1980年に発表されたロバート・ラドラムの小説”The Bourne Identity”を基に製作された作品で、小説”ジェイソン・ボーン”3部作の1作目。
記憶を失ったCIA工作員が自分の正体を探っていく過程で、国家が秘密裏に進めるプロジェクトに巻き込まれていることに気づくまでを描く、スパイ・サスペンス・アクション。
製作、脚本ダグ・リーマン、主演マット・デイモン、フランカ・ポテンテ、クリス・クーパー、ブライアン・コックス、クライヴ・オーウェン、ジュリア・スタイルズ共演。
・ドラマ(サスペンス/犯罪)
・マット・デイモン / Matt Damon 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:ダグ・リーマン
製作総指揮
ロバート・ラドラム
フランク・マーシャル
製作
ダグ・リーマン
リチャード・N・グラッドスタイン
原作:ロバート・ラドラム”The Bourne Identity”
脚本
トニー・ギルロイ
ウィリアム・ブレイク・ヘロン
撮影:オリヴァー・ウッド
編集:サー・クライン
音楽:ジョン・パウエル
出演
ジェイソン・ボーン:マット・デイモン
マリー・ヘレナ・クルーツ:フランカ・ポテンテ
アレキサンダー・コンクリン:クリス・クーパー
ウォード・アボット:ブライアン・コックス
ニコレット・パーソンズ:ジュリア・スタイルズ
ニクワナ・ワンボシ:アドウェール・アキノエ・アグバエ
”プロフェッサー”:クライヴ・オーウェン
ダニエル・ゾーン:ガブリエル・マン
イーモン:ティム・ダットン
ジャンカルロ:オルソ・マリア・グエリーニ
CIA調査員:ウォルトン・ゴギンズ
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
2002年製作 119分
公開
北米:2002年6月14日
日本:2003年1月25日
製作費 $60,000,000
北米興行収入 $121,468,960
世界 $214,034,220
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
地中海、マルセイユ南100キロ。
嵐の夜、銃で撃たれた男(マット・デイモン)に気づいたイタリア人の漁師は彼を救助する。
背中に銃弾を受けていた男の治療をした船長のジャンカルロ(オルソ・マリア・グエリーニ)は、弾丸と同時にカプセルのような物も摘出する。
カプセルには、チューリッヒ相互銀行の口座番号らしき信号が記録されていた。
意識を取り戻した男は興奮し、ジャンカルロは彼を落ちる貸せようとするものの記憶を失っていた。
ヴァージニア州、ラングレー、CIA本部。
極秘作戦”トレッドストーン”のリーダー、アレキサンダー・コンクリン(クリス・クーパー)は、任務が失敗したという報告を受ける。
2週間後。
漁師として働きながら回復した男は、ジャンカルロからスイスまでの電車賃を受け取り、彼に感謝して港で船を降り、銀行の口座番号だけを手がかりにチューリッヒに向かう。
...全てを見る(結末あり)
チューリッヒに着いた男は、公園のベンチで眠っていたところを二人の警官に質問され、無意識のうちに、彼らを叩きのめして銃を奪う。
その頃CIAは、失脚して亡命しているアフリカの独裁者ニクワナ・ワンボシ(アドウェール・アキノエ・アグバエ)の、政権復帰を阻止しようとしていた。
CIA高官のウォード・アボット(ブライアン・コックス)は、ワンボシの名前が出たため、誰かが彼の暗殺を実行するものの失敗に終わったことをコンクリンに話す。
コンクリンは、ある工作員との連絡が途絶え、捜索中だということをアボットに伝える。
チューリッヒ相互銀行。
貸金庫の中にあったIDを確認した男は、自分が”ジェイソン・ボーン”という名前で、パリ在住であることを知る。
さらに、複数のパスポートと現金や拳銃などが入っていることと、約3週間前にこの場に来たことを確認したボーンは、拳銃だけを残して立ち去る。
その後、尾行されていることに気づいた男は、アメリカ領事館に向かう。
係官に呼び止められたボーンは、抵抗してその場から逃亡する。
銀行員から連絡を受けたコンクリンは、ボーンがチューリッヒに現れたことを知る。
領事館で揉めていたドイツ生まれの旅行者マリー・ヘレナ・クルーツ(フランカ・ポテンテ)に声をかけたボーンは、1万ドルでパリまで送ってもらおうとする。
ボーンを疑うマリーだったが、着いたらもう1万払うと言われたために彼を車に乗せてパリに向かう。
ボーンの所在を確認したコンクリンは、彼を抹殺するため各国の諜報員に連絡を入れる。
マリーの話をひたすら聞き続けるボーンは、何も語ろうとしない自分を不審に思う彼女に記憶喪失だと伝える。
領事館付近の監視カメラの映像でマリーの車を確認したコンクリンは、彼女についての情報を集めて”トレッドストーン”パリ支部のニコレット・パーソンズ(ジュリア・スタイルズ)に送る。
貸金庫のことや、自分の正体は分からないものの優れた観察力や身体能力が備わっていることを、ボーンはマリーに伝える。
悩みながら戸惑うボーンに、マリーは次第に心惹かれていく。
パリに着いた二人はボーンのアパートに向かうが、彼は何も思い出せない。
偽名である自分のパスポートを使った人物が死んだことを知ったボーンは、危険を察知して警戒するが、窓を破った殺し屋カステルがアパートに押し入る。
並外れた身体能力と知能を持ったボーンは、カステルを捕らえて締め上げる。
カステルの所持品の中の自分の情報を見つけて動揺し取り思想になったマリーを、ボーンが落ち着かせようとする。
その隙に、カステルは窓から身を投げ自ら命を絶ってしまう。
放心状態のマリーを連れたボーンはその場を逃れ、それを知ったコンクリンは、現場の証拠を消させる。
荷物を駅のロッカーに預けたボーンは、警察に出頭するようにとマリーに指示するが、彼女はそれに従おうとしない。
自分達に気づいた警察の追跡をかわし、ボーンは逃走する。
その頃、ワンボシはボーンの替え玉の死体を確認し、コンクリンがパーソンズからその報告を受ける。
車を捨てたボーンは、身元を知られたマリーの髪を染めてカットする。
ボーンと行動を共にする覚悟を決めたマリーは、彼と愛し合う。
翌日、バルセロナの工作員、”プロフェッサー”(クライヴ・オーウェン)が、ワンボシを暗殺する。
自分の替え玉の宿泊先のホテルにマリーを向かわせたボーンは、通話記録などを入手する。
同じ頃コンクリンは、ワンボシを暗殺したボーンが戻ってくるとアボットには報告する。
替え玉の男の遺体を確認したボーンとマリーは、ワンボシが、その遺体を確認しに来たことを知る。
自分と殺されたワンボシの関係を探ったボーンは、彼を殺そうとして撃たれて海に落ちた殺し屋が自分だったことに気づく。
ボーンが殺し屋であることを知ったマリーは不安に思うが、説得する彼を信じて逃亡する。
その後もボーンを捜しだせないコンクリンは焦り、彼を始末できなければ自分達が終わりだということをアボットに伝え、引き続きあらゆる情報を収集する。
放浪癖のあるマリーが、過去数年滞在した場所を調べさせたコンクリンは、彼女の元恋人イーモン(ティム・ダットン)の家にボーンとマリーが潜伏していることを突き止める。
その後、コンクリンから指示を受けたパーソンズは、”プロフェッサー”にボーン達の情報を渡す。
翌朝、イーモンの家の犬がいなくなったことから、危険が迫っていることを察知したボーンは、彼らを地下室に避難させる。
敵の目をそらすために、燃料タンクを銃撃して爆発させたボーンは森に向かう。
ボーンを追うものの銃撃された”プロフェッサー”は、”自分達は同じトレッドストーンだ”という謎の言葉を残して息絶える。
決着を付ける決心をしたボーンは、マリーをイーモンに同行させて彼女の安全を確保する。
ボーンは、”プロフェッサー”の携帯電話を使いコンクリンをパリに呼びに出す。
パリ。
約束の場所に着いたコンクリンだったが、監視するボーンに周囲の仲間の存在が知られて交渉は決裂する。
パーソンズに連絡を入れたコンクリンは、支部を引き払う準備を始めさせる。
支部を突き止めて侵入したボーンは、コンクリンに銃を向けて真相を聞き出そうとする。
コンクリンは、3000万ドルをかけた政府所有の人間兵器であるボーンに、この世に存在しない人間だということを知らせる。
自分に記憶がないことをコンクリンに話したボーンは、ワンボシ暗殺計画の内容を聞かされると、記憶が次第に戻る。
ワンボシ暗殺を目前にしたボーンは、彼らの子供に気づいてそれをためらい、銃撃されて海に落ちたのだった。
コンクリンを殴り倒し、駆けつけた工作員を倒したボーンはその場から逃れる。
後を追ったコンクリンは別の工作員マンハイムに射殺される。
アボットの指示で”トレッドストーン”プロジェクトは終了し、効果の得られなかった計画だったことを、彼は政府に報告する。
ギリシャ、ミコノス島。
ボーンから譲り受けた現金を元に、レンタル・バイク店を始めていたマリーの元に、ボーンが現れる。
”バイクを貸してくれる?”というボーンの問いかけに対し、マリーは身分証を求める。
”持ってないんだ”と答えたボーンは、マリーを抱きしめる。
■ 解説 評価 感想 ■
参考:
・「ボーン・アイデンティティー」(2002)
・「ボーン・スプレマシー」(2004)
・「ボーン・アルティメイタム」(2007)
・「ボーン・レガシー」(2012)
・「ジェイソン・ボーン」(2016)
*(簡略ストー リー)
銃弾を受けた男がマルセイユ沖で救助されるのだが、彼は記憶を失っていた。
男の体に埋め込まれていたカプセルには、チューリッヒの銀行の口座番号だけが記憶されていた。
それを手がかりに現地に向かった男は、貸金庫の中のIDを確認して、”ジェイソン・ボーン”という自分の名前とパリ在住であることを知る。
複数のパスポートや現金を持ち出したボーンは、拳銃だけを残してアメリカ領事館に向かう。
係官に呼び止められたボーンは抵抗してその場を逃れ、旅行者マリーンに2万ドルを払う約束をしてパリに向かう。
その頃、CIA本部の”トレッドストーン”プロジェクトのリーダー、コンクリンは、アフリカの独裁者ワンボシの暗殺に失敗し、消息を絶った”ボーン”の行方を追っていたのだが・・・。
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記憶喪失の男が、自分の身体能力や知性に気づきながら、スイスの銀行の口座番号を手がかりに、自らの正体を知ろうとするまでは原作通りに展開するが、その後は、全く違うストーリーになっている。
1988年に、リチャード・チェンバレン主演でテレビ・ドラマ化されている。
ヨーロッパが舞台なので”007シリーズ”を思わせるところもあるが、記憶を失った主人公の孤独感や苦悩する描写、見せ場の一つのカーチェイスの斬新さなど見応えある内容に仕上がっている。
派手さはないが、狭い街並みを見事に生かしたスピード感溢れる逃走シーンなど、玄人受けするアクションは見ものだ。
軽快なジョン・パウエルの音楽も、緊迫感溢れるドラマを大いに盛り上げている。
北米興行収入は約1億2200万ドル、全世界では約2億1400万ドルのヒットとなった。
知的な雰囲気のあるマット・デイモンが、格闘やカーチェイスなどハードなアクションに挑戦し、新たな魅力を見せてくれる。
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他の”トレッドストーン”メンバーは、いかにも殺し屋風だ・・・。
こちらも地味な放浪者の雰囲気がよく出ている、主人公と共に行動する飾り気のない女性を好演するフランカ・ポテンテ、CIAの計画の実行責任者であり、結局は責任を取らされるクリス・クーパー、その上司で、あっさり計画を打ち切るブライアン・コックス、いかにも凄腕の殺し屋として描写されながら、意外に呆気なく主人公ボーンに殺されてしまう工作員クライヴ・オーウェン、CIA、パリ支部の諜報員ジュリア・スタイルズ、CIAの標的であるアフリカの独裁者アドウェール・アキノエ・アグバエ、コンクリ(クリス・クーパー)の部下ガブリエル・マン、マリー(フランカ・ポテンテ)の元恋人のティム・ダットン、主人公を助ける漁船の船長オルソ・マリア・グエリーニ、CIA調査員ウォルトン・ゴギンズなどが共演している。