コマンチに家族を殺され連れ去られた姪を捜し求める男の執念の追跡と復讐を描く、ジョン・フォード、ジョン・ウェインのコンビによる西部劇の傑作にしてアメリカ映画史上に残る不朽の名作。 ジェフリー・ハンター、ヴェラ・マイルズ、ウォード・ボンド、ナタリー・ウッド他共演。 |
・西部劇
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・フォード
製作総指揮
メリアン・C・クーパー
パトリック・フォード
原作:アラン・ルメイ”The Searchers”
脚本:フランク・S・ニュージェント
撮影:ウィントン・C・ホック
編集:ジャック・マレー
音楽:マックス・スタイナー
主題歌:スタン・ジョーンズ
出演
ジョン・ウェイン:イーサン・エドワーズ
ジェフリー・ハンター:マーティン・ポーリー
ヴェラ・マイルズ:ローリー・ジョーゲンセン
ウォード・ボンド:サミュエル・ジョンストン・クレイトン
ナタリー・ウッド:デビー・エドワーズ
ラナ・ウッド:デビー・エドワーズ(少女期)
ヘンリー・ブランドン:シカトリス/スカー
ハリー・ケリーJr.:ブラッド・ジョーゲンセン
ハンク・ウォーデン:モーズ・ハーパー
ジョン・クォーレン:ラース・ジョーゲンセン
オリーヴ・ケリー:ジョーゲンセン夫人
ケン・カーティス:チャーリー・マッコリー
パトリック・ウェイン:グリーンヒル少尉
ウォルター・コイ:アーロン・エドワーズ
ドロシー・ジョーダン:マーサ・エドワーズ
ピッパ・スコット:ルーシー・エドワーズ
ロバーロ・ライデン:ベン・エドワーズ
クリフ・ライオンズ:グリーヒル大佐
ピーター・ママコス:ジェレム・ファターマン
ビューラ・アーチュレッタ:ルック
ジャック・ペニック:騎兵隊二等兵
アントニオ・モレノ:エミリオ・フェルナンデス・フィギュロア
メエ・マーシュ:砦の夫人
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1956年製作 119分
公開
北米:1956年3月13日
日本:1956年8月22日
製作費 $3,750,000
■ 受賞 ■
American Film Institute 1998
100 Greatest American Movies
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1868年、テキサス。
南北戦争終結から3年、放浪の旅から戻ったイーサン・エドワーズ(ジョン・ウェイン)を、兄アーロン(ウォルター・コイ)と妻マーサ(ドロシー・ジョーダン)、子供達ルーシー(ピッパ・スコット)、ベン(ロバーロ・ライデン)、デビー(ラナ・ウッド)、そして、チェロキー族の血が、1/8入っている混血児のマーティン・ポーリー(ジェフリー・ハンター)が迎える。
イーサンは、自分が孤児として連れてきたマーティンの成長を見ても、喜ぶ気にはなれなかった。
その後、アーロンは、イーサンが出て行った理由などを尋ねるが、彼は多くを語らなかった。
翌日、牧師兼”テキサス・レンジャー”隊長のサミュエル・ジョンストン・クレイトン大尉(ウォード・ボンド)の訪問を受ける。
クレイトンは、牛を盗まれた隣人のラース・ジョーゲンセン(ジョン・クォーレン)と息子ブラッド(ハリー・ケリーJr.)、更にモーズ・ハーパー(ハンク・ウォーデン)、そしてチャーリー・マッコーリー(ケン・カーティス)らを伴い、先住民の動きを警戒して追跡するために、アーロンとマーティンを迎えに来たのだった。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
1868年。
南北戦争後の放浪の旅から戻ったイーサン・エドワーズは、兄夫婦と甥をコマンチに殺され、二人の姪をさらわれてしまう。
怒りに燃えるイーサンは、自分が孤児として育てた、先住民との混血青年マーティンや牧師兼テキサス・レンジャー大尉クレイトンらと共に姪の捜索に向かう。
やがて、一人の姪の死を確認したイーサンは、マーティンと、二人だけの何年もの捜索を続け、執念でもう一人の姪デビーを捜し出す。
しかしイーサンは、既にコマンチに同化していたデビーをも憎み、銃を向けてしまう・・・。
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アラン・ルメイの同名小説を基に、フランク・S・ニュージェントが脚色して製作された作品。
本作は、私の最も好きなスター、ジョン・ウェイン作品中の愛すべき西部劇でもあり、また、ジョン・フォードとジョン・ウェイン、コンビによる作品の”最高傑作”だと思っている。
・ジョン・フォード / John Ford 作品一覧
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西部劇の最高峰というと、同じ二人の「駅馬車」(1939)をあげる人が多い。
フォードの演出力や作品の質はベストではあるものの、まだ若く威厳もないウェインに、 私は、本来の彼の魅力をそれほど感じない。
そういう意味で、最もウェインらしい作品は間違いなく本作だと断言する。
(「赤い河」(1948)にも共通する)
本作は、1989年に、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
作品中、ウェインは、ほぼ全編で復讐の怒りに燃えている。
このような演技が許され、また演じられるのは、彼しかいないだろう。
熊のような掌で、おもちゃのように扱う拳銃ではなく、あくまでウィンチェスターで撃殺しようとするシーンなども、その怒りの度合が強調されている。
ウェインは期待に応え、”復讐鬼”を見事に演じ切っている。
わずか数週間で撮り終えたという、職人技の手本とも言えるジョン・フォードの演出は冴え渡り、乗りに乗っている感じを受ける。
部屋の天井や扉の高さをわざと低くし、腰の位置からやや見上げるショットは、大柄なウォード・ボンドさえも圧倒する、威風堂々とした巨体のウェインを、更に際立たせる見事なカメラワークと演出だ。
参:ジョン・ ウェインの身長
ウェインは、「静かなる男」(1952)の冒頭シーンで、バリー・フィッツジェラルドから”6フィート6インチ(198cm)?”かと聞かれて、”4&1/2(194cm)”と答える。
モニュメントバレー(ユタ・アリゾナ州)のロケ(ユタ州)は、「アパッチ砦」(1948)や「黄色いリボン」(1949)等でも使われ、フォード・ポイント)やメサ(浸食岩)がスクリーンに映し出されただけでファンならたまらなく嬉しいはずだ。
参:
誰でもが知っているモニュメントバレーが登場するにも拘わらず、冒頭ではいきなり”TEXAS”と強調するところがいい。
力強く勇ましいマックス・スタイナーの主題曲や、聴き惚れるスタン・ジョーンズの挿入歌、サンズ・オブ・ザ・パイオニアーズのメンバーで、フォード作品の常連、ケン・カーティス(フォードの娘婿)の歌声は、効果的に場面を盛り上げる。
*息の合ったフォード作品で馴染みの面々。
クライマックスで、ウォード・ボンドに茶化されながら演技する息子のパトリック・ウェインの様子を、ウェインが後方で、にやにやしながら見守っているシーンも面白い。
全てにおいて、フォード一家(John Ford Stock Company)の集大成と言える作品だ。
冒頭の遠慮気味な青年から、旅を続けて成長し、ウェインを相手に一歩も引かないジェフリー・ハンター、その恋人、フォード好みの鉄火娘ヴェラ・マイルズ、ユーモラスで頼もしい、牧師兼警備隊長ウォード・ボンド、撮影当時まだ16歳の主人公の姪役ナタリー・ウッド、勇ましいコマンチの酋長ヘンリー・ブランドン、親子で出演の隣人ハリー・ケリーJr.とオリーヴ・ケリー、その父であり夫役のジョン・クォーレン、奇人モーズ・ハーパーを怪演するハンク・ウォーデン、抜群の歌唱力の知人役ケン・カーティス、そして若き騎兵隊将校パトリック・ウェイン、その上官(父)で討伐隊の大佐役クリフ・ライオンズ、騎兵隊員のジャック・ペニック、メエ・マーシュ(注意していないと分からない、騎兵隊の砦の夫人)、サイレント映画のスター、アントニオ・モレノらの共演も嬉しいばかりだ。
スティーヴン・スピルバーグが、映画の撮影に入る前に、必ず観直す4作品の内の一作ということもよく知られている。
・「七人の侍」(1954)
・「素晴らしき哉、人生!」(1946)
・「アラビアのロレンス」(1962)
・「捜索者」(1956)
・・・・
*映画史上に残るラストシーン。
孤独な放浪児イーサン(ジョン・ウェイン)を象徴的に描写する、真っ暗な室内から扉越しに原野を見通す構図は秀逸だ。
主人公のイーサン(ウェイン)は、コマンチにさらわれた姪(ナタリー・ウッド)を、長年の追跡の末に救出して、隣人(ジョン・クォーレンと(オリーブ・ケリー)に託し自らは去っていく。
作品中に、何度か登場する室内から原野を映すショットは、再会や別れ、そして旅立ちを、画面の中央だけで表現した素晴らしいシーンだ。
参:ウェインのコスチューム。(クライマックス)
浅めテンガロン、サスペンダーに、X脚のウェインに合う茶色いジーンズとお馴染みのガンベルト、腰には、コマンチの頭の皮を剥ぐためにナイフを下げ、 これが、全編を通して主人公の怒りを象徴している。
注目は、左手を右肘に添えてポーズをとるシーン。
これは、フォードの恩人であり盟友ハリー・ケリーお得意ポーズであり、ウェインとフォードが、彼と、共演のハリー・ケリーJr.やラストにも登場する夫人O・ケリーに捧げた、H・ケリーへのオマージュだ。
7年を費やした追跡は終わり、馬から降りるウェインを、奇人モーズ・ハーパー(ハンク・ ウォーデン)が揺り椅子に揺られながら笑顔で迎える。
*室内からのショット。
中央の巨体のウェインは、救出した小柄なナタリー・ウッドを抱きかかえ、隣人のジョン・クォーレンと妻オリーヴ・ケリーに託す。
後方奥には、ウェインと共に、義理の妹を捜し続けたジェフリー・ハンターと、彼の帰りを待ち焦がれていたヴェラ・マイルズが寄り添いながら家の中へ。
*去っていくとは知らないウェインに、二人は見向きもしないところもポイントだ。
平和や喜びが満ち溢れたこのカット後、ウェインだけ扉の内側に入ろうとしない。
身内を虐殺され復讐に生涯をかけた、孤独を求める流れ者は、故郷の土さえ肌に合わない・・・。
喜びと安堵を、身内や隣人達と分かち合うこともなく、生きる世界の違いを悟り独り去っていくイーサン(ウェイン)の後姿・・・。
主題歌(ラスト)
A man will search his heart and soul
Go Searchin’ way out there
His peace of mind he knows he’ll find
But where, O Lord, Lord, where?
Ride away, ride away, ride away
男は自分の心と魂を捜し求める
捜し求めて旅に出る・・・
いつかは みつける心の安らぎ
だがそれはどこにある
旅に出ろ 馬でさまよえ・・・