1924年に上演されたショーン・オケイシーの舞台劇”Juno and the Paycock”を基に製作された作品。 ”アイルランド独立戦争”後の内戦の混乱期を舞台にある家族の悲劇を描く、監督、脚本アルフレッド・ヒッチコック、主演エドワード・チャップマン、シドニー・モーガン、サラ・オールグッド、メイア・オニール、バリー・フィッツジェラルド他共演のドラマ。 |
・ドラマ
・アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock 作品一覧
・アルフレッド・ヒッチコック / Alfred Hitchcock / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:アルフレッド・ヒッチコック
製作:ジョン・マックスウェル
原作:ショーン・オケイシー”Juno and the Paycock”(戯曲)
脚本
アルフレッド・ヒッチコック
アルマ・レヴィル
撮影:ジャック・E・コックス
編集:エミール・デ・ルール
出演
ジョン・ボイル/船長:エドワード・チャップマン
”ジョクサー”デイリー:シドニー・モーガン
ジュノー・ボイル:サラ・オールグッド
メイジー・マディガン:メイア・オニール
ジョニー・ボイル:ジョン・ローリー
メアリー・ボイル:キャサリン・オレガン
チャールズ・ベンサム:ジョン・ロングデン
ジェリー・ディヴァィン:デイヴ・モリス
雄弁家:バリー・フィッツジェラルド
イギリス 映画
配給
Wardour Films(イギリス)
Harold Auten(北米)
1930年製作 95分
公開
イギリス:1930年9月22日
北米:1930年6月29日
日本:未公開
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
アイルランド、ダブリン。
”アイルランド内戦”の最中、街角で人々を前に語る雄弁家(バリー・フィッツジェラルド)が、過激派に射殺される。
その場にいたジョン・ボイル/船長(エドワード・チャップマン)と”ジョクサー”デイリー(シドニー・モーガン)はパブに逃げ込む。
二人は、パブのオーナー、メイジー・マディガン(メイア・オニール)から、過激派に密告する者がいるらしいという話を聞く。
ジョクサーはボイルに酒をおごろうとするものの無一文だったため、メイジーが払うと言ってくれたのを幸いに、二人は一杯飲み干してその場を去る。
ボイルは、妻ジュノー(サラ・オールグッド)がいないはずだと言ってジョクサーを家に誘う。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
仕事嫌いで酒浸りのボイルと暮らす妻ジュノーは、夫の言動に呆れる日々を送っていた。
そんなある日、娘メアリーと付き合う弁護士のチャールズの訪問を受けたボイルは、亡くなった親戚の遺産である大金が受け取れることを知らされる。
生活に困窮していたボイル一家は、遺産を当てにして贅沢を始めるのだが・・・。
__________
ショーン・オケイシーの舞台劇”Juno and the Paycock”を絶賛したアルフレッド・ヒッチコックが、妻アルマ・レヴィルと共に脚色した意欲作。
ヒッチコック自身は、映画として追加する場面がないという考えで、舞台を忠実に再現したと言われている。
”船長”と呼ばれるボイルを舞台で演じた、映画デビューしたばかりである、その後、数々の名画に出演するバリー・フィッツジェラルドが、冒頭で殺されてしまう雄弁家を演じている。
仕事もしないロクデナシ亭主である”船長”の言動がユーモラスなため、タイトルを含めてコメディ映画のように感じるが、終盤にかけては、その家族を襲う悲劇を描くドラマである。
ローマ神話の結婚生活を守護する女神の名でもある、貧民街で暮らす女性”ジュノー”と、見栄ばかり張ることで”孔雀”と渾名される夫を皮肉るタイトルも面白い。
序盤で、”内戦”における過激派の行動や裏切り行為などが語られ、それに絡む主人公の息子の怯える姿、未婚の母となる娘が、父親や神にも見捨てられと思い込む悲劇などが描かれ、ヒッチコックがその後の作品で見せる”間接的恐怖”のベースが窺えるところなどが興味深い。
実はまだ20代である、自堕落な夫を演ずるエドワード・チャップマン、その妻で舞台のオリジナル・キャストでもあるサラ・オールグッド、船長(エドワード・チャップマン)の友人で飲み仲間のシドニー・モーガン、パブのオーナーのメイア・オニール、主人公の息子ジョン・ローリー、娘キャサリン・オレガン、その恋人ジョン・ロングデン、娘に惹かれる青年デイヴ・モリス、そして雄弁家でバリー・フィッツジェラルドが冒頭だけ登場している。