キャンパスに着いたエイブはリード学長に会い、アシスタントに暮らすことになる家に案内される。
夕方の6時から歓迎会が催され、エイブは、化学の教授リタ・リチャーズ教授(パーカー・ポージー)から、夫のポール(ロバート・ペトコフ)を紹介される。
講義を始めたエイブは、話し相手になってくれるリタからマリファナがあると言われて誘われるものの、それを断る。
エイブからレポートを褒められたジルは、著書について質問があると言って二人で話し、魅力的で繊細な彼に惹かれる。
ジルがエイブの話ばかりするために下心があると考えたロイは、話題を変えようとするものの、彼女はエイブの話を続ける。
女性体験が豊富だという噂を聞いたとエイブに伝えたジルは、それを否定しない彼から、その興味もなくなり死にとり憑かれたと言われる。
自殺しか頭になかったと言うエイブは、遊びではなく本気で恋愛することをジルから提案されるものの、身も心もボロボロなので、今の自分には無理だと伝える。
ジルは、金曜の夜のパーティーにエイブを誘う。
その夜、スコッチを持って訪ねて来たリタを招き入れたエイブは、執筆に行き詰っていることを伝える。
どうすれば書けるようになるか教えると言って、リタはエイブを誘惑して愛し合おうとする。
ロイを招き両親と共に食事をしたジルは、その場でもエイブの話ばかりをして、再びロイから話題を変えようと言われる。
1年ほど前から不能だと伝えたエイブは、リタに謝罪する。
金曜日。
エイプリル(ソフィ・フォン・ハーゼルベルク)の家のパーティーに出席したエイブは、隠してあった拳銃を手にしてロシアンルーレットの説明を始めた学生からそれを受け取る。
銃をこめかみにあてたエイブは引き金を引き、もう一度、試そうとして学生(ベン・ローゼンフィールド)に銃を奪われる。
ジルや学生達に非難されたエイブは、死にたければ化学室で青酸カリを飲めばいいと言われる。
教科書では学べない実在主義の授業だと言うエイブは、人生の成功率は五分五分より低いと伝える。
翌日、自滅的なエイブについて両親と話したジルは、母から、彼に深入りするべきではないと忠告される。
ロイを愛しているが、複雑な人物に興味があると言うジルは、ロマンチストは自殺をロマンと思うので心配だと伝える。
その後もエイブと行動を共にするジルは、彼を求めるものの、それを拒まれたために諦める。
ロイから、卒業後に一緒にロンドンの大学院に行く計画のことを訊かれたジルは、今は考えたくないと答える。
再びリタと愛し合うものの回復していなかったエイブは、彼女に謝罪して、自分が人生を変えるかもしれないと思ったと言われる。
夫が嫌なら別れるべきだと言われたリタは、誰か新しい相手がいなければ一人では無理だとエイブに伝える。
ジルとダイナーにいたエイブは、隣の席の客の会話を聴く。
トーマス・スパングラー判事(トム・ケンプ)の判決により親権を奪われる女性キャロル(スーザン・プルファー)は、夫を嫌う子供達のことを思うと辛いと友人達に話す。
スパングラー判事が夫の弁護士と結託していると言うキャロルは、裁判で財産と子供を失うことを嘆く。
同情されるキャロルが口にした”判事は死ねばいい”という言葉で、エイブは、誰にも知られない方法で殺せば、気の毒な彼女を救えると考える。
店を出たエイブは興奮して、不安発作だとジルに伝えて薬がある家に向かう。
気の毒な女性を助けて社会悪を葬れると考えるエイブは、完全犯罪に挑戦することで生き甲斐を感じる。
ジルのピアノの演奏会に出席したエイブは、スパングラー判事は抹殺されるに値するという考えを彼女に話す。
不安やめまいも消え去り、興奮して夜も眠れないエイブは、殺害計画のことで人生に目的ができる。
翌朝、リタと話したエイブは、深く考えずに本能に従い行動することを伝える。
ジルから愛を告げられたエイブは、ロイが似合っていると伝える。
リタと激しく愛し合ったエイブは彼女を驚かせ、夫と別れるので一緒にスペインに逃げてほしいと言われる。
噂になっているジルとの関係を訊かれたエイブは、ただの友達だとリタに伝える。
その後、スパングラー判事のことを調べて監視したエイブは、土曜の朝、彼が公園でジョギングすることなどを知る。
見違えるように生気を取り戻したエイブとカーニバルに行ったジルは、彼が景品を当てたために懐中電灯を選ぶ。
ジルからキスされたエイブは、自分は相応しくない相手だと伝える。
そんなジルは、ロイを愛しながらエイブに夢中になり、彼が節度を守るほど燃え上がった。
スパングラー判事の殺害方法を考えたエイブは、青酸カリを手に入れるために、リタのバッグから化学室の鍵を盗む。
化学室向かい、薬品庫で青酸カリを手に入れたエイブは、現れたエイプリルに、執筆のための調べものだと伝えて疑われることはなかった。
ジルとエイブとの関係を疑うロイは、彼女からただの友達だと言われるものの、納得できない。
エイブは、毎週土曜日に公園のジョギングで同じベンチに座り、新聞を読みながらオレンジジュースを飲むスパングラー判事の行動を観察する。
誕生日をロイや両親に祝ってもらったジルは、エイブからの連絡がないことを気にする。
土曜日。
青酸カリをカップに入れたエイブは公園に向かい、ベンチにいたスパングラー判事の横に座り、彼のオレンジジュースのカップとすり替える。
その場から去ったエイブは誰にも見られなかったが、スパングラー判事がジュースを飲んだかは確認しなかった。
その夜、スパングラー判事が公園で心臓発作により死亡したというニュースを知ったエイブは、翌朝、新聞を買いに行き、達成感と共に満足する。
ジルに電話をしてスパングラー判事の死を喜んだエイブは、お祝いだと言って彼女と食事をする。
人の死を祝う奇妙な食事だと言いながら、誕生日に連絡もくれなかったことで傷ついたと伝えたジルは、プレゼントは用意してあったが、誤解を招くと考えたエイブが遠慮したことを知る。
エイブから”エドナ・ミレイ”の詩集を贈られたジルは喜び、家に行きたいと伝えて説得し、彼と愛し合う。
その後もジルとの関係を続けたエイブは、執筆もはかどり充実した日々を送る。
リタと話していたエイブは、現れたジルから、スパングラー判事が他殺だったということを知らされ、ジュースに毒を入れた殺人だと言われる。
ジルから、自分がスパングラー判事を殺したと考えたと言われたエイブは、ジョークだと思いながら、殺害方法は青酸カリにすると話す。
新聞には毒としか書かれていなかったと言うジルに、毒殺なら青酸カリだと伝える。
ヒ素だと思ったというジルに、エイブは知らぬふりをする。
ジルからロイと喧嘩をしたと言われたエイブは、彼には二人を愛していると伝えたことを知る。
ロイと話し合ったジルは、別れることにする。
エイブを自宅に招き両親と食事をしたジルは、スパングラー判事の殺害事件の話題になり、青酸カリが使われたことやキャロルを含めた関係者は犯人ではなかったことを話す。
4人で殺害方法などを話したジルは、スパングラー判事と同じ店でジュースを買い、毒を入れて彼に近づきすり替えた可能性を考える。
エイブは、ほぼ的中させているジルの推理を否定しようとする。
事件はゴシップ紙をにぎわし、町で乗馬友達のエリーに出くわしたジルは、リタが判事殺しの犯人はエイブだと話していることを知る。
判事は殺されて当然だと、エイブがリタに力説していたと言われたジルは、そのことが気になる。
そんな時、バーでリタに会ったジルは、その説を彼女から聞く。
半信半疑でリタのエイブの殺人説を聞くジルは、数週間前に、毒物を保管してある薬品庫も開けられる化学室の鍵をなくしたことを知り動揺する。
ジルから、土曜の早朝に出かけたのをリタの夫ポールが見かけていると言われたエイブは、MRIの検査で州都に行ったと伝える。
それでも気になるジルはエイブの家に侵入し、デスクにあった”罪と罰”の余白に、スパングラー判事の名と哲学者”ハンナ・アーレント”の言葉”悪の陳腐さ”と描かれていることを確認する。
その後、エイプリルと話したジルは、エイブのお陰でレポートが書けたと言われ、彼と化学室で会ったことを知る。
その件が気になりエイブに会ったジルは、スパングラー判事を殺したことを確認し、キャロルのためであり、推理は正しかったと言われる。
人生の意味を見つけたと言って、キャロルが望んだことを実行したと話すエイブは、道徳に反する行為だとジルに批判される。
キャロルを不正から救ったと言うエイブは、捕まるはずはなく事件は迷宮入りするとジルに伝える。
リタが疑っていることも気にしないエイブは、動揺するジルから、もう会えなくなると言われる。
エイブは、殺人を実行すると決めたことで自分の人生が変わったと伝える。
町から出て行ってほしい、二度と会うわないとエイブに伝えたジルは、道徳的に正しいことをしたと信じるしかないと考えるものの、納得できなかった。
その後もエイブへの愛は変わらないジルは、正義感からした行為だと信じるしかなかったものの、通報するかどうか迷う。
エイブが大学を去ることを知ったジルは、それをリタに伝える。
ヨーロッパに行くようだと知ったリタは、エイブとスペインに行きたいことをジルに伝える。
エイブが犯人だとしても気にしないと言うリタは、とにかくスペインへ行きたいと考える。
講義を続けながら旅立つ準備をするエイブは、自分の行為を、どんな社会活動より意義深いと思い正当化した。
人助けをして傷つけたのは、死んで当然の男一人だけだと考えるエイブは、ジルは裏切らないと思ったのだが、予期せぬ展開になる。
スパングラー判事殺害事件で、警察が、医学研究所の所員で毒物を入手できる、判事に恨みを持つ容疑者を特定したことを知ったジルは、エイブにどうするかを問う。
無実の人物が冤罪になると言われたエイブは、自分が自首すればいいのかをジルに問う。
自分にそれを問うのかとジルに非難されたエイブは、数日で容疑者が釈放されなかった場合に自首すると伝える。
罪悪感に苦しんできたと言うジルは、無実の人が裁判にかけられることに耐えられないと伝えるものの、エイブは、警察がミスに気づき、自分の運が続いてほしいと考える。
月曜までに自首しなければ自分が通報すると伝えたジルは、時間が欲しいと言うエイブが月曜に自首することで納得する。
殺害計画により人生に喜びを感じるようになったエイブは自首する気になれず、共にヨーロッパに行くことをリタと相談する。
ポールと別れる気になったリタは、夢が実現すると言って喜ぶ。
邪魔者となったジルを黙らせるために、エイブは次の殺人計画を考える。
ロイと寄りを戻したジルは、彼に謝罪をして、エイブのことは理解不能な人物だと伝える。
何か隠し事はないかと訊かれたジルは、月曜まで待ってほしいとロイに伝えて愛を確かめる。
ポールと離婚について話し合ったリタは、考え直すようにと言われるものの、海外で生活したいという気持ちは変わらなかった。
ジルがピアノのレッスンに通うビルに向かったエイブは、大学時代のエレベーター係の経験を生かし、機械の故障に見せかける。
レッスンを終えたジルはエレベーターに向かい、エイブがいたために驚き、警察に行く前に話したかったと言われる。
自首して刑務所行きとなり、終身刑になることなどを話すエイブは、開いたエレベーターのドアからジルを突き落とそうとする。
ジルは抵抗し、バッグから落ちた懐中電灯を踏んでバランスを崩したエイブは落下する。
その後、時が流れると共に様々な出来事の記憶は消え去っていき、心の傷も癒されたジルは、愛情深い相手の存在は大きいと考える。
時々、出来事のことを思い起こすジルは、人生、恋愛、自分についてなどを、痛みを伴ったものの結果として学んだと考える。
エイブ曰く、”教科書からは何も学べない”。