1990年に発表された、ロバート・ラドラムの小説”The Bourne Ultimatum”を基に製作された作品で、小説”ジェイソン・ボーン”3部作の3作目。 記憶を失ったCIA工作員”ジェイソン・ボーン”が上層部の極秘計画を暴こうとする姿を描く、監督ポール・グリーングラス、主演マット・デイモン、ジョアン・アレン、デヴィッド・ストラザーン、スコット・グレン、アルバート・フィニー、ジュリア・スタイルズ共演のスパイ・サスペンス・アクション。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ポール・グリーングラス
製作総指揮
ダグ・リーマン
ヘンリー・モリソン
製作
フランク・マーシャル
ポール・サンドバーグ
原作:ロバート・ラドラム
脚本
トニー・ギルロイ
ブライアン・ヘルゲランド
スコット・Z・バーンズ
ジョージ・ノルフィ
撮影:オリヴァー・ウッド
編集:クリストファー・ラウズ
音楽:ジョン・パウエル
出演
ジェイソン・ボーン/デヴィッド・ウェッブ:マット・デイモン
ニコレット・パーソンズ:ジュリア・スタイルズ
ノア・ヴォーゼン:デヴィッド・ストラザーン
エズラ・クレイマーCIA長官:スコット・グレン
サイモン・ロス:パディ・コンシダイン
パズ:エドガー・ラミレス
アルバート・ハーシュ博士:アルバート・フィニー
パメラ・ランディ:ジョアン・アレン
マーティン・クルーツ:ダニエル・ブリュール
ニール・ダニエルズ:コリン・スティントン
レイ・ウィリス:コーリイ・ジョンソン
トム・クローニン:トム・ギャロップ
デッシュ・ブークサニ:ジョーイ・アンサー
マリー・クルーツ:フランカ・ポテンテ
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
2007年製作 111分
公開
北米:2007年8月3日
日本:2007年11月10日
製作費 $110,000,000
北米興行収入 $227,137,100
世界 $442,822,420
■ アカデミー賞 ■
第80回アカデミー賞
・受賞
編集・録音・音響編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
モスクワ。
ロシア連邦保安庁の殺し屋キリルに銃撃され傷を負ったジェイソン・ボーン(マット・デイモン)は、診療所に侵入して薬剤を盗み治療をする。
現れた警官を叩きのめして逃走したボーンは、その間に任務の記憶が断片的に戻る。
6週間後、ヴァージニア、CIA本部。
エズラ・クレイマー長官(スコット・グレン)は、ボーンが記憶をたどるために行動しているという、長官補佐パメラ・ランディ(ジョアン・アレン)の報告を受け、脅威となる重要人物として捜索を続る指示を出す。
イタリア、トリノ。
イギリスの新聞”ガーディアン” の保安専門記者サイモン・ロス(パディ・コンシダイン)は、CIA・マドリード支局長のニール・ダニエルズ(コリン・スティントン)に会い、”トレッドストーン” とボーンの関係について尋ね、”ブラックブライアー”計画の存在を知る。
パリ。
マリー・クルーツ(フランカ・ポテンテ)の弟マーティン(ダニエル・ブリュール)に彼女の死を知らせたボーンは、背後にいる黒幕を捜し出すと言い残して姿を消す。
ニューヨーク。 ヴォーゼンは、ロスについて調査し、情報源を探り出すよう部下たちに指示する。 ロンドンに向かうボーンはロスの記事を読み、彼をウォータールー駅に呼び出す。 ボーンは、ロスの動きを監視していると思われるCIAを混乱させようとする。 ボーンがロスを誘導していることを知ったヴォーゼンは、殺し屋パズ(エドガー・ラミレス)に2人の抹殺命令を出す。 監視されていることをロスに知らせて接触したボーンは、彼に身を隠すよう指示する。 ボーンの指示に従わなかっらロスは、雑踏の中でパズに射殺される。 パズを追ったボーンは、逃げられてしまう。 ロスのバッグにあったメモの内容を調べたボーンは、マドリードに情報源があることを知る。 クレイマー長官の命令を受けたヴォーゼンは、ランディとボーン及び、”ブラックブライアー”に関しての捜査を任せられる。 ヴォーゼンは、マドリード支局長ダニエルズがロスの情報源である可能性を突き止める。 ランディとヴォーゼンは、ダニエルズのオフィスに部下を派遣する。 既にその場に侵入していたボーンは、ある写真(ダニエルズとアルバート・ハーシュ博士/アルバート・フィニー)が写る写真を見つけて、再び記憶が戻りかける。 押し入ってきたヴォーゼンの部下2人と格闘になったボーンは、彼らを叩きのめす。 そこに、”トレッドストーン”の後方支援員ニコレット・パーソンズ(ジュリア・スタイルズ)が現れ、マドリードに赴任していたことを伝えた彼女は、ボーンの指示に従う。 ”ブラックブライアー”の詳細を知ったランディは、ボーンの目的がそれを暴露することではないと考える。 しかしヴォーゼンは、今では危険人物となったボーンとダニエルズを抹殺する考えを変えない。 パーソンズに写真を見せたボーンは、ダニエルズに案内されて会ったハーシュの話をして、その日が始まりで何かをされたと言って、それを知りたいと彼女に伝える。 ボーンは、自分が実験の第一号だったと言うパーソンズに、逃亡を助ける理由を尋ねる。 パーソンズは、自分たちの関係も覚えていないことをボーンに確認する。 ヴォーゼン、そしてランディは、ボーンがタンジールに向かったことを知る。 モロッコ、タンジール。 ボーンと共に現地に着いたパーソンズは、CIAのシステムにアクセスしてダニエルズの所在を知ろうとする。 それが不明だったためにボーンは、殺し屋がデッシュだと知り、彼と接触して携帯電話を渡して尾行し、ダニエルズの居場所を突き止めようとする。 デッシュは、パーソンズからのメールを受けてバイクでカフェに向かう。 それを監視するボーンは、パーソンズから携帯電話を受け取ったデッシュを、盗んだバイクで追う。 パーソンズがデッシュにメールを送ったことを知ったヴォーゼンは、彼女がボーンと行動していることを確信する。 ダニエルズを含めた3人の抹殺を指示するヴォーゼンだったが、ランディは反対する。 結局、ダニエルズは爆殺され、デッシュを追っていたボーンも巻き込まれて負傷する。 デッシュに追われるパーソンズを救おうとしたボーンは、彼と格闘になり、殺害して携帯電話を奪う。 ボーンは、デッシュの電話で自分たちを始末したという連絡を司令部に入れるよう、パーソンズに指示する。 ヴォーゼンは、ボーンらの死亡を今回の件の黒幕だったクレイマーに報告する。 ボーンの資料を調べたランディは、トレッドストーン研究所の訓練監督官がダニエルズであり、ハーシュという医師の存在を知る。 ボーンは、爆破で焼けたダニエルズの遺品から、CIA対テロ極秘調査局の住所を知りニューヨークに向かう。 ランディは、偽名で入国したボーンの行動を察知し、わざと目立つ動きをしている彼が、自分と連絡を取りたがっていることに気づく。 CIA支局を監視しながらランディに連絡したボーンは、アボットの件で感謝され謝罪もされる。 ボーンは、自分の本名が”デヴィッド・ウェッブ”であり、誕生日と出生地を知らされる。 ランディは更に詳しい情報を教えようとするのだが、ボーンから自分を監視しながら電話をしていることを知らされる。 その会話を傍受したヴォーゼンは、ボーンを捕らえることを命じて、建物から出るランディに尾行をつける。 ヴォーゼンに電話をかけたボーンは、彼のオフィスに侵入していることを知らせる。 ボーンは、金庫から”トレッドストーン”のアップグレード計画”ブラックブライアー”の資料を盗み出す。 追っ手から逃れようとするボーンは、パトカーを奪い殺し屋パズの追跡をかわす。 ボーンは、事故を起こして傷つき動けないパズに銃を向けるものの、彼を殺さずに姿を消す。 ランディから教えられた自分の誕生日の日付が、”トレッドストーン”の訓練施設の住所だと気づいたボーンは現場に向かう。 現地でランディに会ったボーンは、彼女にヴォーゼンの資料を渡して訓練施設に侵入する。 その後ランディは、資料を本部にファックスし、その場に現れたヴォーゼンは愕然とする。 ボーンは施設内で記憶を取り戻し、現れたハーシュから、志願して”デヴィッド・ウェッブ”から”ジェイソン・ボーン” になったことを知らされ、そして全てを思い出す。 そこにパズが乱入し、ボーンは屋上に逃れるものの追い詰められる。 自分を殺さなかった理由を尋ねるパズは、訓練で何をされ、何のために殺人を強いられたかをボーンに問われ、銃を下ろす。 その場にヴォーゼンが現れ、銃撃されたボーンは屋上からイースト・リバーに落下する。 その後、公聴会のランディの証言で、クレイマーは司法当局の事情聴取を受け、ヴォーゼンとハーシュは逮捕される。 ボーンの捜索は続くものの遺体は発見されず、そのテレビ報道を見たパーソンズは微笑む。 銃撃を受けてビルから落下したボーンは、泳いでその場から逃れる。
CIA対テロ極秘調査局長ノア・ヴォーゼン(デヴィッド・ストラザーン)は、”ガーディアン”にボーンに関する記事を載せたロスが、”ブラックブライアー”の情報を嗅ぎつけたことを知る。
...全てを見る(結末あり)
ヴォーゼンは、殺し屋デッシュ・ブークサニ(ジョーイ・アンサー)が到着したことを知りダニエルズの所在を確認する。
__________
参考:
・「ボーン・アイデンティティー」(2002)
・「ボーン・スプレマシー」(2004)
・「ボーン・アルティメイタム」(2007)
・「ボーン・レガシー」(2012)
・「ジェイソン・ボーン」(2016)
*(簡略ストー リー)
ジェイソン・ボーンは、モスクワでの事件の後も逃亡を続け、その間に任務の記憶が断片的に戻る。
CIAのクレイマー長官は、ボーンが記憶をたどるために行動しているというランディの報告に対し、脅威となる重要人物として彼の捜索を続けさせる。
その後、対テロ極秘調査局長ヴォーゼンは、ボーンに関する記事がイギリスの新聞”ガーディアン”に載ったことで、記者のロスが”ブラックブライアー”計画のことを嗅ぎつけたことを知り、その情報源を探り出すことを命ずる。
ボーンは、ロスの動きを監視するCIAを混乱させながら、彼に接触しようとするのだが・・・。
__________
本作でロバート・ラドラムの3部作は終了し、本作が完結編となった。
しかし、公開する度に増える興行収入は、3作目でついに約4億4300ドルを記録し(全世界)、1作目の2倍以上となったことなどから、4作目「ボーン・レガシー」(2012)が公開された。
*
製作費 $110,000,000
北米興行収入 $227,137,100
世界 $442,822,420
本作のラストを見れば、主人公の活躍は続くのが当然という感じもするし、全作に登場するキーパーソンのパーソンズとの思わせぶりな関係が気になるところだ。
第80回アカデミー賞では、編集、録音、音響編集賞を受賞した。
エスカレートするスピード感、スリリングなストーリー展開に絡むCIA上層部の画策が解明する、筋立ての面白さは抜群だ。
ついに”ジェイソン・ボーン”誕生の秘話が明らかになり、ヨーロッパからアメリカに戻ったボーンが、CIAの黒幕を暴こうとする緊迫感は見ものであり、シリーズのお楽しみとも言える見せ場のカーチェイスも、タンジールではバイク、ニューヨークでの凄まじいカーチェイスとクラッシュ・シーンなど、その迫力は圧巻だ。
記憶が徐々に戻っていく設定で、1作目から同じイメージで通す主人公を演ずるマット・デイモンのニヒルなタフガイぶりは見もので、演技派の彼は、アクション・スターとしても一級ということを証明することになる。
作品ごとに重要さが増す、ボーンとの微妙な関係が気になる、後方支援員のジュリア・スタイルズ、”トレッドストーン”から新プロジェクトを受け継ぎボーンを陥れるテロ極秘調査局長のデヴィッド・ストラザーン、全ての黒幕であるCIA長官のスコット・グレン、”ガーディアン”の記者パディ・コンシダイン、殺し屋のエドガー・ラミレス、ボーンを作り上げた博士アルバート・フィニー、2作目に続き、ボーンを危険人物扱いせず、鋭い視点でCIA内部の不正を暴く長官補佐のジョアン・アレン、CIAのマドリード支局長コリン・スティントン、同じくタンジールの殺し屋ジョーイ・アンサー、ランディの部下トム・ギャロップなど個性派やベテランが脇を固めている。