1932年にブロードウェイ、1933年にウエス・トエンドで上演された、ドワイト・テイラーのミュージカル”Gay Divorce”を基に製作された作品。 アメリカ人ダンサーが離婚問題で悩む女性に惹かれてしまったことから巻き起こる騒動を描く、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのコンビによるミュージカル・コメディ。 監督マーク・サンドリッチ、アリス・ブラディ、エドワード・エヴェレット・ホートン、エリック・ローデス、エリック・ブロア他共演。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーク・サンドリッチ
製作:パンドロ・S・バーマン
原作:ドワイト・テイラー”Gay Divorce”
脚本
ジョージ・マリオンJr.
ドロシー・ヨースト
エドワード・カウフマン
撮影:デヴィッド・エイベル
編集:ウィリアム・ハミルトン
美術・装置
ヴァン・ネスト・ポルグラス
キャロル・クラーク
音楽
コン・コンラッド
マックス・スタイナー
出演
ガイ・ホールデン:フレッド・アステア
ミミ・グロッソップ:ジンジャー・ロジャース
ホーテンス:アリス・ブラディ
エグバート”ピンキー”フィッツジェラルド:エドワード・エヴェレット・ホートン
ロドルフォ・トネッティ:エリック・ローデス
ウエイター:エリック・ブロア
シリル・グロサップ:ウィリアム・オースティン
ゲスト:ベティ・グレイブル
アメリカ 映画
配給 RKO
1934年製作 107分
公開
北米:1934年10月12日
日本:1935年4月
製作費 $520,000
北米興行収入 $1,774,000
■ アカデミー賞 ■
第7回アカデミー賞
・受賞
歌曲賞
・ノミネート
美術・録音・作曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
パリ。
クラブで夜を過ごし支払いをしようとしたアメリカ人ダンサーのガイ・ホールデン(フレッド・アステア)と友人の弁護士エグバート・フィッツジェラルド(エドワード・エヴェレット・ホートン)は、財布がないことに気づき戸惑う。
小切手の郵送を断られたガイは、エグバートが著名な弁護士の息子であることを伝える。
有名なダンサーだとエグバートに言われたガイだったが、支配人にそれを証明することができない。
踊って見せれば誰もが納得するとエグバートに言われたガイは、仕方なくステップを踏んで見せる。
支配人はステージで踊ることを勧め、ガイは嫌々ながらもそれに応ずる。 納得した支配人は請求書を破り捨て、エグバートは財布が見つかったことを伝え、ガイは客から喝采を受ける。 フランスからイギリスに到着したエグバートは、税関で父親からの手紙を受け取る。 手紙を読んだガイは、父親がスコットランドに行くためにエグバートに仕事を任せるという内容だと伝える。 アメリカ人女性ホーテンス(アリス・ブラディ)は申告のことで揉めていたが、そこに姪のミミ・グロッソップ(ジンジャー・ロジャース)が現れる。 ホーテンスは申告を済ませるためにその場を去るが、ミミのドレスがトランクに挟まれてしまう。 それに気づいたミミは焦り、そこに通りがかったガイが彼女に声をかける。 ミミに惹かれてしまったガイは彼女がアメリカ人であることを確認し、ドレスを外してあげるもののそれを破ってしまう。 謝罪したガイはコートを貸して自分の住所を教えるものの、迷惑そうなミミはその場を去る。 ロンドン。 街を回りミミを捜していたガイは、偶然、彼女の車に追突してしまう。 ガイに気づいたミミは追跡され、郊外で行き止まりになる。 ミミを引き留めることに成功したガイは、”結婚”まで口にし何とか口説こうとする。 ガイは電話番号をメモして渡すものの、ミミに破られてしまう。 もう一枚も破られそうになったガイはそれを制止し、電話を待っていることを伝える。 そこに対抗車が現れ、ガイは自分が置いた通行止めの標識を片付ける。 呆れたミミは走り去り、名前を聞かれたためにそれだけは答える。 ミミと共にかつて関係のあったエグバートを訪ねたホーテンスは、結婚して2年にもなるミミが、地質学者である夫との関係に問題を抱えていることを伝える。 離婚も考えたミミだったが、それについても話しが進まないことを伝え、エグバートは、見せかけの不倫をして解決させる方法を提案する。 その後の話をホーテンスとエグバートに任せたミミは席を外す。 海辺のホテルで計画を実行すると言うエグバートに、ホーテンスはその場にミミを行かせることを伝えて立ち去る。 離婚調停のため海辺のホテルに向かうと言うエグバートに誘われたガイだったが、ミミからの連絡を待っていた彼は気が進まない。 ガイは気晴らしということでエグバートと共にホテルに向うが、やはりミミのことが頭から離れない。 現れたミミを歓迎したエグバートだったが、ホーテンスが同行していたため嫌な予感がする。 今後の計画を伝えたエグバートは、ミミが男性と行動を共にしなければならないため、ある男を用意してあると話す。 ”グリーン夫人”という名前で不倫することになるミミは、ホーテンスと共に部屋に向かう。 その後エグバートは、現れた不倫相手役ロドルフォ・トネッティ(エリック・ローデス)に、女性にはデリカシーを持って接するよう忠告する。 ホーテンスと食事をしようとしたミミは、ホテルにガイがいることに気づいて驚き席を離れる。 追ってきたガイを相手にせず去ろうとしたミミは、パーティーに誘われるもののそれを断る。 諦め切れないガイは、ミミを思う気持ちを伝えて彼女と踊る。 やや心が動いたミミだったが、ガイがエグバートと共に来たと聞き、不倫の相手役が彼だと思い、12時に部屋で待っていることを素っ気なく伝えてその場を去る。 ガイは、ミミに誘われたと思い込み動揺してしまう。 12時になり、展開が楽しみなホーテンスは、ミミの様子を見て部屋を出る。 部屋に入ろうとするガイと出くわしたホーテンスも彼が不倫相手役だと思い込み、うまくやるように伝える。 逃げたり誘ったりするミミの気持ちが今一理解できないガイは、彼女に警戒されながら時間を過ごす。 その頃、合言葉を教えられて相手(ミミ)を探すように指示されていたロドルフォは、何人もの女性に声をかける。 ロドルフォに声をかけられたホーテンスは、彼がミミの不倫相手役だと気づき部屋に戻る。 女性などを楽しませることが職業だと話すガイを軽蔑するミミは、現れたホーテンスから、合言葉を話す男性に声をかけられたと知らされる。 バルコニーに隠れていたガイが不倫相手役ではない可能性があり、ミミはそれを探るよう指示される。 ロドルフォはエグバートと出くわし、合言葉を言う度に殴られると言って困惑する。 ”グリーン夫人”(ミミ)の部屋を教えたエグバートだったが、不倫を調査する探偵を用意することを忘れたことに気づく。 ロンドンに向い探偵を派遣しようとしたエグバートは、現れたホーテンスに呼び止められる。 ホーテンスは聞こうとしたことを忘れてしまい、ロンドンに向かえば着くころには思い出すだろうと言ってエグバートに同行する。 部屋に入って来たロドルフォに気づいたガイはそれをミミに伝え、彼女はロドルフォから合言葉を言われて動揺してしまう。 ガイには仕事関係の男性だと答えたミミだったが、問い詰められたために、地質学者と結婚していることを伝える。 ロドルフォは夫ではなく、離婚する手伝いをする男性だとミミは答える。 ミミがエグバートの依頼人だと気づいたガイは、自分を不倫の相手役だと思い込んだことも知る。 自分が代わると言って、ガイはロドルフォを追いだそうとする。 電話を受けたロドルフォは妻からだったのだが、受話器の向こうの声が気になり彼女の浮気を疑う。 三人はその場で過ごすこといなり、巻き込んでしまったことをミミはガイに謝罪する。 バルコニーに出たガイとミミは、パーティーの音楽”コンチネンタル”が気に入り下で踊りたくなる。 ガイは紙を人形の型に切り、レコード・プレイヤーとライトを使い自分達が踊っているような影を作る。 ロドルフォは影を見て安心し、その隙にガイとミミはパーティーに向いダンスを踊る。 その場にいた人々は踊り終えたガイとミミを絶賛し、二人はテーブルで休む。 外の様子に気づいたロドルフォやホーテンスもバルコニーに出て歌う。 影の回転が速くなったことに気づいたロドルフォは、その仕掛けで自分が騙されていたことを知る。 バルコニーに出たロドルフォは、ガイとミミが踊っているのを目撃する。 翌朝、目覚めたガイは、逃げないようにロドルフォに足を縛られていることに気づく。 そこに朝食を届けるウエイター(エリック・ブロア)が現れ、意外にも地質学に興味を持つ彼から、”ブラウン教授”に聞いた話を聞く。 その後、部屋に飛び込んできたエグバートはガイがいたために驚き、ホーテンスは、そのことを言いたかったことをようやく思い出す。 ガイが恋で悩んでいた相手がミミだと知ったエグバートは、それどころではなく彼女の夫シリル(ウィリアム・オースティン)が現れることを伝える。 ガイは奥の部屋に隠れ、ロドルフォは現れるのは探偵のはずで契約違反だと言ってエグバートを非難する。 説明している暇はなく、焦るミミとロドルフォは抱き合っている振りをしてシリルが現れるのを待つ。 入って来たのは食事を下げに来たウエイターで、二人は彼にも奥の部屋に隠れるよう指示する。 そこに現れたシリルは二人が芝居していることを見抜き、ロドルフォのような男では相手にならないと言って馬鹿にする。 ミミはガイを呼んでキスを求めるが、シリルはそれを見ても全く動じない。 離婚後に結婚すると言われたシリルは、馬鹿げた話だと伝えてミミと帰ろうとする。 侮辱されたガイはシリルに襲いかかろうとするが、部屋から出て来たウエイターがシリルは”ブラウン教授”だと言う。 シリルはそれを否定するが、ウエイターは”ブラウン夫妻”と話したことを伝える。 自分が妻だったかをミミに聞かれたウエイターは、夫人はフランス人で英語が話せなかったと話す。 浮気がバレたシリルはその場を去り、現れたエグバートとホーテンスにガイはうまくいったとことを伝え、ミミが未来の妻だと知らせる。 ホーテンスは喜び、自分とエグバートも結婚することを伝える。 ロンドンに向かう途中で結婚したとエグバートに言われたホーテンスは、それを思い出す。 ロンドンでお祝いすることを提案するホーテンスに、仲間に入れてほしいことをロドルフォは伝える。 そして、荷物をまとめたガイとミミは、”コンチネンタル”の曲に合わせて踊りながらその場を去る。
...全てを見る(結末あり)
その後コートは戻るが、メモ一つ入っていなかったためガイはショックを受け、ミミを必ず捜しだそうと考える。
*フレッド・アステア/ジンジャー・ロジャース 共演作
・「空中レヴュー時代」(1933):RKO
・「コンチネンタル」(1934):RKO
・「ロバータ」(1935):RKO
・「トップ・ハット」(1935):RKO
・「艦隊を追って」(1936):RKO
・「有頂天時代」(1936):RKO
・「踊らん哉」(1937):RKO
・「気儘時代」(1938):RKO
・「カッスル夫妻」(1939):RKO
・「ブロードウェイのバークレー夫妻」(1949):MGM
*(簡略ストー リー)
アメリカ人ダンサーのガイ・ホールデンは、友人の弁護士エグバートと共に滞在していたフランスからイギリスに到着する。
税関で出会った女性ミミに惹かれてしまったガイは、彼女の名前も聞かないまま別れる。
ロンドン市内でミミを捜していたガイは、偶然にも彼女と出くわし名前だけは聞く。
叔母ホーテンスと共にエグバートの事務所を訪ねたミミは、夫との関係で問題を抱えていることを伝える。
離婚も考えているミミに見せかけの不倫計画を提案したエグバートは、恋に悩むガイを連れて海辺のホテルに向かう。
ミミを迎えたエグバートは計画の内容を伝え、現れた不倫相手役のロドルフォに合言葉を教えて彼女を捜させる。
その後、ガイがホテルにいることに気づいたミミは、彼が不倫相手役だと思い込み混乱する。
そして、ガイが計画には関係ないことも知らずに、ミミは彼を部屋に誘ってしまい騒動が始まる・・・。
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RKOの名コンビ、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの2作目の共演作。(10作で共演)
「トップ・ハット」(1935)、「踊らん哉」(1937)とほぼ同じスタッフと重複するキャストによる作品で、スクリューボール・コメディとミュージカルを組み合わせた、マーク・サンドリッチの軽快な演出も冴える非常に楽しい作品。
第7回アカデミー賞では、歌曲賞”The Continental”を受賞した。
ミネート
美術・録音・作曲賞
終盤のハイライト”The Continental”に合わせて踊るフレッド・アステアとジンジャー・ロジャース、そしてダンサー達による約12分のダンス・パフォーマンスは圧巻だ。
また、スケール感を感じさせる豪華なセットや衣装も見もので、大恐慌による社会情勢などの困窮などを全く感じさせない演出や仕上がりも驚きだ。
いつものように、フレッド・アステアはジンジャー・ロジャースに惹かれるものの相手にされず、めげずに口説き抜く天真爛漫な青年ダンサーを好演し、ジンジャー・ロジャースの心が少しずつ動いていく姿が実に微笑ましい。
ヒロインの叔母を愉快に演ずるアリス・ブラディ、主人公コンビ作品の脇役としていい味を出している、間抜けな弁護士役がはまっているエドワード・エヴェレット・ホートン、同じく「トップ・ハット」(1935)でも共演するヒロインの不倫相手役を依頼されるエリック・ローデス、更に主人公二人の作品の常連で、ホテルのウエイター役のエリック・ブロア、ヒロインの夫ウィリアム・オースティン、そしてベティ・グレイブルがダンサー役で出演している。