20世紀を代表する歌手のビング・クロスビーと人気コメディアンのボブ・ホープそしてドロシー・ラムーアがトリオを組んだ”珍道中シリーズ”の記念すべき第1作。 チャールズ・コバーン、アンソニー・クイン他共演、監督ヴィクター・シャーツィンガーによる大爆笑コメディ。 |
・コメディ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ヴィクター・シャーツィンガー
製作:ハーラン・トンプソン
原作:ハリー・ハーヴェイ
脚本
ドン・ハートマン
フランク・バトラー
撮影:ウィリアム・C・メラー
編集:ポール・ウェザーワックス
音楽:ヴィクター・ヤング
出演
ビング・クロスビー:ジョシュア”ジョシュ”マロン5世
ドロシー・ラムーア:ミーマ
ボブ・ホープ:エース・ラニガン
チャールズ・コバーン:ジョッシュア・マロン4世
ジュディス・バーレット:グロリア・ウィコット
アンソニー・クイン:シーザー
ジェリー・コロンナ:アキレス・ボンバナッサ
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1940年製作 85分
公開
北米:1940年3月14日
日本:1950年5月14日
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
創業200年の船会社の御曹司ジョシュア”ジョシュ”マロン5世(ビング・クロスビー)は、仕事を継がせたい父マロン4世(チャールズ・コバーン)の指示を無視し、親友のエース・ラニガン(ボブ・ホープ)と貨物船で世界を旅する、気ままな生活をしていた。
久しぶりに故郷に戻ったジョシュは、エースと共に一騒動起こし逮捕されてしまう。
父マロンに小言を言われたジョシュは、無理矢理仕事を任され、令嬢グロリア・ウィコット(ジュディス・バーレット)と婚約させられてしまう。
エースと釣りを楽しんでいたため、婚約パーティーに遅れたジョシュは、出席者と喧嘩を始め大騒動を起こし、再び二人は旅に出てしまう。
そして二人は、ホノルルからシンガポールに向かい、付近の島カイグーンに立ち寄る。
そこで二人は、酒場の踊り子ミーマ(ドロシー・ラムーア)に魅了されてしまう。 ミーマに近づこうとしたジョシュとエースは、彼女とコンビを組む後見人シーザー(アンソニー・クイン)と大乱闘になるが、二人はなんとかミーマを連れて逃亡する。 翌朝、ミーマは二人の所持品を持って姿を消すものの、食料を買って戻ってくる。 二人の所持品に興味を示さないミーマ曰く、この島では食べることが先決で、文明の利器は必要ないということだった。 シーザーの横暴さに嫌気がさしていたミーマは、ジョシュとエースとの共同生活を楽しむ。 所持金が底を突きそうな三人は、インチキ石鹸水の商売などを始めるが失敗してしまう。 その後、マロン汽船カイグーン支社のアキレス・ボンバナッサ(ジェリー・コロンナ)の元に、ジョシュが行方不明だという連絡が届く。 やがて、世話焼きのミーマを鬱陶しく感じ始めたジョシュとエースは、彼女を追い出してしまう。 しかし、ミーマがシーザーに乱暴に扱われるのを知った二人は、彼を叩きのめす。 そして、二人はミーマを連れ戻し、彼女の争奪戦が始まるが、ことはジョシュにやや有利に展開する。 同じ頃、ジョシュを追って父マロンとグロリアが空路、島に向かい、彼女は秘策があることを彼に伝える。 食料に困り始めた三人は、現地人に成りすまして島民の祭に紛れ込み、ご馳走をたいらげて宴に参加し大騒ぎをする。 そこに、島に到着し、シーザーとアキレスに案内されたマロンとグロリアが現れ、ジョシュは連れて行かれてしまう。 怒りきれないマロンだったが、ジョシュはグロリアに説得されても帰国する気になれなかった。 ジョシュとエースは言い争いになるのだが、ジョシュとは身分が違うことを悟ったミーマは、エースを選んでしまう。 翌日、シーザーの密告で、エースがパスポートを持っていないことがばれて、強制送還となり拘束される。 ジョショは帰国の途についていたが、その頃、エースとミーマは逃亡して島を脱出する。 ある島に寄港したジョシュは、エースがそこにいることを知り、またもや逃亡する。 そして、インチキ洗剤を売っていたエースとミーマを見つけたジョシュは、三人で新たな旅に出る決心をする。
...全てを見る(結末あり)
これ幸いと、ミーマを独占できたエースだったが、またもやジョシュは逃亡して戻り、島に残ると言い出す。
ハリー・ハーヴェイの短編小説を基に製作された作品。
参考:
・「シンガポール珍道中」(1940)
・「アフリカ珍道中」(1941)
・「モロッコへの道」(1942)
・「アラスカ珍道中」(1946)
・「南米珍道中」(1947)
・「バリ島珍道中」(1952)
・「ミサイル珍道中」(1962)
*(簡略ストー リー)
汽船会社の御曹司である”ジョシュ”マロン5世は、父の命令を無視して仕事も婚約者グロリアも捨てて、親友エース・ラニガンと共に船旅に出てしまう。
シンガポール付近の島に上陸した二人は、酒場の踊り子のミーマに魅せられてしまう。
コンビを組んでいた、シーザーの横暴さに嫌気が差していたミーマは、二人との共同生活を始める。
やがて、仕事も無い三人は食料に困り、ジョシュとエースは、ミーマの奪い合いを始める・・・。
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人気エンターテナー、ビング・クロスビーとボブ・ホープが繰り広げる、ドタバタ騒動の可笑しさは天下一品。
飄々としたビング・クロスビーの海を愛する男の逞しさと、上流階級の上品さを兼ね備えた御曹司役、やや頼りないが、飾り気のない相棒ボブ・ホープとのマッチングは絶妙だ。
もちろん二人は、素晴らしい歌声、そしてダンスも披露してくれる。
珍道中シリーズの華ドロシー・ラムーアの登場で、ストーリーは一気に盛り上がる。
1930年代に一世を風靡したビング・クロスビーとボブ・ホープよりも、ドラマ設定に合ったエキゾチックなドロシー・ラムーアの魅力が新鮮に思える。
また、20代半ばのアンソニー・クインの若々しさは、逞しく厳つい中年男役しか見たことのない方にとっては、かなり貴重な映像として楽しめるだろう。
植物園などをフル活用した、「陽のあたる場所」(1951)でオスカーにも輝くウィリアム・C・メラーの撮影や、音楽担当で同じくオスカーノミネート18回のヴィクター・ヤングらが飛躍するきっかけにもなった作品でもある。
*ヴィクター・ヤングは「八十日間世界一周」(1956)でアカデミー賞を受賞。
この時代の作品を見ると、毎度思うことではあるが、日本公開が全米公開から10年後の1950年ということを考えると、日米両国共、戦火の真っ只中に突入しようとしている時代に、このような作品が作れるアメリカの余裕を感じずにはいられない。
つくづく、当時の社会情勢や、国力の差を感じる。
主人公の父親役チャールズ・コバーン、婚約者のジュディス・バーレット、汽船会社支店のジェリー・コロンナなどが共演している。