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ゴッドファーザー The Godfather (1972)

1969年に発表された、マリオ・プーゾの大ベスト・セラー同名小説の映画化。
イタリアの貧しい移民から暗黒街を支配するボスに成り上がった男とその家族を描く一大叙事詩。
監督、脚本フランシス・フォード・コッポラ、主演マーロン・ブランドアル・パチーノジェームズ・カーンロバート・デュヴァルジョン・カザールダイアン・キートンタリア・シャイア共演によるハリウッド映画史上に残る不朽の名作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

マーロン・ブランド / Marlon Brando / Pinterest
アル・パチーノ / Al Pacino / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:フランシス・フォード・コッポラ

製作
アルバート・S・ラディ
グレイ・フレデリクソン
原作:マリオ・プーゾゴッドファーザー
脚本
フランシス・フォード・コッポラ
マリオ・プーゾ
撮影:ゴードン・ウィリス
編集
ウィリアム・H・レイノルズ
ピーター・ジナー
衣装デザイン:アンナ・ヒル・ジョンストン
音楽:ニーノ・ロータ

出演
マーロン・ブランド:ドン・ヴィトー・コルレオーネ
アル・パチーノ:ミケーレ“マイケル”コルレオーネ
ジェームズ・カーン:サンティノ“ソニー”コルレオーネ
ロバート・デュヴァル:トム・ヘイゲン
ジョン・カザール:フレデリコ“フレド”コルレオーネ
ダイアン・キートン:ケイ・アダムス・コルレオーネ
リチャード・S・カステラーノ:ピーター・クレメンザ
タリア・シャイア:コンスタンツァ“コニー”コルレオーネ・リッジ
モルガーナ・キング:カルメーラ・コルレオーネ
エイブ・ヴィゴダ:サル・テッシオ
スターリング・ヘイドン:マクラスキー
ジョン・マーリー:ジャック・ウォルツ
リチャード・コンテ:ドン・エミリオ・バルジーニ
アル・レッティエリ:ヴァージル・ソロッツォ
レニー・モンタナ:ルカ・ブラージ
ジャンニ・ルッソ:カルロ・リッジ
リチャード・ブライト:アル・ネッリ
アル・マルティーノ:ジョニー・フォンテーン
アレックス・ロッコ:モー・グリーン
シモネッタ・ステファネッリ:アポロニア・ヴィッテッリ・コルレオーネ
コラッド・ガイパ:ドン・トマジーノ
ジョン・マルティーノ:ポーリー・ガット
トム・ロスキー:ロッコ・ランポーネ
ジョー・スピネル:ウィル・チッチ
サルヴァトーレ・コリシット:ボナセーラ
アンジェロ・インファンティ:ファブリツィオ

アメリカ映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1972年製作 175分
公開
北米:1972年3月24日
日本:1972年7月15日
制作費 $6,000,000
北米興行収入 $134,966,410
世界 $245,066,410


アカデミー賞 ■
第45回アカデミー賞
・受賞

作品
主演男優(マーロン・ブランド/受賞拒否)
脚色賞
・ノミネート
監督
助演男優(アル・パチーノ/ジェームズ・カーン/ロバート・デュヴァル
編集・録音・作曲(ドラマ)・衣装デザイン賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1945年8月下旬、ニューヨーク
ドン・ヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)は、娘コニー(タリア・シャイア)の結婚式の日を過ごしていたが、訪れる来客が後を絶たない。

結婚式には頼みごとは断れないという、シシリーの仕来りがあるからだ。

葬儀屋ボナセーラ(サルヴァトーレ・コリシット)は、暴行された娘の敵討ちをドン・ヴィトーに依頼する。

ドンは、今までの無礼を詫び、友の証を見せれば、それを受けることをボナセーラに伝える。

そして、ボナセーラはドンの手に口付けし、敬愛の証として彼を”ゴッドファーザー”と呼ぶのだった。

しかしドンは、ファミリーを動かすには合法かつ各方面への根回しが必要で、自分達が単なる殺し屋集団ではいけないことを、養子である次期”コンシリアーリ”(相談役)、弁護士のトム・ヘイゲン(ロバート・デュヴァル)に耳打ちする。

結婚式には、戦争の英雄で、ドンの末息子のマイケル(アル・パチーノ)も、ガールフレンドのケイ・アダムス(ダイアン・キートン)を連れて出席していた。

中庭に集まる来客を気にしながら、仕事をこなすドンの元に、彼に忠誠を誓う、用心棒兼殺し屋のルカ・ブラージ(レニー・モンタナ)が、祝福の言葉を告げに現れる。

女好きの長男ソニー(ジェームズ・カーン)は、人目も気にせずに部屋に愛人を呼び寄せて愛し合う。
...全てを見る(結末あり)


解説 評価 感想 ■

参考:
・「ゴッドファーザー」(1972)
・「ゴッドファーザーPARTII」(1974)
・「ゴッドファーザーPARTⅢ」(1990)

*(簡略ストー リー)
ニューヨーク
マフィアの5大ファミリーの中で、中心的な存在であり、絶大な権力を持つドン・ヴィトー・コルレオーネは、タッタリア・ファミリーから、新たなビジネスとして麻薬取引への参入を持ちかけられる。
今後の金脈とも考えられる麻薬に手を出すことを渋るドン・ヴィトーは、その後、命を狙われる。
やがて、家業に興味を示さなかったドン・ヴィトーの三男のマイケルまで巻き込む、ファミリー間の抗争へと発展する。
気短で先走る長男ソニーも殺害される中で、ドンのルーツであるシシリーに逃亡していたマイケルにも魔の手が迫り、ドンは5大ファミリーの和平に合意する。
その後、マイケルがファミリーを引き継ぐことになり、勢力が衰えたと考えられたコルレオーネ・ファミリーは、ネバダへの移転で新規事業拡大を画策する。
そして、マイケルはドンの死を機に、全権力を手中にする計画を実行に移す・・・。
__________

1990年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品。

万人受けする内容でないにも拘らず、当時の興行収入記録を保持する「サウンド・オブ・ミュージック」(1965)を破り、全世界で大ヒットした。
(全世界2億4500万ドル)
*北米興行収入 $134,966,410

第45回アカデミー賞では9部門にノミネートされて、作品、主演男優、脚色賞を受賞した。
また、主演賞のマーロン・ブランドは受賞を拒否して話題になり、更には2年後「ゴッドファーザーPARTII」(1947)でも作品賞を受賞、シリーズが連続で作品賞を受賞するという、史上初の快挙を成し遂げることになる。
・ノミネート
監督
助演男優(アル・パチーノ/ジェームズ・カーン/ロバート・デュヴァル
編集、録音、作曲(ドラマ)、衣装デザイン賞

2年前の「パットン」(1970)に続き、アカデミー脚本賞を受賞した監督フランシス・フォード・コッポラの手腕は、人生経験の浅い弱冠33才の若者に、これほど奥深い演出が出来るものかと思うほど完璧な仕上がりを見せている。

とにかく本作(Part2も)は、全てにおいて手抜きがない。
コッポラの演出と脚本はもとより、出演者の素晴らしい演技、1940-1950年代のアメリカを見事に映し出した映像、ニーノ・ロータの哀愁漂うドラマチックな主題曲、シシリー島の美しいロケーションなどは妥協のない本物の成せる技だ。

ドラマの冒頭、主人公が葬儀屋から娘の復讐を依頼される場面、何も語らず話をじっと聞く後姿。
正面に回るカメラが、頬を軽く手でなでるマーロン・ブランドをアップで捉える。
まず、このシーンだけで彼の演技に圧倒される。

製作側はマーロン・ブランド出演を渋ったが、彼はそれを押しきり出演を勝ち取り、誰もが認める最高の演技を見せたというのだから皮肉な話だ。
”問題児”的な役者の出演に難色を示す側、プレイドを捨てる覚悟で挑んだ実力派スター、双方の思惑を想像するだけでも興味深い。

まだ若手売出し中、もしくは無名に近いドンの息子を
演ずる、三男アル・パチーノ、長男ジェームズ・カーン
養子のロバート・デュヴァル、次男ジョン・カザールは、
それぞれ全く違うタイプの役柄を演じ、主人公の父親
マーロン・ブランドを支える大きな役割を担っている。

ジェームズ・カーンは暗殺されてしまうが、「Part2」では、アル・パチーノロバート・デュヴァルの、更に磨きのかかった演技が見れることになる。

不安を抱えながらもファミリーの一員になるダイアン・キートン、ドンの右腕リチャード・S・カステラーノと裏切るエイブ・ヴィゴダ、ドンの娘でコッポラの実妹タリア・シャイア、その母親モルガーナ・キング、麻薬ビジネスにコルレオーネ・ファミリーを巻き込もうと画策するアル・レッティエリ、映画プロデューサー役ジョン・マーリー、5大ファミリーを牛耳ろうとする黒幕リチャード・コンテ、悪徳警官のスターリング・ヘイドン、ドン(M・ブランド)のボディーガード兼殺し屋役のレニー・モンタナフランク・シナトラがモデルの落ち目の歌手アル・マルティーノバグジー・シーゲルがモデルであるラスベガスの支配者アレックス・ロッコシシリー島でマイケルと結婚する美しい村娘シモネッタ・ステファネッリ、現地のマイケルの後見人コラッド・ガイパ、ドンの娘婿ジャンニ・ルッソ、マイケルの右腕役のリチャード・ブライト、殺し屋トム・ロスキージョー・スピネル、葬儀屋役のサルヴァトーレ・コリシット、シシリーでマイケルを裏切る男アンジェロ・インファンティなどが共演している。

当初、マイケル役のオーディションでは、「ディパーテッド」(2006)でも元気な姿を見せてくれたマーティン・シーンも候補に上がった。

アル・マルティーノ演ずる人気下降気味の歌手ジョニー・フォンテーンはフランク・シナトラがモデルであり、彼が出演できることになる映画は「地上より永遠に」(1953)がモデルだ。
あるパーティーで、原作者のマリオ・プーゾを紹介されたシナトラが、「うせろっ!」と怒鳴ったのは有名な話。

また、後に父親フランシスの才能を受け継ぐことになるソフィア・コッポラが、マイケルが名付け親になるタリア・シャイアの”息子”役で出演している。

A・パチーノD・キートンが、ラジオシティ・ミュージックホールで上映されていた名作「聖メリーの鐘」(1945)を観終わり劇場から出てくる場面がある。
ドンが銃撃された、恐ろしい襲撃事件を知るシーンが、心和むヒューマン・ドラマを観た後だというところなども、一層の衝撃を与える、なかなか面白い演出だ。

そして、重厚な物語は、私の長い映画人生でN.o1作品と言える、「ゴッドファーザーPARTII」(1974)に続くことになる。


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