それを覚えていないゼヴは、マックスから、忘れても大丈夫なように、全て自分が手紙に書いてあると言われる。
その夜、マックスから手紙を渡されたゼヴは、皆には疲れたと言って部屋に向かい、それを読むようにと指示される。
息子のチャールズ(ヘンリー・ツェニー)に部屋で休むと伝えたゼヴは、手紙を読んで現金などを確認し、旅をする準備を始めて施設を出る。
タクシーでペンシルベニア駅に向かったゼヴは、クリーブランド行きの列車に乗る。
母に見送られ、兄達と共に父の元に向かう少年テイラー(ピーター・ダクーニャ)と同席になったゼヴは、手紙の指示に従っていることを話す。
テイラーに自己紹介されたゼヴは、自分の名はヘブライ語で”狼”を意味すると伝える。
その後、手紙を読んだゼヴは、遂行した任務の項目を線で消していくようにというマックスの指示を確認する。
同じ頃、妻のレベッカ(リザ・バルカン)と共に施設の管理者(ダニエル・カッシュ)と話したチャールズは、姿を消した父ゼヴの捜索に全力で対処していると言われる。
度々、混乱していたゼヴは躁鬱気味だったとも言われたチャールズとレベッカは、不安が募る。
うたた寝していたゼヴは目覚め、以前のことを忘れてしまい、ルースがいないことに気づき、テイラーを曾孫のアダムだと思い混乱する。
ゼヴにゲームをやめるようにと言われたテイラーは、手紙の指示でクリーブランドに行くはずだったことを伝える。
手紙を読んだゼヴは、ルースが死んだことを知りショックを受け、その様子を見ていたテイラーは怖くなり兄達の席に向かう。
手紙を読むことを忘れないようにしたゼヴは、ペンで手首にそのことを書いておく。
クリーブランドに着いたゼヴは、テイラーの父(デュアン・マレー)から声をかけらが、混乱したことを謝罪する。
迎えに来る車を探してもらったゼヴはアダムに別れを告げ、街に向かいガンショップに寄る。
店のオーナー(ジェームズ・ケイド)に運転免許証を見せて犯罪歴などを調べられたゼヴは、殺傷能力の高いオーストリア製の拳銃”グロック”を購入し、その使い方を紙に書いてもらう。
ホテルに向かったゼヴは、マックスが手配し支払いも済んでいた部屋に宿泊することになる。
マックスからの電話を受けたゼヴは、全て指示通りにしていることを伝える。
入浴中にその場にいる理由を忘れてしまったゼヴは混乱するが、手首の文字に気づき手紙を確認する。
翌日、ある家に向かいルディ・コランダー(ブルーノ・ガンツ)に会ったゼヴは、彼に拳銃を向けて窓際に立つよう指示する。
顔を確認してドイツ人か尋ねたゼヴは、88歳だと言うコランダーから、ユダヤ人かと訊かれる。
アウシュヴィッツにいたことを尋ねるゼヴに、コランダーは、北アフリカ戦線のロンメル将軍の指揮下にいたと伝えて、その証拠を見せる。
当時はヒトラーが正しいと思い、軍人として祖国のために戦ったことを誇りに思うコランダーは、強制労働のために収容されたはずのユダヤ人に対する行為は恥ずべきことであり、関与していないとゼヴに伝える。
ホテルに戻りマックスに電話をしたゼヴは、一人目のコランダーは人違いだったと伝えて、次の目的地に向かう。
バスでカナダの国境に向かうゼヴは、マックスの手紙を読む・・・。
終戦間近に、多くのナチの親衛隊員が死んだユダヤ人の身分を盗んだという噂があり、自分が発作で倒れた後に証拠が見つかった。
収容所のブロック責任者の一人が1940年代にアメリカに移住し、”ルディ・コランダー”の名で生存していることが分かり、”サイモン・ウィーゼンタール・センター”で、当時、移民した4人のコランダーが確認された。
しかし、逮捕に至る証拠は見つからず、本名”オットー・ヴァリッシュ”を捜すよう指示されたゼヴは、彼の写真を施設でマックスに見せられたのだった。
チャールズはゼヴを捜すものの、手掛かりはつかめない。
カナダ国境で入国審査を受けたゼヴは、パスポートの期限が切れていることを指摘されるものの、入国を許可される。
老人ホームに向かったゼヴは、二人目のルディ・コランダー(ハインツ・リーフェン)に会い、寝たきりの彼がアウシュヴィッツにいたことを確認し、自分もいたことを伝える。
家族全員がそこで殺されたと伝えたゼヴは、コランダーに銃を向けるものの、気の毒だったと言われて驚く。
許せないと言うゼヴだったが、コランダーの腕の番号に気づき、彼がユダヤ人ではなく同性愛者であり、ナチスによる迫害を受けたことを知る。
コランダーに謝罪したゼヴは、その場で泣き崩れる。
部屋を出たゼヴは、リクリエーション・ルームから聴こえるピアノ演奏の”モシュコフスキー”の曲に気づき、弾いていた女性に声をかける。
今でも弾けるか試してみるようにと促されたゼヴは、”メンデルスゾーン”を弾く。
アメリカ国内に戻りアイダホ州のボイシに着いたゼヴは、”ホリデイ・イン”に宿泊する。
着替えがないためにモールに向かい、シャツなどを買ったゼヴは、店を出たところで警報が鳴ったために、警備員に呼び止められる。
商品に盗難防止タグが付いていたことを確認した警備員は、ゼヴが持っていたバッグも調べる。
拳銃を確認した警備員は、”グロック”は自分の最初の銃だと伝えてゼヴにそれを返す。
ホテルに戻り食事をしたゼヴは、ウエイトレスにコーヒーを手紙にこぼされてしまい焦る。
部屋に戻り手紙を乾かしたゼヴは、消えかけた文字を書き直す。
その後、三人目のルディ・コランダーの家に向かったゼヴは、吠える犬しかいなかったために、その場で何時間も待つ。
家主である州警察の警官ジョン・コランダー(ディーン・ノリス)が現れ、父ルディは3か月前に亡くなったと言われたゼヴは、家に招き入れられる。
吠えるジャーマン・シェパードのエヴァを怖がるゼヴに、部屋に閉じ込めると伝えたジョンは、彼に水を渡して自分はウイスキーを飲む。
ジョンに歓迎されたゼヴは、彼の父親がネオナチだったことを知り、その収集品を見せてもらう。
”水晶の夜”で掲げられた”ハーケンクロイツ”の旗や”我が闘争”の初版本、親衛隊の征服などを確認したゼヴは、水ではなくウイスキーを注いでもらう。
父は”水晶の夜”で宝石店などの窓を叩き割ったと話すジョンは、ゼヴが酷く汗をかいているために上着を脱ぐことを勧める。
上着を脱いだゼヴは、ジョンから、父とはどこの部隊で一緒だったのかを訊かれ、アウシュヴィッツだと答える。
驚くジョンは、父はそこで働きたかったと言っていたと話し、ゼヴは、コランダーがアウシュヴィッツのブロック責任者ではなく、陸軍の料理人だったとことを知る。
父は開戦時に10歳で、軍にやらされたのは窓を割ることかカツレツを作ることだと言われたゼヴは、人違いだったと伝えて帰ろうとする。
ゼヴを引き留めるジョンは腕の番号に気づき、彼がユダヤ人であることを知り態度を一変させる。
薄汚いユダヤ人だと言ってゼヴを罵るジョンは、取り乱す彼が失禁したことを知り、吠えるエヴァを部屋から出して襲わせようとする。
バックから拳銃を取り出したゼヴは、襲い掛かってきたエヴァとジョンを射殺する。
手紙の項目に三人目も別人だと書き込み、シャワーを浴びたゼヴはベッドで眠ってしまう。
目覚めたゼヴは、ジョンとエヴァの死体を確認して、手紙を読んでマックスに電話し、別人であるネオナチの男を殺してしまったことを伝える。
まだ続けたいかと訊かれたゼヴは、我々の家族を殺した残る一人を殺し、決着をつけなくてはならないとマックスに伝える。
バスでネバダ州に向かったゼヴは、通りにルースが歩いていると思い込み、道路に飛び出して倒れてしまい病院に運ばれる。
連絡を受けたチャールズは、ゼヴがリノの病院にいることを知り驚く。
治療を受けるゼヴは、チャールズからの電話を受けて、ルースが迎えに来るので心配いらないと伝える。
同室の患者の娘モリー・エリザベス(ソフィア・ウェルズ)と話したゼヴは、曾孫のためにいつも上着のポケットにキャラメルが入れてあると伝える。
上着を調べ手紙や現金を見つけたモリーは、マックスが誰かゼヴに尋ねる。
モリーに手紙を読んでもらったゼヴは、ルースが亡くなり、自分は認知症で、戦争犯罪者を見つけ出すことを指示されていることを知る。
半年前に施設に入居したゼヴが、アウシュヴィッツで一緒だったと分かったマックスは、自分以外に家族を殺した男が分かるのは彼だけだと思った。
全てのナチの残党を追跡して公判にかける考えのサイモン・ヴィーゼンタールは、オットー・ヴァリッシュは自分達で裁くしかないと考え、マックスはそれに従い、ゼヴに指示を出したのだった。
ルースが死んだ時にそれを誓ったことを知ったゼヴは、手紙を読んでくれたモリーに感謝する。
タクシーでタホ湖付近のホテルに向かったゼヴは、マックスに電話をかけて、やるべきことは分かっていると伝える。
翌朝、チェックアウトするゼヴは、現金ではなくクレジットカードで支払いを済ませる。
カードが使用されたことでゼヴの居場所を知ったチャールズは、レンタカーを借りて現地に向かう。
ある家に着いたゼヴは、4人目のルディ・コランダーの娘クリスティンから父は寝ていると言われ、話がしたいと伝えて招き入れられる。
アウシュヴィッツ関連の話なら父は話さないだろうとクリスティンから言われたゼヴは、彼女がコランダーを呼びに行く間に、その場にあったピアノを弾く。
現れたクリスティンの娘インガに挨拶したゼヴは、”ワーグナー”を弾く。
起きて来たコランダーはゼヴに話しかけ、アウシュヴィッツの生存者なら”ワーグナー”は好まないだろうと伝える。
音楽の話は別だと言うゼヴは、写真の顔は覚えていないが、その声は変わっていないとドイツ語でコランダーに伝える。
いつかは訪ねて来ると思っていたと言うコランダーは、ゼヴを外に連れて行き話をする。
正体を隠して随分になると言うコランダーは、いずれ君が来ると思っていたと伝えてゼヴを抱きしめる。
”肩に触れるなオットー”と伝えたゼヴは、それが理解できない様子のコランダーに、本名はアウシュヴィッツのブロック責任者であるオットー・ヴァリッシュだと伝えて、自分の家族を殺した男を責める。
正気ではないと言うコランダーに、ゼヴは銃を向けようとする。
そこに訪ねて来たチャールズは、父が訪ねているはずだとクリスティンに伝えて、1週間も行方不明だったことを知らせる。
テラスに案内されたチャールズは、呼びに来ていたインガの傍らで、ゼヴがコランダーに銃を向けていたために驚く。
チャールズから銃を下ろすようにと言われたゼヴは、コランダーが真実を話すまではだめだと伝える。
話さなければ家族を巻き込むと言うゼヴは、インガに銃を向ける。
脅されたコランダーは、戦時中は捕虜ではなかったと言って、自分はナチの親衛隊員だったとクリスティンに伝える。
アウシュヴィッツのブロック責任者であり、多くの人を殺したと話すコランダーは、本名は”クニベルト・シュトルム”だと言うものの、ゼヴに否定される。
オットー・ヴァリッシュだと伝えたゼヴだったが、自分がオットーだとクニベルトから言われる。
共にブロック責任者だったと話すクニベルトから、腕の番号を彫ったのは逃亡する唯一の方法だったと言われたゼヴは戸惑う。
チャールズから本当の話か訊かれたゼヴは、全てデタラメだと言って否定する。
クニベルトから、自分を”ゼヴ/狼”だと名付けたと言われたゼヴは、彼を射殺してしまう。
覚えていると呟いたオットーは、銃をこめかみに当てて引き金を引く。
事件のニュースを施設の入居者と共に見ていたマックスは、ゼヴは自分のしたことを理解していないと考えるシーリーに、彼は何をしたか分かっていたと伝える。
マックスは、ゼヴが殺した男はクニベルト・シュトルムと言う名で、ゼヴはオットー・ヴァリッシュであり、二人は自分の家族を殺したと話し涙する。
マックスの部屋のデスクの上には、ゼヴに見せた、親衛隊時代の彼自身であるオットー・ヴァリッシュの写真が置かれていた。