サブプライムは時限爆弾だと言うバーリは、反対するフィールズに、ショートの方法を必ず見つけて実行することを伝える。
大手銀行や詐欺師の集まりのような金融業界を批判し、そのことばかりを考えているバウムは、妻シンシア(マリサ・トメイ)からの電話を受け、セラピストから苦情があったと言われる。
兄を自殺で亡くし心に傷を負うバウムを心配するシンシアは、転職を考えてほしいと彼に伝える。
考えておくと言うバウムが、タクシーを取り合って争っていることを知ったシンシアは電話を切る。
ゴールドマン・サックス。
CDS/クレジット・デフォルト・スワップは、MBSが下落した際に買い手に利益が出て、何百万人もの人々がデフォルトに陥ると担当者に話すバーリは、債権が暴落した時に支払いを約束できるのかを尋ねる。
まともな質問と思えないゴールドマン・サックス側は、都度決済にすれば暴落時に支払いは可能で、上がった場合は毎月、保険料を徴収することになると伝えてバーリを納得させる。
ショートを希望する6件のMBSの目論見書をチェックしたゴールドマン・サックス側は、この債権のCDSを500万ドルで売ることをバーリに伝える。
1億ドルではどうかとバーリから提案されたゴールドマン・サックス側は、それを了承する。
バーリが席を立った後、ゴールドマン・サックスの社員は、信じられない提案に思わず笑ってしまう。
その後、ドイツ銀行に向かったバーリは、同じ話をして2億ドルの債券を買い、バンク・オブ・アメリカなどとも契約をする。
その契約をして大儲けしたというトレーダーの話を聞いたドイツ銀行のジャレド・ベネット(ライアン・ゴズリング)は、トレーダーがCDSを2億ドル売り、契約相手は他の銀行も回ったことを知る。
総額13億ドルのサイオン・キャピタルの流動性資産を使うことをバーリから知らされたフィールズは、資産の全てではないと言われる。
社として賛成できるはずのないフィールズは、暴走だと言っても確信があると答えるバーリに、破綻などあり得ないのに何百万ドルもの保険料を払はなければならないと電話で伝える。
電話を切ったバーリは、投資家達から届いた正気ではないというメッセージを確認する。
フロント・ポイント・パートナーズ。
モルガン・スタンレーの傘下でダニー・モーゼ(レイフ・スポール)、ヴィニー・ダニエル(ジェレミー・ストロング)、ポーター・コリンズ(ハミッシュ・リンクレイター)らとファンドを運営するバウムは、MBSのショートの件で連絡をしてきたジャレド・ベネットのことを知る。
その間違い電話から、指数が下がっていることを確認したバウムらは、ベネットを会うことになる。
ベネットは、同行したクリス(ジェフリー・グリフィン)に、MBSを理解させるための模型を見せるよう指示する。
政府の保証付きAAAの住宅ローン債権は、今では保証なしのトランシェ構造であり、下層のBとBBがゴミ同然となり、焦げ付き確率のパーセンテージが上がった場合、それが8%になればBBBもクズになると、ベネットはバウムらに話す。
チャンスだと言うベネットに、8%に近づきつつあることを確かめたバウムは、信じ難い考えだと思う。
クオンツ・アナリストのテッド・ジャン(スタンリー・ワン)の計算に間違いはないと言うベネットは、ダニエルからショートの方法を訊かれる。
債券のCDS契約だと言うベネットは、市場が破綻すれば10倍から20倍のリターンがあることを話す。
コリンズは無理だと言うが、銀行は手数料を稼ぐことに必死であるため、誰も気づいていない今がチャンスだとベネットは力説する。
違法だと言うモーゼに、MBSの内容はAAAが65%だが、実は95%がサブプライムだと伝えたベネットは、市場が危険だと判断した場合、銀行は売れ残った債券をCDO/債務担保証券に変えると伝える。
Bの売れ残りを山積みにしてリスクが分散されたように見せかけ、格付け機関は調べもせずにAAAをつける・・・。
国債並みの信用度があるCDOの価値はゼロになると言うベネットに、昨年のMBSの販売は5000億ドルだと伝えたモーゼは、格付け機関や政府が気づかないことはあり得ないと指摘する。
その通りだと答えるベネットは、ドイツ銀行もCDOを買っていると伝えてもう一度、模型を崩し、市場は必ず崩壊すると言い切る。
ベネットの提案について話し合ったバウムは、欲深い銀行を批判した彼の考えは正しいと言って、信用しようとしないダニエルに、調査をはすると伝えて皆にそれを実行させる。
JPモルガン・チェース。
ブラウンフィールド・ファンドのチャーリー・ゲラー(ジョン・マガロ)とジェイミー・シプリー(フィン・ウィットロック)は、現れた面会予定者の助手とロビーで話す。
個人投資家だと話す二人は、ハイレベルな取引が必要なISDAマスター契約を取得する目的だったのだが、資本要件の15億ドルを満たしていないと言われ、それを知らなかったために恥をかく。
テーブルに残されていた目論見書の、住宅市場を巨大バブルだと指摘する箇所が気になったゲラーは、MBSのCDSで10倍のリターン、住宅市場破綻の部分に注目する。
ガレージで開業した二人は、オプションが少額で買えることを知り、購入代金だけの投資で利益は無限大になると考え、数年で資産11万ドルが3000万ドルになっていた。
シプリーは、ISDAマスター契約がなければこれ以上の発展がないと考え、ゲラーは、JPモルガン・チェースの元トレーダー、ベン・リカート(ブラッド・ピット)に連絡する。
ウォール街を熟知しているリカートは、世界は必ず崩壊すると言う妄想を抱いていた。
マイアミ。
現地の住宅事情とそのローン支払い状況を調べたモーゼとコリンズは、ある住宅地に向い、100軒中、4軒しか人が住んでいない実情に驚く。
考えを変えないため、フィールズから批判されたバーリは、運用資金の総額13億ドルと年間保険料の8000~9000万ドルの負担は大きいが、間違っていないと伝える。
資金の5億5500万ドルは保険料だけで6年で消えると言われたバーリは、2007年には変動金利となりデフォルトが急増するとフィールズに伝える。
投資家達がパニックを起こした場合の払い戻し金額を訊かれたバーリは、3億200万ドルだと答え、誰も撤退しないと言って、2007年にはCDSが大きなリターンを生むと、投資家にはメールで伝えてあると話す。
投資家は金を引き揚げると言うフィールズに、資本が減少し過ぎた場合はCDSの契約が無効になり、銀行に担保を取られると伝えたバーリは、自分の金を返すよう要求される。
モーゼとコリンズと共にマイアミの不動産業者から話を聞いたバウムは、住宅の値段が高騰していることをし知り、ローンのブローカー(マックス・グリーンフィールド/ビリー・マグヌッセン)に会う。
毎月60件のローンを組み、今ではボートも所有しているとブローカーから言われたバウムらは、顧客の殆どが変動金利契約で、審査を通らない者などいないことを知る。
借り手がローンの内容を理解しているかをバウムから訊かれたブローカーは、客はバカばかりだと言って、ストリッパーでも、金があればサインするだけだと伝える。
ストリッパーを紹介してもらったバウムは、家5軒とコンドミニアムのローンまで抱える彼女に、大変なことになると言って警告する。
完全なバブル状態だと判断したバウムは、それをニューヨークのダニエルに伝えて、格付けBBBのCDSを5000万ドル買うよう指示する。
本気かとダニエルから訊かれたバウムは、金融制度に反撃すると伝えてマイアミを発つ。
指示に従ったダニエルは、ベネットに連絡してCDSを買うことを伝え、騙していないことを確認する。
自分を信じたダニエルから、BBBの債権のCDSを5000万ドル買うと言われたベネットは興奮する。
2006年5月。
リカートに連絡したゲラーは、送った資料をチェックした彼から、ベネットの指摘は正しいので、ショートにはCDOが最適だと言われる。
リスクの小さいBBとBBBのショートなら25倍になるとゲラーから言われたリカートは、ISDAマスター契約があればショートが可能だと考える彼から、協力だけしてほしいと頼まれる。
金融業界の大きなミスを見逃す手はないと言われたリカートは、ドイツ銀行とベアー・スターンズに電話をするようゲラーとシプリーに指示する。
ニューヨークに現れたリカートを迎えたゲラーとシプリーは、ドイツ銀行と契約を交わす。
2007年1月11日。
MBSのデフォルトが100万件に達する見込みとなるが、債券価格は上昇し、バウムは追加担保をベネットから要求される。
モルガン・スタンレーのキャシー・タオ(アデペロ・オデュイエ)とリスク審査担当が、CDSの件で揉めていることを知らされたバウムは、彼女らが、保険料を払うのは正気ではないと考えているとダニエルから言われる。
リスク審査担当を追い払うようダニエルに指示したバウムは、スタンダード&プアーズに向かう。
ダニエルと共にスタンダード&プアーズのジョージア・ヘイル(メリッサ・レオ)に会ったバウムは、サブプライムが危機に陥っているにも拘らず債券ランクを下げない理由を尋ねる。
無審査ローンなのに不安視していないと答えるヘイルに、銀行の要求を断り、格付けをAAAにしなかったことがあるのかと尋ねたバウムは、断ればムーディーズに仕事を取られるため、それが業界の常識だと言われる。
不正だとバウムから言われたヘイルは、ボスが判断したことだと伝え、違法行為だと指摘されたため、CDSの保有額を訪ねて、偽善者だと伝える。
資金運用率はマイナス11.3%になり、バーリは追い詰められる。
リカートと電話で話したゲラーは、銀行がCDOの価値を知らないか、隠している泥棒のようなものだと考え、CDSを買い増ししようとしてシプリーを驚かせる。
モーゼらは、担保を要求するベネットを罵倒し、ダニエルは、デフォルトが増加しているにも拘らず債券の価格が上昇している件についての説明を求める。
銀行は愚かであり詐欺師のようなものだと言ったはずだと答えるベネットは、そのシステムを皆が信じていると伝える。
ゲラーとシプリーは、ラスベガスに行くようリカートから指示される。
バウムらも同じことをベネットから言われ、サブプライム業界の者が集まる証券化フォーラムがあることを知らされる。
ラスベガス、証券化フォーラム。
リカートは、ベアー・スターンズの者と会うことをゲラーとシプリーに伝える。
モーゼ、ダニエル、コリンズを従えたバウムは、5年前は負け犬の集まりだったが、昨年の収益は5000億ドルだと話し、ベネットと合流する。
ショートの件は秘密にすることをベネットと確認したバウムらは、フォーラムに参加する。
質疑応答の場ではないにも拘らず発言したバウムは、サブプライムの損失が5%で止まるという発表が確かなものかを問う。
その可能性は大だと言われたバウムはそれを否定し、確率はゼロだと言いながらシンシアからの電話に出て会場を去る。
射撃場でストレスを解消したゲラーとシプリーは、デフォルトが増加している状況を楽観視しているトレーダー達の話を聞く。
CDSを買いまくると言うゲラーを落ち着かせたシプリーは、兄の元恋人である証券取引委員会のイーヴィ(カレン・ギラン)から話を聞き、予算削減で調査もしていないと言われる。
投資銀行に転職したいために自費で来ていたイーヴィは、大銀行を規制するのが証券取引委員会の仕事ではないのかとシプリーから言われるものの、そんな話は上の空で、ゴールドマン・サックスの社員に声をかけられて彼の元に向かう。
運用率はマイナス19.7%になり、債券が下がらないために、自分達が詐欺的なシステムの中にいると言って嘆くバーリは、自分が間違っている可能性もあると部下から指摘される。
CDOのAAトランシェに銀行も乗ってくると考えたゲラーは、AAAが95%というのは誤りで実際には25%、または0%もあり、底辺で何か起きれば上層にも影響するため、AAはB評価が妥当だと話す。
ゲラーを信じたシプリーから、AAの利益は200倍であり、格付けは額面通りで安く入手できると言われたリカートは、銀行は二人の考えがまともではないと思いながら、いくらでも売るだろうと伝える。
思惑通りになり浮かれるゲラーとシプリーに対し、自分達が勝てば、人々は家や仕事、老後の資金や年金も失うことを伝えたリカートは、二人の態度を批判する。
CDOマネージャーのウィン・チャウ(バイロン・マン)をベネットから紹介されたバウムは、CDOが安全な商品だと言う彼から、合成CDOの説明をされる。
サブプライム・ローンが5000万ドルある場合の、合成CDOとCDSの合計をチャウに訊き10億ドルだと知らされたバウムは、世界経済の破綻を確信する。
チャウから取引を持ち掛けられたバウムは嫌みを言って席を立ち、彼の債権をショートすると言って5億ドルの追加をダニエルらに指示する。
ニューヨークの自宅に戻ったバウムはシンシアと話し、金融制度を批判してきたものの、自分も同類だったために兄も救えなかったと言って苦悩する。
市場が正常に機能していないため強硬手段に訴えたバーリは、MBS市場が不当であると信じ資金の引き揚げを制限することを決めたというメールを投資家達に送る。
直後に大量の返信と電話があり、バーリは、フィールズからは訴えると脅される。
2007年4月2日。
サブプライムの大手の貸手が破産宣告をしたことを知ったゲラーとシプリーは驚く。
モルガン・スタンレーのタオからCDSを売る圧力をかけられたバウムは、それを断る。
ベアー・スターンズの二つのヘッジファンドが破綻する。
ゴールドマン・サックスのコンピュータはダウンし、自分のCDOに影響がないと言われたバーリは、その理由を追及する。
ゲラーとシプリーも何も変化しないことを疑問に思い、ウォール・ストリート・ジャーナルに向かう。
銀行が、クズのCDOを売り切るまで値下げしないのは犯罪行為だと記者に話したゲラーとシプリーだったが、誰も知らない二人のネタなど信じてもらえないとと言われたため、その場を去る。
思い通りになり、全世界を征服したとバウムに電話で伝えたベネットは、モルガン・スタンレーの債券部が大損失を出したことを知らせる。
困惑するゴールドマン・サックス側から、CDSの価格の件で連絡を受けたバーリは、ようやく正当な価格を提示する気になったのかと言って相手を皮肉る。
態度を急変したタオに呼ばれたバウムは、債券部が2年前に買った、20億ドル分のBBBのCDSの保険料が収益を食ったため、AとAAのCDSを大量に販売し支払い債務を負ったと言われる。
自分が”賭け”をしていた相手がモルガン・スタンレーで、つまり自分自身だったことに気づいたバウムは、損失が150億ドルだと言うことを知らされて驚く。
傘下である自分達も責任は免れないと言うスタッフと話し合ったバウムは、投資家の利益を確保し自分達のボーナスも出ると言うダニエルから、CDSを売ることを提案される。
待てば3倍にはなるとバウムから言われたダニエルは、破綻した場合の対処を問う。
モルガン・スタンレーのことは忘れるようにと伝えたバウムは、銀行が苦しみ抜くのを確認し、自分が売れと言うまでは待つようにという考えを変えない。
ベアー・スターンズ自身の破綻の危険性があり、CDSの80%を買っているゲラーとシプリーは焦るが、リカートがつかまらない。
イギリス。
パブからゲラーとシプリーに連絡したリカートは、2億ドル分を売っていることを知らせて交渉を始める。
13億ドルのCDSを売ったバーリは、フィールズに4億8900万ドルの運用益を送金する。
4700万ドルの小切手を受け取ったベネットは勝ち誇る。
UBSに8000万ドルで売れたことをゲラーとシプリーに知らせたリカートは、なぜ自分達に協力したかを訊かれ、金持ちになりたいだろうと伝える。
2008年3月14日。
投資家のミラーとバウムの討論会が行われ、その後にグリーンスパンが講演する予定だった。
ベアー・スターンズの株は所持し買い増すとまで言うミラーに対し、MBSを詐欺と愚行の原爆に変えて世界の経済を破壊しているウォール街をバウムは批判する。
詐欺が卑劣だという意味ではなく、有史以来、詐欺が成功したためしはないと言うバウムは、達成感や優越感も感じない、悲しいことが起きているだけだと話す。
世間を見下す銀行家や投資家の間違いを犯し、一般人がそのつけを払うことになると言って、バウムはスピーチを止める。
ウォール街の歴史で、犯罪以外で投資銀行が破綻したことはない言うミラーは、ベアー・スターンズは生き残ると反論する。
その間もベアー・スターンズの株価下落は止らず、それを知らされたミラーは買う考えを伝える。
バウムは警告を発し、会場の参加者の殆どは、グリーンスパンの講演を聞かずに席を立つ。
2008年9月15日。
ベアー・スターンズ、カントリーワイド・フィナンシャルに続きリーマン・ブラザーズが破綻し、解雇された社員のIDを譲り受けたゲラーとシプリーはビル内に入る。
バウムに電話をしたダニエルは、モルガン・スタンレーの株価が23ドル10セントまで下落したことを伝えて、CDSを売るよう説得する。
ファンドを閉鎖することを決めたバーリは、運用益プラス489%、26億9000万ドルとボードに記入してオフィスを去る。
ゲラーとシプリーは、誰もいないリーマン・ブラザーズの社内を見回す。
救済を受ける銀行のことを考えるバウムは、今売れば10億ドルになり、自分の取り分は2億ドルだとダニエルから言われるが、売ってしまえば銀行と同じだと伝える。
自分達は犯罪者ではなく国民を騙してもいないと言われたバウムは、銀行に天罰を下すべきだと主張するダニエルの意見を聞き入れて、全て売るよう指示する。
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事態が鎮静化した時には、5兆ドル分の年金と不動産価格や401K/確定拠出年金、預金や債券が消失していた。
800万人が失業して600万人が家を失い、被害は世界に広がった。
その後、マーク・バウムは寛大になり、言動や態度も穏やかになったと妻シンシアは語る。
モーゼ、ダニエル、コリンズは、現在でもマンハッタンでファンドを運営し、近くには、お気に入りのレストラン”Nobu”がある。
格付け機関を訴えようとしたゲラーとシプリーだったが、相手にされなかった。
シプリーはファンドを運営し、ゲラーはニューヨークを離れノースカロライナ州のシャーロットに移り住み、リカートは家族と共に広大な果樹園に住んでいる。
政府に連絡したマイケル・バーリは、金融崩壊に気づいた理由を教えようとしたが返事はなく、4回の監査とFBIの尋問も受けた。
今では、商品を”水”に絞り小さな投資を続けている。
2015年、大手銀行はハイリスクなデリバティブ商品を売り出すが、ブルームバーグは、名前を変えたCDOだと指摘する。