”Broadway Melody”シリーズの第2作。 ブロードウェイの特ダネを狙うコラムニストやダンサー志望の女性とプロデューサーらが巻き起こす騒動を描く、監督ロイ・デル・ルース、主演ジャック・ベニー、エレノア・パウエル、ロバート・テイラー、ウナ・マーケル、シド・シルヴァース、バディ・イブセン、ジューン・ナイト他共演のミュージカル。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロイ・デル・ルース
製作:ジョン・W・コンシダインJr.
原作:モス・ハート
脚本
ジャック・マッゴーワン
シド・シルヴァース
撮影:チャールズ・ロッシャー
編集:ブランチ・シューエル
音楽
ナシオ・ハーブ・ブラウン
アーサー・フリード
アルフレッド・ニューマン
出演
バート・キーラー:ジャック・ベニー
アイリーン・フォスター:エレノア・パウエル
ロバート”ボブ”ゴードン:ロバート・テイラー
キティ・コルベット:ウナ・マーケル
スヌープ・ブルー:シド・シルヴァース
テッド・バーク:バディ・イブセン
リリアン・ブレント:ジューン・ナイト
サリー・バーク:ヴィルマ・イブセン
バジル・ニューカム:ニック・ロングJr.
いびきの専門家:ロバート・ジョン・ワイルドハック
スカリー:ポール・ハーヴェイ
本人:フランセス・ラングフォード
本人:ハリー・ストックウェル
アメリカ 映画
配給 MGM
1935年製作 101分
公開
北米:1935年8月25日
日本:1936年2月
製作費 $1,062,000
北米興行収入 $1,655,000
世界 $2,871,000
■ アカデミー賞 ■
第8回アカデミー賞
・受賞
ダンス監督賞
・ノミネート
作品・原案賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク。
新聞社のコラムニスト、バート・キーラー(ジャック・ベニー)は、ラジオ放送で流したブロードウェイの裏情報を、上司のスカリー(ポール・ハーヴェイ)に批判される。
街中から嫌われてもいいネタを掴めと言われたバートは、助手のスヌープ・ブルー(シド・シルヴァース)と共にスキャンダルを探す。
スヌープは、窓から見える隣りのビルのパーティー会場が気になる。
新作”ブロードウェイ・リズム”を控える若手のプロデューサー、ロバート”ボブ”ゴードン(ロバート・テイラー)が、富豪の未亡人リリアン・ブレント(ジューン・ナイト)と話していることに気づいたスヌープは、それをバートに伝える。
出資をすることを決めたリリアンは、自分たちの関係も維持することをボブに約束させる。
スヌープと共にその様子を見ていたバートは、2人のことを記事にしようとする。
ボブのオフィスを訪ねた高校時代の友人アイリーン・フォスター(エレノア・パウエル)は、受付兼秘書のキティ・コルベット(ウナ・マーケル)に、オールバニー出身だということと彼との関係を話す。 そこに現れたバートは、ボブに会おうとするものの、キティから留守だと言われ、リリアンのことで彼女に探りを入れる。 バートは、何も答えてもらえないために待つことにする。 バートは、隣りに座るいびきの専門家の教授(ロバート・ジョン・ワイルドハック)と話をする。 教授の話を聞く気になれないバートは去ろうとするが、そこにボブが戻ってくる。 キティに衣装のことを指示したボブは、その場にいたアイリーンに気づかない。 アイリーンはショックを受けるが、キティから面会の予約をとることを勧められる。 バートはボブに相手にされず、リリアンの件だったと言いながら、明日の朝刊を読むようにとキティに伝えてその場を去る。 部屋を借りたアイリーンは、屋上で、朝食をとりながら踊るダンサーのテッド・バーク(バディ・イブセン)と妹サリー(ヴィルマ・イブセン)に出会い親しくなる。 ボブのことでショックを受けていたアイリーンは、励ましてくれる2人と共に歌い踊る。 デスクの上にあった高校の徽章に気づいたボブは、キティからアイリーンのものだと言われ、彼女を思い出して会おうとする。 ボブは、アイリーンの居場所は分からないと言うキティに、彼女を捜させる。 バートの記事を見たリリアンが苛立ちながら現れ、その内容を知ったボブは、彼を呼ぶようキティに指示する。 誰かが自分たちのことを話したと考えるリリアンは、ボブのアシスタントのバジル・ニューカム(ニック・ロングJr.)を疑うが、彼はそれを否定する。 バートに連絡したキティから、会いたければ来いと言っていることを知らされたボブは、憤慨して新聞社に向かう。 バートのオフィスに向かい記事の内容を批判したボブは、宣伝になるだろうと言う彼を殴り、スヌープを押し倒してその場を去る。 その後、スヌープとドーナツショップにいたバートは社に戻り、その場にいたキティはスヌープに話しかけて、ボブがアイリーンという女性を捜していることを伝えて協力してもらう。 社に戻ったスヌープは、そのことをバートに伝えて記事にしてもらおうとする。 そこに、いびきの教授が現れ、バートは、スヌープに彼のいびきを聞かせる。 自分のことが記事になったことをテッドから知らされたアイリーンは、もう一度ボブに会ってみることを勧める彼から、タップ以外のダンスができるか訊かれる。 アイリーンは、「勝利の朝」のキャサリン・ヘプバーンが演じた”エヴァ・ラヴレイス”の真似をして見せる。 発行部数が増えたことに気を良くしたバートは、いずれ独立して、全国で自分の記事が読まれるようになるとスヌープに話す。 記事を読んで苛立ち新聞社に向かったボブは、バートを殴り倒し、二度と許さないと言ってその場を去る。 フランセス・ラングフォードらと共にリハーサルを続けるボブは、オーディションに現れたアイリーンとの再会を喜ぶ。 大スターになることを夢見るアイリーンに、ボブはブロードウェイの厳しさを語り、彼女のためを思い無理だと伝える。 バジルからリリアンが待っていることを知らされたボブは、彼女に会い、記事のアイリーンのことを訊かれ、同郷の女性だと答える。 ボブを待つアイリーンは、自分がステージに立ち、観客から喝采を浴びることを想像する。 キティからボブは戻れないと言われたアイリーンは、その場を去る。 リリアンから、新作で自分を主役に起用するようにと言われたボブは驚き、2週間で主役が決まらなければ指示に従うことを約束する。 キティにロサンゼルス行きのチケットを手配させたボブは、リリアンに、ハリウッドでガルボ並の女優を探してくると伝える。 ボブから、この件は内密にするようにと指示されたキティだったが、ドアの陰にスヌープがいたために驚き、夕食に付き合うことを条件に、バートには話さないことを約束させる。 ドーナツ・ショップにいたキティとスヌープは、現れたバートから、ネタはないかと訊かれる。 スヌープがボブとリリアンのことをバートに話してしまい、キティは約束を破った彼に呆れる。 バートは、葉巻の名前で思いついた”ラ・ベル・アーレット”という架空のフランス人女優のことをキティに話し、それをネタに記事を書くことを考える。 主役の女優を見つけられないままハリウッドから戻ったボブは、バートのアーレットに関する記事をキティから渡され、彼女を探すよう指示する。 女装させたスヌープをホテルに宿泊させたバートは、部屋にアーレットがいることにして、彼に電話番をさせる。 アーレットが宿泊しているホテルを見つけたキティは電話をするものの、相手(スヌープ)から本人は忙しいと言われ、ボブに回して受話器から聴こえる歌声を聴かせる。 相手と話をしたボブも忙しいと言われ、電話を切られてしまう。 ボブは、アーレットに電報を打つようキティに指示し、アイリーンが待っていることを知り話をする。 同行していたテッドとサリーをアイリーンから紹介されたボブは、デトロイトの舞台を観たと2人に伝える。 テッドとサリーから、アイリーンをショーに使ってほしいと言われたボブは、検討すると伝えて2人を採用する。 アイリーンと2人で話をしたボブは、端役ならいくらでもあることを伝える。 それでいいと言うアイリーンだったが、君のためにならないと伝えたボブは、オールバニーに帰るよう指示する。 徽章を返しアイリーンにキスしたボブは、彼女に対する気持ちが変わるものの、そのまま帰す。 ボブから故郷に帰るようにと言われたことをキティに話したアイリーンは、チャンスさえ与えてくれれば自信はあると彼女に伝える。 キティは、アイリーンが他とは違う雰囲気がある女性だと思いながら、彼女をその場に待たせて、呼ばれたボブの元に向かう。 ボブからアイリーンの列車のチケットを手配するよう指示されたキティは、アーレットのことを訊かれ、連絡はしているが忙しいとしか答えてくれないと伝える。 再びアーレットに電話をしたキティは、相手が自分の名前を知っていたために不思議に思い、ホテルに向かう。 歌声が聴こえる部屋に入ったキティは、スヌープが女装して寝ていることに気づき、メモを残してその場を去る。 駅まで送ってくれたボブに別れを告げたアイリーンは、次の駅で降りて、迎えに来たキティに気づく。 オールバニーで投稿する手紙をポーターに渡したアイリーンは、キティと共にタクシーに乗る。 その後、テッドとサリーもリハーサルに加わるが、依然として主役は決まらなかった。 リリアンと自分を侮辱するバートの記事を見たボブは新聞社に向かい、再び彼とスヌープを痛めつける。 結局、時間切れとなり、主役を探すこと諦めるしかないボブは、リリアンと契約しようとするが、アーレットが訪ねて来たことをキティから知らされる。 キティの協力でアーレットに扮したアイリーンは、ボブに挨拶する。 アーレットを紹介されたリリアンは、契約できないまま、苛立ちながらその場を去る。 ボブがアーレットを主演に起用したことを知ったバートは、それをスヌープに話し、存在しない女優が現れたことを不思議に思う。 スヌープがキティと電話で話し、彼女の名前を口にしてしまったことを知ったバートは驚く。 自分が寝ている間に部屋に来たキティが置いて行ったメモがあると言うスヌープは、それをバートに見せる。 ”覚悟しておくように”というキティのメモを見てスヌープを責めるバートは、アーレットの正体を探ろうとする。 リハーサルを始めたアーレット(アイリーン)は、ピアノの演奏が気に入らないために、演奏なしで見事なタップダンスを披露して、ボブを満足させる。 パリにいる本物のアーレットから訴えると言われたいたスカリーは、その件をバートに伝える。 それを気にしないバートは、アーレットを”抹殺”するとスカリーに伝える。 ボブに説得され、気が進まない宣伝のためのパーティーへの出席を承諾したアイリーンは、バートからの電話を受ける。 新聞社に来るようにとバートに指示されたアイリーンは、それに従うしかなかった。 バートは、現れたアイリーンがシラを切るため、ボブに電話しようとするが、彼女は、役を得るために仕方なくしたと言って、ウソをついたことを認める。 アーレットが帰国する記事を書くことをアイリーンに伝えたバートは、ボブのショーを台無しにしたくない彼女から、必ず幕は上げて見せると言われ、パリに本物のアーレットがいることを知らせる。 諦めようとしたアイリーンは、自分たちは偽の情報に乗せられただけだとバートに伝えて、あることを考える。 その後パーティーは始まり、ボブはアーレットが現れないために苛立つ。 そこにバートとアイリーン、スヌープとキティが姿を現し、ボブは驚く。 アイリーンに声をかけたボブは、故郷には帰らなかったと言う彼女を、バートがエスコートしていることが気になる。 バートのコラムをバジルから渡されたボブは、アーレットが現れなかったために、自分がパーティーで恥をかいたという内容を確認する。 バジルから、アーレットはホテルを去り居場所が分からないことを知らされたボブは戸惑う。 アイリーンは準備のために席を外し、ショーが始まりフランセス・ラングフォードが登場する。 続いてテッドとサリーのダンスとレビュー、リリアンとバジルのダンスが続く。 そしてアイリーンが登場し、ボブは彼女の見事なダンスを見て驚く。 スカリーに電話したバートは、”ブロードウェイ・リズム”の主役がアイリーンに決まったという内容にコラムを差し換えるよにと伝える。 ボブとスヌープは、その場にいたいびきの教授の話を聞く気になれない。 アイリーンはスターになれると確信したボブは、彼女に愛を告げる。 ボブとアイリーンは、皆が祝福してくれていることに気づく。
...全てを見る(結末あり)
参考:”Broadway Melody”シリーズ
・「ブロードウェイ・メロディー」(1929)
・「踊るブロードウェイ」(1935)
・「踊る不夜城」(1937)
・「踊るニュウ・ヨーク」(1940)
*(簡略ストーリー)
ニューヨーク。
新聞社のコラムニスト、バート・キーラーは、ブロードウェイで特ダネを狙っていた。
バートは、若手のプロデューサーであるボブが、富豪の未亡人リリアンと関係していることを記事にして2人の反感を買う。
そんな時、ボブの高時代の友人でダンサー志望のアイリーンが、彼を訪ねて再会し大スターを目指そうとするのだが・・・。
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”Broadway Melody”シリーズの第2作であり、シリーズの中で最高傑作と言われている作品。
*全4作に物語のつながりはない。
ブロードウェイの特ダネを狙うコラムニストや、ダンサー志望の女性とプロデューサーらが巻き起こす騒動を描くミュージカルの秀作。
第8回アカデミー賞ではダンス監督賞を受賞し、作品、原案賞にノミネートされた。
作曲ナシオ・ハーブ・ブラウン、作詞アーサー・フリードによるお馴染みの名曲の数々、一流のダンサーや歌手による最高のパフォーマンス、絢爛豪華なセット、ユーモアを交えたロイ・デル・ルースの軽快な演出など、MGMミュージカルの醍醐味を味わえる愛すべき作品だ。
特に、ファーストクレジットではないが、エレノア・パウエルにとっての初の大役であり、見事なタップはもちろんのこと、バレエも取り入れたダンスも披露してくれる彼女のパフォーマンスは素晴らしい。
彼女の歌声は、他の作品でも担当しているマージョリー・レーン。
MGMミュージカルの代表作でもあるが、コメディとしての出来の良さも注目で、プロデューサー役のロバート・テイラーが、コラムニストの記事に憤慨して新聞社に押し入る際の、その勢いと怒りが伝わる用紙が舞うシーンなどの演出は見事だ。
ブロードウェイで特ダネを狙う強かなコラムニストを熱演する、アメリカを代表するコメディアン、ジャック・ベニー、大スターになる夢を実現しようとするエレノア・パウエル、彼女の高校時代のボーイフレンドであるプロデューサーのロバート・テイラー、その秘書を魅力的に演ずるウナ・マーケル、彼女に惹かれるコラムニストの助手を愉快に演ずる、脚本も担当するシド・シルヴァース、本作がデビュー作となるダンサーのバディ・イブセン、その妹役で実妹でもあるヴィルマ・イブセン、プロデューサーに出資する富豪の未亡人ジューン・ナイト、プロデューサーの助手ニック・ロングJr.、次回作「踊る不夜城」(1937)ではクシャミをする男性役で登場する、いびきの専門家ロバート・ジョン・ワイルドハック、コラムニストの上司ポール・ハーヴェイ、本人役でフランセス・ラングフォードとハリー・ストックウェル(ガイ・ストックウェルとディーン・ストックウェルの父親)などが共演している。