1937年にウィリアム・ウェルマンが監督した”「スタア誕生」”のリメイク。 ハリウッドのスターとなった女優と酒好きでトラブル・メイカーのスターだった夫の凋落を描く、監督ジョージ・キューカー、主演ジュディ・ガーランド、ジェームズ・メイソン他共演のドラマ。 |
・ドラマ
・ジュディ・ガーランド / Judy Garland / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョージ・キューカー
製作:シドニー・ラフト
原作
ウィリアム・ウェルマン
ロバート・カールソン
脚本
モス・ハート
ドロシー・パーカー
アラン・キャンベル
撮影:サム・リーヴィット
編集:フォルマー・ブラングステッド
美術・装置
マルコルム・C・バート
ジーン・アレン
アイリーン・シャラフ
ジョージ・ジェームズ・ホプキンス
衣装デザイン
ジーン・ルイス
メアリー・アン・ナイバーグ
アイリーン・シャラフ
音楽:ハロルド・アーレン
作詞:アイラ・ガーシュウィン
出演
ジュディ・ガーランド:エスター・ブロジェット/ヴィッキー・レスター
ジェームズ・メイソン:ノーマン・メイン
ジャック・カーソン:マット・リビー
チャールズ・ビックフォード:オリヴァー・ナイルズ
トミー・ヌーナン:ダニー・マグワイア
ルーシー・マーロー:ローラ・レイヴリー
アマンダ・ブレイク :スーザン・エッティンガー
ジョーン・ショウリー:ジョーン
メエ・マーシュ:マリブのパーティーのゲスト
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1954年製作
178分(復刻版)/182分(プレミア)/154分(一般上映)
公開
北米:1954年9月29日
日本:1955年5月15日
製作費 $5,019,770
北米興行収入 $4,355,970
世界 $5,921,970
■ アカデミー賞 ■
第27回アカデミー賞
・ノミネート
主演男優(ジェームズ・メイソン)
主演女優(ジュディ・ガーランド)
音楽・歌曲・美術(カラー)・衣装デザイン賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
二枚目映画スター、ノーマン・メイン(ジェームズ・メイソン)が、ハリウッドの”シュライン・オーディトリアム”で行われる映画基金ショー”スタアの夜”に酔って現れる。
撮影所長オリヴァー・ナイルズ(チャールズ・ビックフォード)は、広報のマット・ リビー(ジャック・カーソン)にノーマンの出番を外すよう指示する。
しかし、ノーマンはステージに上がってしまい、出演中の歌手エスター・ブロジェット(ジュディ・ガーランド)が、酔った彼の登場をショーの一部のように見せ、観衆から喝采を浴びてしまう。
ノーマンはエスターに感謝して食事に誘うが、彼女はクラブの仕事があり、それを断り、ピアニストのダニー・マグワイア(トミー・ヌーナン)と共にその場を立ち去る。
...全てを見る(結末あり)
参考:
「スター誕生」(1937)
「スター誕生」(1954)
「スター誕生」(1976)
「アリー/スター誕生」(2018)
*(簡略ストー リー)
ハリウッドのスター、ノーマン・メインは、酒好きのトラブル・メイカーだった。
ノーマンは、ある基金ショーで酔って現れ余興で出演していたクラブ歌手エスター・ブロジェットにその場の失態を救われる。
エスターの歌唱力に目を付けたノーマンは、彼女に映画界入りを勧める。
自分を試すつもりで、それを受け入れることにしたエスターだったが、その後ノーマンとの連絡が取れなくなってしまう。
大スターのお遊びだとも思いつつも、努力を続けたエスターは、連絡が取れなくなっていたノーマンと再会する。
その後ノーマンは、エスターの才能を信じ、自分を犠牲にして彼女を売り込む。
そして、彼女の歌唱力を生かした才能は開花するのだが、それと同時にノーマンの俳優人生は凋落の一途をたどる・・・。
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ジュディ・ガーランドの作品らしく、彼女の歌や踊りがふんだんに盛り込まれ、セミ・ミュージカル仕立てとなっている作品。
映画界の裏側や落ちぶれたスターの悲哀を繊細なタッチで描いたジョージ・キューカーの演出は、シネマスコープの迫力ある映像と華やかな撮影所の雰囲気やセットと共に見応え十分だ。
結局は興行的に失敗した本作の、お蔵入りしていた音声部分を足した完全版(1983)は約3時間にも及ぶ長編となり、紛失した映像場面はスチール写真を使うという珍しい手法をとっている。
第27回アカデミー賞では、主演男優(ジェームズ・メイソン)、主演女優(ジュディ・ガーランド)、音楽、歌曲、美術(カラー)、衣装デザイン賞にノミネートされた。
2000年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
既に1940年代後半から、精神不安定状態となり薬物依存で、仕事に支障をきたしていたジュディ・ガーランドは、1950年の”Summer Stock”を最後にMGMを解雇され、4年ぶりのカムバックとなり、見事な熱演でそれに応えてはいるが、本作撮影時の彼女の行動もかなり乱れていた。
確かに、撮影当時31歳という若さにしては場面により、かなりやつれているように見えて痛々しい感じもする。
アカデミー主演賞にもノミネートされ、本命と言われていたものの、結局「喝采」(1954)のグレース・ケリーに敗れる結果になってしまう。
哀れな最後を迎える凋落する大スターを演じたジェームズ・メイソンの、迫真の演技も素晴しい。
イギリス出身で1940年代末にブロードウェイに登場しハリウッドにも進出した彼は、ローレンス・オリビエと並び称されるイギリス人俳優として活躍する。
本作でもアカデミー主演賞にノミネートされるが、ついに一度も受賞することはなかった。
*「ジョージー・ガール」(1966)、「評決」(1982)では、助演賞にノミネートされた。
共演のチャールズ・ビックフォードも、落ちぶれるスターの言動に苦労しながらも、ヒロインと共に献身的に彼を支える、人間味溢れる撮影所長を、貫禄ある演技で好演している。
冷めた広報マン、ジャック・カーソンの嫌味な役と、コメディアンであるトミー・ヌーナンの、ヒロインを友人として励ます役柄が印象に残る。