スタン・リー、スティーヴ・ディッコによる、1963年に”マーベル・ コミック”で連載が開始された人気キャラクター”スパイダーマン”の映画版シリーズの第3作。 原案、監督、脚本サム・ライミ、主演トビー・マグワイア、キルスティン・ダンスト、トーマス・ヘイデン・チャーチ、ジェームズ・フランコ、トファー・グレイス、ブライス・ダラス・ハワード他共演のアクション大作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:サム・ライミ
製作総指揮
スタン・リー
ケヴィン・フィージ
ジョセフ・M・カラッシオロ
製作
ローラ・ジスキン
アヴィ・アラド
グラント・カーティス
原作
スタン・リー
スティーヴ・ディッコ
原案
サム・ライミ
アイヴァン・ライミ
脚本
サム・ライミ
アイヴァン・ライミ
アルヴィン・サージェント
撮影:ビル・ポープ
編集:ボブ・ムラウスキー
音楽:クリストファー・ヤング
テーマ曲:ダニー・エルフマン
出演
ピーター・パーカー/スパイダーマン:トビー・マグワイア
メリー・ジェーン・ワトソン: キルスティン・ダンスト
ハリー・オズボーン/ニュー・ゴブリン:ジェームズ・フランコ
フリント・マルコ/サンドマン:トーマス・ヘイデン・チャーチ
エディ・ブロック/ヴェノム:トファー・グレイス
グウェン・ステーシー:ブライス・ダラス・ハワード
メイ・パーカー:ローズマリー・ハリス
J・ジョナ・ジェイムソン:J・K・シモンズ
ジョージ・ステーシー警部:ジェームズ・クロムウェル
エマ・マルコ:テレサ・ラッセル
カート・コナーズ博士:ディラン・ベイカー
ジョセフ”ロビー”ロバートソン:ビル・ナン
メイター・D:ブルース・キャンベル
ベティ・ブラント:エリザベス・バンクス
ホフマン:テッド・ライミ
ペニー・マルコ:パーラ・ヘイニー=ジャーディン
ノーマン・オズボーン/グリーン・ゴブリン:ウィレム・デフォー
ベン・パーカー:クリフ・ロバートソン
Mr. ディコヴィッチ:エリア・バスキン
アースラ・ディコヴィッチ:マゲイナ・トーヴァ
バーナード:ジョン・パクストン
ステーシー夫人:ベッキー・アン・ベイカー
タイムズスクエアの男:スタン・リー
デニス・キャラディン: マイケル・パパジョン
フラッシュ・トンプソン: ジョー・マンガニエロ
アンカーマン:ハル・フィッシュマン
ジェニファー・デューガン:ルーシー・ ゴードン
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
2007年製作 139分
公開
北米:2007年5月4日
日本:2007年5月1日
製作費 $258,000,000
北米興行収入 $336,530,300
世界 $890,871,630
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク。
スパイダーマンとして街の平和を守り、人々の注目と人気を集めるピーター・パーカー(トビー・ マグワイア)は、恋人のメリー・ジェーン”MJ”ワトソン(キルスティン・ ダンスト)のブロードウェイデビューを心待ちにしていた。
劇場で、彼女のステージを楽しんだピーターは、ハリー・オズボーン(ジェームズ・ フランコ)を見かけて声をかける。
父ノーマン(ウィレム・ デフォー)の死がピーターのせいだと信ずるハリーは、素っ気無い態度でその場を去る。
その後、ピーターはMJの楽屋に向かい、彼女を誘い蜘蛛の巣のハンモックで星を眺めながら語り合う。
暫くして、空中から落下した物体から現れた生物が、帰ろうとするピーターのバイクにへばり付く。
脱獄囚フリント・マルコ(トーマス・ ヘイデン・チャーチ)は、警察に追われながら何とか自宅にたどり着き、受取拒否された手紙を娘ペニー(パーラ・ ヘイニー=ジャーディン)の枕元に置く。 妻エマ(テレサ・ラッセル)に見つかったマルコは、彼女に追い出されそうになるものの、仕方なく罪を犯したことと、ペニーの病気を必ず治すことを伝えて立ち去る。 おばメイ(ローズマリー・ ハリス)の元を訪ねたピーターは、MJに結婚を申し込むことを告げる。 メイは、亡くなった夫ベン(クリフ・ ロバートソン)から贈られた指輪をピーターに渡し、MJに特別なプロポーズができるよう祝福する。 その帰り道、ピーターはニュー・ゴブリンに変身したハリーに襲われる。 激しい戦いの末に、空中から落下したハリーは重傷を負ってしまう。 その頃、市警のジョージ・ステーシー警部(ジェームズ・クロムウェル)は、ピーターの伯父ベンを殺したマルコが、脱獄したことを知らされる。 追い詰められたマルコは、素粒子物理実験施設に侵入し、実施されていた分子分解実験に巻き込まれてしまう。 ハリーは一命を取り留めるものの記憶障害を起こし、最近の記憶を失い、ピーターを恨むこともなくなってしまう。 砂の分子と結合してしまったマルコは、サンドマンとなって実験施設を抜け出す。 翌日、MJの舞台は酷評されてしまい、失意の彼女を慰めるピーターだったが、彼の部屋に黒い生物が潜んでいた。 その時、警察の緊急無線ををキャッチしたピーターは、制御不能になったクレーンが事故を起こした高層ビルに急行する。 現場では、モデルをしていたステーシー警部の娘グウェン(ブライス・ダラス・ハワード)が、クレーンによる事故でビルから落下する危機に瀕していた。 グウェンは、ピーターとは大学のカート・コナーズ教授の実験室の同僚だった。 落下寸前で、グウェンは現れたスパイダーマンに助けられ、彼女の恋人で、フリーカメラマンのエディ・ブロック(トファー・ グレイス)に写真を撮られる。 ブロックは、早速、写真を”デイリー・ビューグル”の編集長J・ジョナ・ジェイムソン(J・ K・シモンズ)に見せるが、そこにピーターが現れ、それを凌ぐスパイダーマンの写真を提供しようとする。 ジェイムソンは50ドルでブロックの写真を買い取ろうとするが、二人は自分を社員として雇うことをジェイムソンに要求する。 スパイダーマンを、ケチな悪党だと言い切るジェイムソンは、それを暴いた方を社員にすると二人に伝える。 MJは、自分の知らぬ間に舞台の役を降板させられるが、一方、スパイダーマン(ピーター)が街への貢献で称えられているのを見て、彼女は嫉妬してしまう。 名誉市民賞を受けることになったスパイダーマンは、彼に救出されたグウェンから祝福のキスを受けてしまい、MJはショックを受けて、その場を立ち去ってしまう。 その頃、街角で警官に目撃されたマルコは、サンドマンに変身し、現金輸送車を襲う。 そこにスパイダーマンが現れ、それを阻止しようとするが、マルコは逃亡してしまう。 MJを、フレンチ・レストランに誘ったピーターは、そこでグウェンと出くわしてしまい、MJは気分を害し席を外してしまう。 翌日、ステーシー警部に呼び出されたピーターとメイは、ベンを殺した犯人が当初の容疑者とは違い、フリント・マルコだということを知らされる。 ピーターは、それがサンドマンだと気づいて動揺し、ステーシー警部に、過去の捜査の不備を責めて言い寄る。 MJはそれを知り、ショックを受けていたピーターを訪ね、わだかまりをなくし彼を励ます。 ベッドに横たわり、伯父ベンの殺害時の悪夢を見ていたピーターは、部屋に潜んでいた黒い生物に、体中を覆われてしまう。 そしてピーターが目覚めると、今までとは比べ物にならないほどのパワーを持つ、ブラックスーツのスパイダーマンとなっていた。 その後、コナーズ博士に、それが寄生生物かも知れないとピーターは指摘される。 帰宅したピーターは、サンドマン(マルコ)が事件を起こしているという無線を聞き、ブラックスーツを選び現場に向う。 地下鉄のトンネル内での戦いとなった二人だったが、マルコは大量の水を浴びせられ流されてしまう。 伯父ベンを殺した犯人マルコが、スパイダーマンに殺されたことを伯母メイに伝えたピーターだったが、彼女が復讐など望んでいないことを知り驚いてしまう。 メイの気持ちを知ったピーターは、ブラックスーツを着ている時に気持ちが高ぶり、暴言を吐いてしまった管理人のディコヴィッチ(エリア・バスキン)に謝罪する。 不本意ではあるが、ジャズ・クラブのウエイトレス兼歌手の仕事を得たMJは、思い立ってハリーの屋敷を訪れる。 食事をした二人は、思わず惹かれ合いキスしてしまうが、お互い我に返り、MJはその場を立ち去ってしまう。 その直後、ハリーの前に父ノーマンの幻覚が現れ、消え去っていた記憶が戻る。 帰宅したMJが、ピーターからの謝罪のメッセージを聞いていたところに、怒りに燃えたハリーが現れ彼女を脅迫する。 公園で、ピーターと待ち合わせたMJは、指輪を出してプロポーズしかける彼に、好きな人ができたと言って別れ話を切り出し、その場を立ち去る。 ハリーに相談をしたピーターだったが、MJが舞台を降ろされてウエイトレス兼歌手になったことと、彼女の相手が自分だということをハリーから知らされる。 ショックを受けたピーターは、一度は封印しようとしたブラックスーツを着てハリーの屋敷に向かう。 二人は格闘になり、ハリーは、ピーターのパワーアップした強さを見せ付けられる。 ブラックスーツ姿のスパイダーマンの写真により、社員としてデイリー・ビューグルに迎えられたブロックだったが、ピーターに偽造写真だと見破られる。 それを知ったジェイムソン編集長は、ブロックを即効クビにしてしまう。 ブラックスーツで別人のようになったピーターは、彼に心を寄せる管理人ディコヴィッチの娘アースラ・(マゲイナ・トーヴァ)と親しくなる。 そしてコナーズ教授から、黒い物質が宿主の特性を増幅する可能性があることを知らされるが、他には持っていないとスーツのことを隠してしまう。 ブラックスーツを服の下に着込み、益々気分が高揚するピーターは、ジェイムソン編集長の秘書ベティ・ブラント(エリザベス・バンクス)ともいちゃついてしまう。 ピーターはジェイムソンに、ブラック・スパイダーマンの写真を売りつけ、社員として雇うことを要求する。 そしてピーターは、MJの働くクラブにグウェンを誘い、はしゃぎ過ぎて、逆に彼女の気分を害してしまい、トラブルを起こし、MJを押し倒してしまう。 屈辱を受けたブロックは、教会で神に向かってピーターの死を望む祈りを捧げる。 その教会では、ピーターが、鐘の音を聞きながらブラックスーツを体から剥ぎ落とし、破れたスーツは、礼拝堂のブロックにまつわり付く。 帰宅したピーターは正気に戻り、伯母メイの訪問を受け、彼女に指輪を返してしまう。 しかしメイは、ピーターを信じていると彼を励まし、その指輪を置いて部屋を後にする。 ブラックスーツでヴェノムに変身したブロックは、ピーターに敵意を見せるマルコに接触し、二人は手を組むことになる。 そして、ブロックはタクシーの運転手に扮してMJを誘拐し、彼女をタクシーに乗せたまま、80階のビルの高さの蜘蛛の巣の上に放置し、警察の救出活動をサンドマンが妨害する。 ブラックスーツのヴェノムも確認され、報道ではそれがスパイダーマンではないことが判明する。 蜘蛛の巣には、スパイダーマンへの挑戦状が書かれ、事件を知ったピーターは、スパイダーマンに変身してハリーの元に向かい、協力を要請する。 ハリーはそれを断り、仕方なくピーターは単独でMJを救出に向かう。 しかしハリーは、オズボーン家の執事バーナード(ジョン・パクストン)から、ピーターが父ノーマンを殺していないことを知らされる。 その頃、MJの乗ったタクシーは落下し始めるが、そこに、民衆の歓喜と共にスパイダーマンが現れる。 MJを救おうとしたスパイダーマンに、ヴェノムと巨大化したサンドマンが襲い掛かる。 落下しそうになるMJを、二人を相手にするスパイダーマンは助けることができない。 その時、ニュー・ゴブリンに変身したハリーが加勢に現れ、MJを安全なところに非難させ、サンドマンを倒す。 しかし、ハリーはヴェノムに胸を突き刺されてしまい、教会の鐘の響きでブラックスーツが剥ぎ取れたことを思い出したピーターは、鉄パイプを利用してブロックをスーツと分離させてしまう。 そして、ピーターは黒い物体を爆破しようとして、ブロックもそれに巻き込まれ爆死する。 現れたマルコは、娘を救うために金が必要だったことをピーターに告げる。 更に、ピーターの伯父ベンが、自分を説得し救おうとした時に、銃が暴発したことを話し、殺す気はなかったと謝罪して、ピーターに理解を求める。 それを聞いたピーターは、娘を思うマルコの気持ちを察して彼を許す。 そして、マルコは砂粒となって消え去り、ピーターは瀕死のハリーと彼を介抱するMJの元に向かう。 ピーターとハリーは、お互いを親友だと認め合うが、ハリーは二人に見守られながら息を引き取る。 その後、ハリーの葬儀が執り行われ、ピーターはクラブ歌手となっていたMJに寄り添い、何も語らず彼女を固く抱きしめる。
...全てを見る(結末あり)
参考:
・「スパイダーマン」(2002)
・「スパイダーマン2」(2004)
・「スパイダーマン3」(2007)
・「アメイジング・スパイダーマン」(2012)
・「アメイジング・スパイダーマン2」(2014)
・「スパイダーマン:ホームカミング」(2017)
・「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」(2019)
・「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」(2021)
*(簡略ストー リー)
恋人MJのブロードウェイデビューを機に、彼女にプロポーズを考えていたピーター・パーカーだったが、 街のヒーロー、スパイダーマンとして脚光を浴びる彼に対し、MJの舞台は酷評されてしまう。
さらに、大学の実験室の同僚グウェンを危機から救ったピーターだったが、二人の急接近を意識するMJは彼を避けてしまう。
一方、ピーターを父の仇と思い込む親友ハリー、分子分解でサンドマンに変身した、伯父ベンの殺害犯マルコの行動をピーターは警戒する。
その後、謎の物体がピーターを襲い、彼をブラックスーツで覆ったスパイダーマンに変身させてしまう。
そんな時、ピーターを襲ったハリーが重傷を負い記憶をなくし、二人は親友としての仲を取り戻す。
しかし、ハリーは再びピーターを恨む記憶が戻り、MJとの仲を引き裂さいてしまう・・・。
__________
シリーズとして、ほぼ同じスタッフキャストを引継ぎ、前作の2億ドルから、更にアップした製作費2億5800万ドルをかけ、北米では3作中で最も低い興行収入約3億3700万ドルに終わったものの、全世界ではシリーズ最高の約8億9100万ドルを記録した大ヒット作品。
日本では馴染みが薄いものの、メインキャストに加え、要所要所でゲスト出演的に有名どころが登場する心憎い演出は実に楽しい。
もちろん、原作者スタン・リーは、わずかな出演ではあるが、タイムズスクウェアで主人公と共に、ここぞとばかりに登場し、ファンを喜ばせてくれる。
音楽は、ダニー・エルフマンのテーマ曲以外は、クリストファー・ヤングが担当している。
とてつもない超大作ではあるが、ニューヨークのみで繰り広げられるキャラクター同士の戦いや活躍で、 市民のヒーローとして人々と密接に関係する、シリーズのテーマは確りと守られている。
スパイダーマン自体の映像はほとんどCGではあるが、体を張った、生身の人間に近い親近感も実によく描かれている。
今回は、壊れかけていた友情が、親友の死と共に復活し、人間味のある主人公が、思うようにいかない恋で悩み、苦悩する姿を描くのに多くの時間を割いてる。
戦いの場面よりも、登場人物の心理描写に重点を置いていて、派手さだけが売り物の作品ではない。
恋人の前で、今一強引になれない初心さ、伯父殺害への怒りと悲しみ、ブラックスーツの影響で気持ちが高ぶる二重人格者的行動、そして親友と恋人に対する優しさなど、実力派として活躍するトビー・マグワイアの変幻自在な演技も見ものだ。
成功と挫折、そして、恋の行方に心揺れるヒロイン、キルスティン・ダンスト、死と共に憎しみが友情に変わるクライマックスがもの悲しいジェームズ・フランコ、人間離れした物腰、雰囲気が空想のアニメの世界にマッチするトーマス・ヘイデン・チャーチ、その妻テレサ・ラッセル、娘パーラ・ヘイニー=ジャーディン、やんちゃ坊主のような青年から恐ろしい敵役に変貌するトファー・グレイス、その恋人でロン・ハワードの娘ブライスダラス・ハワード、その父で警部、彼にしてはやや控えめな役柄のジェームズ・クロムウェル、主人公の伯母として、心乱れる主人公への的確な助言で存在感を示す、大ベテランのローズマリー・ハリス、編集長J・ K・シモンズ、秘書エリザベス・バンクス、主人公の恩師役ディラン・ベイカー、幻覚として登場するウィレム・デフォー、殺害現場の記憶シーンでクリフ・ロバートソン、主人公のアパート管理人のエリア・バスキン、その娘マゲイナ・トーヴァ、ビル・パクストンの父でオズボーン家の執事役ジョン・パクストン、本職アンカーマン役を演ずるハル・フィッシュマン、リポーター役で、2年後に自殺してしまうルーシー・ゴードン、レストランの受付ブルース・キャンベルなどが共演している。