門に現れた警備主任のミッキー・フィン(デヴィッド・シューリス)に、数週間前に院長に手紙を出したオックスフォード大学のエドワード・ニューゲートだと伝えた若者は、一応、歓迎される。
病院に案内されたエドワードは、フィンから、200人の患者は大半が貴族だということを知らされて院長を待つ。
現れた院長のサイラス・ラム医師(ベン・キングスレー)から用件を訊かれたエドワードは、地獄にいる人々を救って満足するために、精神科医になりたいと答える。
実地研修をさせてほしいと言うエドワードを回診に同行させたラムは、他の病院と違うのは患者の身分の高さであり、鎮静剤を乱用せずに自然に生活させていることを伝える。
性的な意図を感じさせる接触で、ヒステリー発作を起こす患者イライザがピアノを弾く姿を見つめるドワードは、彼女の夫が莫大な資産を持つことをラムから知らされる。
イライザが、夫との結婚後にヒステリーが悪化して、耳を噛み切り目をくり抜いたというラムの話を聞いたたエドワードは、彼女の父親が入院させて、”完治させて帰せ”という脅迫めいた手紙を受け取ったと言われる。
ラムから、イライザを守るためにそれを拒んだと言われたエドワードは、美しい彼女のことを気にする。
その夜、盛装したエドワードは演奏を続けるイライザに声をかけ、挨拶して簡単な会話を交わす。
職員の居間で優雅な催しをする理由をラムに尋ねたエドワードは、上流階級の世界に慣れさせるためだと言われる。
食事の席で、田舎出身だと話したエドワードは、訛りがないのは、両親を亡くしてロンドンの孤児院で育ったからだと伝える。
嫌な場所ではあったが多くを学んだと言うエドワードは、そこで天職を見つけて、不幸で孤独な人々の中で働きたいと思ったと話す。
”ミッキー・フィン”が本名だということに驚いたエドワードは、”酒に薬を盛る”という意味があると話し、失言を謝罪しようとするものの、フィンは冗談を言って喜ぶ。
それを笑えないと言うエドワードは、フィンと険悪なムードになるものの、ラムがフィンを黙らせる。
謝罪の印だと言うフィンに酒を注がれたエドワードは、イライザに蹴られたためにそれをこぼしてしまう。
炭酸水で拭けば落ちると言うイライザはエドワードと共に席を外し、彼に出て行くようにと伝える。
今直ぐ馬小屋に向かい馬で町に向かうようにと伝えたイライザは、その理由を訊く彼に触れられる。
発作を起こしたイライザは痙攣し、直ぐに元に戻りエドワードに謝罪された彼女はその場を去る。
部屋に戻り、銃を手にしたエドワードは、地下があることに気づきボイラー室に入る。
更に地下に向かったエドワードは、その場に人が閉じ込められていることを知り、物陰から何者だと尋ねる人物に医師だと伝える。
姿を現したベンジャミン・ソルト(マイケル・ケイン)から、ここから出る手助けをするようにと言われたエドワードは、明朝、ラム院長に相談すると伝える。
自分達は正常だと伝えて、その場を去ろうとするエドワードの名を呼んだ老女のマリオン・パイク(シニード・キューザック)は、名前を知っている理由を訊かれる。
数週間前に手紙が届いたと言うマリオンは、その後にラムに投獄され、自分が寮母だということをエドワードに伝える。
医務部長のチャールズ・スワンウィック(ジェイソン・フレミング)や管理人のウィリアム・パクストン(クリストファー・フルフォード)からも話を聞いたエドワードは、ソルトが院長であることを知り、ラムは異常者だと言われる。
飲み物に薬を盛られ、外科手術に使う睡眠薬”抱水クロラール”を飲まされたと言われたエドワードは、それにより医師が4人と看護師3人が死んだ、計画的犯行だったことを知る。
”酒に薬を持った/ミッキー・フィン”だと言われたエドワードは、スワンウィックらからフィンから鍵を盗むようにと指示される。
逃げて戦っても、衰弱しきっている数でも劣る自分達に勝ち目はないため殺されると言うソルトは、相手は銃を持った殺人鬼だと皆に伝える。
ソルトとマリオンから、自分だけが唯一の希望だと言われたエドワードは、鍵を奪い町に行き助けを求めるよう指示される。
イライザの部屋に向かったエドワードは、今直ぐここを出る考えを伝えるものの、手遅れだと言われる。
考えを変えないエドワードは、着替えて10分後に見晴らし小屋に来るようにとイライザに伝える。
馬を盗み町に助けを呼びに行くと言うエドワードは、同行に同意しないイライザに、異常者が病院を支配していると伝えるものの、自分もその一員だと言われる。
そこにラムとフィンが現れ、イライザが部屋の場所を教えていたと二人に伝え、図書室を探していたと言うエドワードはその場を去ろうとする。
翌朝の回診が8時半であることをエドワードに伝えたラムは、彼が去った後で、イライザに怪しまれたかを尋ねる。
それを否定するイライザから、こんなことは続かないと言われたラムは、春になれば訪問者も増えていずれ見つかると考える彼女に、世間に見捨てられた自分達のことなど誰も気にしないと伝える。
夫は違うと言うイライザに、ここにいれば安全だと伝えたラムは、それを約束する。
翌日、町に行くことを諦めたエドワードは、食糧庫から食べ物を盗み地下の人々の元に運ぶ。
フィンに見張ら得ていることをソルトに伝えたエドワードは、ここを失う状況になった場合、ラムは皆を道連れにすることを考えているようだと話す。
助けを求めても、自分達に起きることを考えると不安だと伝えたエドワードは、イライザが協力すると知ったソルトから、彼女も仲間だと言われる。
自分はそうは思わないと言うエドワードは、対策を考えることを迫られ、ラムの弟子として彼を理解して説得するつもりだとソルトに伝える。
5人の兵士を殺した冷酷な男ラムの診察記録を見たいと言うエドワードに、ソルトは隠してある場所を教える。
裏切りが気づかれたら終わりだと、ソルトはエドワードに警告する。
ラムとフィンと共に回診するエドワードは、閉じ込められている男の腕の包帯を替えることを指示される。
男(ギヨーム・ドゥロネ)に声をかけたエドワードは、見上げるような巨漢で凶暴な彼に襲われる。
男の名が”アーサー・ティムズ”であることを知ったエドワードは、アーサーの名前を口にして彼を落ち着かせる。
看護師のミリー(ソフィー・ケネディ・クラーク)は、エドワードの傷の治療をするためにズボンを脱がせようとする。
傷は肩だと言われたミリーは、イライザが代わって手当てすることになったために、不満げな顔をしてその場を去る。
地下の人々のことを話して、一緒に逃げるべきだと伝えたエドワードは、野蛮なソルト達に性的暴行とも言える実験をされたことをイライザから知らされる。
イライザから、自分には理解できないことだと言われたエドワードは、暴行を受けた傷跡を彼女に見せる。
エドワードから、これ以上、苦しめないことを約束すると言われたイライザは、動揺しながらその場を去る。
牢獄の鉄格子を外すことができたスワンウィックは、パクストンと共にその場から脱出する。
ラムのオフィスに忍び込んだエドワードは、ソルトが隠してあったラムの患者記録を見つける。
そこに戻ってきたラムは、エドワードを助手にすることを疑問に思うフィンに意見される。
フィンから、エドワードが来てから様子が変わったと言われたラムは、彼は自分と重なるところもあると伝える。
エドワードがイライザに心を寄せていることを見抜いていたラムは、彼女を味方にすれば別だが、それは無理だと考える。
地下のソルトらをエドワードが見つけることを心配するフィンは、楽観視するラムに、何かを企んでいると思うと伝えて警戒する。
脱走者に気づいたラムは、フィンに追跡を命ずる。
スワンウィックと共に崖に追いつめられたパクストンは、自ら身を投げて転落死する。
フィンに捕らえられたスワンウィックは、死体で病院に運ばれる。
ラムは、フィンから事故死だという報告を受け、ナイフの傷に気づいたエドワードは、倒れた時に負った傷だろうと言われる。
自分の目で死体の確認をするべきだと言われたラムは、それを拒んだためにエドワードに侮辱され、興奮して彼に言い寄る。
イライザに制止されたラムは、屋内に戻る。
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診察記録:1891年3月1日。
ラムは軍医時代のことは一切、話さず、ソルトの治療を野蛮だと非難した。
恐れを見せないラムを異常者から正常に戻そうとしたソルトは、彼が自分を支配しようとしていることに気づくものの、自分が勝っていることは知っていた。
診察記録:1899年10月3日。
何がラムを悩ませているのか理解できないソルトは、動物のような心は、人間に戻すために排除されるべきであると考える。
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ソルトと話したラムは、患者達が残虐な行為から解放されて改善に向かっていることを伝えるものの、正気を演じるのを楽しむがいいと言われる。
少年達の脳を吹き飛ばしたとソルトから言われたラムは苛立ち、エドワードを処置室に呼ぶようにとフィンに指示する。
盲目の老女に食事をさせることができないミリーは、看護師役が嫌になったとイライザに不満を訴える。
ミリーに代わって老女に話しかけたエドワードは、彼女が想う息子として語りかけて、食事を食べさせる。
驚いたミリーは仕事をする気になるが、エドワードから休息するようにと言われる。
エドワードの行為と優しさに感謝するイライザは、ラムがミリーに4人分の仕事をさせていたことを伝える。
食糧もなく暖房もきかない状況では病気が蔓延すると言うエドワードは、ラムの実験は失敗しかけているとイライザに話す。
ソルトにモルヒネを投与されたミリーは口がきけず、ラムが薬をやめさせて仕事を与えたことで症状が改善されことを、イライザはエドワードに伝える。
妹のような存在なのでミリーと離れられないと言うイライザに、彼女も一緒に連れて行くと言うエドワードは、スペインかイタリアの陽の光を浴びた土地で暮らすことを提案する。
自分ならそれを実現できると言うエドワードは、夫のことを恐れるイライザに、現れたら殺すと伝える。
その後、フィンと共に処置室に向かったエドワードは、精神錯乱者への処置をすると言うラムから助手を頼まれる。
自分を院長だと思い込んでいるというソルトを処置台に寝かせたラムは、電気ショックを与える。
処置を行うよう強要されたエドワードは、仕方なくソルトにショックを与える。
ソルトに話しかけたラムは、今の状況や自分について彼が何も理解できないことを確認し、彼の主治医に指名したエドワードにその効果を知らせる。
病院内では新しい世紀を迎える準備が始まり、ソルトに関係した物などは処分される。
今夜、皆を解放することをマリオンに伝えたエドワードは、このままだとソルトと同じ実験をされるという話をする。
ソルトの行いには反対だったと言うマリオンは、イライザを自分の娘のように思い、ラムにも善人の心はあるとエドワードに伝える。
ラムを理解するには自分の直感を信じて患者だと思い、彼が長く過ごした場所に行くべきかもしれないと、エドワードはマリオンから助言される。
イライザは、自分を置いてエドワードと逃げる気だと言うミリーをなだめる。
新年を迎えるパーティーは始り、イライザに話しかけたエドワードは、やることがあるため、ラムには外の空気を吸いに行くと言ってほしいと伝えてその場を去る。
部屋を抜け出したミリーは、聴こえてくる音楽に合わせて踊る。
エドワードは、患者だったラムが収容されていた部屋に向かう。
地下に向かったイライザは、マリオンらの様子を見て驚く。
ミリーに襲い掛かったフィンは、彼女を絞殺する。
ラムのことを理解しようとするエドワードは、壁に隠されていたあるものを見つけて、叫び声に気づく。
ミリーの死体が見つかり、彼女を抱き寄せるイライザは悲しみ、ラムは胸膜炎だと判断し、アーサーがミリーの遺体を運ぶ。
よりよい場所にミリーは向かったと言うラムに対し、イライザは、ここがその場所になると約束したはずだと伝えて立ち去る。
新年を迎えるために中庭に出たラムは、処分する物に火を放つ。
酒蔵で睡眠薬の”抱水クロラール”をシャンパンに注入したエドワードは、それを知ったフィンがナイフを手にしたために銃撃する。
弾が耳をかすめたフィンは、エドワードに襲い掛かり格闘になる。
フィンが石炭庫の中に落下したため、エドワードは、彼を石炭に埋もれさせる。
中庭に向かったエドワードは、患者達にシャンパンが振る舞われていることを確認し、ラムからグラスを受け取る。
カウントダウンが始まり、新年と共にシャンパンを飲もうとしたラムと患者達は、現れたフィンに飲むなと言われる。
ラムに後頭部を殴られたエドワードは気を失い、拘束されて処置室に連れて行かれる。
患者達を集めたラムは、実験を始めようとする。
現れたイライザに助けを求めるエドワードだったが、彼女から自分の懐中時計を見せられる。
自分の写真が時計の蓋に貼られているため、ここに来た理由をエドワードに問うイライザは、経験を積むためだと答えた彼に、夫に頼まれたのか尋ねる。
半年前の大学の講義の際にイライザを見たエドワードは、捜し出して助けることを心に誓ったと彼女に伝える。
自分のことを物のように扱う主治医や夫と同じだと言われたエドワードは、君が自分を所有するのだとイライザに伝えて逃げるよう指示する。
フィンに連れて行かれるエドワードを、イライザは涙しながら見つめるしかなかった。
電気実験を始めようとするラムに、最後のお願いだと言うエドワードは、ベストのポケットの中のイライザの写真を彼女に渡してほしいと伝える。
承知したラムは写真を確認するが、それは、自分が殺した少年兵の写真だった。
少年達の幻覚を見たラムは動揺してその場を去り、フィンが実験を続けようとする。
エドワードを助けようとしたイライザは、フィンに背後から抱きつかれたため発作を起こして痙攣する。
気を失いかけながらエドワードに声をかけられたイライザは正気に戻り、フィンに電極を掴ませる。
エドワードから指示されたアーサーがスイッチを入れたために、フィンは焼け死ぬ。
イライザはエドワードを助け、火が燃え広がったために、地下の皆を解放するようにと指示される。
ラムを捜すとイライザに伝えたエドワードは、その場を離れる。
軍医時代、傷を負い野戦病院で苦しむ少年兵を射殺したラムは、自分も自殺しようとしたものの弾が切れて死ねなかったのだ。
そのことを想いだして呆然とするラムに、もう終わりだと伝えたエドワードは、少年達を苦しみから救ったと言う彼を抱きしめて、戦争は終わったと伝える。
エドワードと共に戻ったラムに話しかけるイライザだったが、彼は何も反応しない。
ここを出ることをエドワードから提案されたイライザは、この場以外で暮らすことは想像できないと伝える。
それが理解できないドワードから愛を告げられたイライザは、彼から話すべきことがあると言われる。
イライザの夫チャールズ(エドモンド・キンズレー)とストーンハーストを訪れた精神鑑定医は、ソルトの面倒を見るマリオンに、イライザの退院願いを見せる。
3週間前にオックスフォード大学の”エドワード・ニューゲート”と退院したと言われた精神鑑定医は、それは自分のことだとマリオンに伝える。
話が理解できないマリオンに、自分の名を語り医師でもなかったその男はずる賢く問題を起こす患者であり、2か月前まで治療をしていたとニューゲートは話す。
その理由が分からないマリオンは、妻を捜すためだったとチャールズから知らされる。
大学の講義の際に、入れ替わるイライザに一目で惹かれた患者の男は、チャールズの懐中時計と拳銃を盗んで病院を抜け出したのだった。
ニューゲートは、身元不明の男は治療不能だとマリオンに話し、その話を聞いていたラムは、チェスの相手のソルトに語りかける、”チェックメイト”と。
イタリア、トスカーナ州、サンタクリスティーナ精神科病院。
男はラム医師を名乗り妻イライザと共に幸せを実感する。