エディンバラ、ウェイヴァリー駅。
パトリシアがこの地を訪れると聞いていたために時刻表を見ていたローマクスは、列車が到着したために彼女を捜す。
現れたパトリシアに再会し、偶然だと言うローマクスは、到着した列車に乗ることを伝える。
終点だと言われたローマクスは、実は偶然ではないと伝えて、パトリシアを自宅に招く。
ローマクスとパトリシアは自然に愛し合うようになり、結婚する二人をフィンレイら戦友が祝福する。
美しいパトリシアと共に幸せを実感するローマクスだったが、亡霊のように、日本軍の憲兵隊員、永瀬隆(石田淡朗)が現れる。
第二次大戦下、マレー半島の日本軍捕虜収容所に連行されたローマクスは、拷問を受けた部屋に入れられそうになり取り乱す・・・。
部屋の床に倒れてうずくまり、泣き叫ぶローマクスを見たパトリシアは驚く。
冷静になったローマクスは、海を見つめながら戦時下を思い出す。
__________
1942年2月15日、シンガポール。
イギリス陸軍の通信兵だったローマクス(ジェレミー・アーヴァイン)は、上官である少佐から、極東軍司令官パーシバル中将が無条件降伏したことを知らされる。
無線機などを破壊する命令を受けたローマクスは、真空管が役に立つ可能性を考えて、それを外してその場を離れる。
フィンレイ(サム・リード)らと共に捕虜となったローマクスは、列車に乗せられて北に向かう。
__________
その後も奇行を繰り返すローマクスは、問題を話してほしいと言うパトリシアに、関係ないことには干渉しないようにと伝える。
ローマクスの行動が、戦争体験と関連していることを知ったパトリシアは、債権回収業者が現れたために動揺する。
カッターナイフを持って債権回収業者に襲い掛かったローマクスは、男達に取り押さえられる。
その後もローマクスが何も語らないため、退役軍人クラブを訪ねたパトリシアは、フィンレイと話をする。
ローマクスのことを話し相談したパトリシアは、夫が”シンガポール陥落”以後についてを決して語らないことをフィンレイに伝える。
鉄道愛好家のローマクスが、鉄道の話をしないことも気になるパトリシアは、長く看護師をして苦しむ人を多く見てきたため、原因が分かれば彼を救えると考えていた。
当事者兵士の苦しみは理解できないと言って、干渉するべきではないと忠告するフィンレイだったが、パトリシアは納得しない。
仕方なく話し始めたフィンレイは、終戦で帰国したローマクスはアフリカの植民地でダム建造などの仕事に従事し、その後、この場に来ても何も語らず人を避け、国内を回り鉄道に関するものを収集していたことをパトリシアに伝える。
__________
水も食料も与えられないまま、ある場所で列車から降ろされたローマクスらは、密林を歩き奥地に向い強制労働をさせられることになる。
脱走なども考える仲間達に、マレー半島の北部まで来ているはずなので、イギリスが果たせなかった鉄道建設を、日本軍が兵士の捕虜を使って行おうとしている可能性を指摘する(泰緬鉄道)。
自分達は兵士であり奴隷ではないと言うフィンレイは、現場の者達の役に立つべきだと主張し、ラジを作ることを提案する。
日本兵の目を盗み部品を集め始めたローマクスは、上官の少佐が作業していることに気づき声をかけるものの、彼は何も答えなかった。
”クウェー川”(クワイ川)沿いに走る鉄道の地図を書いたローマクスは、それを隠す。
トラックの修理を装い、そのバッテリーを使い、組み立てたラジオをフィンレイと共に作動させたローマクスは、北アフリカで連合軍が優勢に立ち、枢軸軍が撤退し始めたという”BBC”放送を聴く。
その後も情報を得たローマクスは、ドイツ軍が敗退していることを少佐に話し、それが兵士達に伝わり彼らに希望を与える。
しかし、ラジオは日本兵に見つかってしまい、疑われた4人の内の一人が痛めつけられる。
首謀者として名乗り出たローマクスは、フィンレイや仲間達の前で徹底的に痛めつけられる。
__________
ローマクスがそれを自分に話さない理由が理解できないパトリシアは、彼の苦しみは想像できないと言うフィンレイに、詳しく知りたいことを伝える。
__________
現れた憲兵隊の永瀬は、ローマクスに有罪を告げて、真実を話せば死は免れると言って彼を収容所に連行する。
__________
2週間、戻らなかったローマクスが、その場で受けたことは決して話さないはずだとフィンレイに言われたパトリシアは、それを彼に聞いてみようとする。
思うようにはいかないパトリシアは、自分もローマクスの力になることができなかったと言うフィンレイから、彼にとって最も”危険”な資料を見せる。
ローマクスを連行した、憲兵隊の永瀬が生きていることをパトリシアに伝えたフィンレイは、ローマクスに裁きを下す機会を与えるべきだと言って、彼女にそれを支えることを約束させる。
その件をローマクスに知らせたフィンレイは、永瀬が拷問の場所や鉄道を観光客に見せながら、現地で生活していることを話す。
会いに行き、不意を突いて復讐するようフィンレイに言われたローマクスは、常にそれを考えて生きてきたが、自分の全てであるパトリシアのことを考えると、手を下す気になれないと伝える。
戦うことを誓ったと言って説得したフィンレイは、憲兵隊に何をされたのかをローマクスに問う。
帰ってほしいと言われたフィンレイは、自分のために片を付けてもらいたいと頼む。
何も答えないローマクスは、パトリシアと共にフィンレイを駅まで送る。
返事をしてくれなかったローマクスに、無視できない方法でメッセージを送るとパトリシアに伝えたフィンレイは、列車でその場を去る。
ウォーミンスター駅に着いたフィンレイは、線路の上の歩道橋で首吊り自殺をする。
その連絡を受けたパトリシアは、フィンレイの死をローマクスに知らせて、同じことを考えているかを確かめる。
密かにフィンレイと話していたせいだと言うローマクスは、思い道理になっただろうとパトリシアに伝える。
パトリシアも参列したフィンレイの葬儀にも出席しなかったローマクスは、独り旅立つ。
タイ。
観光案内をする永瀬(真田広之)が、観光客を連れて憲兵隊の戦争博物館に向かう姿を見つめるローマクスは、その後を追う。
永瀬に声をかけられ閉館だと言われたローマクスは、自分が分からないのかと伝える。
相手がローマクスだと気づいた永瀬は、戦時中の話をし始める。
__________
自分達の敵に情報を流すため、無線機を作ったと考える永瀬は、ひどい目に遭わせると言って、地図を描いた理由をローマクスに追及する。
鉄道の地図であり、自分が愛好家だと答えるローマクスの話を理解しない永瀬は、同盟国のために無線機で情報を送っていたと決めつける。
作ったのは受信機であり、送信機能はないと言うローマクスは、信じてもらえないため、それならばマイクはどこにあるのかと尋ねる。
故郷のことを知るためにラジをを聴いただけだと言うローマクスに対し、納得しない下士官(泉原豊)は拷問を続ける。
__________
終戦時のことを話し始めたローマクスは、降伏した戦争犯罪者は絞首刑のはずだと尋ねるが、永瀬は、戦犯ではなく単なる通訳だと答える。
憲兵隊だと言って言葉を遮るローマクスは、どうして生き延びたのかを永瀬に尋ねる。
__________
ローマクスらは友軍により解放され、捕えられた日本兵はバンコクで戦犯行為の取り調べを受けることになる。
それを逃れようとした永瀬は、通訳である自分は拷問などには加わらず、憲兵隊でないことをイギリス兵士官に伝えて見逃される。
__________
通訳が必要だったと言う永瀬は、その後、鉄道を調べるためにイギリス軍に協力し、多くの死体を確認して埋葬したことをローマクスに話す。
行われた行為が殺人だったと認めた永瀬は、それを語り継ぐために巡礼をしているとローマクスに伝える。
和解のために力を尽くすと言う永瀬は、戦争の悲劇を忘れさせないためだと言うが、ローマクスは、悲劇ではなく”犯罪”だと言い切る。
腕を折る台をテーブルに置いたローマクスは、覚悟を決めてそれに乗せた永瀬の腕を殴ることができなかった。
怒りが収まらないローマクスは、永瀬にナイフを向けて外に引きずり出し、竹の檻に閉じ込める。
ホースと水の入ったバケツを用意したローマクスは、施設の奥にある拷問室に向い、自分が受けた仕打ちを思い出す。
__________
死よりも辛い水責めの拷問を受けたローマクスは、”母”と叫びながら助けを求める。
耐え切れなくなったローマクスは、日本の本土がアメリカに占領されたことをラジオで聴いたと話し、家族が苦しんでいると伝える。
それを信じない永瀬は、正確な情報を得られないために上官に殴られる。
__________
永瀬の元に戻ったローマクスは、母親の死を知らずに、戦争の間、手紙を書き続けていたことを話す。
人々に何を伝える気なのかを永瀬に尋ねたローマクスは、拷問の話などはしないと言われ、自分達も同じ考えだったのは、誰も信じようとしないからだと伝える。
降伏した場合は、生き恥をさらすよりも死を選ぶと言っていたにも拘らず、そうしなかった理由をローマクスは永瀬に尋ねる。
勝利を確信するという軍部の話しが嘘だったからだと、ローマクスは永瀬に言われる。
自分達も騙され、ローマクスの語ったことは正しかったと言う永瀬は、何をされようとも耐え抜くことが命より大切だと示してくれたと伝える。
捕虜だった友人のフィンレイが、全てを終らせるために、永瀬の命を自分に預けたと伝えたローマクスは、この日のために自分達は生きていたと永瀬に言われる。
終わらせてほしいと永瀬に言われたローマクスは、ナイフを手にする。
帰国してパトリシアの元に戻ったローマクスは、彼女との愛を確かめる。
フィンレイのこともあり恐れていたと言われたローマクスは、自分には君がいるとパトリシアに伝える。
その後ローマクスは、永瀬を解放して、ナイフを鉄橋の上から川に捨てたことを考える。
永瀬からの謝罪の手紙を受け取ったローマクスは、終戦後の長い間、彼が苦しみ続けたことを知る。
もう一度タイに向かうことを決めたローマクスは、同行してほしいことをパトリシアに伝える。
現地に到着し、パトリシアと共に”ヘルファイアー・パス”向かったローマクスは、現れた永瀬に歩み寄る。
深々と頭を下げた永瀬はローマクスに謝罪し、あのような思いは二度としたくないと伝える。
自分も同じだと伝えたローマクスは、和解の手紙を永瀬に渡す。
”カンチャナブリ”で起きたことは忘れられないが、自分は心から赦すというローマクスの気持ちを知った永瀬は泣き崩れる。
__________
エリック・ローマクスと永瀬隆は、その後よき友となり、2011年に永瀬が亡くなるまで親交は続いた。
2012年10月、エリック・ローマクスは93歳で世を去り、彼にはパトリシアが常に寄り添っていた。