1998年に発表された、ホーマー・ヒッカムの著書”Rocket Boys”の映画化。 炭鉱しかない田舎町の高校生がアメリカの宇宙開発の黎明期に独自でロケットを開発しようと奮闘する姿を描く、監督ジョー・ジョンストン、主演ジェイク・ギレンホール、クリス・クーパー、クリス・オーウェン、ローラ・ダーン他共演による感動のヒューマン・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョー・ジョンストン
製作総指揮
ピーター・クレイマー
マーク・スターンバーグ
製作
チャールズ・ゴードン
ラリー・J・フランコ
原作:ホーマー・ヒッカム“Rocket Boys”
脚本
ルイス・コリック
ホーマー・ヒッカム
撮影:フレッド・マーフィ
編集:ロバート・ダルヴァ
音楽:マーク・アイシャム
出演
ジェイク・ギレンホール:ホーマー・ヒッカム
クリス・クーパー:ジョン・ヒッカム
クリス・オーウェン:クエティン・ウィルソン
ローラ・ダーン:フリーダ・J・ライリー
ウィリアム・リー・スコット:ロイ・リー・クーク
チャド・リンドバーグ:シャーマン・オデル
ナタリー・キャナデイ:エルシー・ヒッカム
クリス・エリス:ジョン・ターナー
エリヤ・バスキン:アイク・バイコフスキー
ランディ・ストリップリング:レオン・ボールデン
スコット・マイルズ:ジム・ヒッカム
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1999年製作 107分
公開
北米:1999年2月19日
日本:2000年2月26日
製作費 $25,000,000
北米興行収入 $32,481,830
世界 $34,675,800
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1957年10月4日。
ソ連の人類初の人工衛星・スプートニクが打ち上げに成功したニュースは、アメリカ国民に衝撃を与える。
10月5日、ウェストヴァージニア州、コールウッド。
炭鉱しかない田舎町でもこれは大きな話題となり、”ビッグ・クリーク高校”の科学の教師フリーダ・J・ライリー(ローラ・ダーン)は、ホーマー・ヒッカム(ジェイク・ギレンホール)らに、人類にとっての偉業だと説明する。
しかし、数学を得意としているクエティン・ウィルソン(クリス・オーウェン)以外の生徒達は、それほど興味を持たなかった。
スプートニクは、コールウッドでも肉眼で観測することができた。
ライリーの話も上の空だったホーマーは、10月の夜空を横切るスプートニクを見て感激して興味を抱き、ロケットを作る決心をする。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
1957年10月4日、ソ連の人類初の人工衛星・スプートニクが打ち上げは、アメリカ国民に衝撃を与える。
地元の高校生ホーマー・ヒッカムは、10月の夜空を横切るスプートニクを見て感動し、独自でロケットを開発する決意をする。
科学教師ライリーに、科学フェアで成果を挙げれば、大学の奨学金を得られると励まされたホーマーは、親友のロイ・リーやシャーマンと共に、失敗を繰り返しながらも実験を続ける。
知識や技術力の不足を、数学を得意とするなクエティンや、炭鉱の機械室職員らの協力で克服し、ロケットらしきものを完成させ、4人は打ち上げテストを実行する。
しかし、それが炭鉱の敷地内に落下してしまい、ホーマーは不仲の父ジョンから、頭ごなしに非難され、ロケットの資材を捨てられてしまう。
それでも諦めないホーマーらは、8マイルも先のボタ山を打ち上げ基地にして、失敗を繰り返しながら、ついに、ロケットの垂直発射に成功する。
喜ぶ4人だったが、同時期に起きた山火事を、ロケットが原因だとされて、警察に補導されてしまう。
そして4人は、仕方なく夢を諦めようとするのだが・・・。
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世界最先端のハイテクノロジーとは全く無縁の炭鉱の田舎町の高校生が、”スプートニク・ショック”に刺激され、町の人々に支えられながら夢を叶えるという感動のストーリー。
実話に基づいた、このサクセスストーリーは、日本では中学の英語の教科書にも掲載されている。
原題の「October Sky」は、原作”Rocket Boys”のアナグラムであり、主人公が偉業を達成するきっかけとなる、1957年10月4日の”スプートニク・ショック”の、衝撃を伝える見事なタイトルとなっているのだが、安っぽい邦題はいかにも貧弱だ。
まだ未成熟な少年が、一つの目標を目指し、父との確執などを乗り越えて夢を実現して、人間的にも成長していく姿が実に清々しく描かれている。
殆どが、炭鉱夫になるしか道のない貧しい町の人々が、一丸となって少年達に協力し、多くの人の力で夢を実現させる姿などは、アメリカ人の開拓者魂を見事に映し出した、ジョー・ジョンストンの演出も見ものだ。
エンディングの登場人物達の実写フィルムについて。
貧しい田舎町の少年達が残した映像のはずなのだが、彼らが撮影機材を持っていたのだとすると、いかに当時のアメリカ社会が豊かであったかがよくわかる。
撮影当時まだ17歳であった主演のジェイク・ギレンホールの、純朴な少年役は好感度抜群であり、彼は本作をきっかけに子役から演技派へとして飛躍することになる。
炭鉱の責任者としての立場から息子には厳しく接し、また理解を示さない父親役を、クリス・クーパーは見事に演じ、この年は「アメリカン・ビューティー」(1999)の好演もあり、彼自身も充実した年となった。
4人の少年が、偉業を達成するきっかけをつくる、ホジキンリンパ腫の疾患により31歳の若さで亡くなったフリーダ・J・ライリーを演じたローラ・ダーンの、力強い演技も注目だ。
夢を諦めようとする主人公を、あえて突き放す強い意志を示す姿は印象に残る。
無知な少年達に知性で協力するクエィン・ウィルソン役のクリス・オーウェン、いつまでも主人公を見捨てずに協力する二人の友人、ロイ・リー・クーク役のウィリアム・リー・スコットとチャド・リンドバーグなど実力のある若手俳優、息子を支える主人公の母ナタリー・キャナデイ、兄のスコット・マイルズ、校長のクリス・エリス、機械室の職人エリヤ・バスキンとランディ・ストリップリング等が共演している。