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仮面の米国 I Am a Fugitive from a Chain Gang (1932)

刑務所を脱獄し劣悪な環境下の非人道的な実態を暴露し闘う男を描く、製作ハル・B・ウォリス、監督マーヴィン・ルロイ、主演ポール・ムニグレンダ・ファレルヘレン・ヴィンソンノエル・フランシスプレストン・フォスターエドワード・エリス他共演の社会派ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(社会派)


スタッフ キャスト
監督:マーヴィン・ルロイ
製作:ハル・B・ウォリス
原作:ロバート・E・バーンズI Am a Fugitive from a Georgia Chain Gang!
脚本
ハワード・J・グリーン
ブラウン・ホームズ
撮影:ソル・ポリート
編集:ウィリアム・ホームズ
音楽:ベルンハルト・カウン

出演
ジェームス・アレン:ポール・ムニ
マリー:グレンダ・ファレル
ヘレン:ヘレン・ヴィンソン
リンダ:ノエル・フランシス
ピート:プレストン・フォスター
バーニー・サイクス:アレン・ジェンキンス
判事:バートン・チャーチル
ボンバー・ウェルス:エドワード・エリス
アリス:サリー・ブレーン
アレン夫人:ルイーズ・カーター
アレン牧師:ヘイル・ハミルトン
刑務所長:デヴィッド・ランドー
アッカーマン:ジャック・ラ・ルー(クレジットなし)
鍛冶屋:ウォルター・ロング(クレジットなし)

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1932年製作 93分
公開
北米:1932年11月10日
日本:1933年6月8日
製作費 $195,850
北米興行収入 $650,000
世界 $1,599,000


アカデミー賞
第6回アカデミー賞
・ノミネート
作品
主演男優(ポール・ムニ
録音賞


ストーリー
第一次世界大戦後、帰国したジェームス・アレン(ポール・ムニ)は、工兵として活躍した戦地での技術を活かし、土木建築の仕事を考える。
故郷に戻ったアレンは、母(ルイーズ・カーター)や牧師の兄(ヘイル・ハミルトン)、友人アリス(サリー・ブレーン)らに迎えられる。
戦前働いていた靴工場に好待遇で戻ったアレンだったが、その仕事に満足できず、家族を心配させる。
そんなアレンは、家を出て各地を転々としながら放浪生活を続ける。
ある町でピート(プレストン・フォスター)という男に出会ったアレンは、彼と共にダイナーに向かう。
銃を店主に向けたピートは、レジの現金を奪うようアレンに指示する。
仕方なくそれに従ったアレンは、駆け付けた警官に逮捕される。
アレンは、裁判の末に10年間の重労動の刑を受けて刑務所に入る。
劣悪な環境で看守に痛めつけられる日々を送るアレンは耐えきれず、囚人のボンバー・ウェルス(エドワード・エリス)の協力を得て脱獄する。
何とか逃げ延びたアレンは、出所していたバーニー・サイクス(アレン・ジェンキンス)と彼の友人リンダ(ノエル・フランシス)に匿ってもらう。
シカゴに向かったアレンは、建設会社の肉体労働者となり、その後、工学や建築の知識を活かして昇進していく。
アパートを借りたアレンは、大屋のマリー(グレンダ・ファレル)と親交を深め愛し合うようになる。
さらに出世したアレンは、兄からの手紙を読んだマリーに脱獄囚だと知られ、結婚を迫れれる。
仕方なくマリーと結婚したアレンだったが、彼女の浪費や浮気に嫌気がさす。
あるパーティーで上流階級の女性ヘレン(ヘレン・ヴィンソン)と知り合ったアレンは恋に落ち、マリーに離婚を迫る。
それを拒み憤慨したマリーは警察に通報し、アレンは逮捕されてしまい、築き上げた地位を使い、刑務所の非人道的な実態を暴露し闘おうとするのだが・・・。


解説 評価 感想

1932年に発表された、ロバート・E・バーンズの自伝”I Am a Fugitive from a Georgia Chain Gang!”を基に製作された作品。

製作ハル・B・ウォリス、監督マーヴィン・ルロイ、主演ポール・ムニによる、刑務所を脱獄し劣悪な環境下の非人道的な実態を暴露し闘う男を描く社会派ドラマ。

第6回アカデミー賞では、作品、主演男優(ポール・ムニ)、録音賞にノミネートされた。

1991年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

1987年に公開された、ヴァル・キルマー主演の「エリオット・バーンズの帰還」は本作のリメイク。

上記のように、原作はロバート・E・バーンズの自伝であり、1920年代にジョージア州で服役していた際に、”チェーン・ギャング”と呼ばれる非道で残虐な看守に対する彼の怒り、そして脱獄した後の逃亡生活などが描かれている。
囚人を同情的に描いた最初の映画でもある。

ロイ・デル・ルースが監督する予定だったが、大恐慌で混乱している世の中のことを考え、物語の主題の重みや興行的な成功が望めないと判断した彼はそれを断り、「四十二番街」(1933)の撮影が始まっていたマーヴィン・ルロイが、ロイド・ベーコンに後を任せて本作の監督となり、ルロイポール・ムニを主人公に配役した経緯がある。

戦後のマーヴィン・ルロイの作風とは違う、メッセージ性のある力強い演出は見ものだ。

主演のポール・ムニは、波乱の人生を送る主人公を見事に演じ、アカデミー主演賞にノミネートされた。
ラストの”But you must, Jim. How do you live?” ”I steal”(でもジム、どうやって生きるの? 私は盗む・・・)は、映画史に残る名ゼリフとなった。

主人公が脱獄囚だと知り結婚して強請るグレンダ・ファレル、既婚の主人公と知り合い恋に落ちる上流階級の女性ヘレン・ヴィンソン、脱獄した主人公を匿うノエル・フランシス、主人公を強盗に加担させる男プレストン・フォスター、脱獄した主人公を匿う出所していた囚人仲間アレン・ジェンキンス、判事のバートン・チャーチル、主人公の脱獄に協力する囚人エドワード・エリス、主人公の友人サリー・ブレーン、主人公の母親ルイーズ・カーター、主人公の兄で牧師のヘイル・ハミルトン、刑務所長のデヴィッド・ランドー、囚人のジャック・ラ・ルー、鍛冶屋のウォルター・ロングなどが共演している。


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