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わが谷は緑なりき How Green Was My Valley (1941)

1939年に発表された、ウェールズの作家リチャード・レウェリン同名小説の映画化。
巨匠ジョン・フォードが、貧しくも誇り高い炭鉱夫一家の愛と絆を描く、ウォルター・ピジョンモーリン・オハラドナルド・クリスプサラ・オールグッドアンナ・リーロディ・マクドウォールバリー・フィッツジェラルド他共演によるハリウッド映画史上に残る不朽の名作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(家族愛)

ジョン・フォード / John Ford 作品一覧


スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・フォード

製作:ダリル・F・ザナック
原作:リチャード・レウェリン
脚色:フィリップ・ダン
撮影:アーサー・C・ミラー
編集:ジェームズ・B・クラーク
美術・装置
トーマス・リトル

リチャード・デイ
ネイサン・H・ジュラン
音楽:アルフレッド・ニューマン

出演
ウォルター・ピジョン:グュリフィド牧師
モーリン・オハラ:アンハラード・モーガン
ドナルド・クリスプ:グウィリム・モーガン
サラ・オールグッド:ベス・モーガン
アンナ・リー:ブロンウィン”ブロン”モーガン
ロディ・マクドウォール:ヒュー・モーガン
バリー・フィッツジェラルド:シファーザ
アーサー・シールズ:パリー助祭
パトリック・ノウルズ:イヴォール・モーガン
ジョン・ローダー:イアント・モーガン
リス・ウィリアムズ:ダイ・バンドー
メエ・マーシュ:炭鉱夫の妻

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1941年製作 119分
公開
北米:1941年12月28日
日本:1950年12月23日
製作費 $1,250,000
北米興行収入 $6,000,000


アカデミー賞 ■
第14回アカデミー賞

・受賞
作品・監督
助演男優(ドナルド・クリスプ
美術(白黒)・撮影賞(白黒)
・ノミネート
助演女優(サラ・オールグッド
編集・脚本・作曲・録音賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
19世紀のウェールズ
炭鉱夫ヒュー・モーガンは、母親のショールに荷物を包み、50年間の思い出が残る谷を離れようとしている。

かつてこの谷は緑に染まり、ウェールズで一番美しい村だった。

ヒューは、全てのことを教わった父、そして姉や家族のことを想い起こす。
__________

血気盛んで信仰心の厚いモーガン家の男達は、末っ子のヒュー・モーガン(ロディ・マクドウォール)以外は、炭鉱で働いていた。

父グウィリム(ドナルド・クリスプ)、母ベス(サラ・オールグッド)を中心にして、厳格な父の教育と固い絆で一家は結ばれていた。

ある日、長男イヴォール(パトリック・ノウルズ)と結婚するブロンウィン”ブロン”(アンナ・リー)が、モーガン家を訪ねて来る。

ヒューは一目でブロンに恋してしまうが、彼は大人の儀式から追い出されてしまう。

そして兄の結婚式の日、式を執り行ったのは、新任のグュリフィド牧師(ウォルター・ピジョン)だった。

ヒューの姉アンハラード(モーリン・オハラ)は、大学でたての、誠実で進歩的でもあるグュリフィドに心惹かれてしまう。
...全てを見る(結末あり)


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ウェールズ
炭鉱夫として働くグウィリム・モーガンを家長とした一家、息子達と母親ベス、娘アンハラード、そして末の息子ヒューは、固い絆で結ばれていた。
やがて、炭鉱ではストにより組合の発足の動きがあり、それにより、モーガン家も父子が対立して亀裂が生じ始める。
そしてモーガン家は分裂し、娘アンハラードのグュリフィド牧師への愛も実ることなく、緑に満ちていた谷にボタ山が広がると共に、人の心も荒んでいく・・・。
__________

第14回アカデミー賞では10部門にノミネートされ、作品、監督、助演男優(ドナルド・クリスプ)、美術(白黒)、撮影賞(白黒)を受賞した。
・ノミネート
助演女優(サラ・オールグッド
編集、脚本、作曲、録音賞

ジョン・フォードは、本作で早くも3度目のアカデミー監督賞を獲得した。
*生涯4度受賞
男の敵(1935)
怒りの葡萄(1940)
静かなる男(1952)

1990年、アメリカ議会図書館国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

ウイリアム・ワイラーの監督予定が、ジョン・フォードに変更されたこの文芸大作は、アイルランド移民のフォード自らの、子供時代の両親兄弟をモデルにしている。

当初は、現地オールロケの予定だったのだが、戦時下のウェールズから、アメリカ国内に変更された。

冒頭の、谷を見渡せるボタ山を、父と散歩するヒューに呼びかけるアンハーラードと、それに応えるヒュー。
「ヒュー・・・」、「アン ハーラード・・・」、それをにこやかに見つめる父。
セリフのないこのシーンだけで、幸福で温かい家庭が想像できる見事なショットだ。

初めて本作を観た時に、このシーンとアルフレッド・ニューマンの美しいメロディーが流れただけで、子供心に胸打たれ涙したのを思い出す。

離散する家族、長い闘病生活、実らぬ愛と望まぬ結婚、学業を諦め働く少年、そして家族の死、ハッピーエンドで終わらない物語・・・。
にも拘らず、見終った後のこみ上げる感動、心洗われる清々しい思いは、家族の絆や人々の温かさに支えられ、苦難を乗り越えてきた日々が、故郷を離れ旅立つ主人公(ヒュー)の、生きる希望となっているからだろう。

思慮深く強い意志を持つ、進歩的な牧師ウォルター・ピジョンの姿は、冒頭で顔を見せない、成長して村を去るヒューの、心の支えとなる理想の人物像として描かれている。
彼の牧師としての説得力ある演説は、バリトン歌手だっただけあり、その声量などで、セリフに力強さが加わっている。

フォード曰く、”家族全員が主役”というテーマの中で、末の息子を演じたロディ・マクドウォールの純真な可愛らしさと、20歳になったばかりのモーリン・オハラの際立つ美しさが印象的だ。

一家の大黒柱、愛する息子達に背を向けてでも信念を貫き、命と引き換えにそれを示すドナルド・クリスプの、フォード好みの父親役も素晴らしい。

大家族を支えながら、勇敢さも兼ね備える、逞しい母親サラ・オールグッドの好演も光る。

長男の嫁アンナ・リー、ヒューに拳闘を教えるリス・ウィリアムズ、常に酔っているバリー・フィッツジェラルド、その実弟で意地の悪い助祭アーサー・シールズ、炭鉱夫の妻で端役出演するメエ・マーシュなど、脇をかためる”フォード一家”の面々などの出演も、ファンには嬉しいばかりだ。


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