1894年に発表された、ハル・ケインの小説”The Manxman”を基に製作された作品。 一人の女性を愛した固い友情で結ばれた二人の青年の関係を描く、監督アルフレッド・ヒッチコック、主演カール・ブリッソン、マルコム・キーン、アニー・オンドラ他共演のドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:アルフレッド・ヒッチコック
製作:ジョン・マックスウェル
原作:ハル・ケイン”The Manxman”
脚本:エリオット・スタナード
編集:エミール・デ・ルール
撮影:ジャック・E・コックス
出演
ピート・キリアム:カール・ブリッソン
フィリップ・クリスチャン:マルコム・キーン
ケイト・クレギーン:アニー・オンドラ
シーザー・クレギーン:ランドル・エアートン
クレギーン夫人:クレア・グリート
ロス・クリスチャン:キム・ピーコック
イギリス 映画
配給
Wardour Films(イギリス)
Sono Art-World Wide Pictures(北米)
1929年製作 81分
公開
イギリス:1929年1月21日
北米:1929年12月16日
日本:未公開
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
”人、全世界を得るとも、己が魂を失わば、何の益かあらん”
(マタイ16:26)
__________
イギリス、マン島。
漁師のピート・キリアム(カール・ブリッソン)と幼馴染で弁護士のフィリップ・クリスチャン(マルコム・キーン)は協力し合い、島の人々のために闘っていた。
総督に提出する、商船による領域侵犯に抗議する請願書に署名するため、二人は仲間達を連れてシーザー・クレギーン(ランドル・エアートン)の店に向かう。
二人は、”マン島の妖精”と言われるシーザーの娘ケイト(アニー・オンドラ)に恋をしていた。
ケイトのことは心に閉まっていたフィリップは、請願書の件を皆に説明するが、ピートとケイトが話をしていることが気になる。
フィリップは、ピートを呼んで最初に署名させて、仲間達もそれに続く。
その夜、ピートは、自分とケイトのことをシーザーに話す決心をして、それをフィリップに知らせる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
イギリス、マン島。
漁師のピート・キリアムと幼馴染の弁護士フィリップは、”マン島の妖精”と言われるケイトに恋していた。
フィリップはそれを隠していたのだが、ピートは、その気持ちをケイトの父シーザーに伝えようとする。
無一文の漁師であるピートはシーザーに侮辱されたため憤慨し、海外で働き大金を稼いで戻ると言い放つ。
ピートに気持ちを伝えられたケイトは、安易な考えで、帰国後の結婚を約束してしまう。
そしてピートは、ケイトをフィリップに任せてアフリカへと旅立つ。
その後、フィリップとケイトは親交を深めるのだが、ピートが死亡したという知らせが届く。
既にフィリップに恋していたケイトは、自由になれたと喜ぶのだが、固い友情で結ばれていたピートをフィリップは裏切るわけにはいかない。
そんなフィリップとケイトは愛し合うようになるのだが、何んと、生きていたピートが帰国するという連絡が入る・・・。
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デザイナーから美術監督となり、監督としてキャリアを積んでいたアルフレッド・ヒッチコックの最後のサイレント作品。
サイレントの特徴を生かしてと言うか、そうなるのが当時の作風だったとも思える、登場人物の微妙な感情変化などを丁寧に描くヒッチコックの演出手腕が光る作品。
原題の”The Manxman”とはマン島人のことである。
冒頭で表記される”マタイ16:26”からの引用”人、全世界を得るとも、己が魂を失わば、何の益かあらん”をテーマに、イギリスのマン島を舞台に、ある複雑な恋愛を通して人としての”生き方”を深く描く作品。
サイレント作品ということで、各役柄の役者の表情に注目したい。
事あるごとに、ほぼ全編でにこやかな笑顔を見せる漁師のカール・ブリッソン、”クリスチャン”という姓が意味深である、友人に対しての罪悪感から、主人公とは対照的に常に顔をしかめる弁護士のマルコム・キーン、そして、二人との愛の狭間で苦悩するヒロイン、アニー・オンドラの悲しげな表情などが実に印象的だ。
ヒロインの父親ランドル・エアートン、母親クレア・グリートなどが共演している。