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有頂天時代 Swing Time (1936)

大金を稼ごうとするギャンブラーでもあるダンサーが巻き起こす騒動を描く、監督ジョージ・スティーヴンスフレッド・アステアジンジャー・ロジャースのコンビによるミュージカル・コメディ。
ヴィクター・ムーアヘレン・ブロデリック他共演。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ミュージカル


スタッフ キャスト ■
監督:ジョージ・スティーヴンス

製作:パンドロ・S・バーマン
原作:アーウィン・S・ジェルシー”Portrait of John Garnett”
脚本
ハワード・リンゼイ

アラン・スコット
撮影:デヴィッド・エイベル
編集:ヘンリー・バーマン
音楽:ジェローム・カーン

出演
ジョン”ラッキー”ガーネット:フレッド・アステア

ペネロープ”ペニー”キャロル:ジンジャー・ロジャース
エドウィン”ポップ”カルデッティ:ヴィクター・ムーア
メイベル・アンダーソン:ヘレン・ブロデリック
ゴードン:エリック・ブロア
マーガレット・ワトソン:ベティ・ファーネス
リカルド・ロメロ:ジョージ・メタクサ

アメリカ 映画
配給 RKO
1936年製作 103分
公開
北米:1936年9月4日
日本:1936年12月2日
製作費 $886,000
北米興行収入 $2,618,000


アカデミー賞 ■
第9回アカデミー賞
・受賞
歌曲賞
・ノミネート
ダンス監督賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

ギャンブラーでもあるダンサーのジョン”ラッキー”ガーネット(フレッド・アステア)は、マーガレット・ワトソン(ベティ・ファーネス)との結婚式を控え、一座を辞める決心をするが、友人エドウィン”ポップ”カルデッティ(ヴィクター・ムーア)に引き留められる。

ダンスだけでは食べていけないというラッキーは、支度をして式に向かおうとするものの、同僚達がそれを妨害する。

クラップ・ゲーム”まで始めてしまったラッキーは、結婚式のことを思い出して会場に急ぐ。

マーガレットの父親は激怒するのだが、ラッキーが2万5000ドルを稼げる自信があると豪語したため、それが実現したら結婚を許すことを伝える。
...全てを見る(結末あり)

ラッキーは、それを実行するためにニューヨークへ向かおうとするが、列車のチケットを買うことを仲間に阻止されてしまう。

貨物列車に飛び乗ったラッキーは、追ってきたポップと共にニューヨークに向かう。

現地に着き、タバコを買おうとするポップのために、ラッキーが通りがかりの女性ペネロープ”ペニー”キャロル(ジンジャー・ロジャース)に両替を頼む。

ラッキーが幸運のコインをペニーに渡したため、ポップが彼女が落としたバッグからそれを抜き取る。

コインがなくなったことに気づいたペニーは警官を呼ぶものの、ラッキーの身なりを見た警官は彼を信じてペニーを追い払ってしまう。

警官が去った後、ポップからコインを見せられたラッキーは、それをペニーに返そうとする。

ダンス・スクールの建物に入ったペニーを追ったラッキーは、レッスン希望者を装い彼女に会おうとする。

事務員のメイベル・アンダーソン(ヘレン・ブロデリック)と経営者ゴードン(エリック・ブロア)に迎えられたラッキーは、インストラクターのペニーを紹介される。

ペニーは、ラッキーを自分に付きまとう嫌な男としか思わなかったものの、仕方なくレッスンを始める。

素人の振りをしていたラッキーは、ペニーにダンスは無理だと言って追い出されそうになる。

それを知ったゴードンは、生徒に対するペニーの態度を批判して彼女をクビにしてしまう。

その場にいたポップに、サンドイッチを盗まれたと言って泥棒扱いしたメイベルもクビになってしまう。

ラッキーは、誤解であることをゴードンに伝え、帰ろうとするペニーを引き留めてダンスを始める。

ペニーはラッキーの華麗なステップに驚き、二人のダンスを見たゴードンは彼女の解雇を取り下げる。

二人のダンスに感激したゴードンは、オーディションを受ける手配をする。

メイベルのクビは取り消されず、彼女とペニーを送ったラッキーとポップは、オーディションの衣装代を工面をしなくてはならなかった。

ポップがメイベルから金を借りてあったため、ラッキーは彼にそれでタキシードを借りるように伝えホテルの部屋をとる。

戻ったポップは、金を賭けでスッてしまったことをラッキーに伝え、カジノにいた酔った紳士を連れて現れる。

ポップは、彼が着ているタキシードを賭けで手に入れるようラッキーに提案する。

リハーサルに向かう時間になってもラッキーは現れず、ペニーとメイベルは彼の様子を見に行く。

ラッキーは、タキシードを手に入れるどころか身包み剥がされそうになり、現れたペニーに見限られる。

謝罪の受け入れを求めるラッキーを無視していたペニーだったが、彼の歌に心を動かされ、二人はオーディション会場のクラブに向かう。

ペニーに言い寄るバンド・リーダーのリカルド・ロメロ(ジョージ・メタクサ)を気にしながら、ラッキーはポップとメイベルと共に順番を待つ。

リカルドが、ペニーが一人で踊らない場合は演奏しないと言うため、ラッキーはクラブのマネージャーと話をする。

マネージャーは、賭けで契約を取られ、リカルドが他のクラブと契約してしまったことをラッキーに伝える。

ラッキーは契約を賭けて勝負したいと言い出し、そのクラブに向かいルーレットで勝ち続ける。

夜景を眺めていたペニーに気づいたリカルドは彼女に近づき、他の男と踊ることに嫉妬していると言って愛を告げる。

ラッキーは、次も勝てばマーガレットとの結婚の条件になる2万5000ドルを手に入れられるとポップに言われる。

それを止めようとしたラッキーだったが、結局は勝って引き上げようとする。

しかし、マネージャーは、一人勝ちのラッキーをギャンブラーだと言って帰そうとしない。

ラッキーは、全額をリカルドの契約に賭け、ポップがカードを引いて勝つ。

リカルドの契約と共に現金も手に入れたラッキーは、ダンスができることをペニーに伝える。

ラッキーは契約を手に入れたことをリカルドに伝え、演奏時間が終了したと言ってその場を去ろうとする彼を制止する。

そしてラッキーは、”スイング・タイム”の曲に合わせてペニーと踊る。

その後、金銭的な苦労がなくなったラッキーは、ペニーと親交を深める。

しかしペニーは、ラッキーが二人の女性と付き合っているように感じてそれを気にする。

ペニーに好意を持つラッキーは、マーガレットのことも考え、婚約していることを彼女に話す訳にいかず、二人きりにしないでほしいことをポップに伝える。

ポップは、ギャンブルは止めるようにと言って幸運のコインをラッキーから取り上げて飲み込んでしまう。

バンドも所有するラッキーは、好条件でクラブの共同オーナーとなるが、2万5000ドル以上稼がないように注意する。

ある日、ラッキーらは、メイベルが子供の頃に行ったという避暑地に向かう。

そこは雪が積もっているだけの場所で、ペニーはラッキーに寄り添う。

戸惑うラッキーは、ロマンスを求めるペニーに心なびくものの、受け入れるわけにはいかない。

不満を訴えるペニーを抱き寄せたラッキーだったが、ポップが雪を投げつけて邪魔をする。

仕返しに投げた雪がメイベルに当たってしまったため、ラッキーは彼女に謝る。

その間に、2万5000ドルを稼いでしまうとラッキーはある女性と結婚することになっていることをポップがペニーに話してしまう。

ペニーへの思いを優先することに決めたラッキーだったが、彼女は急に態度を変えた彼を拒む。

その後、クラブは新装オープンし、ギャンブルを止めたラッキーが結婚も諦めたはずだと言って、メイベルは彼を受け入れるようにとペニーを説得する。

キスするのが怖いのかとメイベルに言われたペニーはそれを否定し、できるかどうかを賭けてラッキーの部屋に行く。

ペニーは戸惑うだけで何もできなかったが、ラッキーは彼女を抱き寄せて、そして二人はキスする。

喜んだペニーは楽屋に戻り、ラッキーも出番を前に準備を始める。

ラッキーのステージは大いに受けるが、その場にマーガレットがいたため、彼は戸惑い楽屋に向かう。

マーガレットは楽屋に向かおう途中でペニーに出くわす。

ペニーにラッキーを見ていないと言われたマーガレットは、彼の楽屋に案内されるものの誰もいなかった。

その頃、ポップがクラブのマネージャーにイカサマを見抜かれ、ラッキーの楽屋に連れて行かれて、もう一度、勝負することになる。

それに負けたラッキーは、バンドの契約書をマネージャーに渡す。

そこにマーガレットが現れ、出番を伝えに来たペニーは、ダンスは中止だとラッキーに言われる。

ラッキーが賭けに負けてバンドを失ったことを知ったペニーは動揺し、その場にいるマーガレットが婚約者だと知らされる。

ペニーは憤慨して立ち去り、ラッキーは、翌日、連絡すると言ってマーガレットをホテルに向かわせる。

失意のラッキーはポップに励まされる。

その後、リカルドとの結婚を決めたペニーに謝罪したラッキーは、気持ちは変わらないことを伝える。

ペニーはラッキーに誘われて踊るものの、その場を立ち去る。

実は、結婚できないことを伝えるためにラッキーに会いに来ていたマーガレットは、それを手紙に書き彼に渡す。

同じことを伝えようとしていたラッキーは、マーガレットが他の男性と結婚することを知り喜ぶ。

お互い思い通りになったことで気持ちが晴れた二人だったが、ラッキーは、今日ペニーとリカルドが結婚することになったことをポップから知らされて驚く。

メイベルは、婚約破棄したラッキーのことが可笑しくて笑いが止まらないが、ペニーは、それを聞いても結婚すると言い張る。

式直前のリカルドの部屋に向かったラッキーは、自分が結婚式の際、同僚達に騙された方法でリカルドを足止めさせる。

式場のクラブに向かったラッキーとポップは、笑いが止まらないまま式は中止だとペニーに伝える。

ポップが隠していたズボンを見たメイベルも笑い始め、現れたリカルドの特大サイズのズボンに笑いを堪えられないペニーは、式は中止だと牧師に伝える。

リカルドは、ペニーと結婚することになったラッキーに潔く彼女を譲り”ラッキー”だと彼に伝え、二人のために演奏を始める。

そして、ラッキーとペニーは愛を確かめる。


解説 評価 感想 ■

*フレッド・アステア/ジンジャー・ロジャース 共演作
・「空中レヴュー時代」(1933):RKO
・「コンチネンタル」(1934):RKO
・「ロバータ」(1935):RKO
・「トップ・ハット」(1935):RKO
・「艦隊を追って」(1936):RKO
・「有頂天時代」(1936):RKO
・「踊らん哉」(1937):RKO
・「気儘時代」(1938):RKO
・「カッスル夫妻」(1939):RKO
・「ブロードウェイのバークレー夫妻」(1949):MGM

*(簡略ストー リー)
ギャンブラーでダンサーのジョン”ラッキー”ガーネットは、所属する一座の同僚の妨害で結婚式に遅れてしまう。
婚約者マーガレットの父親に2万5000ドル稼ぐと豪語してしまったラッキーは、その金が稼げたら結婚を許可すると言われて、友人ポップと共にニューヨークに向かう。
現地で出会ったダンスのインストラクター、ペニーに惹かれたラッキーは、素人を装いレッスンを受ける。
マーガレットとの結婚の約束も守りたいラッキーだったが、ペニーとの親交も深めて迷い始める・・・。
__________

RKOを支えた名コンビ、フレッド・アステアジンジャー・ロジャースの6作目(10作で共演)の共演作で、最高作とも言われている。

後年の深みのある数々の名作を考えながら観ると、ジョージ・スティーヴンスの軽妙な演出が実に興味深い作品で、若手監督として活躍していた彼の才能が窺える。

ご都合主義も何もかも受け入れる、ミュージカルの定義を前面に出した作品で、ユーモアに包まれる愛すべき作品。

原題”Swing Time”をうまく表現した”有頂天時代”という邦題もなかなかよろしい。

トップ・スター、フレッド・アステアジンジャー・ロジャースの主演作ということもあり、北米興行収入は約2億6200万ドルの大ヒットとなった。

第9回アカデミー賞では、ジェローム・カーン作曲、ドロシー・フィールズ作詞による”The Way You Look Tonight”が歌曲賞を受賞した。
・ノミネート
ダンス監督賞

2004年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

見事なダンス・シーンは言うまでもなく、常に前向きな考えである主人公を演ずる、天真爛漫な笑顔が印象的なフレッド・アステア、整った顔立ちとエレガントなダンスに見惚れてしまう、美しさも際立つジンジャー・ロジャース、二人のダンスや演技をリアルタイムで観られた人々の幸福感が伝わるパフォーマンスはとにかく素晴らしい。

間が抜けたユーモアのセンスが抜群の効果を発揮している、主人公の友人ヴィクター・ムーア、同じく覚めた笑いが作品にアクセントを加えるヒロインの友人ヘレン・ブロデリック、ダンス・スクールのオーナー、エリック・ブロア、主人公の婚約者ベティ・ファーネス、バンド・リーダーのジョージ・メタクサなどが共演している。


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