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マン・ハント Man Hunt (1941)

1939年に発表された、ジェフリー・ハウスホールドの小説”Rogue Male”を基に製作された作品。
第二次大戦前夜、ヒトラー暗殺未遂の容疑をかけられそれを開戦の材料にされそうになった男性の逃亡劇を描く、製作ダリル・F・ザナック、監督フリッツ・ラング、主演ウォルター・ピジョンジョーン・ベネットジョージ・サンダースジョン・キャラダインロディ・マクドウォール他共演のサスペンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト
監督:フリッツ・ラング
製作
ケネス・マクゴーワン
ダリル・F・ザナック
原作:ジェフリー・ハウスホールドRogue Male
脚本:ダドリー・ニコルズ
撮影:アーサー・C・ミラー
編集:アレン・マクニール
音楽:アルフレッド・ニューマン

出演
アラン・ソーンダイク大尉:ウォルター・ピジョン
ジェリー・ストークス:ジョーン・ベネット
キーヴ=スミス少佐:ジョージ・サンダース
ジョーンズ:ジョン・キャラダイン
ヴァナー:ロディ・マクドウォール
医師:ルドウィッグ・ストッセル
アリス・リスボロー:ヘザー・サッチャー
ジェラルド・リズボロー卿:フレデリック・ワーロック
ジェンセン船長:ロジャー・イムホフ
質屋の店主:エゴン・ブレッチャー
少佐:レスター・マシューズ
ソール・ファーンズワーシー:ホームズ・ハーバート
郵便局員:エイリー・マリオン
警部補:アルノ・フレイ
大使:フレデリック・ヴォージング
港の警察署長:ウィルヘルム・フォン・ブリンケン
タクシー運転手:シリル・デレヴァンティ(クレジットなし)
ピエル:オラフ・ヒッテン(クレジットなし)

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1941年製作 105分
公開
北米:1941年6月20日
日本:1995年1月7日


ストーリー
1939年7月29日、ドイツベルヒテスガーデンベルクホーフ
山林を散策していたイギリスの著名なハンター、アラン・ソーンダイク大尉(ウォルター・ピジョン)は、アドルフ・ヒトラーの山荘”ケールシュタインハウス”付近に着く。
ヒトラーを確認したソーンダイクは、ライフルで彼を狙い引き金を引く。
弾は入っていなかったのだが、簡単に狙撃できると考えたソーンダイクは、弾丸を装填してもう一度スコープを覗く。
そこに監視兵が現れ、揉み合いになったソーンダイクは捕らえられる。
ゲシュタポの担当官キーヴ=スミス少佐(ジョージ・サンダース)は、ソーンダイクに友好的に接する。
ソーンダイクは、獲物を照準に捉えるだけが目的で、殺すつもりはなかったとスミスに話す。
スミスは、イギリス政府の命令で総統暗殺を企てたという供述書に署名すれば、釈放することをソーンダイクに伝える。
ドイツ側は、今回の件を宣戦布告の材料に使おうとしていたのだった。
それを拒んだソーンダイクは、崖から突き落とされ自殺に見せかけられる。
落下した際に、ナップサックが木の枝に引っ掛かり一命を取り留めたソーンダイクは、追跡されるものの港にたどり着き、デンマーク船に乗り込む。
船員のイギリス人少年ヴァナー(ロディ・マクドウォール)から、船がロンドンに向かうことを知らされたソーンダイクは、彼の協力を得て隠れる。
ソーンダイクが小舟に残した上着のパスポートを見つけたゲシュタポは、各船の捜査を始めるが、ソーンダイクは見つからずに済む。
ゲシュタポは、ソーンダイクのパスポートを持参して彼に扮したジョーンズ(ジョン・キャラダイン)を派遣していた。
デンマーク船のジェンセン船長(ロジャー・イムホフ)に乗船を許可されたジョーンズは、現地でソーンダイクを追うことが目的だった。
無事にロンドンに着いたソーンダイクは、ヴァナーに感謝して下船する。
尾行されていることに気づいたソーンダイクは、ある建物に入り、その場に住む女性ジェリー・ストークス(ジョーン・ベネット)に匿ってもらう。
外交官である兄ジェラルド・リズボロー卿(フレデリック・ワーロック)に会おうとしたソーンダイクは、ジェリーにお金を借りてその場に向かう。
ジェラルド邸に着いたソーンダイクは、ジェリーに借りた金の何倍も渡す。
ソーンダイクは、総統暗殺未遂の件などをジェラルドと話し、ドイツ側の連絡を受けて引き渡し要求があったことを知る。
スミスが探りを入れていることも知ったソーンダイクは、ジェラルドと妻アリス(ヘザー・サッチャー)に感謝してその場を去り、再びジェリーの部屋に向かい今後のことを考えるのだが・・・。


解説 評価 感想

ジェフリー・ハウスホールドの小説”Rogue Male”を原作に、ダリル・F・ザナックが製作し、フリッツ・ラングが監督、ウォルター・ピジョン、ジョーン・ベネット、ジョージ・サンダース他共演したサスペンスの秀作。

第二次大戦前夜、ヒトラー暗殺未遂の容疑をかけられそれを開戦の材料にされそうになった男性の逃亡劇を描くドラマ。

ナチス台頭時にドイツ逃れ、フランスに亡命しハリウッドに向かったフリッツ・ラングが、アメリカが参戦する前のナチス・ドイツが快進撃を続けていた時期に撮影された、開戦前夜の緊迫した状況を力強く描いた作品。

ゲシュタポの追跡を逃れロンドンに着いた主人公が、ナチスとの融和政策を行う当時の政権を信用できず、保護されずに引き渡されると考える展開などは、当時の世情をよく現している。

また、参戦していない状況のアメリカ政府に対し、イギリス側に協力するよう影響を与える意図もあったと言われている。

暗闇のシーンなどで陰影を効果的に使い緊迫感を伝える撮影、ヒロインの紛失したお気に入りのブローチの代わりとして買った弓矢のブローチが、主人公の武器に使われるという小道具の使い方も実にうまい。

ダリル・F・ザナックは、過激な反ナチ思想の持ち主であるフリッツ・ラングを編集には参加せなかったものの、ラングらは密かに編集を行った。

主演のウォルター・ピジョンは、世界史に残りかけない行動により政略に巻き込まれる男性を、ユーモアをまじえながら熱演している。

主人公に惹かれながら彼に協力するヒロインを好演するジョーン・ベネット、主人公を追うゲシュタポの指揮官ジョージ・サンダース、彼の指示で主人公を追うジョン・キャラダイン、4ヶ月後に公開される名作「わが谷は緑なりき」(1941)でもウォルター・ピジョンと共演する、主人公に協力する船員の少年ロディ・マクドウォールゲシュタポの医師ルドウィッグ・ストッセル、外交官である主人公の兄フレデリック・ワーロック、その妻ヘザー・サッチャー、主人公が密航する船の船長ロジャー・イムホフ、質屋の店主エゴン・ブレッチャー、主人公の上官レスター・マシューズ、主人公の友人ホームズ・ハーバート、その法務官オラフ・ヒッテン、郵便局員のエイリー・マリオン、警部補のアルノ・フレイ、駐英ドイツ大使のフレデリック・ヴォージング、港の警察署長ウィルヘルム・フォン・ブリンケン、タクシー運転手のシリル・デレヴァンティなどが共演している。


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