男は、世の中の悪、腐った世界を正すため”ヴェンデッタ/血の復讐”を行うと言って、”V”と名乗りイヴィーに自己紹介する。
音楽家だと言うVはイヴィーを誘い、ある建物の屋上に向い、日付が11月5日に変わったことを伝え、”火薬陰謀事件と反逆”を思い出すようにと語る。
Vがタクトを振ると、街のスピーカーからチャイコフスキーの”1812年”が流れ、”オールド・ベイリー”(中央刑事裁判所)が爆破されると同時に花火が打ち上げられる。
事件後の捜査状況の報告を受けるサトラーは、フィンガーの長官ピーター・クリーディー(ティム・ピゴット=スミス)、党幹部エサリッジ(エディ・マーサン)とダスコム(ベン・マイルズ)、スコットランドヤードのエリック・フィンチ警視(スティーヴン・レイ)らの話を聞き、捜査は困難だと言われる。
国家統制の危機を説くサトラーは、早急にテロリストを捕えるよう命ずる。
BTNは、昨夜の事件を爆破テロとは発表せず、解体工事と別れを惜しむ花火だったと伝える。
”ガイ・フォークス”の仮面の男の監視カメラ映像を調べたフィンチと部下のドミニク・ストーン警部補(ルパート・グレイヴス)は、女(イヴィー)の身元が割れたことを知らされる。
コメディアンである番組ホストのゴードン・ディートリッヒ(スティーヴン・フライ)は、昨夜の食事の約束を破った理由をイヴィーに問い、フィンガーメンに呼び止められたと言われる。
イヴィーのアパートに押入ったフィンチは、彼女がBTNの職員であることを知る。
大量に届いた荷物を衣裳部屋に運んだイヴィーは、中身がガイ・フォークスの仮面だったために驚く。
イヴィーの経歴を調べたフィンチは、12歳の時に活動家だった両親が捕えられ、未成年矯正施設に5年間入れられていたことを知り、それをストーンに伝える。
クリーディーがイヴィーを始末する前に捕えようとするフィンチは、人員を増やすことを考える。
その頃、胴体に爆弾を巻きBTNに現れたVは、荷物と共にスタジオに向かい、その場を封鎖する。
局に到着したフィンチは、イヴィーを見つけて逃げた彼女を追う。
電波ジャックをしたVは用意した映像を流し、”11月5日”を忘れてはならないと言って、国の現状を伝える。
裁判所の爆破実行も認めたVは、自分と同じ気持ちになれるのであれば、1年後に議事堂の前に共に立ち、”11月5日”を記憶に刻み込もうではないかと市民に語る。
封鎖されていたスタジオのドアは破られ、スモークの中から現れたVは銃撃されるが、それは局員だった。
その場の者達に仮面を被せてカモフラージュしたVが、調整室に爆弾を置いてあることが分かる。
爆弾を確認したダスコムは、起爆装置を解除しようとする。
警官を殺したVは逃げようとするが、ストーンに見つかり銃を向けられる。
背後からストーンに近づいたイヴィーは、彼に催涙スプレーを吹きかけるものの殴られてしまう。
ストーンは、Vに叩きのめされる。
BTNは緊急速報を流し、局がテロリストに占拠されたものの、犯人のVは射殺されたと報じた。
報道を見た市民の中には、その内容を疑う者も少なくなかった。
監視カメラ映像をチェックしたフィンチは、助けたイヴィーを置き去りにしたVが、彼女と一緒であると考える。
Vの屋敷で目覚めたイヴィーは、帰っても捕えられて拷問され、そして殺されるとVに言われる。
誰にも何も話さないと約束するイヴィーに、11月5日まで滞在するよう指示したVは、1年も居るのは無理だと言う彼女に、他に方法はないと伝える。
イヴィーの両親が獄中死して弟も亡くなっていることを知ったフィンチは、Vについても調べようとする。
翌朝、Vに謝罪して助けてもらったことを感謝したイヴィーは、彼が全身火傷を負っていることを知る。
イヴィーは、市民と共に議事堂を爆破すると言ったVの考えを再確認する。
議事堂は象徴であり、その爆破が世界を変えることになるとVは話す。
ノースファイアーの宣伝担当ルイス・プロセロ(ロジャー・アラム)は、サトラーの指示を受けて、Vを中傷する映像を収録する。
プロセロの前に現れたVは、彼を”司令官”と呼んで、かつて会った時の肩書だと伝える。
眠っていたフィンチはダスコムからの連絡を受け、プロセロが殺された現場に向かい、証拠はないがVの犯行だとストーンに言われる。
現場から証拠が一切見つからないことをストーンから知らされたフィンチは、大量の薬物を所持していたプロセロが、かつては製薬会社の大株主だったことを伝える。
ロンドンの顔であったプロセロが、心不全で亡くなったことが報道され、それを見ていたイヴィーは真実ではないと考える。
自分が殺したと言うVは、驚くイヴィーに、制裁であり更に犠牲者は出ると伝える。
プロセロの軍歴などを調べたフィンチは、彼がラークヒル収容所の所長を務めたことを知り、その詳細を探ろうとする。
フィンチは、収容所に入れられた者達が、通常の犯罪者だったとは思えなかった。
イヴィーは、弟がウィルス汚染の犠牲者として死亡したことがきっかけとなり、両親が政治活動を始めたとVに話す。
サトラーが議長となったため両親の抗議行動は激しくなり、二人が殺されると思ったとイヴィーは伝える。
両親が捕らえら連れ去られたことを話したイヴィーは、自分が二人のように強くなれないことを嘆く。
異常な社会を誰よりも知っているつもりだと話すイヴィーは、計画を手伝わせてほしいとVに伝える。
フィンチとストーンは、可能な限りラークヒルの資料を手に入れる。
収容所に多くの医師がいたことに注目したフィンチは、一番の高給取であるアンソニー・ジェームズ・リリマン司祭(ジョン・スタンディング)が、月額20万ドルだったとストーンから知らされる。
司教となっていたリリマンは、カトリックの聖職者でありながら少女を好む小児性愛者で、手配されたイヴィーを気に入る。
Vがその場に迫っていたのだが、イヴィーは彼を裏切り、犯罪者が命を狙っていることをリリマンに伝える。
それを”遊び”だと思ったリリマンはイヴィーに迫るが、そこにVが現れる。
話してしまったことをVに伝えたイヴィーはその場を去り、リリマンは殺害される。
ストーンと共に現場に向かったフィンチは、現れたクリーディーから、党の関係者が何人も殺されているため、自ら捜査をすると言われる。
サトラーから内通者がいると言われていたクリーディーは、収容所の件など、過去を探り過ぎることが危険だとフィンチに忠告する。
ゴードンの家に向かったイヴィーは、危険を承知で秘密の部屋に美術品や14世紀のコーランなどを隠してあることを知らされ、彼が同性愛者だと知る。
検死官のデリア・サリッジ(シニード・キューザック)から、リリマンの死因がプロセロと同じ薬物であることを知らされたフィンチは、元植物学者だった彼女に赤いバラを見せる。
絶滅した”スカーレット・カーソン”だと説明したデリアは、殺人現場にあったそれを調べてほしいとフィンチから頼まれる。
収容所の資料を更に詳しく調べたストーンは、一人だけ身元不明の人物がいることをフィンチに伝える。
フィンチは、海外逃亡の可能性があるその人物の戸籍を調べて、消息を追うようストーンに指示する。
それがデリアだったことを知ったフィンチは、ストーンと共に彼女の家に向かう途中で電話回線が切れているため、Vの仕業だと考える。
現れたVに、バラを受け取ったため覚悟を決めていたと言うデリアは、スカーレット・カーソンを渡されながら謝罪する。
駆けつけたフィンチは、薬物を投与されたデリアが、スカーレット・カーソンを手にしたまま死んでいるのを確認する。
その場にあったデリアの日記を犯人が持って行かなかったことと、それを読んだとサトラーに報告したフィンチは、その内容が国家治安への挑戦であり、党と幹部を中傷するものだと言われる。
日記はテロリストの捏造か精神障害で辞職した者の妄想だと言うサトラーは、内容が外部に漏れた場合は、国家反逆行為だとみなすことをフィンチに伝える。
その内容とは。
デリアらによるウィルス実験が行われ、第5(V)監房の1人だけに治療薬の効果が現れる。
そんな中、”11月5日”に医療部門が爆破され、炎の中に現れた第5監房の男がデリアを見つめていた・・・。
フィンチは、その日記の内容に思いを巡らせる。
翌朝、目覚めたイヴィーは、ゴードンが作ってくれた朝食がVと同じだったことに驚く。
自分がVだとジョークを言いながら、ゴードンはこの国は病んでいるとイヴィーに伝える。
”セント・メリー・ウィルス”と水道汚染のことなどをネットで調べたフィンチは、盗聴防止装置をセットし、現れたストーンに誰にも話さないことを約束させる。
フィンチは、史上最悪のバイオ・テロが、犯人であり処刑された宗教集団の犯行でなかった場合の仮説をストーンに語る。
10万人を殺害した犯行は政府が行った可能性があると考えたフィンチは、それでも内容を知りたいかをストーンに問う。
ゴードンは、サトラーをジョーク・ネタにする番組を作り、視聴者にける。
心配するイヴィーの言葉を気にしないゴードンだったが、現れたクリーディーに痛めつけられて連行される。
目の前でそれを目撃していたイヴィーは、その場から脱出して逃げようとするが、捕えられてしまう。
尋問されて罪を問われたイヴィーは、Vの身元と隠れ家の場所を教えることを強要され、髪の毛を切られて独房に入れられる。
拷問を受けるイヴィーは、わずかな食事を与えられるだけで、それに耐えるしかなかった。
ある日イヴィーは、壁に空いた穴に隠された、紙に書かれたヴァレリーという女性の手紙を見つける。
1985年にノッティンガムで生れたというヴァレリー(イモージェン・プーツ)は同性愛者で、2002年に恋人と共にそれを両親に伝え、父親は彼女を家から追い出す。
2015年、女優志望だったヴァレリー(ナターシャ・ワイトマン)の夢が叶い、運命の女性にも出会う。
スカーレット・カーソンを育てながら二人で暮らしたヴァレリーだったが、戦争が激化してサトラーが実権を握り、人とは”違う”ことが危険な状況となった。
その後ヴァレリーは逮捕され、この独房で亡くなったことを知ったイヴィーは悲しむ。
何も話そうとしないイヴィーは銃殺刑を言い渡されるが、全ての恐怖が消えたことを確認された彼女は解放される。
独房から出たイヴィーは、看守が人形であることに気づき、その場がVの屋敷だということを知る。
現れたVから全てが嘘だったこと知らされたイヴィーは、ゴードンが処刑されたと言われる。
イヴィーはVの行った行為を批判するものの、死を恐れなくなったことの意味を教えられる。
出て行こうとしたイヴィーは、Vが書いた思っていたヴァレリーの手紙を渡すが、彼女が実在していたことを知らされる。
Vがヴァレリーの隣の独房にいたことを知ったイヴィーは、一連の行為が、二人の復讐だったことに気づく。
その場を去るイヴィーに、11月5日の前に会ってほしいと伝えたVは、それを約束してもらう。
攻撃が空からの可能性があるというフィンチの意見に確証がないため、サトラーは、各メディアなどを使い国家の危機を伝えるよう命ずる。
その後、14年前のウィルス汚染が、Vによる犯行だと報道される。
極秘任務を行っていた公安捜査官の三人の内、セント・メリー・ウィルスの感染発生の翌日、二人が死亡し、一人が行方不明であることをストーンはフィンチに伝える。
行方不明者のロックウッドからの自動返信メールに気づいたフィンチは、彼に連絡して会うことになる。
ロックウッドは、若き野心家である保守派のサトラーが、国家保安を目的に特別プロジェクトを開始し、生物兵器の開発に巨額を投じたことを話す。
サトラーの真の目的は権力を独占することだったが、当時考えられる最も危険なウィルス開発に成功した。
治療方法を知るのは数人だけで、メディアの扇動で国内はウィルスにより混乱し、選挙後に治療薬が開発された。
製薬会社は党幹部の支配下にあり、プロセロらは大富豪となった。
独裁政権は誕生し、そしてサトラーが議長として実権を握ったのだった。
証拠はあると言うロックウッドを証人として保護しようとしたフィンチは、それを断る彼から、クリーディーを24時間監視するよう指示される。
その準備が整い次第こちらから連絡すると伝えたロックウッドは立ち去ろうとするが、黙っていた理由をフィンチに問われる。
フィンチのような人間が現れるのを待っていたと答えたロックウッドは姿を消す。
クリーディーを襲ったVは、議事堂が爆破された場合の責任を、サトラーに負わされることは分かっているはずだと伝える。
Vは、信用されていないサトラーに監視されていることをクリーディーに伝える。
同じ考えのクリーディーも監視体制を整え、身を隠しているサトラーをいつでも殺せることを知っていると言うVは、協力を強要する。
数週間経ってもロックウッドからの連絡はないままで、身元不明の20年前の死人が彼だったことをフィンチは知らされる。
騙されたフィンチは激怒し、Vを捜そうとする。
11月が迫り、捜査の進展がないことで苛立つサトラーは、人手不足を理由にするクリーディーは無能だと言って罵る。
その頃、市内の各家庭にはガイ・フォークスの仮面が配達され、それがフィンチにも届き、数が10万個であることが分かる。
サトラーは、仮面を持っている者の逮捕を命じ、それを利用した犯罪も起きて市内は混乱する。
その責任を負わされたクリーディーは、Vに協力することを決める。
ラークヒルに行ってみたことをストーンに話したフィンチは、荒廃していたその場で、遥か昔の出来事を含めて全てがつながり、今後、起きることを感じたと伝える。
やがて行き過ぎた行動により市民の怒りは頂点に達し、サトラーはそれを力で抑えようとして、Vはその時を利用するとフィンチは考える。
11月4日。
イヴィーが約束通り姿を現わしたため、Vは踊ってほしいと彼女に伝える。
政府に対する服従を、国民に誓わせる演説をすることを考えるサトラーは、万が一テロが成功した場合についてダスコムに問われる。
それがあり得ないと言うサトラーは、テロが起きたとしたら、クリーディーの辞表を読むだけだと答える。
軍隊が議事堂を守っていることを確認したフィンチは、地下鉄を調べる。
イヴィーを連れて閉鎖された地下鉄に向ったVは、爆弾を仕掛けた車両を見せて、議事堂につながっていることを彼女に知らせる。
車両も含めて、自分の所有物の全てをイヴィーに委ねると言うVは、生まれ変わる世界のための行動を彼女に任せてその場を去る。
クリーディーとの待ち合わせ場所に向かったVは、約束通り連れてこられたサトラーの胸にスカーレット・カーソンを差す。
サトラーを射殺したクリーディーは、Vに仮面を外すよう命ずる。
それを断ったVは銃弾を受けるものの、クリーディーの部下達を次々と殺害する。
クリーディーを殺したVは、銃弾を防いだ胴体の鉄板を外してその場を去る。
傷つきながら戻ったVを抱きかかえたイヴィーは、20年間この時を待ったと言われる。
Vは、恋したことをイヴィーに伝えて息を引き取る。
”トラファルガー広場”に、ガイ・フォークスの仮面を被った無数の人々が現れ、軍隊は警戒する。
Vを車両に乗せたイヴィーは、スカーレット・カーソンを手向ける。
そこにフィンチが現れてイヴィーに銃を向けるが、希望のために行動すると彼女に言われる。
軍隊は仮面の者達に発砲することができず、その場は大群衆で埋め尽くされる。
11月5日、午前12時。
車両を動かしたイヴィーは、フィンチと共にその場を離れる。
ガイ・フォークスの仮面を被った人々は、”ビッグ・ベン”を見つめながら、街に流れるチャイコフスキーの”1812年”を聴く。
そして、イヴィーとフィンチも見つめる中、”ウェストミンスター宮殿”は爆破され、花火も打ち上がる。
Vとは誰かとフィンチに訊かれたイヴィーは、”エドモンド・ダグラス”・・・自分の父、母、弟、友人、フィンチ、自分、全ての人々だと答える。
イヴィーは、Vを決して忘れないと心に誓う。