黒澤明の「用心棒」(1961)を題材にしたイタリア製西部劇の代表作。 監督、脚本セルジオ・レオーネ、クリント・イーストウッドが大スターへの道筋を築くきっかけとなる作品、ジャン・マリア・ヴォロンテ、マリアンネ・コッホ他共演。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:セルジオ・レオーネ
製作
アリゴ・コロンボ
ジョルジオ・パピ
脚本
セルジオ・レオーネ
ヴィクトル・アンドレス・カテナ
ハイメ・コマス・ギル
ドゥッチオ・テッサリ
撮影:ジャック・ダルマース
編集:ロベルト・チンキーニ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演
クリント・イーストウッド:ジョー”名のない男”
マリアンネ・コッホ:マリソル
ジャン・マリア・ヴォロンテ:ラモン・ロホ
ホセ・カルヴォ:シルヴァニート
ヨゼフ・エッガー:ピリペロ
アントニオ・プリエート:ドン・ミゲル・ロホ
ジークハルト・ルップ:エステバン・ロホ
マリオ・ブレガ:チーコ
ウォルフガング・ルスキー:ジョン・バクスター
マルガリータ・ロサノ:コンスエラ・バクスター
イタリア 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1964年製作 100分
公開
イタリア:1964年9月12日
北米:1,967年1月18日
日本:1965年12月25日
製作費 $200,000
北米興行収入 $11,000,000
世界 $14,500,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
国境近くのメキシコの町。
流れ者の”名のない男”/ジョー(クリント・イーストウッド)が、金のにおいを嗅ぎ付けて現れる。
町のチンピラに脅されたジョーは、宿屋のシルヴァニート(ホセ・カルヴォ)から町の様子を聞かされ、裏の棺桶屋ピリペロ(ヨゼフ・エッガー)が繁盛していることを知る。
棺桶の寸法が測られたと、皮肉まじりに、町から出て行くようにシルヴァニートから助言されたジョーだったが、町を仕切っている、”豊かな”2人のボスの存在を知り留まることを決める。
酒を売る盗賊のロホ兄弟と、銃をさばくバクスター(ウォルフガング・ルスキー)が町を二分していたのだ。
...全てを見る(結末あり)
参考:
・「荒野の用心棒」 (1964)
・「夕陽のガンマン」 (1965)
・「続・夕陽のガンマン」 (1966)
*(簡略ストー リー)
国境近くのメキシコの町。
流れ者の”名のない男”/ジョーは、宿屋の主人シルヴァニートから町の様子を聞き、裏の棺桶屋が繁盛していることを知る。
酒を売る盗賊のロホ兄弟と、銃を売りさばくバクスターが二分している町で、ひと稼ぎできると考えたジョーは、町に滞在することを決める。
シルヴァニートから、ラモンのいるロホ兄弟の勢力が上だと聞いたジョーは、ロホに自分を売り込むことに成功する。
やがて、軍隊の金塊を奪ったラモンが現れるが、彼はジョーを警戒する。
バクスターとの和解をほのめかすラモンは、実は一時的な和平を装い、その後、敵を壊滅させる考えでいた。
それを悟ったジョーはロホの元を去り、さらに大きく稼ぐために、バクスター側に加担するのだが・・・。
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これが始まりのように思われているイタリア製西部劇だが、既に当時、数十本の作品が作られていて、その後、世界的な大スターとなるクリント・イーストウッドが出演していたということで、数年後にアメリカ本土でも話題になった作品。
そういう意味では、イーストウッドの出世作と言える作品でもない。
長い下積みの末、TVの「ローハイド」で人気を得ていたイーストウッドだが、その頃、活躍し始めていたチャールズ・ブロンソンやジェームズ・コバーンでさえも雇えなかった、低予算映画に、代役のような形で出演したというのも事実だ。
しかし、今観ると運命的なものを感じる作品で、演技力があるとも言えないイーストウッドの物腰や一種独特の雰囲気は、スターになる予感を感じさせるものがある。
また、師と仰ぐ同世代のセルジオ・レオーネやエンニオ・モリコーネとの、その後も続く友情が始まったという意味では、記念すべき作品と言える。
誰がどう見ても「用心棒」(1961)の盗作なのだが、製作者側はそれを認めた。
その影響もなく、わずか20万ドルで製作された本作は、北米では3年後の公開になるが1100万ドルを稼ぎ出し、全世界で1450万ドルという、イタリア製西部劇としては驚異的な興行収入をあげた。
この成功により、イーストウッドが、ほぼ同じ雰囲気で登場する”名のない男”シリーズは、続編ではないが、「夕陽のガンマン」(1965)、そして「続・夕陽のガンマン」(1966)へと続く。
正統派西部劇と比較すると、そのコスチュームなどが滑稽に見えてしまうのだが、その辺りは割り切って、単純に「用心棒」(1961)との共通点や違いを探ったりしてみても結構楽しい。
とにかく、今尚、ハリウッドの頂点に君臨しているイーストウッドの存在を思いながら観ると、大袈裟に言えば、感慨深い感じすらする作品でもある。
葉巻をくわえるアイデアが、本当に禁煙家であるイーストウッドのアイデアだったのかなども、今では伝説のような話だが、寡黙でふてぶてしく、精神的に逞しい彼のイメージの原点となったキャラクター作りも出色と言える。
イタリア製西部劇の真骨頂、残虐極まりない敵役のジャン・マリア・ヴォロンテ、彼の情婦マリアンネ・コッホ、主人公の協力者で、宿屋の主人役ホセ・カルヴォと棺桶屋のヨゼフ・エッガーなど、イタリアはじめドイツ、オーストリアなどの俳優を集め、主にスペインで撮影されたという、国際色豊かな作品。