デズモンドに罰を与えようとしたトーマスを制止したバーサは、ハルを殺していたかもしれないと言うデズモンドに、殺人は最悪の罪だと伝える。
許そうとしない父が、自分たちを嫌いなのではないかとバーサに問うデズモンドは、それを否定する母から、トーマスは自分自身を憎んでいると言われる。
バーサは、トーマスが戦争で変わってしまったことをデズモンドに話す。
15年後、リンチバーグ。
木材工場で働くデズモンドは、教会のステンドグラスを直している際に、道路で事故に遭った少年に気づき、重傷を負った彼を病院に運ぶ。
ベルトで止血をしたことで、医師から命の恩人だと言われたデズモンドは、医療に興味を持っていた。
美しい看護師ドロシー・シュッテ(テリーサ・パーマー)に惹かれたデズモンドは、彼女に近づく。
ドロシーが献血係だと知ったデズモンドは献血をすることになり、医者になる夢があったが、学校に行けなかったことなどを話す。
その後デズモンドは、森を通り11キロ離れたフォートヒルの自宅に戻る。
翌日デズモンドは、出会ったドロシーと結婚するとバーサに伝えて、リンチバーグの病院に向かう。
ドロシーに愛を伝えたデズモンドは、彼女を誘い映画を観に行く。
映画館を出たドロシーは、いきなりキスしたデズモンドの頬をぶってしまうものの、彼を嫌いはしなかった。
ハル(ナサニエル・ブゾリック)が入隊したことを知ったバーサは驚き、教会の戒律に背くと考えるが、戦争は人殺しではないと言われる。
戦友の話をしながら悲惨な死を思い出して涙するトーマスは、ハルを追い出す。
ドロシーと惹かれ合う仲になったデズモンドは、医学を読み知識を広める。
そんなデズモンドは、志願することをドロシーに話し、衛生兵になって人を救いたいと伝える。
プロポーズをする気はないのかと訊かれたデズモンドは、ドロシーに結婚を申し込み承諾してもらえる。
墓地にいたトーマスと話したデズモンドは、志願したことを伝える。
嘆くトーマスは、何を信じようと自分の考えは戦争には通用しない、生き残っても神に感謝する気にはなれないとデズモンドに伝える。
ドロシーから聖書を渡されたデズモンドは、彼女に別れを告げて旅立つ。
聖書には、”無事に私の元に戻って、愛している”と書かれたドロシーの写真が挟んであった。
サウスキャロライナ州、フォート・ジャクソン。
兵舎に向かったデズモンドは、ランドール”ティーチ”フラー(リチャード・パイロス)、ミルト”ハリウッド”ゼーン(ルーク・ペグラー)に歓迎され、グリース・ノーラン(ベン・ミンゲイ)から、スミティ・ライカー(ルーク・ブレイシー)、ヴィト・リネリ(フィラス・ディラーニ)、ラッキー・フォード(マイロ・ギブソン)、アンディ”グール”ウォーカー(ゴラン・D・クルート)らを紹介される。
そこに上官のハウエル軍曹(ヴィンス・ヴォーン)が現れ、兵士を罵倒して基礎訓練を始める。
壁登りでスミティに蹴落とされたデズモンドだったが、子供時代から山で鍛えていたために体力には自信があり、一位でゴールする。
各人にライフルが渡されることになるが、デズモンドは銃に触れないことをハウエルに伝える。
ジャック・グローヴァー大尉(サム・ワーシントン)の元に連れて行かれたデズモンドは、入隊時に承諾を得たことを伝える。
”良心的兵役拒否者”だと言われたデズモンドは、”良心的協力者”だと訂正し、兵役に就くことは問題ないが銃を持って人を殺すことができないとグローヴァーに説明する。
戦争は人を殺すものだと言われたデズモンドは、自分の宗派では土曜が安息日だということもグロヴァーに伝えるものの、この部隊にいる以上、命令に従うことを指示される。
嫌なら除隊させると言うグロヴァーは、デズモンドを下がらせる。
兵士にその件を伝えたハウエルは、戦場でデズモンドに頼らないようにと言って皆を納得させる。
その夜、兵舎でミスティに聖書を奪われたデズモンドは、彼に殴られて挑発されるものの、手出しはしなかった。
ドロシーの写真を手にするミスティにからかわれたデズモンドだったが、彼の指示に従い返してもらう。
翌日、ステルツァー大佐(リチャード・ロクスバーグ)に呼ばれたデズモンドは、最も重要な戒律の”汝殺すなかれ”は普通の殺人の場合で、戦争下では違うと言われる。
デズモンドの宗教観は珍しいケースだが、除隊の理由にはできないとグロヴァーに伝えたステルツァーは、衛生兵になりたいのなら、他の訓練は受けさせるようにと指示する。
雑務専門のデズモンドに厳しく接し、追い払うようグローヴァーから指示されたハウエルは、兵士たちをしごく。
それをデズモンドのせいにした兵士たちは、彼を痛めつける。
除隊するつもりがないデズモンドは、それに耐える。
傷ついたデズモンドに除隊を勧めたハウエルだったが、雑務があると言うデズモンドは、誰にも殴られていないと伝える。
休暇を利用して結婚式を挙げる予定だったデズモンドは、サングストン大佐(ロバート・モーガン)から、銃の訓練を終了していないので休暇は出せないと言われる。
ライフルを扱えば休暇は出すと言われたデズモンドはそれを拒み、グローヴァーから除隊を勧められる。
サングストンから、命令拒否で軍法会議にかけられ終戦まで刑務所で暮らすことになると言われたデズモンドは、銃は持てないと伝えるしかなかった。
式場でデズモンドを待っていたドロシーは牧師と話し、逃げ出す男もいると言われるものの、式は諦めるが彼は逃げないと伝える。
ドロシーの元に向かえないデズモンドは、留置場の中で苛立つ。
デズモンドと話したグローヴァーは、自分の大切な者や仲間が攻撃されたばあいについてを問い、罪を認め情状酌量を求めれば家に帰れると伝える。
グローヴァーから、後は彼女に任せると言われたデズモンドは、現れたドロシーに謝罪して抱き合う。
人を殺したくないことが罪に問われる矛盾をドロシーに伝えたデズモンドは、正しい考えだが、撃たなくてもいいので銃を持つべきだと言われる。
信念を曲げたら生きていけないと言うデズモンドの気持ちを理解したドロシーは、今のままでいい、何があっても愛し続けると彼に伝える。
トーマスとバーサは、罪を認めれば不名誉除隊になり、裁判になれば刑務所行きのデズモンドは、何をしてもどうにもならない状況だとドロシーから知らされる。
軍服を着たトーマスは、先の大戦で共に戦った上官のマスグローヴ准将に会いに行く。
法廷に向かったデズモンドは、無罪を主張したために審判を受けることになる。
その場に向かったトーマスは、裁判長に渡す書面をドロシーに預けようとするが、軍人以外は入れないと言われる。
上官からの命令拒否を認めたデズモンドは、衛生兵として戦い、人を殺すのではなく救いたいと裁判長に伝える。
法廷に押し入ったトーマスは、マスグローヴ准将から預かった手紙を裁判長に渡す。
裁判長は、良心的兵役拒否の権利は議会法で認められているために、いかなる場合も行使でき、武器を持つ命令も拒否できるという、マスグローヴの署名入り書面を読み上げる。
サングストン大佐は訴えを取り下げ、裁判長は、武器なしで戦場に向かうのは自由であり、軍務を終えて衛生兵の訓練を受けるようデズモンドに指示する。
釈放されたデズモンドはドロシーと抱き合い、その夜、二人は愛し合う。
1945年5月、沖縄。
太平洋の各地で戦った、”第77歩兵師団”所属のグローヴァーの部隊は上陸して移動し、衛生兵のデズモンドは、多くの戦死体と負傷兵を見つめる。
ある民家に着いたグローヴァーは、”第96歩兵師団”マンヴィル中尉(ライアン・コア)らと合流する。
衛生兵のシェクターに声をかけられたデズモンドは、自分を含めた衛生兵は三人しかいないと言われる。
他の兵士から戦況を訊かれたシェクターは、”ハクソー”の崖を6回登るものの、6回目に師団が壊滅したことを知らされる。
戦った兵士は、日本兵が死を恐れないことを話す。
衛生兵は狙われるとデズモンドに伝えたシェクターは、赤十字の腕章を外すよう指示し、ヘルメットを替えさせる。
その後グローヴァーの部隊は、”ハクソー・リッジ”(前田高地)に到着する。
戦艦からの艦砲射撃の終了後、部隊は崖を登る。
態勢を整えた部隊は前進し、激しい戦闘が始まるものの、日本兵を確認することができない。
ヴィトが撃たれ、デズモンドに襲い掛かった日本兵をスミティが射殺する。
両脚を失ったラルフを落ち着かせて止血をしたデズモンドは、シェクターから、助からないのでモルヒネを打つよう指示される。
ラルフから見捨てないでほしいと言われたデズモンドは、必ず助けると言って彼を背負い後方に向かう。
仲間達の元に戻り、負傷したフランクに駆け寄ったデズモンドは、スミティらに援護されながらフランクを助ける。
敵の壕を確認したマンヴィルは、それをハウエルに伝える。
グローヴァーに状況を知らせたハウエルは、壕に攻撃を仕掛けようとする。
バズーカでもびくともしない壕に爆薬を持って近づくグールを、ハウエルらが援護する。
味方の迫撃砲でグールは意識を失い、その場に向かったスミティは、爆薬を壕に投げ込み爆破し、ハウエルは突撃する。
グールの元に向かったデズモンドは、意識が戻った彼を励ます。
戦闘は終わり、その場を制圧したグローヴァーは、翌日の戦いに備える。
負傷者をチェックするデズモンドは、自分に付き添うスミティと話し、交替で眠ることにする。
日本兵に襲われ殺された悪夢を見たデズモンドは、それをスミティに話し、無力だったと伝える。
銃を持てと言われたデズモンドはその気にはなれず、自分を見捨てた両親の話をするスミティから、人を憎んでいたため、誤解していたと言われる。
自分と弟は父に殴られて育ったが、それは我慢できたと言うデズモンドは、母がぶたれた時には、父が持っていた銃を奪いそれを向けて脅したことをスミティに話す。
引き金を引くものの父を撃たなかったデズモンドは、心で撃ったとスミティに伝える。
二度と銃を手にしないと神に誓ったとスミティに伝えたデズモンドは、正気ではないと言われる。
翌日、地下から現れた日本兵の総攻撃が始まり、撤退したハウエルは、敵のことをグローヴァーに伝える。
艦砲射撃を要請したグローヴァーは後方に移動するが、ハウエルは脚を撃たれて倒れ、彼を助けようとしたハリウッドも負傷する。
負傷したシェクターをグリースに任せたデズモンドは、他の負傷兵を担いで移動する。
マンヴィルは、手榴弾で自爆した日本兵と共に爆死し、スミティも撃たれる。
艦砲射撃が始まり、意識を失うスミティを担いだデズモンドは崖に向かうものの、スミティは息を引き取る。
グローヴァーの部隊は”ハクソー・リッジ”から撤退して崖を下りる。
戦場を見つめるデズモンドは、自分は何をするべきかを神に問う。
衛生兵を呼ぶ兵士の声が聞こえたデズモンドは、砲撃の中に向かう。
崖を下りたグローヴァーは、32人しか残っていないことをフォードから知らされ愕然とする。
負傷したエリックを見つけたデズモンドは、手当てをして崖に向かい、ロープを使って彼を下す。
崖の下にいた兵士は、下ろされる負傷兵に気づく。
本部に向かったグローヴァーは、味方が残っているので砲撃を中止するようクーニー中佐(マット・ネイブル)に伝える。
砲撃を中止させたクーニーは、放心状態のグロヴァーを休ませる。
砲撃が止み日本兵が近づく中、味方が殺されるのを見ているしかないデズモンドは、自分を呼ぶ負傷兵に近づき土で覆い隠す。
兵士の死を確かめる日本兵に重剣でわき腹を刺されるものの無事だったデズモンドは、敵が去った後、負傷兵を崖に運ぶ。
クーニーから明日にならないと援軍は望めないと言われたグローヴァーだったが、ハクソー・リッジに戻ろうとする。
敵に見つかったデズモンドは地下に逃げ込み、手榴弾を投げ込まれるものの何とか逃れる。
その場に日本兵がいたために隠れたデズモンドは、敵の負傷兵を見つけて、手当てをしてモルヒネを打つ。
夜になり地上に出たデズモンドは、負傷したピニックが発砲したために落ち着かせる。
ピニックを崖から下したデズモンドは、その後も次々と負傷兵を助け、一人救う度にもう一人と思いながら行動を続ける。
医療テントの軍医は、撤退したはずのハクソーから誰かが負傷兵を下し、その中には日本兵もいたことを知る。
夜が明けて、負傷したハウエルとハリウッドを見つけたデズモンドは、傷の手当てをしようとする。
ハウエルにモルヒネを打ったデズモンドは、ハリウッドの傷を確認して彼を崖に運ぶ。
ハクソーに残ったはずの負傷兵が医療テントに運ばれていることをティーチから知らされたグローヴァーは驚き、その場にいたハリウッドから、デズモンドに助けられたと言われる。
ハウエルが残っていると言われたグローヴァーは、デズモンドが一人で多数の負傷者を助けたことを知り驚く。
デズモンドが狙撃兵に狙われたいることに気づいたハウエルは、その位置を確認して敵を倒す。
銃を手にしたデズモンドは、それと毛布を使ってハウエルを上に乗せ、引きずって崖に向かう。
銃撃しながら追って来る日本兵に反撃するハウエルは、ロープを使って崖から下される。
その場に到着したグローヴァーは、上にいるデズモンドが敵に囲まれていることをハウエルから知らされる。
デズモンドはミスティの死体と共にロープで落下し、グローヴァーらは日本兵を銃撃する。
動揺するデズモンドは仲間達に気づき、彼を気遣うグローヴァーは、医療テントに連れて行くよう部下に指示する。
わき腹の傷などの治療を受けたデズモンドは、シェクターが戦死したことを知る。
グローヴァーから話しかけられたデズモンドは、痩せた子供のように思っていたが、誰にもできなかったことを成し遂げた男であり、人生で最悪の勘違いだったと言われる。
許してほしいと伝えたグローヴァーは、明日ハクソーに戻ると言って、安息日であることをデズモンドに確認する。
信心深くはないが、信念は本物だと信じると言うグローヴァーは、成し遂げた奇跡が必要なので、力を貸してほしいとデズモンドに伝える。
翌日、ハクソーの崖を登ろうとするグローヴァーは、クーニーから出撃するよう命ぜられる。
グローヴァーは、デズモンドの祈りが終わるのを待っていると苛立つクーニーに伝える。
デズモンドの祈りは終わり、グローヴァーの部隊は崖を登り突撃する。
降伏した日本兵は、隠し持っていた手榴弾を投げるが、デズモンドはそれを手で払いのける。
もう一つの手榴弾を蹴るものの、爆風で吹き飛ばされたデズモンドは、脚に重傷を負い運ばれる。
デズモンドから聖書がないと言われたティーチは、それを捜しに行く。
日本軍司令官の牛島満中将は、敗北の責任を取って切腹する。
グローヴァーからハクソーを制圧したことを知らされたデズモンドは、ティーチから聖書を渡されて崖を下りる。
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デズモンド・ドスは、75人の負傷兵を救った。
この勇敢な行為によりデズモンドは、良心的兵役拒否者で初めて、軍人最高の栄誉である”名誉勲章”をトルーマン大統領から授与された。
デズモンドとドロシーは、1991年に彼女が自動車事故で亡くなるまで仲睦まじく暮らした。
戦場では勇敢だったデズモンドは普段は控えめで、すべてを神に捧げて生きた。
デズモンド・ドスは、2006年3月23日、87歳で亡くなった。