1951年に発表されたベストセラー、ジェームズ・ジョーンズの同名小説の映画化。 部隊を統率する曹長と軍の体質に反発する兵卒らの苦悩や様々な人間関係を描く、監督フレッド・ジンネマン、バート・ランカスター、モンゴメリー・クリフト、デボラ・カー、フランク・シナトラ、ドナ・リード、アーネスト・ボーグナイン、ジャック・ウォーデン共演による映画史上に残る傑作ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:フレッド・ジンネマン
製作:バディ・アドラー
原作:ジェームズ・ジョーンズ”From Here to Eternity”
脚本:ダニエル・タラダッシュ
撮影:バーネット・ガフィ
編集:ウィリアム・A・ライオンズ
音楽:ジョージ・ダニング
出演
バート・ランカスター:ミルトン・ウォーデン曹長
モンゴメリー・クリフト:ロバート・E・リー・プルュウィット二等兵
デボラ・カー:カレン・ホームズ
フランク・シナトラ:アンジェロ・マッジオ二等兵
ドナ・リード:アルマ”ロリーン”バーク
アーネスト・ボーグナイン:ジェームズ・R”ファツォ”ジャドソン軍曹
フィリップ・オバー:ダナ”ダイナマイト”ホームズ大尉
ジャック・ウォーデン:バックリー伍長
ジョン・デニス:アイク・ガロヴィッチ軍曹
ミッキー・ショーネシー:リーヴァ伍長
クロード・エイキンス:”バルディ”ドム軍曹
バーバラ・モリソン:キプファー夫人
ジョージ・リーヴス:マイロン・スターク軍曹
ジョーン・ショウリー:サンドラ
ジョセフ・サージャント:兵士
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1953年製作 118分
公開
北米:1953年8月5日
日本:1953年11月10日
製作費 $1,650,000
北米興行収入 $30,500,000
■ アカデミー賞 ■
第26回アカデミー賞
・受賞
作品・監督
助演男優(フランク・シナトラ)
助演女優(ドナ・リード)
脚本・編集・撮影(白黒)・録音賞
・ノミネート
主演男優(バート・ランカスター/モンゴメリー・クリフト)
主演女優(デボラ・カー)
作曲(ドラマ・コメディ)
衣装デザイン賞(白黒)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1941年夏、太平洋戦争開戦前夜、ハワイのホノルル。
スコフィールド兵営にロバート・E・リー・プルュウィット二等兵(モンゴメリー・クリフト)が転属してくる。
ミルトン・ウォーデン曹長(バート・ランカスター)に名前を聞かれたプルュウィットは、ホルムズ大尉(フィリップ・オバー)の元に連れて行かれ転属の報告をする。
優秀なラッパ手だったプルュウィットは、上官に逆らい一兵卒に格下げされたのだった。
プルュウィットが、ボクシングで軍のミドル級チャンピオンだったことを知っていたホームズは、彼を隊のボクシング・チームに入れようとする。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
1941年夏、太平洋戦争開戦前夜、ハワイのホノルル。
上官に逆らったため降格した元ラッパ手のロバート・プルュウィットは、部隊員からの信頼厚いミルトン・ウォーデン曹長の部隊に転属させられる。
プルュウィットが、ボクシングの強豪選手だと知った部隊長ホームズは、彼に部隊のチームに加わるよう強要する。
かつて、試合で相手を失明させたプルュウィットがそれを拒否したために、ホームズは、部下に彼への嫌がらせやしごきを命ずる。
それに屈しないプルュウィットに、ウォーデンは一目置きながらも、軍隊で生きる術を知る彼は深入りを避ける。
そのウォーデンは、上官ホームズの妻で、どこか陰のあるカレンと親密になっていく。
しかしウォーデンは、カレンが夫の浮気癖を黙認しながら多くの男と関係していることを知る。
一方、厳しい仕打ちに耐えていたプルュウィットは、会員制クラブで働く、過去を忘れるためにこの地を訪れていた女性ロリーンに出会い恋に落ちる・・・。
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軍隊内部の過酷な生活と腐敗を描き、アメリカ映画にしては珍しく、結局は恋も人間関係も、何一つ成就せずに終わってしまうという、虚しい現実を描いた、いかにもフレッド・ジンネマンらしい自己主張を貫いた作品。
2002年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
第26回アカデミー賞では、作品賞をはじめ12部門にノミネートされ、作品、監督、助演男優(フランク・シナトラ)、助演女優(ドナ・リード)、脚本、編集、撮影(白黒)、録音賞を受賞した。
・ノミネート
主演男優(バート・ランカスター/モンゴメリー・クリフト)
主演女優(デボラ・カー)
作曲(ドラマ・コメディ)、衣装デザイン賞(白黒)
40歳になり黄金期に入ったと言える主演のバート・ランカスターは、軍の生活に対しては強かだが、統率力があり逞しく、また凛々しい士官役を見事に演じ圧倒的な存在感を見せる。
出演作に恵まれ勢いに乗る、こちらも全盛期と言えるモンゴメリー・クリフトは、実生活でも反骨精神を露にしていた、彼自身をそのまま投影しているような役どころが興味深い。
撮影当時31歳とは思えない、デボラ・カーの大人の女性の魅力と、同じ年齢ではあるが、若干あどけなさも残る、暗い過去を持つ女性ドナ・リード、対照的な二人が、接点を持ちながら偶然に出会い語り合うラストも印象的だ。
本作への出演に関する裏話を、「ゴッドファーザー」(1972)の中のエピソードで、そのモデルとして使われたことで憤慨したというフランク・シナトラは、確かにかなり重要な存在として描かれている。
ひょうきん、飲んだくれ、喧嘩っ早くて哀れな死と、いかにもアカデミー賞受賞の条件が揃っていたような役柄なので、是非演じたかった気持ちはよくわかる。
2年後の「マーティ」(1955)で、本作とは全く違う、気のいい男性役を演じ、アカデミー主演賞を受賞することになるアーネスト・ボーグナインは、どちらかというと、やはり本作のような役柄が適役と感じてしまうほど、その面構えで迫力ある演技を見せてくれる。
風貌に似合わず、まだまだ若手という感じのジャック・ウォーデンは、地味な役でやや物足りない感じはするが、孤立無援の兵士(M・クリフト)に助言をする伍長を好演している。
無能な指揮官フィリップ・オバー、装備品係ミッキー・ショーネシー、下士官役のクロード・エイキンス、ジョン・デニス、ジョージ・リーヴス、会員制クラブのオーナー、バーバラ・モリソン、そこで働く女性ジョーン・ショウリー、その後、監督としても活躍するジョセフ・サージャント等が共演している。