ベンは、現在57歳のリットが45歳で解放されると、遺言書に記されていたことをエドワードに伝える。
ジョンから弁護士の手紙を受け取ったエドワードは、リットが46歳の時に娘たちが売られたのも違法だと言われ、ミンティは、自分も自由なはずだと伝える。
手紙を破ったエドワードは、父親と夫は自由な身だが、お前と母親、兄弟姉妹、産む子も孫も死ぬまで自分のものだとミンティに伝える。
リットに罵られたエドワードは、二度とここに来るなとベンとジョンに伝えて追い払う。
絶望したミンティは森に向かい神に祈り、エドワードを恨む。
エドワードの息子ギデオン(ジョー・アルウィン)から、黒人の祈りは届かないと言われたミンティは、奴隷をブタ扱いする彼に抵抗しようとする。
殴られたミンティは、仕方なくギデオンと屋敷に戻るしかなかった。
その後、エドワードが亡くなり、ギデオンはミンティを売ることにする。
逃がる決心をしたミンティは、少女時代に殴られた後遺症で睡眠発作が起きることを心配するジョンと共に、父ベンの元に向かおうとする。
ブロデス家の農場を任されている奴隷監督フォックス(ニック・バスタ)は、姿が見えないミンティを捜す。
ミンティを待つジョンはギデオンに出くわし、家に帰るようにと指示される。
そこにフォックスが現れ、ギデオンにミンティがいないことを伝える。
ミンティのことをジョンに問い詰めたギデオンは、何も話さない彼を殴る。
現れたミンティの顔を見ないベンは、グリーン牧師を訪ねて、旅の無事を祈ってもらうようにと指示し、木彫りのお守りを渡して別れを告げる。
教会に向かいグリーン牧師に逃げることを伝えたミンティは、戻れと言われるものの、考えを変えない。
夜明けまでに遠くに逃げろと言われたミンティは、恐怖心は敵であり、神を信じれば北極星が導いてくれるなどのグリーンの助言を聞き、デラウェア州のウィルミントンを目指し、鍛冶職人で鉄商人のトーマス・ギャレット(ティム・ギニー)を訪ねるよう指示される。
ギデオンに問い詰められたベンとジョンは、ミンティを”見ていない”と言い張り、主人のトンプソンはギデオンを非難する。
翌朝、追っ手に気づいたミンティは逃げるものの、橋でギデオンらに挟み撃ちにされる。
ギデオンは、川に飛び込もうとするミンティに、売りはしないと言って説得する。
ミンティは自由か死かと言って川に飛び込み、その後、彼女見つけられないギデオンは溺れ死んだと考える。
無事だったミンティは、作業中だった干し草の馬車に隠れ、それに気づいていた白人に救われ、途中で降りる。
ウィルミントンに着いたミンティは、船頭のジャスパー・マーリー(ラキーム・ローズ)にギャレットのことを尋ね、優しく接してくれた彼から住所を教えてもらう。
ギャレットの作業場に着いたミンティはグリーンの名前を伝え、知っているという彼の前で気を失う。
ペンシルベニア州の境まで、ギャレットに馬車で送ってもらったミンティは、40キロ先のフィラデルフィアで、反奴隷制協会のウィリアム・スティル(レスリー・オドムJr.)を訪ねるようにと言われ、彼の写真を受け取る。
ギャレットに感謝したミンティは、自由の地を目指す。
ペンシルベニア州、フィラデルフィア。
反奴隷制協会に着いたミンティは、歓迎してくれたスティルと話し、自由だと言われ、160キロを1人で旅してきたことに驚く彼に称えられる。
自由を手に入れた証明として多くの奴隷は名前を新しくすると言われたミンティは、”ハリエット・タブマン”と名乗ることにする。
スティルに、奴隷として危害を加えられたことについて訊かれたハリエットは、13歳の時に奴隷監督に頭を割られ、2か月昏睡状態になったと話す。
姉たちが売られる前に神のお告げを聞き、どんなことよりも辛い思いをしたが、頭の怪我で神の声が聞こえるようになったと、ハリエットはスティルに伝える。
黒人女性専用の下宿に案内されたハリエットは、スティルから、オーナーのマリー・ブキャノン(ジャネール・モネイ)を紹介される。
建物の中を案内されたハリエットは、生まれた時から自由なマリーの心ない言葉に傷つき、奴隷の辛さを語る。
失言を謝罪したマリーは、ハリエットに夫がいることを知り、川を渡る船頭に頼めば、無事を伝えてもらえるかもしれないと伝える。
その後ハリエットは、マリーに仕事を紹介してもらう。
1年後。
船頭のジャスパーと親しくなっていたハリエットは、家族に会った話を聞くが、ジョンからの伝言はなかった。
スティルに家族を助けてほしいと頼んだハリエットは、逃亡奴隷が増えて活動が難しくなっていると言われ、自分で行こうとする。
字も読めない自分には無理だと言われたハリエットは、神の声が聞こえるとスティルに伝えて、1人で旅立つことにする。
そのことをマリーに話したハリエットは協力を求め、自由黒人としての振る舞いと礼儀作法を教わり、身を守るための銃を受け取る。
他人のものではあるが、自由黒人の証明書を持参したハリエットは、汽車で南に向かう。
借金が増えたギデオンは、ロス兄弟を売り返済することをエリザに提案し、反対した母を納得させる。
ジョンの元に戻ったハリエットは再会を喜ぶものの、自分が溺死したと思った彼は再婚し、子供も生まれることを知りショックを受ける。
神と話したハリエットは発作で意識を失い、自分が奴隷を救う夢を見る。
目隠ししたベンに起こされたハリエットは、弟たちをエリザが売ることを知り、彼らや赤ん坊を連れたフィービーと共に北部に向かうことになる。
妹のレイチェルはエリザが離さず、母リットは自分が死んだと知って正気を失ったということだった。
ベンから妻は面倒みると言われたハリエットは、父に別れを告げて出発する。
その様子を、黒人のウォルター(ヘンリー・ハンター・ホール)が監視していた。
グリーン牧師の元に向かったハリエットらは、既に匿われていた奴隷たちと合流する。
奴隷が逃げたことを知ったエリザは憤慨し、ギデオンはレイチェルを問い詰めるものの、何も話さなかった。
赤ん坊を売られそうになったレイチェルは、ミンティが戻ったことをギデオンに話す。
ミンティが死んだと思っていたギデオンは、人を集めて捜索することをフォックスに伝える。
合流場所に向かうギデオンは、ウォルターからミンティの情報を買い、悪名高き奴隷ハンターのビガー・ロング(オマー・ドージー)を連れてくると言う彼に、報酬を約束する。
ウォルターと共に現れたビガー・ロングに状況を話したギデオンは、300ドルの報酬のうち200ドルを要求される。
追われていることに気づきながら逃げるハリエットは神と話し、お告げに従い進み川を渡ろうとする。
弟ロバート(ジョセフ・リー・アンダーソン)は反対するが、神の言葉を信じるハリエットは、戻ろうとする彼に銃を向ける。
話を聞こうとしないロバートを無視したハリエットは川に入り、沈むことなく渡り切る。
それを見たロバートらも川を渡り、その様子を監視ししていたウォルターは、神と話すハリエットに従うことを考える。
ウォルターはギデオンの元に向かい、ハリエットらを見失ったことを伝えて殴られる。
リーダーとしての自分に従うよう皆に指示したハリエットは、自由に向けて出発する。
フィラデルフィア。
神の導きだと言って皆を連れて戻って来たハリエットから、家族と友人を紹介されたスティルは驚く。
マリーに夫のことなどを話したハリエットは、出会ったどの男よりも偉大だと言われ、神に選ばれる者に男はいらないと話す彼女から、神に導かれる時に感じることを訊かれる。
ハリエットは、顔を叩かれるような刺激を感じ、夢のように思える時もあると話し、夫を迎えに行くようにというお告げに従ったものの果たせず、それがきっかけに過ぎなかったとマリーに伝える。
スティルと共に、奴隷制廃止論者などで組織される”地下鉄道”の秘密の会合に参加したハリエットは、9人の救出を称えられて”車掌”として迎えられる。
やがて”奴隷を逃がすモーゼ”と言われるようになったハリエットは、賞金を懸けられる。
多くの奴隷を救出したハリエットは、レイチェルを助けようとするものの、スティルに反対される。
考えを変えずに南に向かったハリエットは、レイチェルと再会する。
子供と引き離されたレイチェルは、一緒に逃げるつもりのハリエットに、子供を置いてはいけないと言ってそれを断る。
レイチェルと子供のために祈るしかなかったハリエットは、現れたウォルターに銃を向ける。
神と話せるハリエットを信じたウォルターは、協力することを約束して、彼女と共に追っ手から逃げる。
メリーランド州、ボルチモア。
モーゼを捕らえられないギデオンや奴隷主は、”逃亡奴隷法”を成立させるために議会に圧力をかけようとする。
ギデオンは、モーゼが”ハリエット・タブマン”と名乗るミンティだとビガー・ロングから知らされて驚く。
フィラデルフィアに戻ったハリエットは、逃亡奴隷法が成立したことを知り、カナダに向かうことになる。
マリーに別れを告げようとしたハリエットは、ギデオンとビガー・ロングに痛めつけられた彼女を助けられなかった。
マリーを看取り船に乗ろうとするハリエットは、追ってきたギデオンに銃を向けられるものの、仲間に助けられる。
カナダ、セント・キャサリンズ。
レイチェルが亡くなったことを知ったハリエットは、救えなかったことを後悔する。
ニューヨーク州、オーバーン。
反奴隷制を掲げる上院議員ウィリアム・スワード(ウィリアム・L・トーマス)を紹介されたハリエットは、南からカナダ国境までの逃亡に無理があるため、戦争も覚悟する人々に反論する。
自由を諦めず救出を再開するべきだと考えるハリエットは、スティルから、今回は160キロではなく1000キロの距離なので無理だと言われるものの、決して諦めようとしなかった。
自由に生まれた者には奴隷制は理解できないと言うハリエットは、苦しみに耐えた体験を話し、皆を説得して賛同を得る。
1858年、ニューヨーク州、カナダ国境。
ベンの夢を見たハリエットは、両親の元に向かう。
ハリエットは、ウォルターに協力してもらい両親を北に向かわせようとする。
ミンティがモーゼだと知った奴隷主は、彼女の主人だったギデオンとエリザを責めて、賠償させようとする。
ハリエットはレイチェルの娘アンガーを救いだし、ギデオンの弟妹を脅す。
自分たちも被害者だと言うエリザの話を聞いた奴隷主たちは、ミンティを捕らえて火あぶりにするという意見で一致する。
ウォルターがフォックスを拘束し、甥らを救ったハリエットらは、白人の馬車を奪う。
色白の奴隷が主人の息子に扮し、ハリエットらが隠れた馬車を走らせ、捜索隊に気づかれずに逃げ延びる。
捜索隊が騙されたことに気づいたギデオンとビガー・ロングは、自分たちが見つけて賞金を独占しようとする。
ウォルターが用意した船に両親とアンガーを乗せたハリエットは、何かを感じてギデオンらに気づく。
ハリエットは、ウォルターに両親らを任せて北に向かわせ、ギデオンとビガー・ロングを阻止しようとする。
2人を森に誘い込んだハリエットは、ビガー・ロングに追い詰められ撃たれそうになるが、生け捕りだと言うギデオンが彼を射殺する。
逃げたハリエットはギデオンを迎え撃ち、銃を捨てさせて右手を銃撃する。
銃を奪ったハリエットは、跪かせたギデオンから自分のものだと言われるものの、誰の所有物でもない、自由か死かだと伝える。
ギデオンを罵倒し発砲して脅したハリエットは、人を所有するのは神の意志ではない、自分たちの時代が来ると伝えて彼の馬に乗る。
ハリエットは、家族や仲間は滅ぼせない、神は自由な未来を見せてくれた、自分は自由だとギデオンに伝えてその場を去る。
1863年、南北戦争勃発から2年、サウスカロライナ州、コンバイー川。
150人の兵士を率いるハリエットは、追われていた奴隷たちを助けるために、追っ手に銃を向ける。
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ハリエット・タブマンは、”地下鉄道”で最も有名な”車掌”であり、70人以上の奴隷を自由へと導いた。
南北戦争中は北軍のスパイとして活躍したハリエットは、”コンバイー川の襲撃”では、150人の兵士を率いて750人の奴隷を解放した。
武装隊を率いた女性として、ハリエットはアメリカ史上まれな存在である。
ハリエットは後年に再婚し、元奴隷や高齢者を支援し、女性参政権活動に人生を捧げた。
1913年3月10日、ハリエットは、愛する人々に見守られながら91歳で亡くなった。
最期の言葉は、”皆の居場所を用意する”だった。