殺人容疑をかけられた男性が国際的な陰謀に巻き込まれる姿を描く、製作、監督アルフレッド・ヒッチコック、主演ケイリー・グラント、エヴァ・マリー・セイント、ジェームズ・メイソン、マーティン・ランドー、ジェシー・ロイス・ランディス、レオ・G・キャロル他共演によるサスペンスの傑作。 |
・アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock 作品一覧
・アルフレッド・ヒッチコック / Alfred Hitchcock / Pinterest
・ケイリー・グラント / Cary Grant / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:アルフレッド・ヒッチコック
製作:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:アーネスト・レーマン
撮影:ロバート・バークス
編集:ジョージ・トマシーニ
美術・装置
ウィリアム・A・ホーニング
ロバート・Fボイル
メリル・パイ
ヘンリー・グレイス
フランク・R・マクケルヴィー
タイトル・デザイン:ソウル・バス
音楽:バーナード・ハーマン
出演
ロジャー・O・ソーンヒル:ケイリー・グラント
イヴ・ケンドール:エヴァ・マリー・セイント
フィリップ・ヴァンダム:ジェームズ・メイソン
レナード:マーティン・ランドー
クララ・ソーンヒル:ジェシー・ロイス・ランディス
教授:レオ・G・キャロル
レスター・タウンゼンド:フィリップ・オバー
ヴィクター・ラーラビー:エドワード・プラット
ジャンケット警部:エドワード・ビンズ
情報局員:ローレンス・ドブキン
アメリカ 映画
配給 MGM
1959年製作 136分
公開
北米:1959年7月17日
日本:1959年9月17日
製作費 $4,000,000
北米興行収入 $13,275,000
■ アカデミー賞 ■
第32回アカデミー賞
・ノミネート
脚本・編集・美術賞(カラー)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク。
広告会社を経営者するロジャー・O・ソーンヒル(ケイリー・グラント)は、会合のために”プラザホテル”に向かう。
母クララ(ジェシー・ロイス・ランディス)への伝言を電報で伝えようとしたソーンヒルは、2人の男に銃を向けられて車に乗せられる。
”カプラン”という男を呼びだした2人が、電報を打つためにウエイターを呼んだソーンヒルを、間違ってしまったのだ。
大邸宅に連れて行かれたソーンヒルは、主人だという男”レスター・タウンゼンド”(ジェームズ・メイソン)と、その秘書レナード(マーティン・ランドー)に、”ジョージ・カプラン”だと思われる。
それを否定するソーンヒルは、何が起きているのか理解できないまま、無理矢理酒を飲まされる。
...全てを見る(結末あり)
★ヒッチコック登場場面
オープニング・ロールの終わりに、ニューヨークの街角でバスに乗り遅れる男性がヒッチコック。
今回は非常に分かり易い。
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク。
広告会社を経営するロジャー・ソーンヒルは、ある日、”カプラン”という男に間違えられて誘拐される。
タウンゼンドを名乗る謎の男に殺されそうになったソーンヒルは逃亡して、事件の痕跡を消した男達の正体を突き止めようとする。
男が外交官であり、国連ビルにいることを知ったソーンヒルは、外交官タウンゼンドが前日に会った男とは違うことを知るが、タウンゼンドは殺し屋にその場で刺殺されてしまう。
殺人犯として指名手配されてしまったソーンヒルは、カプランがシカゴに向かったことを知る。
そして、列車に乗ったソーンヒルは、イヴ・ケンドールと言う女性と出会い、匿ってもらうのだが・・・。
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アルフレッド・ヒッチコックが得意とする、”巻き込まれ”型サスペンスの傑作。
ヒッチコックの多くの作品の中で本作が最高傑作かは別として、登場人物の個性、スリル、ユーモア、スピード感、ロマンス、そしてスペクタクルと、どれをとっても超一級品と言える正しく集大成とも言える作品。
第32回アカデミー賞では、脚本、編集、美術賞(カラー)にノミネートされた
1995年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
クライマックスの、ラシュモア山のシーンのスリルと迫力、そしてその映像美は、映画史上に残る名場面となった。
小道具の使い方も抜群で、女性用の化粧カミソリでヒゲを剃るケイリー・グラントの可笑しさ、メモ書きの跡を鉛筆でなぞり場所を探る場面など、何気ないシーンだが実に細かい演出だ。
アカデミー美術賞にもノミネートされただけあり、プラザホテル、国連ビル、グランド・セントラル駅、20世紀特急、そしてラシュモア山など、セットと実物またはペインティングなどが巧みに使われた、見事な仕上がりを見せている。
格子縞が国連ビルに変わる、ソウル・バスによるオープニングタイトルもシンプル且つ斬新で素晴しい。
バーナード・ハーマンの、混乱する主人公の様子を表現したような、軽快なテーマ曲も出色の出来だ。
原題の”North By Northwest”は正しい表現でなく”North-NorthWest”が正しいのだが、これも、主人公の慌てぶりを表現している。
混乱の中で落ち着きがない雰囲気の役柄がはまっているケイリー・グラントの、オシャレでユーモラス、そして行動力もあり、危機にありながら、しっかり女性も口説くという、彼らしさを存分に満喫できる。
また、若くは見えるケイリー・グラント(撮影当時55歳)だが、平原で飛行機に襲われるシーンなどは、よく見ると特撮でなはく、かなり体を張った演技でもあり奮闘している。
ヒロイン役エヴァ・マリー・セイントは、ヒッチコック好みの謎のブロンド美人を魅力的に演じ、大人の女性の魅力を見せてくれる。
こちらもヒッチコック作品らしい、品格ある紳士的な悪役のジェームズ・メイソンは、やはり簡単に、ラシュモア山から蹴落とすようなわけにはいかない存在で、捕まり方も実にスマートだった。
まだ20代のマーティン・ランドーの、冷静且つ無表情な悪役も印象に残る。
ケイリー・グラントとは、同じくヒッチコックの「泥棒成金」(1955)でも義理の親子になる役を演じ、本作では皮肉屋の母親を演じたジェシー・ロイス・ランディスもいい味を出している。
*彼女は、ケイリー・グラントより8歳年上なだけなのだが、茶目っ気のある親子が不自然でもない。
ランディスは194年生まれ説もあり、その場合はケイリー・グラントと同じ歳ということになる。
ベテランのレオ・G・キャロルも、情報局の指揮官役を貫禄十分に演じている。
後に「パットン」(1970)などで重要な役を演ずるエドワード・ビンズも、短いが警部役で登場する。
同作に出演したローレンス・ドブキンも、情報局員役で出演している。
刺殺される外交官フィリップ・オバー、ソーンヒル家の弁護士エドワード・プラットなどが共演している。