キャロリンと共に帰宅したレスターは、隣人が引っ越してきたことに気づく。
BGMをかけて家族で食事をしたレスターだったが、ジェーンとはまともな会話が成り立たない。
会社でのブラッドとの出来事を話したレスターは、ジェーンから、嫌なことがあったからという理由で、何か月も話さなかった自分に愚痴をこぼさないでほしいと言われる。
席を立ちキッチンに向かったジェーンに、話をしなかったことを謝罪したレスターは、自分にも話しかけてほしいと伝える。
自分のせいにされたジェーンは反論し、レスターから、昔は仲のいい友達だったと言われても納得できない。
そんな二人の様子を、隣に越してきた海兵隊のフランク・フィッツ大佐(クリス・クーパー)の一人息子、リッキー(ウェス・ベントリー)が撮影していた。
人生に何の満足感も得られないレスターは、かつての幸せな日々を思い起こすのだった。
翌日キャロリンは、ライバルである不動産業界のカリスマ的存在バディ・ケイン(ピーター・ギャラガー)を意識しながら、物権を今日中に売ると決めてオープン・ハウスの準備を始める。
何組もの訪問客に対応したキャロリンだったが、物権を売ることはできなかった。
その夜、キャロリンに誘われたレスターは、チアリーダーとして高校のバスケットボールの試合に出場するジェーンを見に行くことに付き合わされる。
気が進まないまま会場に向かったレスターは、ジェーンの友人である美少女アンジェラ・ヘイズ(ミーナ・スヴァーリ)に心奪われてしまう。
直ぐに帰る気だったレスターは、試合後にジェーンに声をかけてアンジェラを紹介される。
娘の友人は自分の友人だと言うレスターの態度を気味悪く思うジェーンだったが、アンジェラはキュートだと思い、彼とキャロリンはセックスレスだと考える。
帰宅後にベッドに入ったレスターは、20年ぶりに目覚めたような気分になり、アンジェラを想いながら眠れぬ夜を過ごす。
アンジェラとピザを食べて送ってもらったジェーンは、友人をなめ回すように見ていた父に呆れたことを話す。
全ての男を虜にできると考えている自信過剰なアンジャラは、そんなレスターの気持ちを理解する。
車を降りたジェーンは、リッキーが自分を撮影していることに気づく。
リッキーをヘンタイ呼ばわりして家に入ったジェーンだったが、彼が気になる。
翌朝、ジェーンがシャワーを浴びている間に、手帳を見てアンジェラの電話番号を知ったレスターは、彼女に電話をかける。
何も話さないレスターは、ジェーンが浴室から出てきたためにその場を去る。
アンジェラからの電話に出たジェーンは、コールバックしたと言われ、手帳が見られていることに気づき、レスターの仕業だと思う。
母バーバラ(アリソン・ジャニー)に朝食にはベーコンは要らないと伝えたリッキーは、誰かが訪ねて来たことに気づく。
対応したフィッツは、挨拶に来た隣人の両ジムがゲイだと気づく。
リッキーを車で学校に送る保守的なフィッツは、ゲイを軽蔑する。
麻薬の治療歴のあるリッキーはフィッツに厳しく躾けられていたが、そんな父親に対しては優等生を装い、裏でマリファナの密売をしていた。
学校でリッキーに気づいたジェーンは、彼とはミドル・スクールで一緒だったアンジェラから、おかしなことばかり言う少年で、突然、姿を消し、親が精神科に入院させたらしいという話を聞く。
アンジェラは、リッキーのことを気にするジェーンが、彼に惹かれていることを知る。
ジェーンに声をかけたリッキーは自己紹介して、盗み撮りしていた気味の悪い奴だと言われるものの、興味を持っただけだと伝える。
リッキーは、”サイコ”に興味はないと言うジェーンに、好奇心を持っただけだと伝える。
その場を去ったリッキーはおかしな奴だと言うアンジェラは、彼は自分を知り自信を持っていると話すジェーンの考えが理解できない。
アンジェラは、リッキーが自分を一度も見なかったことも不思議に思う。
キャロリンに付き合わされてパーティーに出席したレスターは、バディを紹介され、妻が望むように振る舞うと言って、彼女にキスしてバーに向かう。
ウェイターのバイトをしていたリッキーから声をかけられ、隣人だと言われて挨拶されたレスターはマリファナを勧められる。
バディと話すほろ酔い気分のキャロリンは、セールスについてのこつを教えてほしいと伝える。
キャロリンは、バディがそれをOKしてくれたために驚く。
外でマリファナを吸うレスターとリッキーは、意気投合する。
現れた上司からサボっていることを注意されたリッキーは、バイトを辞めてしまう。
驚いたレスターは、リッキーが、父親の手前バイトをしていただけだということを知る。
レスターを呼びに来たキャロリンはリッキーを紹介され、ジェーンと同じ高校に通っていると言われる。
リッキーに挨拶したキャロリンは、レスターに帰ることを伝える。
楽しい時間を過ごせたためリッキーに感謝したレスターは、いつでも声をかけてくださいと言われてその場を去る。
帰宅したレスターは、遊びに来ていたアンジェラから声をかけられ、彼女とキスする幻想を抱く。
その場に現れたキャロリンに、ジェーンがアンジェラは泊っていくと伝えたため、レスターは動揺する。
ジェーンの部屋の中を気にするレスターは、父は気味が悪いと言うジェーンに対して、アンジェラが、”キュートなレスターが逞しくなれば寝てもいい”と言う話を盗み聞きしてしまう。
物音がしたと言うアンジェラの言葉で、レスターはその場から逃げる。
窓の外を確認したアンジェラは、庭の”Jane”という火文字に気づき、それをジェーンに伝える。
リッキーが自分を崇めているとアンジェラから言われたジェーンは、再び彼に盗撮されていることに気づき、どこか普通でない陰のあるリッキーに次第に惹かれていく。
ガレージに向かったレスターは、しまってあったダンベルを取り出し、全裸になり窓に体を映し、体系を確認して鍛え始める。
リッキーは、その様子も撮影する。
そこにフィッツが現れ、半年に一度の検査のための尿サンプルのための容器を渡されたリッキーは、今トイレに行ったばかりなので明朝でいいか尋ねる。
いいと言われたリッキーは、父が去った後で冷凍してあった他人の尿を用意する。
自分の家にアンジェラがいると思うと、レスターは眠ることができない。
ベッドの中で自慰行為をしているレスターに気づいたキャロリンは、汚らわしいと言って彼を批判する。
開き直ったレスターは、こんな生活は耐えられないと言うキャロリンと口論になり、自分は変わったと伝えて、彼女が離婚話をしても怯むことなくやり返す。
翌日、何でもできる気分になったレスターは、隣人の両ジムと共にジョギングを楽しむ。
その様子を見たフィッツは、ゲイ・カップルと仲良く楽しそうにジョギングするレスターに不信感を抱く。
その場にいたリッキーに声をかけたレスターは、フィッツに挨拶する。
マリファナの件をビデオの話と偽り、レスターはリッキーの部屋に向かう。
持っていた尿のサンプルの話をしたリッキーは、看護師の客の息子の尿をマリファナと交換していることをレスターに話す。
二種類のマリファナを見せられたレスターは、2000ドルの高級品を選ぶ。
トレーニングをバカにして、マリファナを吸っていることを批判するキャロリンの話を聞こうとしないレスターは、自分の好きなように生きることを決意する。
会社でブラッドからクビを言い渡されたレスターは、社内スキャンダルを暴露すると言って、口止め料として保険料付きの1年分の給料を要求する。
その頃キャロリンは、妻と別居したと言うバディと食事をする。
リッキーを意識するジェーンは、車で送ろうとするアンジェラに、彼と歩いて帰ることを伝える。
キャロリンとバディは、モーテルに向かい愛し合う。
暴走し始めたレスターは、帰りに寄ったハンバーガー・ショップ”ミスター・スマイリー”で従業員の募集をしていたために店員(マリッサ・ジャレット・ウィノカー)と店長と話し、その場で働くことにする。
ストレスが解消できたキャロリンは満足し、自分のストレス解消法は射撃だと言うバディの話に興味を持つ。
リッキーと散歩しながら帰ったジェーンは、彼の家で母バーバラを紹介される。
銃などが保管してある父のコレクション部屋にジェーンを案内したリッキーは、”ナチ”の公式晩餐会で使用された秘蔵の皿を見せる。
父に見つかるとまずいと考えながら、一番美しいものを見せると言うリッキーは、ジェーンを自分の部屋に連れて行く。
風で宙に舞う白い袋を撮った映像を見せたリッキーは、その日、全てのものの背後には生命と自愛の力があり、何も恐れることはないと知ったとジェーンに話す。
ジェーンは、この世で目にする美の数々が自分を圧倒し、心臓が止まりそうになるというリッキーの手を握りキスする。
食事の際、仕事を辞めたことを得意気に話すレスターを侮辱するキャロリンは、彼と口論になる。
料理の皿を壁に叩きつけたレスターは、自分をバカにするキャロリンとジェーンを黙らせる。
自分達の醜態を気にするキャロリンは、部屋に閉じこもったジェーンの元に向かい話をしようとする。
最終的に頼りになるのは自分だけだと伝えたキャロリンは、素直にならないジェーンを殴り、少女時代に貧しい暮らしをして苦労したことを話してその場を去る。
動揺するジェーンは、自分を撮影しているリッキーに気づき、シャツを脱いで胸を見せる。
そこに押し入ってきたフィッツは、保管棚を開けたことで激怒し、リッキーを殴り倒す。
ガールフレンドにナチの皿を見せただけだと言うリッキーが、レスターの娘と付き合っていることを知ったフィッツは、お前のための折檻であり、二度と戸棚に触れれるなと伝えてその場を去る。
バディの助言でストレス解消のために射撃を始めたキャロリンは、拳銃を手に入れて帰宅する。
レスターが”ファイアーバード”を買ったことを知ったキャロリンは、彼に迫られて一瞬、その気になる。
キャロリンから、4000ドルのソファーをビールで汚さないでほしいと言われたレスターは、彼女が現実的な話を始めたために幻滅し、二人は再びいがみ合う。
好き勝手に生きるレスターとキャロリンの溝は深まるばかりで、リッキーとの時間を楽しむジェーンは、彼が15歳の時にマリファナを吸って見つかり、父に陸軍学校に入れられたことを知る。
そこを飛び出して父と喧嘩し、普通の学校に戻ると髪型をからかわれて喧嘩になり、相手を本気で殺そうとしたため精神科に入れられたことをリッキーは話す。
2年間薬物療法を受けたリッキーは、ジェーンから父が憎いかと訊かれ、悪い人ではないと答える。
自分なら憎むと言うジェーンは、友人のアンジェラに夢中になるようなダメ男の父が、もう少し関心を持ってくれればいいとも思うものの、他人には無害な父親に見えても自分には精神的に大きな負担だと伝える。
恥ずかしい父は死んで方がましだと話すジェーンに、リッキーは自分がレスターを殺すことを提案するが、彼女から今のは冗談だと言われる。
翌日、アンジェラを泊めていいかキャロラインに尋ねて許可を得たジェーンは、父親として恥ずかしいと言いながら、それが理由で彼女を呼べなかったとレスターに伝えて口論になる。
リッキーから、隣の車に乗せてもらい登校すると言われたフィッツは、その後、リッキーの部屋を調べてビデオをチェックし、レスターが映っていたために驚く。
”ミスター・スマイリー”で働いていたレスターは、ドライブスルーの注文の声がキャロリンだと気づく。
バディと密会していたキャロリンは彼と抱き合い、それを店員だったレスターに見られたことに気づき驚き、君が幸せなら自分は構わないと嫌味を言われてしまう。
バディと別れることになったキャロリンは、レスターを一方的に憎むようになる。
その夜、ポケベルでレスターに呼ばれたリッキーは、ジェーンから預かっている本を返してくると父に伝えて隣の家に向かう。
ガレージで上半身裸のレスターと会っているリッキーを監視するフィッツは、二人がいかがわしい関係だと思い込む。
そこにアンジェラの車が来たため、マリファナを吸おうとしていたレスターとリッキーは家に戻る。
アンジェラから逞しくなったと言われたレスターは、腕に触れられる。
部屋で待っていた父に、レスターとのことを疑われたリッキーは殴られ、ゲイとは縁を切ると言われる。
わざと否定せずに、それで稼いでいると伝えたリッキーは、出て行けと父に言われる。
情けない父親だと伝えたリッキーはその場を去り、母バーバラに出て行くこと伝えて、父を頼むと言ってジェーンの元に向かう。
車の中で怒りを抑えきれないキャロリンは、拳銃を手にする。
父と寝る気のアンジェラに、頼むからやめてほしいと伝えたジェーンは、現れたリッキーからニューヨークで暮らすことを知らされ、一緒に行こうと言われる。
それに同意したジェーンを引き留めるアンジェラから、ホームレス暮らしになると言われたリッキーは、所持金が4万ドル以上ありコネもあるとジェーンに伝える。
正気ではないと言って二人を罵倒するアンジェラは、リッキーから、醜く退屈で平凡な女だと侮辱されたために部屋を出る。
息子を失い絶望したフィッツは、雨の中、ガレージで体を鍛えるレスターの元に向かい、キャロリンのことを尋ねる。
他の男と寝ているだろうと答えるレスターに、平気なのかと尋ねたフィッツは、見せかけの夫婦だと言いながら、自分を気遣ってくれるレスターを抱きしめてキスする。
それを拒んだレスターに、勘違いしていると言われたフィッツは、何も言わずに涙しながら自宅に戻る。
同じ頃、自己啓発のテープを聞きながら拳銃を手にするキャロリンは、犠牲者にはならないと言って、それをバックに入れて自宅に向かう。
自分のことでジェーンと喧嘩したアンジェラを慰めようとしたレスターは、彼女に何をしたいのか尋ねる。
初めて見た時から君が欲しかったと言われたアンジェラは、レスターを受け入れようとする。
しかし、アンジェラが初体験だと知ったレスターは、彼女への熱が冷めてしまう。
泣いて謝罪するアンジェラを抱きしめたレスターは、謝ることはないと言って落ち着かせる。
アンジェラへの欲望が収まると、急に家族が愛しくなったレスターは、ジェーンが幸せかを彼女に尋ねる。
ジェーンは幸せで恋をしていると知ったレスターは安心し、アンジェラから自分は幸せか訊かれる。
久しぶりに聞く質問だと言うレスターは、幸せだと答えて微笑む。
レスターは、ジェーンが子供の頃の幸せだった家族の写真を見てほっとする。
その時、レスターの後頭部を銃弾が貫く。
二階の部屋にいたジェーンとリッキーが銃声に気づき、レスターの遺体を見つける。
ジェーンは驚き、リッキーはレスターの死に顔を見つめる。
死の瞬間は一瞬ではなく、大洋のように果てしなく広がる時間であり、レスター思い浮べる。
少年時代のこと、楓並木の黄色い落ち葉、祖母のしわだらけの手、いとこのピカピカの”ファイアーバード”など・・・。
雨の中、フィッツが血だらけで自宅に戻り、彼のコレクションからは拳銃が消えていた。
帰宅したキャロリンは、ベッドルームのクローゼットにバッグをしまい、レスターの洋服にもたれながら泣き崩れる。
そして、死の瞬間にレスターの脳裏に過ぎるものは、可愛かったジェーンとキャロリンの笑顔・・・。
自分が生きてきた、”幸せで美しいアメリカ”そのものだった。