天狗の爪痕を持つ少年を発見した大石良雄は、目覚めた彼に刀を奪われてたために殺そうとするものの、藩主浅野内匠頭(田中泯)に制止される。
浅野は少年に宿る力を感じ取り、彼を助けて娘のミカに介抱させる。
父と同じくミカも少年に備わった力を感じ、浅野は臣下の意見を退けて少年、魁/カイを藩内に留まらせた。
カイと親交を深めたミカは、鬼子と呼ばれた彼に優しく接し、地面に落ちた髪飾りを渡す。
のけ者だったカイは、浅野とミカへの恩返しを誓った。
成長したカイは侍の筆頭となった大石内蔵助(真田広之)に仕え、霊獣”麒麟”退治に加わっていた。
現れた”麒麟”に襲い掛かる侍達は苦戦し、その様子を”霊狐”が監視する。
麒麟を倒すことに失敗した安野(羽田昌義)は死を覚悟するものの、カイが彼を救い霊獣を倒す。
カイに命を救われたことを不満に思う安野は、自分の手柄にしてしまう。
安野を称えた浅野は、これで将軍を迎えられると伝えて、大石が切り落とした麒麟の角を受け取る。
大石は、カイが麒麟が倒したことを見抜いていた。
霊狐を目撃したカイは、不吉な予感がする。
赤穂と競い合う長門の城主吉良上野介(浅野忠信)は、霊狐に姿を変えていた側室のミヅキ(菊地凛子)から、浅野が生きているという報告を聞き落胆する。
将軍に厚遇されて国中から注目される、赤穂と浅野の栄光を地に落としてみせると言うミヅキは、方法はあると吉良に伝える。
弱みである娘のミカのためなら、浅野は命を捨てるだろうとミヅキは考える。
大石の息子主税/チカラ(赤西仁)は、浅野が獣を倒して戻ることをミカ(柴咲コウ)に伝える。
到着した浅野はミカに迎えられ、安野の働きを伝える。
浅野から将軍を迎える準備を訊かれたミカは、その内容を話す。
妻りく(國元なつき)の元に戻った大石は、剣術に励む主税の成長を頼もしく思う。
林の中で孤独に暮らすカイの元に向かったミカは、彼の背中の傷の手当てをして、手柄をたてた安野が恥じた表情だったことを伝える。
何をしても憎まれるカイを気の毒に思うミカは、彼から、今の身分に不満はないと言われる。
より良い生活を望まないのかと訊かれたカイは、何も答えずに、ここに来るべきではないとミカに伝える。
自分への愛をカイに尋ねたミカは、身分が違うと言われてその場を去る。
将軍徳川綱吉が到着して浅野に迎えられ、その様子を見ていたカイは、獣退治の場所で見た霊狐と同じ目をした女(ミヅキ)に気づく。
それを大石に報告したカイは、霊狐が武将の側室に化けていると言って警告するものの、聞き入れてもらえない。
翌日、将軍のための武技競べが行われることになり、浅野は到着した吉良を迎える。
ミカが側室だと思ったと言う吉良の言葉に気分を害した浅野は、無礼を謝罪される。
将軍を迎えて様々な芸が催され、武技競べのために準備をしていた安野は、霊狐の妖術にかかってしまう。
巨体の鎧武者(ニール・フィングルトン)が現れ、吉良は、驚くミカと浅野に我が剣士だと伝える。
妖術にかかった安野に代わり、鎧を付けた武士に扮したカイが姿を現し、鎧武者との戦いが始まる。
激しく戦うカイは兜が脱げてしまい、鎧武者が襲い掛かるものの、将軍はそれを制止する。
カイに近づき侍でないことを確認した将軍は、彼を殺すことを命ずる。
ミカがカイに駆け寄り、浅野は、死で罪を償うのは人間だけの特権であり、獣には許されないと将軍に伝える。
全て自分の責任だと言う浅野に何も伝えす去ろうとする将軍は、カイの甲冑を脱がせて打擲せよと大石に命ずる。
カイは木刀で背中を打たれ、それを制止した武士の芭蕉(米本学仁)が、彼を気遣いながら最後の一撃を加える。
浅野に謝罪を受け入れてもらえないミカの心は傷つく。
今こそ赤穂を奪う時だと吉良をそそのかすミヅキは、浅野に妖術をかける。
吉良がミカに襲い掛かる幻覚を見た浅野は、彼を切りつけて大石らに制止される。
正気に戻った浅野は、丸腰の客人を襲い家名を傷つけたことの責任を負わされ、将軍から死で償うようにと言われる。
将軍は、地位と功績を考慮して藩が名誉を保てるよう、切腹を許すことを浅野に伝える。
妖術にかかり謀られたという大石の意見を退け、赤穂の名誉を保ち遺恨を残さないことが最善の策だと伝えた浅野は、彼に後を任せる。
ミカと赤穂を守り抜くことを大石に約束させて覚悟を決めた浅野は、友人として介錯を頼む。
涙を見せるなとミカに伝えた浅野は、将軍と吉良、そしてミカと武士達が見守る前で切腹し、大石が介錯する。
仇討ちを望む同志の気持ちを察しつつ、大石は、今、戦えば死しかないと考え、赤穂が犠牲になると伝えて皆を説得する。
侍女から毒を渡されたミカは、死よりも赤穂の存続を考える。
大石から抜いた刀を差しだされた将軍は、ミカから、自分が嫁ぐまで赤穂の差配を委ねてほしいと言われる。
襲われたものの、浅野の死を悼むとミカに話す吉良は、助かった命を、夫となり赤穂のために役立てると伝える。
将軍は、今後、両家が争わないよう、吉良に嫁ぐことをミカ命じ、喪に服することを求める彼女を、1年の間、吉良家の預かりものとする。
大石らは浪人となり、仇討ちを考えることを許されず、将軍は、吉良に赤穂を任せる。
カイは大石らと共に追放され、ミカは彼との別れを惜しむ。
大石が危険人物だと判断した吉良は、彼を穴倉に落とすよう部下に命ずる。
1年後。
妻子の元に戻った大石は、家臣達が去り、喪が明けるミカは婚儀のため城に連れて行かれたことを知る。
カイのことを主税に尋ねた大石は、出島で異人の奴隷となっていることを知り、その場に向かおうとする。
主税に馬を用意させた大石は、身を守るために夫婦別れをしたと見せかけるようりくに指示して、互いの愛を確かめる。
主税に浅野の刀を預けた大石は、浪士達に黒沼で落ち合うことを伝えるよう指示して旅立つ。
出島。
奴隷の監視人(リック・ジェネスト)に話しかけられた大石は、見せ物として戦わされているカイの元に向かう。
自分が誰か分からないカイと戦いながら、ミカが助けを求めていることを知らせた大石は、吉良が彼女を娶るのを止めなければならないと伝える。
戦うと見せかけたカイと大石は、その場が混乱する隙を見て逃れる。
婚儀まであと七日だとカイに伝えた大石は、吉良の前で跪いてミカを渡したことを責められる。
あの状況では皆が殺されたと言う大石は、1000人の兵を持ち霊狐の力を借りる吉良に対抗することを伝え、警告を聞かなかったのは間違いだったとカイに謝罪する。
加勢を求め頭を下げる大石の気持ちを理解したカイは、今度、吉良に跪いたら首を刎ねると伝える。
剣術は天狗に習ったと言うカイは、大石と共に黒沼に向かう。
浪人の手引きでカイが出島から逃亡したことを知った吉良は、大石が助けたと考え、ミヅキに彼を殺すよう指示する。
同志と合流した大石は、浪人となった今は赤穂に属さないため、自由に戦えることを皆に伝える。
しかし、その先には死しかなく、目的を成し遂げても将軍に背いた罪で処刑されるだろうと話した大石は、浅野の無念を晴らすため、吉良を地獄に送ることを誓う。
城内に攻め込むのは無理だと考えた大石は、吉良が先祖の墓詣でに行くことを知り、磯貝(出合正)を菩提寺のある町に向かわせて情報を入手しようとする。
勢力で劣るのを補うために、大石は、元藩士をできるだけ集めることを考えて皆を分散させ、堀部(中嶋しゅう)が確保した農家に集合することにする。
羽越で刀を手に入れることを考える大石は、安野からカイのことを訊かれ、自分が呼んだと答える。
侍ではない者とは戦えないと言う安野がカイに襲い掛かるのを制止した大石は、自分達は侍ではないと伝える。
羽越。
農民に扮し工具を買いに来たと兵士に伝えた大石は、吉良の領地だと言われる。
主税の手を見て農夫ではないことに気づいた兵士を、カイは一瞬のうちに倒し、あるだけの刀を奪うよう大石らに指示する。
飛騨で刀を手に入れる考えだった大石に、どこも吉良の手が回っていると伝えたカイは、”天狗の森”に向かうべきだと伝える。
赤穂に来る前にそこで育ったと言うカイは、天狗から人間として生きるのを諦めろと言われたために逃げ出したことを大石に話す。
試練に打ち勝てば刀を手に入れることができると言うカイは、大石を説得する。
酔った役人(クライド・クサツ)から話を聞くものの情報を得られない磯貝は、ある女に声をかけるものの、それはミヅキだった。
天狗の森に着いたカイは、大石だけ連れて天狗の首領(伊川東吾)の元に向かう。
何があっても決して刀を抜くなと大石に伝えたカイは、一人で首領に会い、力を借りたいと言って刀が要ることを伝える。
秘伝の刀を前に、この場から逃げて何を学んだかを問う首領は、決して結ばれることのない恋のために生きているカイに、恋とは何かを教える。
イギリス人の船乗りと百姓の娘との間に産まれ、処置に困った母親にこの地に捨てられ、人と異なる姿だったために自分達が見つけて育てたことを話す首領は、多くを教えたにも拘わらず逃げたカイを非難する。
ミカとの恋はこの世では叶わないと言われたカイは、死を受け入れて来世で会えるよう祈ると伝える。
大石を追ってきた安野は刀を抜いてしまい、その場で拝んでいた天狗達が襲い掛かる。
同志達が殺される姿を見た大石だったが、カイの指示に従い決して刀を抜かなかった。
刀を要求するカイは、首領から、自分より早く手にして仲間を救うがいいと言われる。
一瞬早く刀を手にしたカイは、首領から術を忘れていないなと言われて大石の元に向かう。
同志達が襲われたのは幻覚だった大石は、カイから、刀を抜かずに試練に耐えたと言われ、仲間も無事だと言われる。
刀を手に入れた大石らは、同志達と共に堀部が確保した農家に向かう。
戻った磯貝から、吉良が今夜、城を出て寺へ向かうことを知らされた大石は、堀部と主税をその場に残して出発する。
先祖に婚礼の報告をすることをミカに伝えた吉良は、墓所に向かう。
墓所に着いた大石だったが、磯貝を妖術にかけたミヅキが待ち構えていたため、罠だと気づく。
何人もの仲間が殺され、安野を助けようとした芭蕉が矢を受けてしまう。
大石の刀を吉良に届けたミヅキは、ミカの元に向かいカイが死んだことを伝える。
決して傷つけないと吉良に約束したと話すミヅキは、自害した場合は自分には関係ないとミカに伝えて、その場に剣を突き刺して去る。
農家に戻ったカイは瀕死の芭蕉を介抱し、子供時代にいじめたことを謝罪される。
いい奴だとカイに伝えた芭蕉は息を引き取り、安野は涙する。
浅野を介錯した日に吉良を討つべきだったと言って後悔する大石は、カイから、今でも侍だと言われる。
刀も覚悟もあると言うカイは、死んだと思っている吉良に幽霊だと思わせれば、自分達が有利な立場にいると大石に伝える。
油断している敵を叩けば仇討ちは果たせると言われた大石は、心を決める。
翌日、吉良の婚礼の余興のため城に向かう旅芸人一座の元に向かった大石は、以前、赤穂で見たことを座長(ゲディ・ワタナベ)に伝える。
大石が浅野の家臣だと知った座長は、協力を求められる。
安野から、命の恩人の手柄を奪ったことを謝罪されたカイは、芭蕉の刀を渡される。
侍は刀を二振り差すと言われたカイは、それを受け取る。
同志を集めた大石は、死をもって世の悪業を断つと伝え、血判状に署名させる。
大石から加わるかと問われたカイは、”魁”と署名して血判を押す。
これで”四十七士”となったことを、大石は同志に伝える。
旅芸人一座に扮して城内に入った大石らは、余興の準備をしながら襲撃に備える。
余興は始り、舞台裏では四十七士が兵士達に襲い掛かる。
役者に扮していた大石は、刀を抜いて吉良を倒そうとする。
火薬庫が爆破されて鎧武者は吹き飛び、激しい戦いは続く。
兵士達から逃れたミカはカイと再会し、二人は抱き合う。
そこにミヅキが現れ、獣に姿を変えてカイに襲い掛かる。
吉良と一騎打ちとなった大石は、殿の仇だと言って浅野の刀で腹部を切り裂く。
隠し持っていた剣を使い逃げたミカに襲い掛かろうとしたミヅキを倒したカイは、彼女を抱きしめる。
大石は、苦しむ吉良の首を切り落とす。
吉良の首を掲げて兵士に見せた大石は、戦いを止めさせる。
赤穂に戻った大石は、浅野の墓前に刀を置いて仇を討ったことを報告し、ミカは手を合わせる。
その後、将軍から仇討ちは禁じたはずだと言われた大石は、主君を奪ったものと同じ空の下では生きられないと伝える。
同志には恩情をと願った大石は、勇敢な者達に威厳のある死を与えてほしいことを将軍に伝える。
命に背き処刑は免れない状況ではあるが、武士としての忠心から主君の仇を討ったことを認めた将軍は、侍としての死を許し、主君と同じ墓所で眠ることを命ずる。
跪く大石らは、将軍に感謝する。
大石から、浅野の遺志を継ぎミカが赤穂を再興させるだろうと言われたカイは、彼女との最後の夜を過ごす。
千の来世を旅して万の生を得ても、生まれ変わる度にあなたを捜すと言うカイに、ミカは、その全てで待っていると伝える。
翌日、切腹の準備をした大石らを前に、将軍は主税を呼び、家系を絶つのは忍びがたいために、父や同志達のように赤穂に尽くすようにと伝える。
その場から離れるよう指示される主税を、母りくは見つめる。
大石やカイら46人は武士として命を絶ち、ミカは涙する。
カイの遺品である髪飾りを手にしたミカは、”千の来世を旅して万の生を得ても、生まれ変わる度にあなたを捜す”というカイの言葉と共に彼を想う。
忠義と正義のために死をも恐れなかった四十七士の物語は、名誉と忠義を尊ぶ日本人の魂の物語として、今も語り継がれている。
毎年12月14日、四十七士の墓には数千人が訪れる。