「ロッキー」シリーズの第6作。 引退し最愛の妻エイドリアンを亡くして失意の日々を送るロッキーが再びリングに上がり戦いに挑む姿を描く、監督、脚本、主演シルヴェスター・スタローン、バート・ヤング、ジェラルディン・ヒューズ共演のドラマ。 |
・シルヴェスター・スタローン / Sylvester Stallone 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:シルヴェスター・スタローン
製作総指揮
アーウィン・ウィンクラー
ロバート・チャートフ
製作
シルヴェスター・スタローン
チャールズ・ウィンクラー
デヴィッド・ウィンクラー
ウィリアム・チャートフ
ケヴィン・キング・テンプルトン
脚本:シルヴェスター・スタローン
撮影:クラーク・マティス
編集:ショーン・アルバートソン
音楽:ビル・コンティ
出演
ロッキー・バルボア:シルヴェスター・スタローン
ポーリー・ペニノ:バート・ヤング
マリー:ジェラルディン・ヒューズ
ロバート・バルボア(ロッキーJr):マイロ・ヴィンティミリア
メイソン”ザ・ライン”ディクソン:アントニオ・ターバー
トニー”デューク”エヴァース:トニー・バートン
スパイダー・リコ:ペドロ・ラヴェル
スティーブンソン/ステップス:ジェームズ・フランシス・ケリー3世
エイドリアン・バルボア:タリア・シャイア(回想シーン)
本人:マイク・タイソン
本人:マイケル・バッファー
本人:リロイ・ニーマン
アメリカ 映画
配給 MGM / コロンビア・ピクチャーズ
2006年製作 102分
公開
北米:2006年12月26日
日本:2007年4月20日
製作費 $24,000,000
北米興行収入 $70,261,810
世界 $128,926,770
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロッキー・バルボア(シルヴェスター・スタローン)は、既にボクシング界から引退して、故郷であるフィラデルフィアで、イタリアン・レストラン”エイドリアンズ”を経営していた。
妻エイドリアン(タリア・シャイア)は他界し、義兄ポーリー・ペニノ(バート・ヤング)とロッキーは墓参りをする。
エイドリアンの墓参りを欠かさないロッキーは、心の拠り所を失った悲しみを、いつまでも引きずっていた。
また、ロッキーの息子ロバート(マイロ・ヴィンティミリア)は、父に反発して家を出ていた。 親の七光りを嫌うロバートは、未だに、街のヒーローとして絶大な人気を誇る父ロッキーが自分を訪ねて来ても、気まずい態度でしか接することが出来ない。 ロッキーは、自分のレストランで、客にボクサー時代の話を聞かせるのが日課だった。 ロバートとの約束も彼にキャンセルされたロッキーは、その夜もポーリーを連れて出かける。 エイドリアンが働いていたペットショップや、住んでいた自宅、彼女と初めてデートしたスケート・リンク、そして、恩師ミッキー・ゴールドミル(バージェス・メレディス)のジムを見て、ロッキー郷愁に浸る。 しかし、いつまでも過去にこだわるロッキーとは対照的に、ポーリーはそれを忘れようとする。 そんな時ロッキーは、昔通っていたバーで働く、マリー(ジェラルディン・ヒューズ)と知り合う。 マリーは、30年前に路上でロッキーに説教された不良少女だった。 ロッキーはマリーを思い出し、彼女を自宅に送り、息子のスティーブンソン”ステップス”(ジェームズ・フランシス・ケリー3世)を紹介され、二人をレストランに招待する。 その頃、ヘビー級チャンピオンのメイソン”ザ・ライン”ディクソン(アントニオ・ターバー)は、格下相手の防衛戦を批判され焦り始める。 更に、ロッキーとのバーチャル試合がテレビ放映されて、全盛期のロッキーがディクソンを倒してしまう。 チャンピオンとして君臨しながら、ディクソンの人気は低迷していた。 ロッキーも、自分がディクソンに勝利してしまうバーチャル試合を見るが、それを、過去の産物だとも批評される。 再びリングに戻る決意をしたロッキーは、息子ロバートにそれを伝える。 しかし、ロバートに好意的には受け入れられず、それを知ったポーリーも、ロッキーをただ励ますだけだった。 ロッキーは、協会にライセンスの申請を申し出るが、許可されなかった。 しかし、自分の人生で残された唯一の可能性、そして夢を追い続ける権利を主張するロッキーの熱意に負けて、ボクシング協会はライセンス発行する。 一方、ディクソンの周辺は危機を感じ、人気回復の手段として、ロッキーにエキシビジョン・マッチを持ちかけようと画策する。 その後ロッキーは、マリーとステップスとの親交を深め、二人を店で雇おうとする。 それに戸惑うマリーだったが、彼女はロッキーの真摯な態度に、その厚意を受け入れる。 その頃、ポーリーは復帰していた精肉工場を解雇されてしまうが、戦いに挑むロッキーのサポート役となる。 ディクソン側がロッキーに接触し、彼はマリーに励まされ、ビッグ・マッチへの挑戦を決意する。 ラスベガス。 しかしロッキーは、挑戦することの尊さとロバートへの愛情を語る。 そして、父ロッキーを理解したロバートは、会社を辞めて彼の元に戻り、試合に協力することを告げる。 元世界王者アポロ・クリードのトレーナーで、親友でもあるトニー”デューク”エヴァース(トニー・バートン)を呼び寄せ、ロバートやポーリー、そしてステップスと共に、 ロッキーはハードなトレーニングを始めようとする。 ロッキーは、衰えを隠せないスピードをカバーする、破壊力のある重いパンチを身につけるために体を鍛える。 復帰宣言したばかりのロッキーが、自分を苦しめる相手だと、ディクソンは想像もしていなかった。 そして、全てをやり尽くしたロッキーは、ラスベガスでの軽量も終えて、ディクソンに本気で戦うことを告げる。 ホテルに戻ると、エイドリアンの写真を持参したマリーが現れ、彼女はロッキーに、幸せを与えてくれたことを感謝して健闘を祈る。 ”マンダレイ・ベイ”。 ディクソンも登場し、リングサイドのマイク・タイソンが彼を挑発する。 リング・アナウンサーのマイケル・バッファーが、両選手を紹介し、マリーも客席でロッキーを見守る。 そしてゴングは鳴り、試合は予想通りディクソンのペースで進むが、ロッキーも善戦する。 ロッキーが本気だと知ったディクソンは、手加減なしで攻め始め、2度のダウンを奪う。 しかし、ディクソンが左手拳を痛め、逆に攻勢に出たロッキーの連打を浴びてダウンを喫する。 ディクソンは骨折して波乱の展開となり、彼のスピードとパワーを、豊富な経験と鍛えぬいた肉体、さらに驚異的な精神力でかわすロッキーは、最終ラウンドまで持ち応える。 そして最終ラウンド、ディクソンのパンチが炸裂して、ロッキーはダウンする。 しかし、諦めないロッキーは再び立ち上がり、ゴングが鳴るまで2人は戦い続ける。 観衆は2人の戦いを称えて、惜しみない拍手を贈り、ディクソンは、ロッキーにボクシングの真髄を教わる。 結果は判定でディクソン勝利に終わるが、ロッキーは勝敗を聞かずに、ロバートやマリーと共に、全てをやり尽くした満足感を胸に、大歓声に応えながら観衆に別れを告げる。 そしてロッキーは、自分を支えてくれたエイドリアンの墓前に向かい感謝の言葉を贈る。 ”エイドリアン、我々はやり遂げたよ”
...全てを見る(結末あり)
そして、ロッキー対ディクソンのチャリティー・エキシビジョン・マッチの記者会見が盛大に行われる。
それを見たロバートは、見世物になりかけない父ロッキーに、試合を止めさせようとする。
そして対決の日、特設リングは超満員となり、ロッキーは、ポーリーに、内に秘めた思いを全て出し切り、完全燃焼するよう助言されて、ロバートやステップスを伴いリングに向かう。
参考:
・「ロッキー」(1976)
・「ロッキー2」(1979)
・「ロッキー3」(1982)
・「ロッキー4」(1985)
・「ロッキー5」(1990)
・「ロッキー6」(2006)
・「クリード」(2015)
・「クリード 炎の宿敵」(2018)
・「クリード 過去の逆襲」(2023)
*(簡略ストー リー)
引退して、故郷フィラデルフィアでレストランを経営していたロッキー・バルボアは、最愛の妻エイドリアンを亡くし、失意の日々を送っていた。
息子ロバートも家を出て、エイドリアンとの思い出に浸るだけのロッキーは、30年前に説教をしたことがあるマリーに出会う。
マリーとの親交で心の安らぎを得たロッキーは、再びリングに上がる決意をする。
人気の低迷する世界チャンピオンのディクソン陣営はそれを知り、ロッキーを担ぎ出して一気に汚名挽回を画策する。
その話に戸惑うロッキーは、マリーに励まされ、息子ロバートの理解も得て、義兄ポーリーや、トレーナーのデュークと共に、最後の戦いに向けた挑戦を始める・・・。
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「ロッキー4」(1985)以来となる、シルヴェスター・スタローン製作、監督、脚本、主演、16年前に完結したかに思われた、30年間にも及ぶ人気シリーズの最終章。
正に30年前の世界中の興奮を甦らせてくれる作品であり、当時を知る者にとっては、全編、涙なしでは見られない。
本シリーズ、特に初期作品に特別な想いがあるため、よくぞここまでの物語に仕上げてくれたという感謝を込めて、高い評価をさせてもらった。
興行成績も健闘し、北米で約7000万ドル、全世界トータルでは約1億2900万ドルのヒットとなった。
実際のテレビ中継を見ているような、臨場感のある試合映像もなかなか斬新だ。
年齢を重ね渋みを増したスタローンの演技は、初期のロッキーを想い出して郷愁に浸れる。
60歳を迎えたスタローンが、健在をアピールするつもりで軽い気持ちで作ったのかと思いきや、ロッキー・ファンにはたまらないシーンの連続は嬉しいばかりだ。
例えば、
第1作「ロッキー」(1976)で、ロッキーが説教してバカにされた、成長したマリー(ジェラルディン・ヒューズ)の登場、トレーニングでの生卵飲みと生肉パンチ、更にロッキーのレストランで、ただ食いしている元ボクサーのスパーダー・リコ役ペドロ・ラヴェルは、第1作でロッキーが無名時代に戦った相手だ。
人々から愛される伝説のヒーロー、ロッキーが最愛の妻を亡くし、息子も自分の元を離れてしまうが、自らの手で人生の目標を探そうとする姿は感動的でもある。
スタローンは、出演を切望するタリア・シャイアの頼みを断り、仲違いまでしてしまった2人だが、作品を見て彼女が納得したという、「ロッキー2」(1979)のラストのセリフを引用した、ドラマを締めくくるスタローンの言葉もホロリとさせてくれる。
*”Yo Adrian, we did it. We did it.”
6作全てでロッキーを支えた続けた義兄バート・ヤングも、精肉工場に戻っているところがいいし、相変わらずの飲んだくれだが、ロッキーの心を動かす一言を発する場面などは実に彼らしい。
実際の、WBA・WBC世界ライトヘビー級スーパー王者、元IBF世界ライトヘビー級王者でもある、不人気のチャンピオン、アントニオ・ターバー、全作に登場するトレーナーのトニー・バートン、マリー(J・ヒューズ)の息子ジェームズ・フランシス・ケリー3世なども共演している。
マイク・タイソンやリング・アナウンサーマイケル・バッファーも、「ロッキー5」(1990)に続き出演している。
「ロッキー3」(1982)や「ロッキー5」(1990)でリング・アナウンサーとしても登場する、芸術家リロイ・ニーマンも再び出演し、彼の描いた絵が随所で登場する。
ドラマの中では、ポーリーがその絵を描いている。