その後、弟が病気で亡くなり、テオは生きるために尿を飲み、マメールらもそれに続く。
エチオピアから引き返してくる難民の子供達に遭遇したテオらは、兵士がいたからだと言わて同行することにする。
聖書を持っているマメールに声をかけたジェレマイアは、それを見せてもらい、ポールを紹介する。
”モーゼ”を信じないポールに聖書を見せて、これに書いてあると伝えたジェレマイアは、”モーゼ”が水の奇跡を起こしたことを話す。
自分も水を探せると言うポールは、地中の水を吸い上げてみせる。
ケニアを目指したテオらは、570マイル(912km)歩き続けた。
子供達は川にたどり着くものの、薬莢を見つけたテオは、この先は危険だと判断して川を渡ろうとする。
アビタルが大切にしている瓶の底で布を裂き、ツルを利用してロープを作ったテオらは、殺された子供達が川に流されていることに気づく。
川を泳いで渡ったテオがロープを張り、アビタルらが続く。
焼き討ちに遭った村にたどり着いたテオらは、生き残りの男にケニアに向かう道を教わる。
その後テオは、弟のダニエルが病気だったために休息して眠る。
翌朝、兵士に気づかれたマメールを助けようとしたテオは、仲間とはぐれたと言って投降する。
自分のために連れて行かれたテオのことを思い悲しむマメールは、アビタルから、今からチーフであり、テオのお陰で助かったと言われる。
ケニア国境まで785マイル(1256km)を歩いたマメールらは、その後、カクマ難民キャンプにたどり着く。
衣服や食料などを与えられたマメールらは、初めて見る白人を見て肌の色がないことを不思議に思う。
救護テントに運ばれたダニエルは、症状が悪化して死亡する。
13年後。
医療助手になっていたマメールは、医師になるのが夢だった。
マメール、ジェレマイア、ポール、アビタルの団結は強まるものの、キャンプから出る希望は薄れる。
3600人の難民を受け入れたアメリカ行きに選ばれたマメールらは喜ぶが、友人のジェームズは外れてしまう。
信心深いジェレマイアは、カンザスシティに行けることを神に感謝する。
アメリカについて学んだマメールらは、自分の誕生日を知らなかったが、皆と同じ1月1日として登録される。
そしてマメールらは、希望に胸膨らませて飛行機に乗り旅立つ。
2001年、春、ニューヨーク、ジョン・F・ケネディ国際空港。
カンザスシティ行きの担当者に迎えられたマメールらだったが、移民局の規則で女性は一般家庭が受け入れるため、アビタルはボストンに向かうことになっていた。
何とか一緒に暮らす方法を探すと言うマメールらは、悲しむアビタルと別れる。
ミズーリ州、カンザスシティ。
ボーイフレンドのマット(サッド・ラッキンビル)と過ごしていた職業紹介所のキャリー・デイヴィス(リース・ウィザースプーン)は、定住支援センターのパメラ・ローウィ(サラ・ベイカー)の代わりにマメールらを迎えに行くことになり、空港に向かい彼らを連れて市街に向かう。
おかしな英語でマメールから質問されたキャリーは、夫はいないのかと訊かれる。
いないと答えたキャリーは、子供に養われているのかと言われ、結婚していないので子供もいないと伝える。
車に酔ってしまったジェレマイアのために停車したキャリーは、”マクドナルド”の看板が何かを質問する彼らが空腹だと気づき、そこで食事をする。
宿泊先の家に着いたキャリーはマメールらを部屋に案内し、三人を迎える準備していたパメラに彼らを紹介する。
帰ろうとしたキャリーはマメールらから感謝され、”優しい夫が見つかるように”と言われる。
部屋の説明を受けたマメールは、姉のアビタルのことをパメラに伝えるが、規則なので仕方がないと言われる。
アメリカでの初日は終わり、三人は故郷のスーダンを想い、マメールは、アビタルが持っていた瓶の底を見つめながら彼女のことを考える。
翌日、電話が鳴るものの警報だと思ったマメールらは、それに出ようとしない。
食事をしていたマメールらは、再び鳴った電話と共に現れたキャリーが、自分達に電話をしていたことに気づく。
電話を知らない三人を連れて出かけたキャリーは、職を探すためにマットのワッフルの店に向かい、マメールらを雇ってもらおうとする。
面接をしたマットは、風変わりで何も知らない三人を雇う気にはなれなかった。
気分を害したキャリーは、マメールらを連れて郊外に向かい、上司であるジャック(コリー・ストール)に三人を紹介する。
キャリーから協力を求められたジャックは、手先が器用なポールを組み立て工場に、マメールとジェレマイアはスーパーマーケットで仕事をさせようと思う。
そこが牧場だったために故郷を想い出した三人は、ジャックの許可を得て牛を見に行く。
ジェックは、三人にあまり深くかかわると面倒なことになるとキャリーに伝える。
スーパーマーケットで働くことになったマメールとジェレマイアは、”マイクとジェリー”と言う名で呼ばれることになる。
二人は店内の商品の説明を受け、賞味期限が切れた食料品の廃棄をするよう指示される。
苦しい生活環境で育った二人は、まだ十分に食べられるものを捨てることと、それを欲しい人がいないことを不思議に思う。
工場でシャワーヘッドの組み立てを練習してみたポールが、何も教わらずに完璧に組み立てたため、担当者は驚く。
マメールらは少しずつアメリカでの生活に慣れて、楽しく過ごせるようになる。
ある日、キャリーの家を訪ねたマメールは、ドアが開いていたために部屋に入る。
だらしなく汚れている部屋を片付けていたマメールに気づいたキャリーは驚き、夫がいない理由が分かったと言われる。
勝手に入ったことで非難されたマメールは、ドアに鍵がかかっていなかったと伝える。
仕事を探してくれたお礼に来たと言うマメールは、持参してきたオレンジをキャリーに渡す。
職探しは自分の仕事だと言うキャリーは、事前に電話するようにと伝えてマメールを帰す。
その後、スーダンの難民についてネットで調べてみたキャリーは、マメールらが悲惨な人生を歩んできたことを知る。
移民局に向かったマメールらは、”911”以降、移住プログラムが中止されたことを知らされ、他の難民は足止め状態で、自分達は運が良かったと言われる。
アビタルのことで質問したポールだったが、現在はシステムが止まっていることを知り、マメールとジェレマイアと共に落胆する。
アビタルと電話連絡をすることができたことを喜ぶ三人は、マメールが学校に入ることを知らせる。
学費が高いために一人ずつしか通えないと言うマメールは、二つ仕事をしていることをアビタル伝えて電話を切る。
仕事仲間から、もっと気楽に仕事をしろと言われたポールは、マリファナを吸わされる。
いつものように賞味期限切れの食料品を廃棄しようとしたジェレマイアは、廃棄ボックスから食べ物を盗もうとしている女性に、捨てようとしていた物を与える。
それを店長に責められたジェレマイアは、与えないのは罪であり、自分は”ジェリー”ではなく”ジェレマイア”だと伝えて仕事を辞める。
職業紹介所に向かったジェレマイアは、事情を知ったキャリーに、迷惑をかけたと言って謝罪するものの、間違った仕事はできないと伝える。
自分はいいが、会社が保証人であるために困ると伝えたキャリーは、会社には権限を持つボスがいて、我慢して働かなければ食べていけず、学校にも通えないことをジェレマイアに話す。
別の仕事を探すと言うキャリーに頼りにしていると伝えたジェレマイアは、敬意を表して彼女を”ヤディット/偉大なる白い牛”と呼ぶ。
帰ろうとするジェレマイアに声をかけたジャックは、彼を車で送ろうとする。
運転に興味を持ったジェレマイアに資格の取り方などを教えたジャックは、運転させてみるものの、やめた方がいいと伝える。
夜学に通うマメールは、”ハックルベリー・フィンの冒険”の”言い嘘”について教師から質問され、大事なのは、その”嘘”で黒人のジムを救ったことだという考えを話す。
マメールは、テオが自分達を救ってくれた時のことを想い出す。
ハイになって帰宅したポールの様子がおかしいことに気づいたマメールは、いくら働いても自分達はクズ扱いだと言われる。
その後、教会で雑用の仕事を始めたジェレマイアは、故郷スーダンのことを想う。
思いつめるポールは、無断で仕事場から帰ることが度々あり、それを知ったキャリーは、彼の様子を見に家を訪ねるものの不在だった。
マメールとジェレマイアから、帰りが遅いか何日も戻らないポールは変わってしまったと言われたキャリーは、彼らが親が違う兄弟だったことを知る。
自分とアビタルは同じ両親だとマメールから知らされたキャリーは、アビタルはボストンに送られ、この街には引き取り先がなかったと言われる。
マメールに理由を訊いても、複雑な話でどうすることもできなかったと言われたキャリーは考え込む。
公衆電話でボストンのアビタルに電話をしようとしたポールは、相手の住所も分からないためにつなげてもらうことができない。
苛立つポールは電話機を壊しそうになり、通りがかった警官に逮捕されてしまう。
キャリーとジェレマイアと共に警察署に向かいポールを引き取ったマメールは、皆に迷惑をかけたことを責める。
恥であり兄弟の死が無駄になると伝えたマメールは、ポールから、テオの死は自分のせいだと言われ、あの時、兵士の前で立たなかった理由を問われる。
自分はチーフだと言うマメールはポールと口論になり殴り合い、キャリーとジェレマイアが制止する。
気遣うキャリーに何も語らず、雪がちらつく中、ジャックの牧場まで歩いて行ったマメールは牛に近づく。
それに気づいたジャックは、家に連れて行ったマメールから、牛が見たかったと言われる。
全て自分が悪いと言うマメールは、兄テオが身代わりになり兵士に連れ去られたことをジャックに話す。
テオは皆を守り自分を助けたと話すマメールは、自分を許せないとジャックに伝える。
軍人として戦争の経験があるジャックは、兵士も普通の人間で、難しい選択を迫られることもあり、テオは自分でその道を選び、それに従うしかなかったとマメールに話す。
銃声と子供の悲鳴が耳から離れないと言うマメールを、ジャックはその場で休ませる。
翌日、キャリーとジェレマイアと共に迎えに来たポールから、チーフではなく兄弟になってほしいと言われたマメールは謝罪し合い、三人で牛を見に行く。
移民局に向かい2時間以上待たされたキャリーは、無能な受付の青年を罵倒し、責任者に会わせるまで動かないと伝える。
責任者のリードと話せたキャリーはアビタルのことを伝えて、テロ支援国家のスーダンの出身者では州の移動は難しいが、受け入れ先を探すようにと言われる。
パメラを家に呼んだキャリーは、難民の受け入れ先として認められたいと伝えて、家の中を片付けるのを手伝ってもらう。
パメラと共にクリスマスの飾りつけをしていたマメールらは、スーダンに来ないサンタクロースがここには来ると言われる。
そこにキャリーが現れ、ポーチの荷物を運んでほしいと言われたマメールは、その場にいたアビタルに気づき、ジェレマイアとポール共に抱き合って喜ぶ。
”家族”が揃ったマメールらは新年を迎え、”ロストボーイズ”の誕生日を盛大に祝ってもらう。
先祖から受け継いだ誇りを忘れないようにとスピーチしたアビタルに続き、仲間達は部族のダンスを踊り歌う。
帰宅したキャリーはアビタルと話し、妹が2年前にガンで亡くなったことを伝える。
アビタルとから、自分が妹と代わりたいと思ったかと訊かれたキャリーは、何も答えられない。
洗濯をしていたアビタルから、誰かが難民キャンプで自分達を捜しているという手紙がケニアから届いたと言われたマメールは、移住者名簿を調べるのは家族のようだと話す彼女から、手紙を見せられる。
それがテオかもしれないと考えたマメールは、キャリーとジャックに協力してもらい、リードに相談する。
”911”以降、難民キャンプからの便は止まっていると伝えたリードは、キャリーとジャックから、できるだけの支援はすると言われる。
手紙の人物が兄テオとは限らないと言われたマメールは、それを確かめに行きたいとリードに伝える。
ナイロビで各国の大使館を回り庇護を求め、アメリカとの友好国にビザを発給してもらい、それができたらこちらが入国手続きをすることをリードはマメールに提案する。
空港に向かったマメールは、キャリーとアビタルに見送られてケニアに向かう。
カクマ難民キャンプに着いたマメールは、事務局に向かい兄を捜していることを伝えるものの、テオの名前は登録されていなかった。
キャンプ内で聞き回るしかないと言われたマメールは、この場には約10万人の難民がいることを知る。
ジェームズに再会したマメールは、テオを捜すために協力を求める。
その後、テオを捜し続けたマメールは、ジェームズの協力により兄(フェミ・オグンズ)と再会できる。
皆のことを訊かれたマメールは、ダニエルは天国だが他は無事だと伝えて、ジェームズに感謝する。
病気だったと言うテオを診察してみたマメールは、彼が”リウマチ熱”だと診断し、鞭打たれた背中の傷などを確認して心を痛める。
ビザの手続きのためにナイロビに向かったマメールだったが、どこの大使館でも断られる。
キャンプに戻ったマメールは、手続きができたことをテオに伝える。
ジェームズに別れを告げてテオと共に空港に向かったマメールは、出国審査の前に、今から何があっても自分は”マメール”だと言うようにと指示する。
ビザがないことを伝えたマメールは、パスポートと搭乗券を渡して、自分の振りをするようにとテオに伝える。
係官を騙すのかと言われたマメールは、これは”いい嘘”であり、自分はカクマに戻り病院で働く考えをテオに話す。
テオにもらった命だと言うマメールは、恩返しをしたいと伝えて兄を説得する。
行くようにといわれたテオは無事にチェックを通り、その場を去るマメールを見つめる。
マメールは、テオが搭乗した飛び立つ飛行機を見守る。
教会の礼拝で牧師に紹介されたジェレマイアは、ポールとアビタル、キャリーやジャックの前で兄弟、姉妹の話をする。
マメールからの電話を受けたキャリーは、彼が下した決断を知る。
アメリカに着いたテオは、アビタル、ジェレマイア、ポールとの再会を喜び抱き合う。
かつて家族と過ごした日々を想い出し、マメールは笑顔を浮かべながら歩いてキャンプに向かう。
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2000年、数千人の”ロストボーイズ”がアメリカに渡り、市民権を得て多くの者が大学を卒業し、教師や社会福祉士、エンジニア、軍人になった者もいる。