西部開拓時代の伝説的人物ワイアット・アープを主人公に実際に起きた”OK牧場の決闘”を題材にジョン・フォードが詩情豊かに描く、主演ヘンリー・フォンダ、リンダ・ダーネル、ヴィクター・マチュア、キャシー・ダウンズ、ウォルター・ブレナン、ウォード・ボンド他共演による西部劇の傑作。 |
・西部劇
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・フォード
製作:サミュエル・G・エンゲル
原作
サミュエル・ヘルマン
スチューアート・N・レイク
脚本
ウィンストン・ミラー
サミュエル・G・エンゲル
撮影:ジョー・マクドナルド
編集:ドロシー・スペンサー
音楽
アルフレッド・ニューマン
シリル・J・モックリッジ
出演
ヘンリー・フォンダ:ワイアット・アープ
リンダ・ダーネル:チワワ
ヴィクター・マチュア:ジョン・ヘンリー”ドク”ホリデイ
キャシー・ダウンズ:クレメンタイン・カーター
ウォルター・ブレナン:ニューマン・ヘインズ・クラントン
ウォード・ボンド:モーガン・アープ
ティム・ホルト:ヴァージル・アープ
ジョン・アイアランド:ビリー・クラントン
ジェーン・ダーウェル:ケイト・ネルソン
アラン・モーブレイ:グランヴィル・ソーンダイク
ロイ・ロバーツ:町長
グラントウィザース:アイク・クラントン
ラッセル・シンプソン:ジョン・シンプソン
メエ・マーシュ:シンプソン夫人(妹)
J・ファレル・マクドナルド:マック
フランシス・フォード:老兵士
ジャック・ペニック:駅馬車の御者
ドン・ガーナー: ジェームズ・アープ
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1946年製作 96分
公開
北米:1946年12月3日
日本:1947年8月30日
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1882年。
ワイアット・アープ(ヘンリー・フォンダ)、モーガン(ウォード・ボンド)、ヴァージル(ティム・ホルト)、ジェームズ(ドン・ガーナー)のアープ兄弟は、メキシコから数千頭の牛をカリフォルニアへ運んでいた。
途中、アリゾナのトゥームストーン近郊の平原で、ニューマン・ヘインズ・クラントン(ウォルター・ブレナン)と息子アイク(グラントウィザース)に出会い、牛一頭を5ドルで全て買い取りたいと言われるが、ワイアットはそれを断る。
その夜、アープ兄弟は末弟のジェームズを残し、近くの町のトゥームストーンに出かける。
そこでワイアットは、暴れていた男を叩きのめし、町長(ロイ・ロバーツ)から保安官に誘われる。
ダッジ・シティで、名のある保安官だったワイアットだったが、彼はそれに興味を示さなかった。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
兄弟と牛を追っていたワイアット・アープは、近くの町トゥームストーンに出かけている際に、末の弟ジェームズを何者かに殺され牛も奪われてしまう。
弟モーガンとヴァージルを助手にして、無法の町になりかけている、その地の治安維持を任されたワイアットは、町の実力者”ドク”ホリデイと出会う。
お互いを認め合った二人は、親交を深めていくのだが、そこに、ホリデイの許婚であるクレメンタインが、東部から到着する・・・。
__________1931年に発表された、スチューアート・N・レイクの著書”Wyatt Earp: Frontier Marshal”を基に、サミュエル・G・エンゲル、サミュエル・ヘルマン、ウィンストン・ミラーが脚色した作品。何度も映画化されているワイアット・アープの活躍を描く作品の中で、それぞれがその趣向は違うものの、本作を上回るものはなく、西部劇としての面白味だけでなく、味わい深い物語として、映画史上に残る傑作でもある。ワイアット・アープの人物像や、アープ兄弟の年齢、また、”OK牧場の決闘”の結末など、史実とは全く違う内容で大きく脚色されている。しかし、フォード作品独特のタッチ、アルフレッド・ニューマンの音楽や、余りにも有名な主題歌の”いとしのクレメンタイン”と共に、フォード・ファンなら誰しも至福の時を過ごせる詩情豊かな作品でもある。
決闘、友情、ロマンス、酒場の雰囲気、駅馬車の疾走など、西部劇の醍醐味を網羅し、極めつけ、見事なまでに美しいモニュメントバレーなどを映し出したジョー・マクドナルドの撮影なども出色だ。思慮深く腕は立ち人情味も溢れ、時にユーモラスなヘンリー・フォンダの、メリハリの効いた演技は見ものだ。
やや人の道を外れた人生を歩む、主人公の身近な二人、ヴィクター・マチュアとリンダ・ダーネルの組み合わせも、作品に力強さを与えている。
キャシー・ダウンズの上品な美しさは、辺境の地で光り輝き、悪役ウォルター・ブレナンの凄みのある敵役も、演技派の本領発揮というところだ。
実は、ウォルター・ブレナンとヴィクター・マチュアは、フォードとは意見が合わず、これ以後フォードは彼らを起用しなかったという裏話もある。
頼もしいワイアットの弟モーガン役ウォード・ボンドの、クライマックスのファニングは惚れ惚れする。
老いぼれ兵士が良く似合う、フランシス・フォードをはじめ、もちろんフォード一家の面々は多数出演している。
アープ兄弟の三男ヴァージル役のティム・ホルト、四男ジェームズのドン・ガーナー、クラントン(W・ブレナン)の息子ビリー 役のジョン・アイアランド、アイクのグラトウィザース、町の婦人役ジェーン・ダーウェル、役者アラン・モーブレイ、教会建設の発起人ラッセル・シンプソン、その妹メエ・マーシュ、町長役のロイ・ロバーツ、酒場のバーテンダーのJ・ファレル・マクドナルド、駅馬車の御者ジャック・ペニックなどが共演している。
残念ながら、「荒野の決闘」という邦題は本作のテーマには合わない。
フォードが知っていたとしたら、憤慨したかもしれない。