息子が欲しくなったと言うグラハムは、妻の考えを訊かれるものの、ボランティアに独身だと答えて資料を受け取る。
ソーシャルワーカーの元に向かったグラハムは、その場にいたデビー(ジェーン・ホロックス)が担当になることを知らされる。
42歳で独身にグラハムは、1年前に母を亡くし、両親が営む雑貨店と郵便局を継いでいたが、外出もせず人付き合いもほとんどなかった。
母の死で父エドワード(アルフレッド・リンチ)はうつ病になり体も不自由なために、グラハムが面倒を見ていた。
グラハムを訪ねたデビーは、10歳の男の子を受け入れることを希望する彼の生活をチェックし、不躾な質問をする。
ジェームズ(クリス・クリアリー・マイルズ)は、施設の職員バーナード(アラン・カミング)にも心を閉ざし、スクラップ帳に母のことを書く気になれない。
グラハムは、子供を受け入れる準備のため、指導員のマージェリー(プルネラ・スケイルズ)から心得を教わる。
バーナードに会ったグラハムは、ジェームズを紹介されて二人で話をする。
一緒に暮らすことなどを話したグラハムだったが、ジェームズは父との誓いを思い出し、多くを語ろうとしない。
デビーから両親のことを訊かれたグラハムは、溺愛され自慢の息子だと思われていたものの、現実には、社交性もなく婚期も逃したことなどを話す。
母の死で家事を受け継いだと言うグラハムは、悲しみに耐えきれない父の様子が変化し、苦労したことなどをデビーに伝える。
バーナードをまじえてジェームズと話しをしたグラハムは、自分の平凡な人生を語る。
ジェームズが手にした、10歳頃の自分の写真を見せられたグラハムは、父との最高の思い出でを考え動揺し涙する。
そのことを恥じて、デビーに養子の件は諦めたと伝えようとしたグラハムは、ジェームズとバーナードが自分を好意的に見ていることを知らされ、週末、家に来ると言われる。
心を閉ざしたままのエドワードに、このままでは施設に入った方がいいのかもしれないと伝えて部屋を出たグラハムは、父がベッドから落ちたことに気づく。
それを知ったバーナードは、グラハムの家に行くのは延期することをジェームズに伝える。
その後、バーナードに車で送ってもらいグラハムの家に向かったジェームズは、カストロールの看板に気づき、興奮して止めてもらう。
父と別れた時のことを思い出したジェームズは、ガソリンスタンドの看板を見ながら、来たことがあるような気がすると言って車を降りる。
ジェームズはグラハムに迎えられて店に案内され、パートのリンを紹介される。
家の中を見せてジェームズの部屋に案内したグラハムは、彼が喜ぶ姿を見て嬉しく思う。
自転車も用意されていることを知ったジェームズは、グラハムに肩を触れられる。
食事の際に父のことを訊かれたグラハムは、体調を崩したために病院で治療を受けていると答える。
施設の寮母モーリーン(ニューリーズ・ヒューズ)を訪ねたグラハムは、ジェームズが脱走の常習犯で自殺未遂も2度起こしたと言われる。
刑務所の父親には、養子縁組をする前に会いに行くとモーリーンに伝えたグラハムは、ジェームズは父親に会いたいだけで、養子にするのは無理なのでやめるようにと助言される。
帰りの車の中で取り乱したジェームズが飛び降りようとしたために、グラハムは車を止める。
養子縁組は無理だと言われたはずだとグラハムに伝えたジェームズは、その場から逃げる。
家に戻り暴れ始めたジェームズは物を壊し、部屋に閉じこもってしまう。
鍵のかかった引き出しを開けたジェームズは、グラハムのバッジや父との思い出の貝殻を取り出す。
好き勝手なことを始めたジェームズに手を焼くグラハムはバーナードに会い、祖父母の連絡先を尋ねるものの、教えてもらえない。
バーナードを説得したグラハムは、ジェームズと共に彼の祖父に会いに行く。
息子のジョンが自分を疎ましく思っていると考える祖父はそれを嘆き、しまってある写真などを持ち帰ってもいいとジェームズに伝える。
それを確認したジェームズは、母メアリーが父に贈ったライターをポケットに入れる。
自分と父の写真だけを持ち帰るジェームズは、帰りの車の中で、来週はエドワードのお見舞いに行きたいとグラハムに伝える。
翌週、病院に向かったグラハムは、発作の心配があるために当分、退院はできないが、父は居心地はよさそうだと言われる。
エドワードは、手を握ってくれるジェームズを子供時代のグラハムだと思い、二人が帰った後で手の中のバッジに気づく。
家に戻ったジェームズは、父の写真にキスして、会いたいとつぶやきながら涙する。
その後、ジェームズとキャンプをしたグラハムは、テントで眠る際に、彼が寄り添ってきたことに気づく。
グラハムは、自分と過ごしていても楽しくないと父が母に話す内容を聞いてしまい、ショックを受けたことを思い出す。
翌日、薪の枝でわざと額を傷つけたジェームズは、グラハムに優しくしてもらおうとする。
愛しているか訊かれたグラハムは、とても愛していると伝えて、彼が自分を試していることに気づくものの抱きしめる。
叔父ターピン(ジョン・ハート)を訪ねたグラハムは、少年愛に目覚めたと皮肉を言われ養子だと伝える。
母の葬儀に欠席したことをターピンから謝罪されたグラハムは、口の悪い叔父から様々な嫌味を言われる。
家に戻ったグラハムは、ジョンからの自分とジェームズ宛ての手紙を受け取り内容を確認する。
自転車で遊びに行き戻ったジェームズに、父からの手紙が届いたこと知らせたグラハムは、それを渡す。
気を遣うグラハムから、一人で読むといいと言われたジェームズは、カストロールの看板の横で手紙を読む。
養子の件に触れて、できれば一緒に暮らしたいものの仕方がないことであり、それでも自分は永遠に父親だというジョンの愛を、ジェームズは理解する。
ジェームズを強引に家に連れ戻したグラハムは、嫉妬して取り乱したことを謝罪し、手放す気はないと伝える。
手紙を読んで何を感じたかを問うグラハムに、刑務所にいても父だと言うジェームズは、会いに来いとは書いていなかったが、会うまでは養子にならないと伝える。
自分の養子になるのは、父親に会うためだったことを知ったグラハムは、手紙を渡すジェームズから、父は世界で一人だと読めばわかると言われる。
その後、父への返事の手紙を書くものの、心を閉ざしグラハムとまともなコミュニケーションが取れなくなったジェームズは、自分を傷つける。
病院からの電話で父エドワードの死を知らされたグラハムは、ジェームズに、刑務所の訪問は延期した方がいいと伝える。
ジェームズが履いていたエドワードのスリッパを見たグラハムは、父を想い涙してしまう。
泣き崩れるグラハムを気遣うジェームズは、彼をベッドに寝かせて慰める。
子供時代に海岸で拾った貝殻を耳に当ててもらったグラハムは、父は自分に失望していたとジェームズに話すものの、そんなことはないと言われる。
親が何を望んでいたか悩んだと言うグラハムは、ジェームズから、誰かを愛したことはあるか訊かれる。
恋したことはあるが、相手と住む世界が違ったと話すグラハムは、ジェームズから眠るようにと言われる。
その後、ジェームズと共にデビーと話し合ったグラハムは、学校の話などになり、養子の前に里親になってはどうかと提案される。
グラハムと一緒に暮らすようになったジェームズは、学校に通い始める。
ある日、訪ねて来たジョンと話したグラハムは、病気のため釈放が速まった彼から、遠くからジェームズを見て帰ると言われる。
それはよくないと考えるグラハムから、病気のことを訊かれたジョンはエイズだと答え、3度目の刑期や犯した犯罪のことを話し、ジェームズとは会いたいがやめた方がいいと伝える。
余命は4~5か月なので、町外れに住もうと思うと話すジョンは、グラハムから、父親の死を知らせるのは辛いと言われる。
身勝手なことをするなら、出所していたにも拘わらず会いにこなかったとジェームズに話すと伝えたグラハムは、この家に住むことをジョンに提案する。
グラハムは、ジェームズには知る権利があるので病名と余命を伝え、住人には秘密にするが医者には話すと言ってジョンを納得させる。
スクールバスで帰って来たジェームズに、お客がいることを知らせたグラハムは、彼をジョンが眠っている部屋に連れて行く。
涙するジェームズに、今度、会えたら一生一緒にいると言ったことを確認したジョンは、それは叶いそうもないが、元気な顔を見に来たと伝える。
病名を言おうとするジョンを休ませることにしたグラハムだったが、ジェームズは泣きながらその場を去る。
倉庫からスコップを持ち出したジェームズは、一人で森に向かう。
穴を掘ったジェームズはその中に潜り、父のことを想いながら眠る。
眠っていたグラハムは、辛い立場のジョンが泣いていることに気づき、ジェームズには時間が必要だと伝える。
ジェームズが部屋にいないことを知ったグラハムは、彼を捜すために森に向かう。
ジェームズは、幼い時に母が自殺した時のことを想い出す。
地面の中で眠っているジェームズを見つけたグラハムは、その場を掘り一夜を過ごす。
目覚めたジェームズと共に家に戻るグラハムは、二番目になる気はないと言って、家族になるなら父親と息子だと伝える。
どうするかは自分で決めろと言われたジェームズは、ガススタンドのカストロールの看板を閉店にして、グラハムの元に向かい、手を握りながら家に戻る。