1922年に上演された、ヒューバート・オズボーンの舞台劇”Shore Leave”を基に製作された作品。 元ダンサーである水兵とパートナーが巻き起こす恋の騒動を描く、フレッド・アステア、ジンジャー・ロジャースのコンビによるミュージカル・コメディ。 監督マーク・サンドリッチ、ランドルフ・スコット、ハリエット・ヒリヤード他共演。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーク・サンドリッチ
製作:パンドロ・S・バーマン
原作:ヒューバート・オズボーン”Shore Leave”
脚本
アラン・スコット
ドワイト・テイラー
撮影:デヴィッド・エイベル
編集:ヘンリー・バーマン
音楽
マックス・スタイナー
アーヴィング・バーリン
出演
ベイク・ベイカー:フレッド・アステア
シェリー・マーティン:ジンジャー・ロジャース
ビルジ・スミス:ランドルフ・スコット
コニー・マーティン:ハリエット・ヒリヤード
アイリス・マニング:アストリッド・オールウィン
ヒッキー船長:ハリー・ベレスフォード
ノーラン:ラッセル・ヒックス
キティ・コリンズ:ルシル・ボール
歌手:ベティ・グレイブル
アメリカ 映画
配給 RKO
1936年製作 110分
公開
北米:1936年2月20日
日本:1936年7月
製作費 $747,000
北米興行収入 $2,727,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
サンフランシスコ。
アメリカ海軍の水兵ベイク・ベイカー(フレッド・アステア)は、同僚である友人ビルジ・スミス(ランドルフ・スコット)に、結婚まで考えたものの別れた元ダンス・パートナーだったシェリー・マーティン(ジンジャー・ロジャース)のことでからかわれる。
上陸許可が出たベイクは、シェリーがボールルーム”パラダイス”でダンス・ホステスとして働いているのを知っていたため、ビルジらと共にその場に向かう。
”パラダイス”。
ベイクは、その場からシェリーに電話をかけようとする。
遅れて来たビルジは、女性だけでは入れないと言われ困っていた地味な女性コニー・マーティン(ハリエット・ヒリヤード)にチケットを譲ってもらう。
この場で働いている妹に会いに来たと言うコニーは、ビルジに惹かれながら感謝する。 冴えないコニーに興味を示さないビルジは、仲間達に持ち込んだビールを渡す。 気分を害したコニーは楽屋に向いシェリーに会い、男性から女と見られないと言って嘆く。 堅物であるコニーの魅力を何とかして引き出そうと考えるシェリーは、同僚のキティ・コリンズ(ルシル・ボール)に頼み姉を変貌させようとする。 ステージに向かい歌うシェリーに気づいたベイクは、楽屋に向かう彼女を追い声をかけ、二人は二年ぶりの再会を喜ぶ。 一方、キティの協力で魅力的な女性に変貌したコニーは、気になる水兵がいることを伝える。 牽制しながらシェリーの様子を窺うベイクは、一人になってから仕事が少なくなったと言う彼女に、友達として仲直りしようと提案して受け入れられる。 フロアに現れたコニーは男性の視線を集め、ビルジが彼女に声をかける。 態度を急変させるビルジと共に、コニーはその場を離れる。 ホールでは恒例のダンス・コンテストが始まり、コニーが帰ったことを知ったシェリーは、それに参加しようとするベイクに、ゲストだけの催しなので自分は資格がないことを伝える。 ゲストのベイクはそれを気にせず、自分のステップについてこれないのだろうと言われたシェリーは彼の相手をして踊り、二人の見事なパフォーマンスに客は拍手を贈る。 コニーの部屋でいいムードになったビルジは、ホールの入り口で会った冴えない女性が彼女だったことを知る。 驚くビルジだったが、音楽教師だと言うコニーと楽しむことにする。 ホールを出ようとしたシェリーは、オーナーにベイクを紹介するが、彼が余計なことを言ったために解雇されてしまう。 次回戻ったら軍を辞めると言うビルジは、航海士となり船を持つ夢をコニーに語る。 亡き父が遺したスチーム・スクーナーを所有していることをコニーはビルジに話し、海に出たいと言う彼に、自分もその船で”夫”と共に旅立つのが夢だと語る。 動揺するビルジは、門限があるため船に戻ると言って去ろうとする。 そこにシェリーの友人で富豪夫人のアイリス・マニング(アストリッド・オールウィン)が現れ、コニーが男性といることを知り驚きビルジに惹かれる。 アイリスは去り、ビルジとコニーは翌日も会うことを約束て別れる。 入り口で車を止めていたアイリスは、現れたビルジに港まで送ると言って彼を乗せる。 シェリーを送ったベイクは、翌日に仕事を紹介すると言って、門限があるため寄れないことを伝えて彼女と別れる。 船に戻ったベイクは出航することを知らされ、シェリーには会えなくなる。 その後、窓から外を眺めていたコニーは艦隊が出航してしまったことを知り、シェリーはベイクに騙されたと言って憤慨する。 数日後ベイクは、女性にもてるためのダンス・レッスンを始める目的で広告を船内に掲示する。 昨夜の様子をベイクに聞かれたビルジは富豪夫人とのことを話し、音楽教師は真面目過ぎて結婚を迫られそうなので眼中にないと話す。 ベイクのレッスンは評判となるが、それをよく思わない士官に邪魔されてしまう。 その間、シェリーとコニーは父の船を直そうと考えて造船所に向い、元船長のヒッキー(ハリー・ベレスフォード)にそれを依頼する。 艦隊は帰還することになり、航海士試験に受かったビルジはそれをベイクに伝える。 司令官の視察があり、バンドと共に演奏していたベイクは、歌とダンスを披露する。 船の修復は終わり、艦隊が戻ったことを知ったコニーは喜び、シェリーは、ベイクの協力なしでオーディションを受けようとする。 上陸したベイクはシェリーに電話し、それに出たコニーに折り返し電話を待つと伝える。 ビルジが来ることを考え歓迎しようとしたコニーだったが、夜中にシェリーが帰宅しても彼は来ていなかった。 コニーは船のことをビルジには知らせなかったことを伝え、ベイクからの電話の件を聞いたシェリーは、彼をじらすために連絡しない。 ノーラン(ラッセル・ヒックス)の芸能プロダクションを訪ねたベイクは、シェリーを売り込もうとする。 オーディション中のダンサーの邪魔をしようと考えたベイクは、歌う前に水を飲みたいと言うダンサーのカップに重曹を入れてその場を去る。 そのダンサーだったシェリーは、重曹入りの水を飲み異変に気付きながらも歌い始め、しゃっくりが止まらなくなり歌うのを止めてしまう。 アイリス主催のパーティーが開かれシェリーも招待され、ビルジに伴われたベイクも現れる。 その場にシェリーがいることに気付いたベイクは彼女と話し、仕事のことは話をつけたと伝える。 オーディションを受けていたダンサーの水に重曹を入れたと言うベイクの言葉に憤慨したシェリーは席を外す。 コニーと出くわしたビルジは、航海士になれたことを喜ぶ彼女との話もそこそこにその場を去る。 結婚を迫られることを嫌うビルジは、コニーから逃げるためにベイクと帰ろうとするが、そこにアイリスが現れて誘われる。 悲しみを堪えながら、コニーは出席者の前で歌う。 シェリーが他の男性と踊る姿を見てベイクは苛立つ。 相手が海軍中尉だったため、シェリーはベイクをからかおうとして彼の元に向かい、侮辱されたと言って泣き出す。 憤慨したベイクは男に言い寄るが、相手が中尉だとシェリーから知らされ恥をかかされる。 帰ろうとしたコニーはシェリーを捜してテラスに向かい、その場で抱き合うビルジとアイリスを見てショックを受ける。 翌日、謝罪に現れたベイクを迷惑に思いながら、シェリーはコニーが田舎に帰ると言い出したことを彼に伝える。 コニーが水兵に恋したことを知らされたベイクは、相手がビルジだと聞き話をつけようとする。 ビルジに気を遣うコニーが、それを望まないことをベイクはシェリーから知らされる。 造船所のヒッキーに迷惑をかけてしまたこともあり、この場に残ることを決めたコニーは、それをベイクとシェリーに伝える。 船の改修費用にあと700ドルいることをコニーから知らされたベイクは、シェリーに協力を求められる。 知人であるノーランの部下から衣装と装置を借りたベイクは、コニーの船でショーを開くことを考え、同僚達の手を借りて準部を始める。 コニーがショーの後で田舎に帰るとシェリーから知らされたベイクは、アイリスを何とかすることを考える。 シェリーと最終リハーサルをしたベイクは、アイリスをショーに出演させると言ってその台本を渡す。 アイリスを訪ねたベイクは、彼女の相手をする練習をしようとする。 現れたビルジにアイリスと親密になったと言ったベイクは、それを疑う彼と賭けをして、その様子を陰に隠れて見ているように指示する。 アイリスは芝居の稽古のつもりでベイクと愛を語り始め、見ていられれず現れたビルジにも、セリフのつもりで遊びだったと伝え追い払ってしまう。 ショーの準備は整うが、ベイクは士官になったビルジに上陸許可を取り消されてしまい、上官に直訴しようとする。 翌日まで上陸は許可されないベイクは、船から脱出しようとするもののビルジに阻止される。 ベイクを投げ飛ばしたことを後悔したビルジは、殴っていいと言ったために本当に殴られてしまう。 その隙にベイクは海に飛び込み船に乗って陸に向かい、ビルジは彼を捕えるよう命ぜられる。 ベイクは何とかショーにs間に合い、衣装に着替えようとする。 現れたビルジはコニーに会い、逃亡者のベイクを捕えることを伝える。 仕方なくベイクの居場所を教えたコニーは、ビルジからやり直そうと言われるもののそれを断る。 楽屋でベイクを逮捕しようとしたビルジは、昨夜はコニーと寄りを戻すために仕組んだ芝居だったことを伝える。 このショーの目的が、コニーが自分のために船を修復するための資金集めだと知ったビルジは、罰せられることを覚悟してベイクにショーを開催させる。 ドラマ仕立てのショーは始まり、ベイクは歌いシェリーと優雅に踊る。 わだかまりが消えたビルジとコニーは、結婚して世界中を航海する夢が広がる。 ショーを見たノーランからの出演依頼を受け取ったベイクは、出所したら直ぐにそれを受けるとシェリーに嫌みを言われる。 シェリーにプロポーズを求めたベイクは、父に聞いてからとジョークを言う。 船に戻るよう指示されたベイクとビルジは、シェリーとコニーに見送られながら艦隊に向かう。
...全てを見る(結末あり)
*フレッド・アステア/ジンジャー・ロジャース 共演作
・「空中レヴュー時代」(1933):RKO
・「コンチネンタル」(1934):RKO
・「ロバータ」(1935):RKO
・「トップ・ハット」(1935):RKO
・「艦隊を追って」(1936):RKO
・「有頂天時代」(1936):RKO
・「踊らん哉」(1937):RKO
・「気儘時代」(1938):RKO
・「カッスル夫妻」(1939):RKO
・「ブロードウェイのバークレー夫妻」(1949):MGM
*(簡略ストー リー)
サンフランシスコ。
アメリカ海軍の水兵ベイク・ベイカーは、友人である同僚のビルジと共にボールホールに向かう。
元ダンサーだったベイクは、その場で働く喧嘩別れしたパートナーのシェリーと再会する。
シェリーの姉コニーもその場に現れ、ビルジに惹かれるものの冴えない彼女は相手にされない。
コニーはシェリーの同僚の協力で魅力的な女性に変貌し、ビルジは態度を一変させて彼女と付き合う。
航海士になり船に乗ることを考えるビルジの夢を知ったコニーは、亡き父が遺した船の修復を考えるが、結婚を迫られそうな彼は引いてしまう。
ホールのオーナーを侮辱してシェリーを失業させてしまったベイクは、ダンサーとして彼女を売り込もうととするのだが・・・。__________
RKOの名コンビ、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの5作目の共演作。(10作で共演)
その二人の作品5作を監督するマーク・サンドリッチの作品で、水兵を主人公にしたコミカルな内容に優雅さや豪華なセットも組み合わせた見栄えのする映像も見所の、軽快なタッチで描く楽しい作品。
主人公の二人がダンスの大スターとして描かれていないため、圧倒的な実力を見せつけるダンス・シーンが際立つ演出となっている。
マックス・スタイナーとアーヴィング・バーリンの共同担当による各楽曲も印象に残る。
クライマックスでしか正装しないフレッド・アステアの水兵姿が実にユーモラスで、楽観的で陽気な彼の笑顔が実にいい。
ヒロイン演ずるジンジャー・ロジャースは、軽やかなステップに加え、主人公に惹かれながらも反発する魅力的なダンサーを好演している。
主人公の友人であり同僚で、ミュージカル映画の出演ということで貴重な作品として注目のランドルフ・スコット、彼に惹かれ、冴えない女性から変貌するヒロインの姉役で、得意の歌唱力も披露してくれるハリエット・ヒリヤード、ビルジ(ランドルフ・スコット)と関係を持つヒロインの友人である富豪夫人アストリッド・オールウィン、船の修復を任されるハリー・ベレスフォード、プロデューサーのラッセル・ヒックス、そして、ヒロインの同僚役ルシル・ボールと歌手役のベティ・グレイブルなどが脇役で出演している。