1880年に発表されたルー・ウォーレス将軍の大ベストセラー小説”Ben-Hur:A Tale of the Christ”の映画化である”キリストの物語”。 1907、1925年のサイレント映画に続く3度目の映画化。 前文不要、ハリウッド映画史上に残る傑作にして不朽の名作。 製作、監督ウィリアム・ワイラー、主演チャールトン・ヘストン、スティーヴン・ボイド、ジャック・ホーキンス、ヒュー・グリフィス他。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ウィリアム・ワイラー
助監督
ヤキマ・カナット
セルジオ・レオーネ
リチャード・ソープ
製作
サム・ジンバリスト
ウィリアム・ワイラー
原作:ルー・ウォーレス”ベン・ハー”
脚本:カール・タンバーグ
撮影:ロバート・サーティース
編集
ラルフ・E・ウィンターズ
ジョン・D・ダンニング
美術・装置
ウィリアム・A・ホーニング
エドワード・カーファグノ
ヒュー・ハント
衣装デザイン:エリザベス・ハッフェンデン
音楽:ミクロス・ローザ
出演
チャールトン・ヘストン:ジュダ・ベン=ハー
スティーヴン・ボイド:メッサラ
ジャック・ホーキンス:クイントゥス・アリウス
ヒュー・グリフィス:族長イルデリム
ハイヤ・ハラリート:エスター
マーサ・スコット:ミリアム・ベン=ハー
キャシー・オドネル:ティルザ・ベン=ハー
サム・ジャッフェ:サイモニデス
フランク・スリング:ポンティウス・ピラトゥス
フィンレイ・キュリー:バルタザール/ナレーター
ジョージ・ラルフ:ティベリウス
クロード・ヒーター:イエス
ジュリアーノ・ジェンマ:メッサラの部下
アメリカ 映画
配給 MGM
1959年製作 212分
公開
北米:1959年11月18日
日本:1960年3月30日
制作費 $15,000,000
北米興行収入 $74,000,000
世界 $109,000,000
■ アカデミー賞 ■
第32回アカデミー賞
・受賞
作品・監督
主演男優(チャールトン・ヘストン)
助演男優(ヒュー・グリフィス)
撮影(カラー)・音楽(ドラマ/コメディ)・美術(カラー)・衣装デザイン(カラー)・特殊効果・音響・編集賞
・ノミネート
脚色賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
イエス・キリスト誕生の年。
ローマ帝国の圧制に苦しむユダヤは、独自の伝統と誇りを守り救世主の出現を信じていた。
__________
紀元26年
エルサレム。
ローマ駐留軍司令官のメッサラ(スティーブン・ボイド)が着任する。
メッサラは、新しい思想や信念を持ち始め、それを導くが、現れたこの地を統治する難しさを、前任者から伝えられる。
14歳までエルサレムに住んでいたメッサラは、ユダヤの王族のジュダ・ベン=ハー(チャールトン・ヘストン)とは幼な友達だった。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ユダヤがローマ帝国の圧制に苦しんでいた頃、王族ジュダ・ベン=ハーの幼友達であるメッサラが、エルサレム駐留司令官に着任する。
メッサラは、繁栄するローマ帝国を後ろ盾に、旧友ベン=ハーに対し、高圧的な態度でローマへの協力を求める。
ユダヤの民であることを誇りにするベン=ハーはメッサラの要求を拒むが、ある事件が起き、家族と共に反逆罪に問われ捕らえられてしまう。
慈悲を請うベン=ハーを、非情にも突き放すメッサラは、母娘を地下牢に閉じ込めてしまい、ベン=ハーを奴隷としてガレー船に送られる。
メッサラに復讐を誓ったベン=ハーだったが、ガレー船に送られる途中、渇きで死をも覚悟した時、ナザレで若者(イエス)に水を与えられ、生きる力と希望を得て運命的なものを感じる・・・。
__________
1917、1925年のサイレント映画、2003年のアニメ作品、2016年「ベン・ハー」など5回映画化されている。
第32回アカデミー賞では、作品賞をはじめ12部門でノミネートされ11部門で受賞した。
・受賞
作品・監督
主演男優(チャールトン・ヘストン)
助演男優(ヒュー・グリフィス)
撮影(カラー)・音楽(ドラマ/コメディ)
美術(カラー)・衣装デザイン(カラー)
特殊効果・音響・編集賞
・ノミネート
脚色賞
2004年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品。
製作費54億円(当時)6年の歳月をかけた212分という長編は、公開から半世紀以上が経ちながら、どんなにCGなどの技術が発達しても、未だに本作を凌ぐものはないと言えるほどの、大スペクタクル作品に仕上がっている。
ウィリアム・ワイラーの、奥深いドラマを細部に渡り丁寧に描いた演出は、全ての場面が、芸術品のように美しく威厳を感じさせる。
主演のチャールトン・ヘストンは、まるで古代の彫刻のような、逞しく頑強な肉体と彫りの深い顔立ちが、主人公ベン=ハーのイメージそのもので、容姿を生かしたダイナミックな表現力は、他の者を寄せ付けない圧倒的な存在感だ。
この後チャールトン・ヘストンは、ジョン・ウェインと同じく、アメリカの強さの象徴のような俳優に育って行く。
長身(190cm)に、広い肩幅とX脚までウェインに似ているが、厳ついくっきりとした目鼻立ちで、史劇の主人公を演じさせたらこれほど絵になる俳優もいない、正に天性の才能と魅力を持った俳優だ。
晩年は全米ライフル協会の会長も務め、彼の残した功績は、映画史上に永遠に残るだろう。
仇役メッサラ演ずるスティーヴン・ボイドの熱演も光る。
幼馴染のベン=ハーを、出世をのため冷酷な手段で突き放し、戦い終わり死を覚悟するに至っても、自分のプライドを捨てない、男の生き様とその力強さは圧巻だ。
そして、二人が火花を散らす戦車レースの見事な映像は、実際に1万5000人収容の競技場を建設して撮影され、史上空前と言えるスケールで映像化された。
*競技場の上部の山並はグラスペイントの合成画面。
助監督でもあるヤキマ・カナットの担当するこのレースのスタントシーンは、どのように撮影されたか分からないほどのスピード感と迫力がある。
グラスペイントを使った遠景のショットで画面に奥行きをだし、70ミリフィルム(MGMcamera 65)の効果を最大限に活かした大迫力映像も見応え十分。
*アリウスとベン=ハーのローマ凱旋シーンは、中央の大通り以外は、ほとんどがグラスペイント。
本作こそは劇場で見なければ価値がない。
リバイバルではあったが、巨大なスクリーンで見れたのは幸運だった。
ミクロス・ローザの、勇壮な音楽も忘れられない。
アトランタオリンピックの、各競技の選手入場の際、戦車レースのシーンの音楽を使っていたの思い出す。
ローマ帝国の執政官でベン=ハーに救われ後見人となるジャック・ホーキンス、豪快な族長でアカデミー助演賞を受賞したヒュー・グリフィス、ハー家の奴隷だがベン=ハーを愛し、彼や家族を献身的に支えるハイヤ・ハラリート、3年前の「十戒」(1956)でもC・ヘストンの母を演じたベン=ハーの母マーサ・スコット、妹キャシー・オドネル、ハー家の財産管理人のサム・ジャッフェ、エルサレム総督ピラトゥスのフランク・スリング、東方の三博士・バルタザール役のフィンレイ・キュリー、ローマ皇帝ティベリウスのジョージ・ラルフ、表情の映らないイエスを演ずるクロード・ヒーター、そして、メッサラの部下で、若き日のジュリアーノ・ジェンマも共演している。