた。

猿社会の聖典より以前の文化に興味を持ち、その痕跡を調査していたコーネリアスと、当然、彼を擁護するジーラは、テイラーの存在を正当化しようとする。

しかし、議長は、コーネリアスとジーラに法廷侮辱罪と異端罪を言い渡してしまう。

テイラーを個室に呼んだザイアスは、かねてから問い詰めようとしていたコーネリアスとジーラを、告発することが出来ることを好都合だと語る。

テイラーは、仲間や部族の存在を自分から聞きだそうとするザイアスを見て、彼が何かを恐れ、重大なことを隠していることを察する。

コーネリアスとジーラは、惑星の秘密を解く鍵になる禁断地帯に向かう決心をして、ジーラの甥ルーシャス(ルー・ワグナー)の手助けで、テイラーとノーヴァを連れて逃亡する。

禁断地帯にたどり着いたテイラーは、コーネリアスが調べた発掘現場の洞窟に向かおうとする。

テイラーらの逃亡を知ったザイアスも、後を追ってその場に現れる。

ザイアスに銃を向けたテイラーは、猿達の信ずる聖典が誤りだと分かれば、コーネリアスとジーラを自由にすることを約束させる。

洞窟の中で、コーネリアスは冷静に、この惑星の進化の過程をザイアスに説明し、過去の方が現在よりも進化していた事実を突きつける。

猿の時代とは違う地層から、人骨と共に発見された人形が”ママ”と言葉を発するのを見て、テイラーは、それが猿の発想で作られた物でないことを確信する。

テイラーは、真実を知りつつも、聖典の教えを曲げようとしないザイアスを人質にとり、彼の部下の抵抗を退ける。

ザイアスは、聖典に書かれた人間の愚かさや恐ろしさをコーネリアスに読ませ、テイラーに聞かせる。

テイラーは食料を確保しノーヴァを連れて、人間が滅び猿が進化した謎を解く探索をすることを決めて出発するため、コーネリアスとジーラに別れを告げる。

ザイアスから、人間が猿に支配された理由を追及するべきではないと言われたテイラーだったが、それを無視してその場を去る。

解放されたザイアスは、洞窟の入り口を爆破することを部下に命ずる。

ジーラとコーネリアスはそれに意見するものの、ザイアスは仕方のないことだと告げて、未来を救うためだと語る。

テイラーが何を見つけるのかをジーラはザイアスに尋ねる。

”彼の運命だ”とザイアスは答える。

海岸線を進んだテイラーは、やがてザイアスの予言通り、驚くべき真実を知ることになる。

テイラーは、朽ち果てた”自由の女神”像を目の前にして愕然とする。

自分が2000年後の地球に戻っていたことを知ったテイラーは、核戦争で人間が滅びた事実を知る。

何も理解できないノーヴァは、テイラーの傍らで呆然とする。


解説 評価 感想 ■

参考:
・「猿の惑星」(1968)
・「続・猿の惑星」(1970)
・「新・猿の惑星」(1971)
・「猿の惑星・征服」(1972)
・「最後の猿の惑星」(1973)
————————-
・「PLANET OF THE APES/猿の惑星」(2001)
————————-
・「猿の惑星:創世記」(2011)
・「猿の惑星:新世紀」(2014)
・「猿の惑星:聖戦記」(2017)
・「猿の惑星/キングダム」(2024)

*(簡略ストー リー)
アメリカの宇宙船が、地球時間の2000年を経て、ある惑星に不時着する。
船長テイラー他二名は、水や食料を求めて未開の大地をさ迷うが、ようやく水場と深緑地帯にたどり着く。
しかし、そこでテイラーらが見たものは、人間と猿の立場が逆転した世界だった。
猿の学者ジーラとコーネリアスは、捕らえられたテイラーの知能の高さに気づく。
テイラーを逃がしたジーラとコーネリアスは、全てを知る有識者ザイアス博士の警告を無視し、猿の進化の秘密を解く鍵である”禁断地帯”へと向かう・・・。
__________

フランス人であるピエール・ブールは、第二次大戦前から、仏領インドシナイギリスのゴム園を管理するために現地人を雇っていたが、開戦後に日本軍に捕らわれてしまい、その時の経験を基にした作品。
つまり、使用人だった同じ有色人種の日本人に囚われ、立場が逆転した時の屈辱感を描いている。

それを、人間と猿に置き換えた奇抜なアイデア、当時としては最先端の特殊メイク、そして衝撃的なラストなど、見所満載のSF映画の金字塔と言える作品だ。

2001年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

第41回アカデミー賞では、特殊メイクに対する名誉賞が贈られた。
・ノミネート
衣装デザイン・作曲賞

北米興行収入は約3300万ドル、当時としては驚異的な記録を残した。

何も知らずに観ると間違いなく仰天する、ショッキングなラストはあまりにも有名だ。

宇宙船が不時着する冒頭シーンと、禁断地帯に向かう途中のロケで、パウエル湖の見事な自然が効果的に使われている。

監督フランクリン・J・シャフナーは、2年後には「パットン」(1970)で見事アカデミー賞を獲得し、その後も「パピヨン」(1973)や、サスペンスの傑作「ブラジルから来た少年」(1978)など話題作を手がけることになる。

メリハリの効いたスケール感もある彼の演出は、チャールトン・ヘストンの野生味を見事に生かし、彼が1970年代にブームとなるパニック映画のスターになる、彼の足掛かりを築いた作品でもある。

フランクリン・J・シャフナーとコンビを組んだ作品が多い、ジェリー・ゴールドスミスの、神秘的なテーマ曲も素晴らしい。

注目は、猿のメイクに隠れる名優達の素晴らしい演技だ。

愛くるしい表情が印象的なオスカー女優でもあるジーラ役キム・ハンタージョン・フォードの名作「わが谷は緑なりき」(1941)などの名子役で、コーネリアスを演じたロディ・マクドウォールらの知的且つコミカルな演技に加え、イギリスの名優モーリス・エヴァンスジェームズ・ホイットモアなどのベテラン、ウッドロー・パーフリージェームズ・ダリーら、オラウンターの知識人達の重厚な演技が、当時はまだ安っぽく見られていたSF映画の中で、傑作と言われるようになった理由だろう。

続編と2001年版の「PLANET OF THE APES」にも出演した、一言も言葉を発しないノーヴァ役リンダ・ハリソンの素朴な美しさも印象に残る。
*彼女は、翌年リチャード・F・ザナックと結婚する。

ジーラの甥ルー・ワグナー、宇宙船乗組員ロバート・ガナー、ジェフ・バートン等が共演している。
1970年代初頭、テレビのロードショー番組で、本作を放映する際に、ゲストで登場したイーデス・ハンソンが、番組終了迄に、作品と同じ猿のメイクを終わらせるという、興味深い場面があったことを懐かしく思い出す。
その当時、何度か放映された本作の、テレビ視聴率が桁外れに高かったのも記憶に残る。


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