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猿の惑星・征服 Conquest of the Planet of the Apes (1972)

1963年に発表された、ピエール・ブールのSF小説”猿の惑星”を基に製作されたSF映画の傑作「猿の惑星」シリーズの第4作。
猿が人間の奴隷となった社会で話せる猿として成長したコーネリアスとジーラの息子シーザーが猿の支配する世界を作ろうとする戦いを描く、監督J・リー・トンプソン、主演ロディ・マクドウォールドン・マレーリカルド・モンタルバン他共演のSF映画。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


SF


スタッフ キャスト
監督:J・リー・トンプソン

製作:アーサー・P・ジェイコブス
原作:ピエール・ブール(キャラクター創造)
脚本:ポール・デーン
撮影:ブルース・サーティース
編集
マージョリー・ファウラー
アラン・L・ジャッグス
音楽:トム・スコット

出演
シーザー:ロディ・マクドウォール
ブレック:ドン・マレー
アルマンド:リカルド・モンタルバン
リサ:ナタリー・トランディ
マクドナルド:ハリー・ローズ
コルプ:セヴァーン・ダーデン
ウエイター:ルー・ワグナー
委員長:ジョン・ランドルフ
ライリー夫人:エイサ・メイナー
ホスキンズ:H・M・ワイナント
アルドー:デイヴィッド・チャウ
フランク:バック・カータリアン
警官:ジョン・デニス

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1972年製作 88分
公開
北米:1972年6月30日
日本:1972年7月22日
製作費 $1,700,000
北米興行収入 $9,000,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1991年、北アメリカ。
人間が猿を奴隷化して管理している社会。
サーカスの団長アルマンド(リカルド・モンタルバン)は、約20年前に、コーネリアスとジーラから息子シーザー(ロディ・マクドウォール)を預かり可愛がっていた。

殺された両親と同じように口をきけるシーザーは、アルマンドの指示で、原始的な猿の振りをするよう言われていた。

ペットであったはずの猿が虐げられながら生活する姿を街で初めて見たシーザーは、8年前に、犬と猫が宇宙飛行士が持ち帰ったウィルスにより絶滅したことをアルマンドから知らされる。

人間と猿には免疫があり、ペットとなった猿は知能が高くそれに適していたため、エスカレートして現在のようになったことで、アルマンドはシーザーを匿っていたのだった。
...全てを見る(結末あり)

アルマンドと共にサーカスのビラを配るシーザーは、その場で見かけたチンパンジーのリサ(ナタリー・トランディ)が気になる。

虐待を受ける猿達を見て苛立つシーザーは、統治者ブレック(ドン・マレー)の補佐マクドナルド(ハリー・ローズ)が、猿の扱いに対する人間の態度を批判する様子を目撃する。

それでも虐待を止めない人間に向かい、シーザーは彼らを罵倒する言葉を発してしまう。

警官に問い詰められ自分が言ったと答えるアルマンドは、シーザーが口をきいたことを否定する。

混乱の隙にその場から逃げ去ったシーザーは、アルマンドに謝罪して動揺し、サーカスに戻りたいと伝える。

今回の件で疑われたため出頭し、シーザーには逃げられたことにしようとアルマンドは考える。

それをシーザーに伝えたアルマンドは、自分が戻らなかった場合は港に向い、荷揚げされる猿に紛れ込み身を隠すよう伝えてその場を去る。

ブレックの尋問を受けたアルマンドは、20年前に話しができる猿が現れ、人類の未来を脅かす子供を産んだと言われる。

その猿の親子は射殺されたと指摘するマクドナルドは、今回の件でそれが疑わしくなったとブレックに言われる。

動物園かサーカスの子猿とすり替えた可能性もあると言われたアルマンドは、当時の大統領査問委員会のビデオを見せられる。

猿の支配社会を阻止するため、コーネリアスとジーラの子供を堕ろし、生殖不可能な処置をとるという委員長(ジョン・ランドルフ)の勧告を見せたブレックは、当時、動物園やサーカスは警察の捜査を受けたとアルマンドに言われる。

サーカスに子猿はいたが、コーネリアスとジーラが現れる一か月前に生まれたことをアルマンドは伝える。

都市部の猿が日増しに反抗的になっている現実を語るブレックだったが、人間による虐待を指摘するマクドナルドは猿を擁護する。

その意見を聞き入れないブレックは、猿達が、有能で強い意思を持つ話せる指導者の出現を待っていることをアルマンドに伝え、彼を拘留する。

港で荷揚げされる猿の檻に侵入したシーザーは、管理局に移送され、センターで訓練や検査を受ける猿達の姿を見ながら監房に入れられる。

シーザーは、その場にいた興奮する数匹の猿を落ち着かせて、バナナを分け与える。

その間、アルマンドの取り調べは続いていた。

訓練を受けたシーザーは優秀だと判断され、繁殖用として別棟に連れて行かれる。

競売にかけられたシーザーが、他の猿と違うと感じたブレックは彼を買い取る。

ブレックとマクドナルドの元に連れて行かれたシーザーは、給仕としては務まらないように見せかける。

本から名前を選ぶよう指示されたシーザーは、”シーザー”の文字を指差す。

マクドナルドと共に司令部に連れて行かれたシーザーは仕事を命ぜられ、その場にリサがいることに気づく。

主任監察官コルプ(セヴァーン・ダーデン)に呼ばれたアルマンドは、連れていた猿は話せる猿とは違うと判断され、釈放されることになる。

供述書にサインさせられたアルマンドは認証機にかけられ、コーネリアスのことは知っていたと話してしまう。

話せる猿がサーカスにいたことを聞かれたアルマンドは回答を拒み、警備員と揉み合って抵抗し、窓を突き破って落下死する。

それを知らされたブレックは、アルマンドが嘘をついていたと考える。

その話を聞いていたシーザーは、アルマンドが死んだことを知って悲しみ涙する。

アルマンドと配ったサーカスのビラを見たシーザーは、怒りがこみ上げる。

翌日からシーザーは、自分の考えを理解する猿達に意思伝達して抵抗を始めさせ、刃物などの武器を手に入れる。

違反行為の報告を受けたブレックは、新たに決まった防衛措置を実行させる。

ブレックは違反者の再訓練を命ずるが、管理センターは満杯状態だった。

マクドナルドがその考えに反対するが、ブレックは、話せる猿を捜すよう命ずる。

その頃シーザーは、様々な武器や装置を手に入れる。

ボルネオ島から移送された猿の中に、同地には生息しないはずのチンパンジーがいたことに気づいたコルプは、それを管理センターに問い合わせる。

そのチンパンジーを自分が買い取ったことを知ったブレックは、シーザーを捕えて話せる証拠をつかむようコルプに命ずる。

ブレックからその連絡を受けた司令部のマクドナルドは、目の前にいたシーザーがいないことを伝える。

その話を聞いていたシーザーは、マクドナルドと共にその場を離れる。

途中でブレックからの電話を受けたマクドナルドは、コルプが向かったことを知らされるが、シーザーは戻っていないと伝える。

マクドナルドに話しかけられたシーザーは、自分が口がきける猿であることを伝える。

驚くマクドナルドに対し、自由を手に入れるために革命を起こすしか方法はないとシーザーは語る。

それを理解するマクドナルドはシーザーを逃がし、現れたコルプには捜索中だと伝える。

その後、コルプに捕えられたシーザーは、ブレックとマクドナルドの前で拷問を受ける。

耐えることができないシーザーは言葉を話してしまい、ブレックは驚いて興奮する。

ブレックからシーザーを処刑する指示を受けていたコルプは、彼を電気ショックで殺そうとする。

制御室に向かったマクドナルドは、電気ショックの電源を切り、それに気づいたシーザーは殺されたように見せかける。

マクドナルドは、処刑が終わったことをブレックから知らされる。

係官を殺し脱出してアジトに戻ったシーザーは、リサらに行動開始を命ずる。

猿管理局に向かったシーザーらは、人間に襲いかかりその場を占拠し、抵抗して再訓練を受けていた猿達を解放する。

厳戒態勢に入り、猿達に対し強硬手段に出るよう命じたブレックだったが、管理局は占拠され、話せるチンパンジーが指揮を執った暴動が続いていることを知る。

ブレックは、話せる猿は死んだと発表して暴動を鎮圧しようとする。

治安部隊の行動の妨げにならないよう、市民は外出を禁じられる。

仲間達を射殺した治安部隊に襲いかかったシーザーらは、非常線を突破する。

それを知ったブレックは、部隊を増強させて現場に向かわせる。

武器を手にしたシーザーらは広場に向い、治安部隊の一斉射撃が始まる直前に、その場に撒いてあったガソリンに火を放つ。

銃撃され犠牲者を出しながらも、猿達は治安部隊に襲いかかる。

司令部の猿も、それに刺激を受けて興奮し始める。

街の治安部隊はほぼ全滅し、司令部のドアもガスバーナーで破られる。

猿達が乱入してブレックは捕えられ、シーザーはマクドナルドを解放する。

シーザーが生きていたことを知ったブレックは驚き、犬や猫と猿はどこが違うか、なぜペットから奴隷になったのかを聞かれる。

それは祖先であるからで、人間は猿から生まれたと答えるブレックは、獣の血を引く猿は鞭打たれるのが当然で、人間が猿を憎むのは、自分の中の醜さを憎むからだと伝える。

銃を振り上げたシーザーだったが思い止まり、ブレックは連行される。

猿達に殺されかけているブレックを見たマクドナルドは、やり方が間違っていると言って、暴力的なシーザーの行動を批判する。

虐待を受けた奴隷の権利だと答えたシーザーは、奴隷の子孫として人間らしさを求めるとマクドナルドに言われる。

自分は人間ではないと言うシーザーは、進化した猿の支配者となっていいのかを問われ、今よりはましだと答える。

こんなやり方では自由は手に入れられず未来はないと言われたシーザーは、愚かな者に支配させる気はないと伝えて、暴力も辞さない計画で、人類滅亡まで戦い続ける考えを語る。

やがて人間は互いに戦い始め、自滅して放射能に汚染され瓦礫に埋もれる日が来たら、仲間達を救い自分達の世界を作るとシーザーは伝える。

それが始まるのが今日だと伝えるシーザーだったが、リサが”ノー”という言葉を発する。

憎しみを忘れ武器を捨てると言うシーザーは、人間が支配されるのが神の意志なら、同情と思いやりを持ってそれを実行すると語る。

復習を止める考えを伝えたシーザーは、猿の惑星の誕生を宣言する。

そしてシーザーは、歓喜する猿達を見つめる。


解説 評価 感想

参考:
・「猿の惑星」(1968)
・「続・猿の惑星」(1970)
・「新・猿の惑星」(1971)
・「猿の惑星・征服」(1972)
・「最後の猿の惑星」(1973)
————————-
・「PLANET OF THE APES/猿の惑星」(2001)
————————-
・「猿の惑星:創世記」(2011)
・「猿の惑星:新世紀」(2014)
・「War of the Planet of the Apes」(2017)

*(簡略ストー リー)
1991年、北アメリカ。
人間が猿を奴隷化して管理している社会。
約20年前に殺されたコーネリアスとジーラの息子シーザーは、サーカスの団長アルマンドに育てられ、両親と同じく口がきける猿として成長した。
アルマンドと共に初めて街に向かったシーザーは、奴隷として虐待を受けている猿達の現状に怒りを感じ、人間を侮辱する言葉を発してしまう。
罪を被ろうとしたアルマンドは出頭することを考え、シーザーに猿の世界に紛れ込むようにと指示する。
統治者ブレックの尋問を受けたアルマンドは、シーザーの件を隠し通した末に死亡する。
管理センターで優秀さを認められ、競売でブレックに買い取られたシーザーはアルマンドの死を知る。
悲しみと共に怒りが込み上げたシーザーは、遂に革命を起こすことを考えるのだが・・・。
__________

前作で語られた、人間の猿の奴隷化が現実になった社会の変革期と、指導者の出現で革命を起こそうとする、猿達の支配が始まる日までが描かれている作品。

ナバロンの要塞」(1961)や「マッケンナの黄金」(1969)など、スケール感のあるアクション大作も手掛けるJ・リー・トンプソンの演出なのだが、ある都市の狭い空間で起きた事件であるため、壮大なテーマである”猿の惑星誕生”が宣言されるラストも、やや拍子抜けしてしまう。

奇抜なアイデアで楽しめる前作は別として、シリーズの基本とも言える、野性味を感じさせる描写を生かせないところも問題で、近代都市が猿で溢れている光景などは違和感しか感じない。

興行収入も落ち込み、人気シーリーズも遂に終焉を迎えるのかと思わせながら最終作に続く。

知性と統率力で猿の支配者となるするロディ・マクドウォール、猿の奴隷化を管理する統治者ドン・マレー、主人公を預かり育てたサーカスの団長リカルド・モンタルバン、第二作目以降、全作に出演する主人公が思いを寄せるチンパンジー役のナタリー・トランディ、猿を擁護する統治者の補佐ハリー・ローズ、主任監察官セヴァーン・ダーデン、チンパンジーのウエイター役で、第一作でジーラの甥を演ずるルー・ワグナー、大統領査問委員会委員長ジョン・ランドルフなどが共演している。


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