ロレンゾーは席を外し、グラシアーノは無駄口を叩いてその場を去る。
アントーニオと話をしたバサーニオは、財産を使い果たしたために借金返済についてを相談する。
ベルモントに住む莫大な財産を相続した美しい女性ポーシャ(リン・コリンズ)との結婚に手を貸してほしいと言われたアントーニオは、手元には金も商品もないことをバサーニオに伝える。
アントーニオは自分が保証人となると言って、バサーニオをある男の元に向かわせる。
その頃、夫を自分の意思で選べない辛い思いを、ポーシャはメイドのネリッサ(ヘザー・ゴールデンハーシュ)に語る。
ポーシャの父親は金、銀、鉛の箱から正しい箱を選んだ者と結婚するようにという遺言を残していた。
シャイロックを訪ねたバサーニオは、3000ダカットを3か月で返すことを、保証人がアントーニオという条件で伝える。
アントーニオは保証人としては問題ないのだが、彼の財産は船に積まれて世界各地にあることをシャイロックは指摘する。
手元に3000ダカットがないため、資産家の友人でユダヤ人のテューバル(アラン・コーデュナー)から借りるというシャイロックは彼を捜す。
そこにアントーニオが現れ、シャイロックは下手に出る彼に対し、取引所で自分を罵りツバを吐いたことなどを語り、そんな相手が自分に助けを求めるのは疑問だと尋ねる。
嫌みを言われたアントーニオは、敵に金を貸し取り戻せなければ違約金を取れと提案する。
好意として金を貸すと言う公証人の元に向かおうとするシャイロックは、返済できない場合は違約金の代わりとして1ポンドの体の肉をもらうと伝える。
それを承知したアントーニオだったが、バサーニオは流石に気が引ける。
2か月後には9倍の金額が手に入ることを伝えたアントーニオは、バサーニオを安心させる。
自分の行為まで疑うのかと言うシャイロックは、アントーニオの肉などもらっても何の役にも立たないことを知りつつ、好かれたいために友情を示しているのだと語る。
アントーニオは、証文に判を押すことをシャイロックに伝える。
求婚者のモロッコ王子(デヴィッド・ヘアウッド)から、肌の色などで相手を判断してほしくないと言われたポーシャは、箱選びの遺言がなければ殿下を選ぶと答える。
ベルモントへ向かう準備を始めたバサーニオは、現れたグラシアーノが同行することを認める。
シャイロックの召使いランスロット(マッケンジー・クルック)は、父親ゴボー(ロン・クック)に連れられてバサーニオの元に向かう。
シャイロックの元を去ると言うランスロットは、バサーニオに仕えたいことを伝えそれを許される。
ランスロットが父シャイロックの元を去ることを知ったジェシカは、彼にロレンゾーへの手紙を託す。
この場を抜け出せたらキリスト教徒になり、良き妻になることをジェシカはロレンゾーを思いながら誓う。
バサーニオの元に向かえば扱いの違いが分かると言って、シャイロックはランスロットに忠告する。
シャイロックは、バサーニオの祝宴に招かれるものの気が進まない。
ランスロットに出席を勧められたシャイロックは、仕方なくバサーニオの元に向かおうとする。
窓辺には出ないようにとシャイロックに言われたジェシカだったが、愛しい”キリスト教徒”が来るとランスロットから知らされる。
ジェシカのことを気にしながらシャイロックは家を出る。
シャイロックの後姿を見ながら、計画通りにいけば親子の別れになるとジェシカは考える。
その頃、モロッコの王子は三個の箱の中から金の箱を選ぶが、ポーシャの絵は入っていなかった。
バサーニオ主催の祝宴は始まり、ジェシカからの手紙を受け取ったロレンゾーは、彼女に会うため席を外そうとするが、シャイロックはその様子を気にする。
グラシアーノと共に運河からジェシカの元に向かったロレンゾーは、彼女を窓辺の部屋から連れ出す。
雨の中、自宅に戻ったシャイロックは、ジェシカが姿を消したことに気づく。
アントーニオは、ベルモントに向かうバサーニオを見送る。
娘を失ったシャイロックは嘆き悲しみ泣きく崩れる。
翌朝、アントーニオの積み荷を積んだ船が英仏海峡で沈んだ噂が流れる。
ベルモントではアラゴン大公が箱選びを始め、銀の箱を選ぶもののポーシャの絵は入っていなかった。
アントーニオの友人サレリオ(ジョン・セッションズ)とソラーニオ(グレゴール・フィッシャー)の元に向かったシャイロックは、ジェシカのことを知ったいたはずだと言って二人を批判する。
二人は、その件よりもアントーニオの船が沈んだことを伝え、自分を侮辱する男に署名した証文を突きつけるとシャイロックは言い切る。
シャイロックはユダヤ人を蔑むアントーニオを痛烈に批判し、キリスト教徒に習い復讐することを誓う。
サレリオとソラーニオは、このことをアントーニオに知らせようとする。
現れた友人テューバルにジェシカを捜してもらっていたシャイロックは、未だに見つ蹴ることができないと言われる。
ジェシカに宝石も持っていかれたシャイロックは悲しみ、空しい思いがするだけだった。
ジェノアでの噂でアントーニオの船が難破したのが確かであると知ったシャイロックは、その場でジェシカが大金を使ったという話も聞く。
アントーニオは債権者に追われて破産が間違いない情況で、亡き妻から贈られたトルコ石の指輪を、ジェシカがサルと交換したことを知らされたシャイロックは愕然とする。
テューバルに役人の元に向かうよう指示したシャイロックは、返済の期限が遅れたらアントーニオの心臓をもらうと言ってその場を去る。
ベルモント。
到着したバサーニオを迎えたポーシャは、箱選びをしたいと言う彼が、自分への愛しか考えられにないと思っていることを知る。
正しい箱を選んでほしい、しかし教えるわけにもいかないと考えるポーシャは、鉛の箱を選んだバサーニオが自分の絵を取り出したために喜びで言葉を失う。
バサーニオの結婚の申し出を受け入れたポーシャは指輪を見せて、なくしたり人にあげた場合は愛が消えた証拠だと考えると伝える。
指輪を渡されたバサーニオは、指輪を失った時は命が尽きる時と言って誓いを立てる。
共に結婚させてほしいと言うグラシアーノは、一目で惹かれ合っていたネリッサが相手であることを伝えて祝福される。
その場に現れたサレリオから手紙を受け取り、アントーニオの件を知ったバサーニオはショックを受ける。
無一文どころか、宿敵に頭を下げた親友に借金をしていることをポーシャに伝えたバサーニオは、アントーニオの窮地の事実をサレリオに確認する。
公正な裁判を求めているシャイロックが、金を払うと言っても受け取らないだろうとサレリオはバサーニオに伝える。
シャイロックの考えが固いことを説明するジェシカは、父を法の力で抑えない限りアントーニオを救えないだろうと語る。
借金の金額を聞いたポーシャは、それほどの金額でもない3000ダカットの何倍かを出してもアントーニオを救うべきだと助言する。
バサーニオは、債権者からの取り立てもあり、シャイロックとの約束を守れば借金はなくなるが自分の命は奪われるというアントーニオの手紙を読む。
ポーシャと結婚して借金の20倍の金額を受け取ったバサーニオは、親友を救い戻るまで清い体で待つと彼女に言われる。
シャイロックに何を言っても聞き入れられないアントーニオは苦悩する。
ポーシャはロレンゾーに屋敷を任せ、ある計画のためにネリッサと共にヴェニスに向かう。
バサーニオに知られないようにして、ポーシャは若い男性に扮装しようとする。
法廷の公爵(アントン・ロジャース)の前に現れたシャイロックは、アントーニオを嫌いでたまらないだけだという、訴訟を起こした気まぐれな理由を語る。
その場に現れたバサーニオは、憎いだけで殺したいという理由をシャイロックに問うが相手にされない。
苦しむだけのアントーニオは、早く決着をつけてほしいと言って諦める。
バサーニオは3000ダカットを倍にして返すと言って金貨を見せるが、それを受け取るつもりのないシャイロックは、証文通り1ポンドの肉を求める。
シャイロックがナイフを取り出したためにその場は騒然となり、公爵は法律家ベラーリオ博士の意見を求めようとする。
そこにベラーリオ博士の使者(男装したネリッサ)が現れて、法学博士である裁判官を推薦するという伝言を公爵に渡す。
公爵は裁判官バルサザー(男装したポーシャ)を法廷に呼ぶ。
バルサザーは慈悲の施しについてをシャイロックに語り、正義を貫く気持ちを抑えてはどうかと尋ねる。
シャイロックは証文通りの償いを求め、金は何倍でも払うと言うバサーニオは公爵に法を曲げてほしいと迫るが、バルサザーはそれを認めるわけにはいかないと答える。
証文を確認したバルサザーは、今一度、金が2倍になることをシャイロック伝えるが彼は考えを変えない。
期限は過ぎているため法的にはシャイロックの訴えが正しいことを公爵に伝えたバルサザーは、アントーニオの心臓近くの肉を一ポンド切り取るよう指示する。
しかし、慈悲を求め2倍の金を受け取り証文を破らせるようバルサザーはシャイロックに迫る。
証文通りのものを受け取ればそれに従うと言うシャイロックの言葉を聞き、アントーニオは判決を求める。
証文による取り立ては正当だと語るバルサザーは、肉を計る天秤などを確認する。
アントーニオは気を失ってしまい、気付け薬で目覚めて椅子に座らされる。
出血するため自費で医者を呼ぶようにと言われたシャイロックだったが、それが証文に記されていないことを確認する。
アントーニオは手足を椅子に固定されて死を覚悟し、バサーニオに別れを告げる。
命を救うためなら全てを捧げてもいいと言ってバサーニオはアントーニオに友情を示す。
判決は下り、シャイロックはナイフを手にしてアントーニオに近づくが、バルサザーはそれを制止して最後まで聞くようにと伝える。
証文では一滴の血を流すことも許されていないと指摘するバルサザーは、肉1ポンドだけを切り取るよう指示する。
それができない場合は法により財産が没収されると言われたシャイロックは動揺し、2倍の金額の支払いでアントーニオを許すと伝える。
シャイロックの望みは正義だと言うバルサザーは、肉しか与えることは許さず血を流さないようにと伝える。
肉は1ポンド以上または以下でも認めないと言うバルサザーは、それができない場合は、死刑及び財産没収であることをシャイロックに伝える。
受け取れる物は担保の肉しか認めないとバルサザーに言われたシャイロックは、自棄になりその場を去ろうとする。
それを引き留めたバルサザーは、ヴェニスの市民でないものが市民の命を奪おうとした場合、財産の半分を狙われた者に渡し残りは国が没収するという法をシャイロックに伝える。
公爵に慈悲を乞うしかなくなったシャイロックは跪くが、命は助け、バルサザーが指摘した通りの公爵の言葉を彼は拒み死を選ぶ。
意見を求められたアントーニオは、公爵と法廷にいる者達に財産の没収は許し、その半分を自分に預からせてほしいことを伝える。
その財産はシャイロックの死後、娘を奪った者に渡すとアントーニオは付け加える。
キリスト教に改宗することも求められたシャイロックは、動揺して苦しみながら全てを受け入れる。
シャイロックはその場を去ることを許され、公爵は閉廷することを伝える。
バサーニオとアントーニオに感謝されたバルサザーは、返済するはずだった3000ダカットを受け取ってほしいと言われる。
満足することが自分の報酬だと伝えたバルサザーは、人を救うことで十分に報われたと言ってその場を去ろうとする。
報酬ではなく記念に何かを渡すとバサーニオに言われたバルサザーは、アントーニオの手袋とバサーニオの指輪を求める。
妻から受け取った指輪であり、決して手放さないと誓わされたと言うバサーニオの言葉に気分を害したバルサザーはその場を去る。
アントーニオに指輪を渡すようにと言われたバサーニオは、仕方なくそれに従う。
それを託されたグラシアーノから、バルサザーは指輪を受け取る。
書記(ネリッサ)にシャイロックを訪ねさせて証書に署名をさせるために、バルサザーはグラシアーノに案内を頼む。
夫グラシアーノから指輪を奪って見せると、ネリッサもバルサザー(ポーシャ)に伝える。
ベルモント。
ポーシャは、バサーニオと共に現れたアントーニオを歓迎する。
指輪を裁判官の書記に渡してしまったグラシアーノはネリッサに責められ、自分の夫バサーニオなら考えられない行為だと言ってポーシャもそれを批判する。
グラシアーノは、恩のある裁判官にバサーニオも指輪を渡したと話してしまう。
バサーニオはそれを認め、指輪を手放した理由を理解してほしいとポーシャに伝える。
許そうとしないポーシャに、バサーニオは二度と誓いを破らないと約束する。
それを保証すると言うアントーニオに、今度は必ず誓いを守らせるようにと伝えてポーシャは指輪を渡す。
バサーニオは、その指輪がバルサザーに渡した指輪だと気づく。
バルサザーからそれを受け取り、そのお礼に一夜を共にしたことをポーシャはバサーニオに伝える。
ネリッサも指輪を取り出して、書記と一夜を共にしたことをグラシアーノに話す。
驚いた様子のバサーニオにベラーリオ博士からの手紙を渡したポーシャは、それを読めば、自分がバルサザーでネリッサが書記だったことが分かると伝える。
困惑するバサーニオは全てを理解し、ポーシャをベッドに誘う。
ロレンゾーとジェシカは、シャイロックが署名した死後の財産を受け取れると言う証書をネリッサから渡される。
夜明けが迫り、ポーシャは納得していない様子のバサーニオを寝室に誘い、全てを話すと伝える。
グラシアーノとネリッサも寝室に向う。
アントーニオは一人、窓辺に佇む。
ユダヤ人からも見捨てられたシャイロックは孤独となり、ジェシカは指輪に触れながら父を想う。