しかしヘンリーは、自分が反対する妻を説得したとニッキーに話し、遠征を許可して、”ギャンブルはするな”、”金は貸すな”、”女性とは関わるな”と忠告して、出発する息子を見送る。
__________
ヘンリーは、試合の成績はよかったのだが、その後が問題で、ニッキーがカジノに行ったこと3人い話す。
__________
ニッキーは、友人ジョンに促されてルーレットを始め、連続して勝ち3万5000フランを手に入れる。
それを見ていた美しい女性ジャンヌ(マイ・セッタリング)は、ニッキーに話しかけ、1万ドルを借りて30分で返すことを約束する。
ニッキーはヘンリーの忠告を守らずジャンヌに金を貸してしまい、金は戻らないだろうと考える。
そのままルーレットを続けたニッキーは勝ち続け、10万フランを手に入れる。
戻らない金だと思っていたニッキーは、ジャンヌから1万フランを返してもらう。
ニッキーは、返金は諦めていたためにジャンヌに失礼なことを言ってしまうものの、既婚者だった彼女に誘われて食事をする。
ニッキーと楽しい時間を過ごしたジャンヌは、彼が10万フラン勝ったことを知り驚く。
父から忠告されたことをジャンヌに話したニッキーは、2つは問題なかったものの問題の3つ目を訊かれ、女性と関わるなと言われたことを話す。
その忠告は正しいというジャンヌは、ニッキーとダンスをして夜中まで過ごす。
馬車でニッキーを送ったジャンヌは別れを惜しみ、ホテルが既に閉まっていると言って、彼を自分の部屋に誘う。
ソファで寝ればいいと言われたニッキーは、ジャンヌから毛布を借りて眠る。
その後、起きてきたジャンヌに気づいたニッキーは、彼女が自分の財布を花瓶に隠す様子を、寝たふりをしながら見ていた。
ジャンヌは去り、ニッキーは現金を戻して再び眠る。
朝になりジャンヌに起こされたニッキーは、着替えようとして財布を床に落としてしまい、それを彼女に見られて気まずい思いをする。
ニッキーは、楽しい一夜を過ごせたことに感謝するジャンヌにキスされ、その場を去る。
帰国する機内でニッキーはジョンにジャンヌのことを話し、彼女が財布から金を抜いたかもしれないと言われ、それを確認する。
紙幣を数えたニッキーは、10万ドル以上だったために驚き、花瓶が彼女の金庫だったと気づき、思わず笑ってしまう。
__________
ニッキーから、忠告は間違っていると言われヘンリーは、今は自分がボケ老人のように思えると話し、苛立つ気持ちをレスリーらに伝える。
・ 第二話 変り種
イングランド。
21歳の誕生日を迎えたジョージ・ブランド(ダーク・ボガード)は、貴族の父フレデリック卿(レイモンド・ラヴェル)から、人生の目標を訊かれる。
ピアニストになる決心をしていたジョージは、家族全員が望まないことを知りながら、その考えを変える気はなかった。
翌朝、朝食をとる家族はジョージの話題になり、息子の考えが冗談だと思うブランド夫人(アイリーン・ブラウン)は、それを本人に確かめる。
本気だと言うジョージにフレデリック卿は、莫大な財産を引き継ぐ責任を果たすべきだと話し説得する。
大学を中退して来週パリに行くことを決めていたジョージは、父の支援も断る。
ジョージは、家業を継いでいるおじジョンからも、事業を手伝うか議員の座を譲ると言われるものの、考えを変えるつもりはなかった。
姪のポーラ(オナー・ブラックマン)に意見されたフレデリック卿は、頑固なジョージにチャンスを与え、2年間、勉強させることを条件に、帰国後に音楽家の判断を仰ぐことを提案される。
一流のピアニストになれるなら続けさせて、見込みがなければ諦めさせればいいというポーラの意見を聞き入れたフレデリック卿は、ジョージの生活の保障も約束して納得する。
ジョージと話したポーラは、フレデリック卿を説得したことを伝えて、帰国後、専門家に一流になれないと言われた場合は諦めることを約束させる。
感謝されたポーラは、ジョージに惹かれていたのだが、彼が音楽にしか興味がないことに気づき、愛を伝えただけでその場を去る。
ポーラは、すべて話がついたことをフレデリック卿に伝える。
2年後、パリ。
約束の期限が近づき、ジョージを訪ねたポーラは、彼の演奏を聴かせてもらう。
ポーラは、審査してくれるのが著名なピアニストのレア・マカルト(フランソワーズ・ロゼー)であることをジョージに伝える。
ジョージに音楽を諦めた場合のことを訊いたポーラは、考えたことがないと言う彼が恋をする気もないために、あまり延ばさないでほしいと伝える。
審査の日。
ブランド邸に到着したレアは家族に迎えられ、フレデリック卿から、ジョージに才能があるなら邪魔はしないと言われ、まだ5~6年は勉強が必要だと伝える。
ジョージはピアノを弾き始め、レアは家族と共に演奏を聴き、ポーラは彼と話した恋愛についてなどを考える。
演奏を終えたジョージは、レアに率直な意見を求め、一流になるのは無理だと言われてショックを受ける。
レアは、熱心に学んだテクニックは認めるが、才能に乏しく、魂と情熱が感じられないとジョージに伝える。
上級のアマチュア以上は期待できないとも言われて納得したジョージは、レアに感謝する。
ジョージは、頼みごとがあると言って演奏をリクエストする。
手袋を脱ぎ、おもむろに指輪を外したレアはピアノを弾き始め、ジョージとポーラは、明らかに違う演奏だと思い納得する。
部屋に戻ったジョージは、猟銃を手にする。
そこにポーラが現れ、ジョージは心配する彼女に、銃の手入れをしようとしていただけだと伝える。
クリケットにも出かける気にならないジョージは、ポーラから、他のものをみつける話について、あまり延ばさないでほしいと言われてキスされる。
車で出掛けようとしたポーラは、銃声を聴いて驚く。
胸を撃って亡くなったジョージの事件について裁判が開かれ、陪審員長は、銃の手入れ中の事故死だと考え、彼のような立場なら、ピアノの才能がないだけで自殺はしないだろうと裁判長に伝える。
・ 第三話 凧
刑務所を訪れた教戒師のプレストン(バーナード・リー)は、所長から、囚人のハーバート・サンベリー(ジョージ・コール)に会ってほしいと言われ、彼に面会する。
プレストンは、妻に生活費を払わないハーバートにその理由を尋ね、絶対に許せないと言う彼から、彼女が凧を壊したことを知らされる。
理解できないプレストンは、所長とその件について話す。
__________
子供時代のある土曜日に、ハーバートは、両親サミュエル(マービン・ジョンズ)とベアトリス(ノーラ・スウィンバーン)と共に、広場で多くの人が凧揚げするのを見て、その光景に魅了された。
町では凧揚げクラブが発足して、人気になっていたのだった。
母親にねだり凧を手に入れたハーバートは、それを揚げるのには苦労した。
成人しても凧のことを常に考え設計もしていたハーバートは、両親の協力を得て新しい凧を作ることにする。
ある日ハーバートは、3か月前に映画館で隣り合わせたベティ・ベイカー(スーザン・ショウ)の話をして、お茶に招待することを両親に知らせる。
気が進まないベアトリスだったが、仕方なくお茶の支度をして、サミュエルと共にベティを迎える。
ベアトリスは、その場は話を合わせるもののベティを好きになれず、ハーバートが騙されていると思い、サミュエルは息子を信じる。
ベティを送って戻ったハーバートは、ベアトリスの態度を批判し、自分への侮辱だとも言われて母と口論になる。
憤慨したハーバートは、ベティと婚約したことをベアトリスに伝えて驚かせる。
土曜日。
出かけるジョージは、再来週に結婚するので、ベティと住む家を見に行くことをベアトリスに話し、今日は凧揚げには行かないと伝える。
悲しむベアトリスに、その後は凧揚げを続けると伝えたジョージは、お金を出した凧には触らないでほしいと言われて苛立つ。
ベティから凧揚げは子供じみていると言われていたジョージは、ベアトリスの話も聞かずに出かける。
その後、ベティと結婚して2人で暮らし始めたジョージは、両親が土曜日に凧揚げを続けていることを知り、様子を見に行く。
映画を観に行く約束をしてジョージを送り出したベティは、彼の行き先が気になり後をつける。
凧が揚がらないサミュエルは、ジョージに気づいたベアトリスから、もう一度試すようにと指示される。
サミュエルにコツを教えたジョージは、自分が凧を揚げて楽しむ。
その後、サミュエルと共に新しい凧の設計に夢中になったジョージは、ベティとの約束を思い出して帰宅する。
後をつけたと言うベティから、凧揚げをしていたことを批判されたジョージは、彼女と口論になるものの、互いの考えを理解して愛を確かめる。
2週間後、サミュエルと出くわしたジョージは、凧が完成したことを知り、次の土曜日に凧揚げをしようとする。
それをベティに知られて激しい口論となったジョージは、頬をぶたれたために、彼女を無視して出かける。
広場に向かったジョージは、両親や人々の前で、自分が設計した凧を揚げて楽しむ。
帰宅したジョージは、自分を追い出そうとするベティが荷物をまとめてあることに気づき、話しもしようとしないために実家に向かう。
ジョージを歓迎したベアトリスは、自分の思い通りになったために満足する。
その後、ベティに生活費を送金しようとしたジョージは、ベアトリスから、夫を追い出したのだから自分が働けばいいと言われるものの、彼女を気の毒に思う。
そこにベティが現れ、対応したベアトリスは、彼女に12シリングだけ渡して追い払う。
その後、ジョージに会ったベティは謝罪し、戻ってきてほしいと伝えるものの、毎週35シリングは送るので近づくなと言われて苛立つ。
訪ねて来た記者に凧についての取材を受けたジョージは、倉庫の凧が壊されていることに気づき、ベティの仕業だと考える。
それを確かめに行って戻ったジョージは、二度とベティを許さないと言って、送金もせずに彼女を困らせようとする。
__________
所長は、その後ジョージは、ベティに生活費などを払わず、判事の命令も無視したために収監されたことをプレストンに話す。
所長とプレストンは、ジョージにとっての凧揚げの魅力を考えてみる。
ベティを訪ねたプレストンは、彼女がジョージを許すつもりがあることを確認して、ある提案をする。
出所することになったジョージは、そのまま広場に向かう。
そこには、楽しそうに凧揚げをするベティの姿があった。
驚いたジョージは、ベティに寄り添い一緒に凧を揚げる。
・ 第四話 大佐の奥方
いつものように朝食をとるジョージ・ペレグリン大佐(セシル・パーカー)は、妻イーヴィー(ノーラ・スウィンバーン)に届いた小包に、6冊もの詩集が入っていることを知る。
それが、イーヴィーが出版した詩集だと知った大佐は驚く。
イーヴィーから1冊受け取った大佐は、しばらくして、読んでいない詩を読んだと彼女に伝える。
感想を訊かれた大佐は、自分の好みではないが楽しめたとイーヴィーに伝える。
列車でロンドンに向かう大佐は、乗り合わせた知人からイーヴィーの詩の話をされ、子供には見せられない内容だと言われて戸惑う。
知人は、大佐が詩を読んでいないことを知り驚く。
浮気相手のダフネ(リンデン・トラヴァース)を訪ねた大佐は、彼女からもイーヴィーの詩の話をされる。
ジョージの書斎に向かったイーヴィーは、渡した詩を持ち去る。
翌日、クラブに向かった大佐は、友人(ウィルフリッド・ハイド=ホワイト)から、批評家のヘンリー・ダシュウッド(アーネスト・セシジャー)が、イーヴィーの詩を絶賛していたという話を聞く。
大佐はダシュウッドを紹介され、”サッフォー”などと比較する彼の批評を聞き、イーヴィーを褒めてもらい感謝する。
ハヴェレル公爵(ヘンリー・エドワーズ)に声をかけられた大佐は、招待したイーヴィーに断られたが、忙しい時の人なので仕方がないと言われて戸惑う。
帰宅した大佐は書斎に向かうものの、詩が見つからい。
翌朝、朝食の際に大佐は、ハヴェレル公爵の招待を断った件や、ダシュウッドのことについてイーヴィーと話す。
大佐は、イーヴィーから出版社のパーティーに出席してほしいと言われ、忙しいので後から行くと伝える。
パーティーに出席した大佐は、出版者のマーティン(フェリックス・アイルマー)に迎られる。
大佐は、イーヴィーの詩は夫には見せられない内容だという女性2人の話を聞いてしまい、それが気になる。
書店に向かった大佐は、詩集を買おうとするものの、売り切れだったために予約注文しようとする。
店員に詩の感想を訊いた大佐は、セクシーで情欲を感じさせると言われたために、予約は取り消してその場を去る。
ダフネに詩を借りることにした大佐は、彼女にそれを読んでいないことがバレてしまう。
驚いたダフネは大佐から内容を訊かれ、一人称で書かれている実話に思える物語は、中年女性が年下の男性と恋に落ちる話だと伝える。
ダフネは、あまりにも生々しい内容なので、実体験に基づいているに違いないと考えるが、大佐は、イーヴィーは淑女なのでフィクションだと主張する。
帰宅した大佐は、詩のことが気になり頭から離れないために、眠っているイーヴィーを起こして問いただそうとするものの、思い留まる。
翌日、大佐は、知人のヘンリー・ブレイン(クライヴ・モートン)に会い助言を求め、詩が作り話と思うか尋ね、直接イーヴィーに訊くべきだと言われて戸惑う。
事実だと言われるのが怖い大佐は、イーヴィーの浮気相手を探そうとするものの、トラブルを避けるために何もするなという、ブレインの考えに従うしかなかった。
イーヴィーはジョージが悩んでいることが気になり、動揺する彼から、沈黙を守るのが最善だという考えを聞く。
しかし、詩の男が気になる大佐は、それが誰かイーヴィーに尋ねる。
詩の男性は自分だと言われた大佐は驚く。
イーヴィーは、物語の情熱的な部分は、若い頃、幸せだった頃の自分への愛を基に書いたと伝える。
イーヴィーは、あなたの趣味などに無関心で、子供も産めなかったことなどで妻として失格であり、思い出ばかりが残り、それを失いたくないために書いたと言って、悩ませたのは自分のせいだとジョージに伝える。
大佐はイーヴィーの話を信じ、2人は抱き合う。
__________
ウィリアム・サマセット・モームは、人生経験を基に書き続けたことを話し、人間の本質を学び誠実に伝えようとしたと語る。