それを見ていたグランヴィルは、正に”ヒステリア”(ヒステリー)だということでダリンプルと意見が一致する。
この1年でいくつもの病院に勤め多くの経験をしていることを伝えたグランヴィルは、子宮の過活動が原因と思われる女性の”ヒステリア”についてをダリンプルに聞かれる。
症状が悪化すれば施設行きだが、軽い場合の患者は後を絶たず手が足りないことをグランヴィルに伝えたダリンプルは、住み込みの助手として彼を雇うことにする。
ダリンプルは、亡き妻の後の家のことを任せている、次女エミリー(フェリシティ・ジョーンズ)をグランヴィルに紹介する。
骨相学を学ぶ科学者でもあるエミリーは、グランヴィルの頭蓋骨に触れて将来の名声を保証する。
雇われたことをエドモンドに伝えたグランヴィルは、エミリーの素晴らしさを語る。
翌日からグランヴィルは、女性患者の性器をマッサージするダリンプルの治療に付き添う。
夕食となり、遅れて来たシャーロットを、ダリンプルはグランヴィルに改めて紹介し、姉が社会福祉施設の責任者であることをエミリーが彼に知らせる。
ところが、たちまちダリンプルとシャーロットの言い合いが始まり、戸惑うグランヴィルはエミリーと食事を楽しもうとする。
シャーロットは援助だけを求め、結婚する気もないので持参金を渡してほしいと父に伝える。
エミリーが結婚すればいいとシャーロットに言われたダリンプルは世間体が良くないと反論し、二人の意見は全くかみ合わず、彼女は席を外してしまう。
食事後にグランヴィルは、シャーロットが優しくて非常に優秀だとエミリーから言われ、今後は彼女を尊敬することを伝える。
翌朝グランヴィルは、元娼婦でシャーロットの紹介でメイドとなったモリー(シェリダン・スミス)に誘惑されるものの、それを断りダリンプルから診察を頼まれる。
その後、若くて美男子のグランヴィルの診察は評判となり、予約が殺到する。
マサージのし過ぎで手の痛みを感じ始めたグランヴィルは、自分の年令も気になるダリンプルから、パートナーになることを提案される。
後を継いでほしいとも言われたグランヴィルは、エミリーとの結婚も口にするダリンプルの言葉を聞き戸惑う。
その後、グランヴィルとエミリーは親交を深める。
その日の仕事を終えたグランヴィルは、足を骨折した友人ファニー(アシュレー・ジェンセン)を連れて来たシャーロットのために治療をする。
なぜ父親に反抗するかを聞かれたシャーロットは、くだらない仕事をして福祉に興味を示さないことを批判する。
女性の半数が悩む、ヒステリア解消のための立派な仕事だとグランヴィルは反論する。
翌日、グランヴィルはエミリーにプロポーズし、彼女はそれを受け入れる。
ダリンプルに呼ばれたグランヴィルは、労働者がクリニックに出入りすることを嫌う彼から、シャーロットの友人を治療したことを注意される。
医師の誓いに従っていると言うグランヴィルだったが、将来については理解し合えたはずだとダリンプルに意見される。
ついに腱鞘炎になってしまったグランヴィルは、エドモンドに悩みを伝える。
自転車に乗るシャーロットと通りでぶつかってしまったグランヴィルは、マッサージ療法を批判的に見る彼女から、手が治らないことで皮肉を言われてしまう。
施設を訪ねたグランヴィルは、驚くシャーロットと共にファニーのギブスを外す。
シャーロットの夢や熱意そして献身に感心したグランヴィルだったが、月に一度の施設での検診を頼まれ、複雑な理由で断らざるを得ないと答える。
父親が障害になっていることを察したシャーロットは、それが理由で往診に来たと言いながら、その場を去ろうとするグランヴィルに愚かな生活に戻るよう伝える。
そんな時グランヴィルは、炎症のため治療前に手を冷やしていたのだが、そのままマッサージを始めて患者のカステラーリ夫人(キム・クリズウェル)に注意されてしまい、左手でそれを行ってしまう。
その事がきっかけとなり評判が落ちたことをダリンプルに批判されたグランヴィルは、即刻、解雇されてしまう。
エミリーに謝罪して別れを告げたグランヴィルは、エドモンドの元に向い自分の不甲斐なさを嘆く。
グランヴィルは、エドモンドの発明品”電動羽たたき”の振動が、痛めている手に程よい快感を感じさせてくれることに気づき、それをマッサージ器具に改良することを考える。
それが成功すれば信頼回復につながり、エミリーとの関係も取り戻せるとエドモンドに言われたグランヴィルは、テストするためにモリーを呼ぶ。
テストは始まり、最高の快感を味わったモリーは満足する。
その話をダリンプルにしたグランヴィルとエドモンドは、それを信じないダリンプルに、これは革命であり成功すれば偉業となり名声と富を手に入れられると力説する。
一度だけ試すことでそれを許すことにしたダリンプルは、お詫びということでカステラーリ夫人にそれを体験してもらう。
テストは大成功し、患者は以前にも増して殺到するようになる。
グランヴィルはダリンプルの信頼を回復し、エミリーとの婚約パーティーが開かれる。
シャーロットもそれに出席するために会場に向かったのだが、融資の支払いを求める取り立て屋が現れ、その場にいたファニーが痛めつけられ施設が閉鎖されてしまう。
正装して現れたシャーロットに驚いたグランヴィルは、いつものペースの彼女から結婚論と女の一生などを語られる。
シャーロットは、エドモンドの両親(マルコム・レニー/ジェマ・ジョーンズ)をグランヴィルに紹介される。
ダリンプルと共に遅れて到着したエミリーは、セント・ジョン=スミス夫人に会場内を案内される。
シャーロットは融資を受けた夫妻に声をかけ、担保の母親のイヤリングを手放すかもしれないことを伝える。
ダリンプルの挨拶が始まるが、そこに取り立て屋に痛めつけられたファニーが現れる。
融資の相手に期限は明日だと確認したシャーロットだったが、約束手形を買い取ったダリンプルが施設を閉鎖したことを知らされる。
父親を悪党だと言うシャーロットは、怪我人を無視してパーティーを続けようとすることに驚き、ファニーを連行しようとする警官を殴ってしまう。
シャーロットは逮捕されて暴行罪で訴えられ、彼女をヒステリアだと言って証言することを、グランヴィルはダリンプルに半ば強要される。
それによりシャーロットが施設に入れられることを承知しているダリンプルは、刑務所よりもましだと伝えてグランヴィルを納得させる。
裁判は始まり、初犯でないシャーロットは検察官スクワイヤーズ(トビアス・メンジーズ)にその件などを追及されるが、女性の人権問題などを説き声を荒げて反論する。
スクワイヤーズはそれをヒステリアと断定し、グランヴィルを証人として召喚する。
専門家としてシャーロットの行動をどう判断するかを問われたグランヴィルは、不安定で短気、そして攻撃的であり時に腹立たしいと証言する。
以上の発言からスクワイヤーズは、シャーロットを精神障害犯罪者施設に送ることを裁判長に求め、彼女の子宮摘出を主張する。
発言を続けるグランヴィルは、シャーロットは心が広く情が深い献身的な真のクリスチャンだと語る。
スクワイヤーズに前の証言と違うと指摘されたグランヴィルは、ヒステリアなど存在しないと話す。
女性は、一生を家事に費やしているにも拘らず、体裁を気にした愚かな夫が妻をまともに愛せないことが問題だと、グランヴィルはシャーロットに言われた言葉を使い意見する。
警官は軽傷であり、投獄されたシャーロットが肉体を傷つけられれば、イングランドの非凡で献身的な女性は失われるとグランヴィルは付け加える。
今はシャーロットのような存在は特別であるが、やがて彼女のような女性が新しい時代を築くと語るグランヴィルに、傍聴席の人々は拍手を贈る。
今回の件は、どう判断するかが難しい問題であると述べる裁判長は、シャーロットを裁くのなら、自分の妻を含めほとんどの女性がそれに当てはまると語り、彼女の警官への暴行行為に対して30日の懲役を言い渡す。
退廷させられるシャーロットに声をかけたグランヴィルは、彼女から”子宮の恩人”だと言われ、転職を考えなければならないと伝える。
名医だと認めるシャーロットから医者を辞めないよう言われたグランヴィルは、歴史に残ることをしたと賛美されながら、彼女に魅力を感じる。
その後、考えを巡らせたグランヴィルは、エミリーに将来を見てもらおうとする。
骨相学は諦めたと言うエミリーは、父に従っていただけだったことにシャーロットの裁判で気づき、自分らしく生きていなかったことを語る。
自分への思いもそうだったことを知ったグランヴィルは、エミリーと友好的に別れる。
エドモンドに会ったグランヴィルは、新開発の”携帯電動マッサージ器”の特許使用料の取り分を受け取る。
それが、一般の会社から家庭に販売され財産を築いたことをエドモンドから知らされたグランヴィルは、ある考えが浮かぶ。
クリスマス・イヴ。
出所したシャーロットを迎えに行ったグランヴィルは、彼女にコートを贈り特許料を渡す。
まだ夢は変わっていないかを確認したグランヴィルは、シャーロットからクリニックが必要だと言われる。
シャーロットの夢が広がるばかりだと知ったグランヴィルは、彼女に指輪を渡し愛を告げてプロポーズする。
シャーロットはそれを受け入れ、二人はその場でキスし愛を確かめ合う。
ダリンプルはシャーロットがグランヴィルと結婚するとは思わなかったことを、患者だった再婚相手の夫人に伝える。
そして、エドモンドの新商品はヴィクトリア女王に献上される。
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1952年、”ヒステリア”は医学用語から外され、携帯マッサージ器は健康用品として販売された。
バイブレーターは、現在、最も一般的な性具である。