飛行機は修理のためにナポリに降りることになり、数時間はかかると考えたデヴィッドは、マニーナを誘って観光することにする。
ガイドを雇い市内をめぐり、”ヴェスヴィオ山”を眺めながら行ってみたい気がするデヴィッドとマニーナだったが、時間がないために諦めて市内に向かう。
ナポリ湾が一望できる個人経営のレストランで食事をしたデヴィッドとマニーナは、女主人のロシータ(アンナ・デマトリオ)から、泊まって観光をすることを勧められるものの、時間がないので諦める。
ロシータから、ここに何しに来たのか理解できないと言われたマニーナは、自分は知人に会いにイタリアに来たことをデヴィッドに伝える。
自分を見直すための旅だと言うデヴィッドは、昨日、旅行会社でマニーナを見かけたことを思い出す。
アメリカ兵が置いてい行ったというレコードを借りた二人は、”ウォルター・ヒューストン”が歌う”September Song”聴きながら、時間を気にして店を出る。
飛行場に戻った二人だったが、飛行機は飛び立ってしまい、デヴィッドは自分のせいだと言ってマニーナに謝罪する。
チャーター便でマドリードに行くことを考えたデヴィッドは、カプリやポンペイの観光にマニーナを誘い、友人として数日過ごすことを提案する。
アメリカでコンサートがあるので断ろうとしたマニーナだったが、予定は1か月後だったために、デヴィッドの考えに同意する。
ポンペイの遺跡を見た後でカプリ島に向かったデヴィッドとマニーナは、名所の”青の洞窟”を堪能してローマ皇帝”ティベリウス”の別荘跡も訪れる。
仕事の話などをしたデヴィッドは、会社を軌道に乗せるために16年間、働き詰めで、息子の顔もろくに見なかったことをマニーナに伝える。
何のために働いているのか疑問に思えたために、一人旅に出たことを話したデヴィッドは、マニーナと共に楽しい時間を過ごしてホテルに戻り、彼女と別れて自分の部屋に向かう。
翌朝、日光浴をした二人は、自然に惹かれ合うようになりキスする。
マニーナは、友人として過ごす約束を守るべきだと言って、デヴィッドと共にホテルに戻る。
その夜、デヴィッドに恋をしたマニーナは、同じ気持ちのデヴィッドには妻がいるために迷う。
妻とは離婚するつもりで旅立ったデヴィッドは、息子のことを考えると同意できないという手紙を受け取ったことをマニーナに話し、それを見せる。
翌日、ナポリに戻った二人は、これから帰国するための便に乗り、明日にはニューヨークに着くという話をする。
新聞を読んでいたマニーナは、自分達の飛行機が地中海で消息を絶ち乗客は絶望的だということを知る。
デヴィッドに自分達の名前が載っているいことを伝えたマニーナは、直ぐに電報を打つことになり、家族はいないのでエージェントとフィレンツェの恩師に連絡しようとする。
誰にも知らせずに、このまま二人で暮らすことを考えるデヴィッドは、これも運命だとマニーナに伝えるものの、彼女は幸せになれるか疑問に思う。
家族のことを訊かれたデヴィッドは、帰国しても妻は離婚しないので、偽りの夫婦生活が続くだけだとマニーナに伝える。
息子には自分は必要ではなく、大学生になり会社は受け継いでくれるだろうと言うデヴィッドには、今はマニーナが必要な存在だった。
自分の愛を疑うなら電報を出してほしいと言って立ち去ったデヴィッドを追ったマニーナは、それを破り彼との生活を選ぶ。
フィレンツェ。
街並みとアルノ川が見える高台の屋敷を手に入れたデヴィッドとマニーナは、幸せを実感する。
ニューヨーク。
ローレンス家の顧問弁護士のモリソンは、夫デヴィッドを亡くしたキャサリン(ジェシカ・タンディ)に会うために彼女を訪れる。
デヴィッドの息子デビッドJr.(ロバート・アーサー)と言葉を交わしたモリソンは、気丈に振舞うキャサリンに、夫婦関係は円満だったか尋ねる。
問題なかったと答えるキャサリンに、”マリア・サルヴァティーニ”という女性に心当たりがあるか尋ねたモリソンは、デヴィッドの個人口座から彼女に高額の小切手が振り出されていることを伝える。
マリアに心当たりがないキャサリンは、事故の2日前にデヴィッドのサインだったことを知っても、彼が稼いだ金ななので望み通りにしてあげたいと考える。
実は結婚生活はうまくいっていなかったと話すキャサリンは、離婚を考えたものの、できないと手紙を出したことをモリソンに伝える。
デヴィッドを信じて自由にするべきだったと後悔するキャサリンは、自分の元に戻ろうとしたのか、それとも離婚を迫るためだったのかを考えて悩む。
モリソンから、マリアのことを調べることを提案されたキャサリンは、今はやめてほしいと言って、まだ時間はあると伝える。
訪ねて来たマニーナのピアノ教師マリア・サルヴァティーニ(フランソワーズ・ロゼー)に挨拶したデヴィッドは、彼女を歓迎する。
マリアからメイドのビアンカのことを訊かれたマニーナは、村の出身で町には知人はいないし英語も分からないと答える。
今後の事を心配するマリアは、マニーナが、愛を信じて生きていく決心をしたことを知るものの不安に思う。
デヴィッドが内緒でプレゼントしてくれたピアノを見て喜ぶマニーナは、問題を指摘するマリアの話を聞く。
自分に大金が渡り誰かが不思議に思わないかデヴィッドに尋ねたマリアは、妻のことを心配せず、パスポートも数年先まで有効であることなどを知り、楽観的な彼に後を任せてその場を去る。
二人の話を聞いていたマニーナは不安になるが、デヴィッドへの愛は変わらなかった。
デヴィッドを連れて町を案内したマニーナは、行きつけのレストランに向かい、今日、9月5日が息子の誕生日だということを知り祝杯を挙げる。
二人は、ナポリの店で聴いた”September Song”を思い出し、マニーナは、デヴィッドのリクエストで、その場にあったピアノで曲を弾く。
それを聴き、マニーナのピアノに合わせて歌うアメリカ兵のジョニー・ウィルソン(ジミー・ライドン)をテーブルに誘ったデヴィッドとマニーナは、彼と話をする。
気さくな青年ジョニーと話が弾むデヴィッドは、二人の女性を愛していることで悩む彼に、無理だと言って助言する。
店を出たデヴィッドはマニーナを先に帰し、酔って汽車に乗り遅れそうなジョニーについて行く。
夜明けも近い時間に屋敷に戻ったデヴィッドは、起きていたマニーナに、ジョニーは故郷の恋人を選んだことを話す。
ジョニーと意気投合していたデヴィッドが、息子や過去の生活が恋しいのではないかと考えたマニーナは不安になる。
ジュニアと共にイタリアに行く予定のキャサリンは、デヴィッドが帰国する気になった理由を訊くためにマリアに会うつもりだったが、モリソンはそれに反対する。
川で釣りをしていたデヴィッドは、その場に自社のタービンが設置されることを知り、扱いに困っている技師達に、自分ならできることを伝える。
屋敷に戻ったデヴィッドは、訪ねてきていたマリアとマニーナに、自社のタービンことを話し会社の説明をする。
タービンとダムがあれば、川の周辺のやせた土地を潤せることを考えたデヴィッドは、それをマニーナとマリアに話す。
早速、考えをまとめたデヴィッドは模型を作り、協力者のヴィットリオ・ポルティーニ(ルー・スティール)と共に計画を進める。
フィレンツェに到着したキャサリンとジュニアは、マリアの家を訪ねる。
マニーナのレッスンをしていたマリアは、キャサリンが来たことを知り動揺するが、デヴィッドの妻に会ってみたいと思うマニーナはその場に残る。
若くて美しいマニーナをマリアだと思ったキャサリンは、年配女性のマリアから声をかけられて挨拶する。
お茶のカップを取りに行ったマニーナは、部屋の外で待っていたジュニアに声をかける。
壁に貼ってあるマニーナの写真とサインに気づいたジュニアは、彼女が父と同じ飛行機に乗っていた乗客であることを、持っていた新聞の記事で確認する。
デヴィッドが小切手を渡した件で来たのでないことをマリアに伝えたキャサリンは、会えただけで気持ちが晴れたと言って微笑む。
旅立つ前のデヴィッドは人生を重荷に思い、別の生き方を求めていたと言うキャサリンは、生前は浮気も気にしたが今では違うと伝えて、マリアに夫が帰国しようとした理由を知っているか尋ねる。
知らないと答えたマリアは、キャサリンから、飛行機に乗ったのが手紙のせいなら自分に責任があると言われるものの、何も分からないと伝える。
マリアに感謝してマニーナに挨拶したキャサリンは、ジュニアと共にその場を去る。
ウソをついたことを後悔するマリアは、キャサリンを気の毒に思い、寛大な妻を気取っていると言うマニーナに、彼女が妻であることは確かだと意見する。
自分ならデヴィッドを幸せにできると考えるマニーナは、マリアから哀れだと言われるもの、気にせずに屋敷に戻る。
父は生きているとキャサリンに伝えたジュニアは、飛行機事故の犠牲者として記事に掲載されているマニーナの写真を見せる。
ジュニアから、金が必要だったのは父だと言われたキャサリンは、デヴィッドが生きていただけで満足だった。
帰宅したマニーナから、参考資料のための書物を受け取ったデヴィッドは、仕事に夢中になるものの、元気のない彼女が気になる。
例のレストランに行くことを提案したデヴィッドだったが、町に出たくないと言うマニーナのために、テラスで食事をしようとする。
悩み事を訊かれたマニーナは、二人だけの生活は無理だとデヴィッドに伝える。
昼間のことは話せないマニーナは、マリアから、コンサートのためにニューヨーク行くべきだと言われたことをデヴィッドに知らせて、心残りではあると伝える。
不幸だと感じたら自分を捨ててほしいとデヴィッドに伝えたマニーナは、あり得ないが約束すると言われる。
そこにヴィットリオが現れ、ヨーロッパ復興計画の代表が、自分達が進めている計画に興味を示したことを知らされる。
計画に問題が見つかったことを話したデヴィッドは、手に負えない大事業になるので、休暇に来た自分には無理だとヴィットリオに伝える。
諦めたヴィットリオはその場を去り、マニーナから、彼に計画を引き渡すことを提案されたデヴィッドだったが、考えは変わらなかった。
翌日、キャサリンの滞在するホテルに向かったマニーナは、彼女が不在だったためにジュニアと話す。
父が生きているということは知っていると言われたマニーナは、その件を話しに来たとジュニアに伝える。
デヴィッドには話していないと言うマニーナは、マリアに渡すつもりだった彼への手紙を受け取る。
自分には言う権利はないがと前置きしたマニーナは、デヴィッドを裁くのはやめて、理解してあげてほしいとジュニアに伝える。
自分の愛する父は素晴らしい人物であり、その父は飛行機事故で死んだとマニーナに伝えたジュニアだったが、父は生きていて、自分を愛していると言われれる。
ジュニアから、父とは二度と会わないと言われたマニーナは、その場を去る。
デヴィッドが待つレストランに向かったマニーナは、キャサリンとジュニアに会ったことを話す。
昨日、マリアの家で会ったことを知らせたマニーナは、事故の新聞記事の写真で知ったらしいとデヴィッドに伝える。
黙っていた理由を訊かれたマリーナは怖かったと答え、キャサリンは想像とは違っていたと言いながらデヴィッドに手紙を渡す。
それを読んで聞かせたデヴィッドは、”怒りや嫉妬はなく、幸福感と神への感謝の気持ちで満たされています。あなたは自由の身なので離婚の手続きをします。生きているだけで十分です。”という内容だった。
”自由”になれたことを喜ぶデヴィッドだったが、ジュニアの父への愛を知るマニーナは、手放しで喜ぶ気にはなれなかった。
帰国することになったデヴィッドは、現地での計画の仕事をヴィットリオに任せる。
コンサートを開く予定のマニーナは、マリアに励まされる。
屋敷とフィレンツェの街並みとの別れを惜しみながら、ビアンカとヴィットリオ、そしてマリアに見送られたデヴィッドとマニーナは旅立つ。
飛行機で飛び立ったデヴィッドとマニーナは、カプリ島を眺めながら、楽しかった時を思い出す。
その後マニーナは、今後のことを思い考えを巡らせて悩む。
ニューヨーク。
マニーナはエージェントのグラッジ(フォーチュニオ・ボナノヴァ)に迎えられ、記者達に囲まれる。
その場に来ていたモリソンと話したデヴィッドは、コンサートの準備があるマニーナと別れる。
自宅に戻ったデヴィッドはキャサリンと話し、理解してくれたことに感謝する。
ジュニアのことを尋ねたデヴィッドは、コロンビア大学に入学したことを知り、大規模な事業のためにワシントンD.C.に向かうことをキャサリンに伝える。
多くを語らず、キャサリンに手紙を書くことを約束したデヴィッドはジュニアと話し、戻るかどうかは、迷っているので時間が必要だと伝える。
”カーネギー・ホール”。
デヴィッドが見守る中、”ラフマニノフ”の”ピアノ協奏曲第2番”を弾き終えたマニーナは、翌日のフィラデルフィアでのコンサートの件について、楽屋でグラッジと話をする。
マニーナを送ったデヴィッドは国際空港に行くことを不思議に思い、マニーナから、フィラデルフィアには行かないと言われる。
南米行きを決意していたマニーナは、滞在期間は分からないとデヴィッドに伝える。
旅立つ理由を訊かれたマニーナは、こうするしかないと答えて、先に別れを言ってほしかったとデヴィッドに伝える。
過去を捨てようとしたができなかったと言うマニーナは、家族に会った際に別れを決心したことを伝える。
ジュニアの話をした時の表情で、気持ちが変わったと言うマニーナは、一緒に暮らすのとたまに会うのでは大きな違いがあると話し、別れを告げるのは、これが最後だとデヴィッドに伝える。
二人の日々のことを訊かれたマニーナは、心の中で生き続けると答えて、互いに愛し合っていると言われるものの、人を欺く愛は終わりにするべきだと考える。
結果は見えているので、愛しているなら行かせてほしいと言うマニーナは機内に向かう。
マニーナが搭乗して飛び立った飛行機を、デヴィッドはいつまでも見つめる。