シドニー・ポワチエがアフリカ系俳優初となるアカデミー主演男優賞を受賞した記念すべき作品。 監督ラルフ・ネルソン、共演リリア・スカラによる、自由気ままに生きる青年と修道女たちの交流を描くヒューマン・ドラマの傑作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ラルフ・ネルソン
製作:ラルフ・ネルソン
原作:ウィリアム・E・バレット
脚本:ジェームズ・ポー
撮影:アーネスト・ホーラー
編集:ジョン・マカフェティー
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演
シドニー・ポワチエ:ホーマー・スミス
リリア・スカラ:マザー・マリア
リサ・マン:シスター・ガーテルード
アイサ・クリノ:シスター・アグネス
フランチェスカ・ジャーヴィス:シスター・アルベティン
パメラ・ブランチ:シスター・エリザベス
スタンリー・アダムス:ホアン・アキリート
ダン・フレーザー:マーフィー神父
ラルフ・ネルソン:アシュトン
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1963年製作 94分
公開
北米:1963年10月1日
日本:1964年10月
製作費 $240,000
■ アカデミー賞 ■
第36回アカデミー賞
・受賞
主演男優賞(シドニー・ポワチエ)
・ノミネート
作品
助演女優(リリア・スカラ)
脚色・撮影賞(白黒)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
アリゾナ。
気ままな旅を続ける青年ホーマー・スミス(シドニー・ポワチエ)は、人里離れた土地で車を走らせていた。
スミスは、車がオーバーヒートしそうになっていることに気づき、ある建物に立ち寄る。
そこには、東ドイツの修道会から派遣された、ヨーロッパ各地の修道女達、マザー・マリア(リリア・スカラ)、シスター・ガーテルード(リサ・マン)、シスター・アグネス(アイサ・クリノ)、シスター・アルベティン(フランチェスカ・ジャーヴィス)、そしてシスター・エリザベス(パメラ・ブランチ)らが暮らしていた。
マザー・マリアは、神が使わした男とばかりに、スミスに、自分達の仕事を手伝わせようとする。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
気ままな旅を続けていた青年ホーマー・スミスは、立ち寄った住居で、東ドイツの修道会から派遣された修道女達に出会う。
院長マザー・マリアは、スミスが神から使わされた男だと言って、彼に建物の修復作業を頼む。
それを済ませ、旅立とうとするスミスを引き止めたマザー・マリアは、自分達の夢である教会を建てることを彼に手伝わせようとする。
強引なマザー・マリアの言動に戸惑うスミスだったが、修道女達や彼女らの信者との交流などで改心し、労働に喜びを見出し、たった独りで教会を建てようとするのだが・・・。
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1962年に発表されたウィリアム・E・バレットの同名小説を基に製作された作品。
シドニー・ポワチエが、アフリカ系俳優初となる、アカデミー主演男優賞を受賞した記念すべき作品で、メルヘンチックでもある心温まるヒューマン・ドラマの傑作。
建設会社社長で、重要な役として出演もしている、製作も兼ねたラルフ・ネルソンの、意気込みが感じられる作品。
主人公らが歌うジェリー・ゴールドスミスの主題曲と共に、”The End”ではなく”Amen”の文字で幕を閉じる、粋なラストも印象に残る。
第36回アカデミー賞では、シドニー・ポワチエが主演男優賞を受賞した。
・ノミネート
作品
助演女優(リリア・スカラ)
脚色・撮影賞(白黒)
正面きって押し付けがましくもなく、タイトルの基になる聖書の一説をさり気無く引用したり、気のいい青年シドニー・ポワチエと、頑固で確り者の修道院長リリア・スカラの交流が、実にユーモラスに描かれている。
主演のシドニー・ポワチエの、気さくで現代的な考えの青年が、天使のように見える忘れ難い感動のラストは涙を誘う。
強引な院長に真っ向から意見を返し、何事にも動じない自己主張を貫く態度は、いかにもアメリカ人的だ。
最後まで、スミスに面と向かって感謝の言葉を伝えない、頑固な修道院長リリア・スカラの名演なくして本作は語れない。
クライマックスで、スミスが立ち去る前に、マザー・マリアは、”彼(神)が教会を建てた”と言いながらスミスを見つめ、神と彼を同等に扱う、彼女らしい感謝を表現する演出も素晴らしい。
オーストリア生まれの彼女は、夫がユダヤ人だということを理由にナチスから迫害を受け、イギリスからアメリカに渡った苦労人である。
ドラマの中でスミスに、「私達がどれだけ苦労してこの地に辿り着いたか・・」というセリフには説得力があり、迫力すら感じる。
その他4人のシスター、リサ・マン、アイサ・クリノ、フランチェスカ・ジャーヴィス、パメラ・ブランチ、レストランの主人スタンリー・アダムスや、神父のダン・フレーザーとの、主人公の親交も興味深く描かれている。