2003年に発表され、全世界で5000万部を超える大ベストセラーとなった、ダン・ブラウンの同名小説を基に製作された作品。 マグダラのマリアの棺を狙う組織”オプス・デイ”の活動と現代に継承された秘密を解き明かそうとする象徴学者の活躍を描く、監督ロン・ハワード、主演トム・ハンクス他豪華キャストによるサスペンス・ミステリー超大作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロン・ハワード
製作総指揮
トッド・ハロウェル
ダン・ブラウン
製作
ブライアン・グレイザー
ジョン・カーリー
原作:ダン・ブラウン
脚本
ダン・ブラウン
アキヴァ・ゴールズマン
撮影:サルヴァトーレ・トチノ
編集
ダニエル・P・ハンリー
マイク・ヒル
音楽 ハンス・ジマー
出演
トム・ハンクス:ロバート・ラングドン教授
オドレイ・トトゥ:ソフィー・ヌヴー
イアン・マッケラン:リー・ティービング
ポール・ベタニー:シラス
アルフレッド・モリーナ:マヌエル・アリンガローサ司教
ジャン・レノ:ベズ・ファーシュ警部
ユルゲン・プロホノフ:アンドレ・ヴェルネ
ジャン=ピエール・マリエール:ジャック・ソニエール
ジャン=イヴ・ベルテルー:レミー・ジャン
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
2006年製作 149分
公開
北米:2006年5月19日
日本:2006年5月20日
製作費 $125,000,000
北米興行収入 $217,536,140
世界 $758,239,850
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ルーヴル美術館。
館長のジャック・ソニエール(ジャン=ピエール・マリエール)が、謎の人物シラス(ポール・ベタニー)に、”お前と仲間は、所有権のないものを持っている”と言われ脅される。
そしてソニエールは、”サン・シュルピス教会のローズ・ラインの下だ”と言い残し、シラスに銃撃される。
パリで講演中の、ハーバード大学の宗教象徴学の権威ロバート・ラングドン教授(トム・ハンクス)は、フランス司法警察中央局(DCPJ)のべズ・ファーシュ警部(ジャン・レノ)に呼び出される。
ルーヴル美術館。 キリストの血統を断とうと企む、ローマ教皇直轄の保守的カトリック宗派、オプス・デイ代表マヌエル・アリンガローサ司教(アルフレッド・モリーナ)は、プライベートジェットで移動中、 シラスが成果を上げたとの報告を受ける。 ソニエール殺害の捜査協力を、ファーシュに求められたラングドンは、早速現場検証を始める。 その後ラングドンは、派遣された暗号解読官のソフィー・ヌヴー(オドレイ・トトゥ)から、自分に危険が迫っていると言われる。 ラングドンは、ファーシュの目を盗みトイレに向かい、自分の名が床に書かれ、容疑者として疑われていたソフィーが、ソニエールの孫だということを彼女から知らされる。 ソフィーの機転で、ファーシュらを美術館から追い払った二人は、もう一度現場検証を始める。 手がかりの、フィボナッチ数列が間違っていることに気づいたラングドンは、”レオナルド・ダ・ヴィンチ”、”モナ・ リザ”という暗号文字を解く。 モナ・リザの展示スペースで、同じくダ・ヴィンチの”岩窟の聖母”という暗号を見つけたラングドンとソフィーは、ソニエールの”フルール・ド・リス”(百合の紋章)の十字架をそこで見つけて現場を去る。 ブローニュの森に身を潜め、ラングドンは”フルール・ド・リス”を使うシオン修道会との関係をソフィーに尋ねる。 それと関係していた、テンプル騎士団が約1000年前に、キリストの時代に紛失した、教会が殺人を犯してまでも欲しがった”宝物”を見つけ、 ローマ教皇を脅して無限の権力を得たことを、ラングドンはソフィーに教える。 また、14世紀に入りテンプル騎士団の力が脅威となったローマ教皇は秘密指令を出し、1307年10月13日に騎士団は壊滅し、教皇はその”宝物/聖杯”を捜し求めたことも話す。 その頃、サン・シュルピス教会に向かったシラスは、”ローズ・ラインの下”と言い残したソニエールの言葉通りに床を砕いてその下を調べるが、目的の”キー・ストーン”は探し出せなかった。 ラングドンは、ソニエールの十字架がソフィーに遺した物であることと、それが”チューリッヒ保管銀行”の鍵だということに気づく。 評議会が始まり、アリンガローサ司教は資金提供を渋るヴァチカンを痛烈に批判する。 チューリッヒ保管銀行。 そこに警察が到着し、銀行のヴェルネに救われたラングドンとソフィーは、輸送車で移動中、金庫の中身が、ダ・ヴィンチが発明した秘密を保管する”クリプテックス”だと知る。 子供の頃、井戸に落ちた経験のあるラングドンは閉所恐怖症で、車の荷台に閉じ込められて辛い思いをしていた。 ソフィーは、交通事故で両親と兄を亡くしたことを語りながら、ラングドンを楽にさせようと、母から教わった気がするおまじないを彼に試す。 それが効いたラングドンは、一瞬にして自分の不安を取り除いたソフィーに驚く。 その後、ヴェルネが二人に銃を向けるが、それを振り切ったラングドンとソフィーは、車を奪い逃走する。 ラングドンは、祖父のソニエールを名字で呼ぶソフィーに彼との関係を問い質す。 自分の手に余る問題だと感じたラングドンは、シオン修道会や聖杯の伝説を信じているイギリス人で、旧友であるリー・ティービング(イアン・マッケラン)を訪ねようとする。 ラングドンがソニエール殺害犯だと確信するファーシュは、ヴェルネを捕らえ、奪われた輸送車の発信機を動作させようとする。 その後ファーシュは、ラングドンらの居場所を突き止めて、アリンガローサ司教に連絡を入れ、それがシラスに伝わる。 ティービングに歓迎されたラングドンとソフィーは、聖杯がカップだと思い込んでいる事実を覆される話を、彼から聞かされる。 ダ・ヴィンチが描いた”最後の晩餐”を見せたティービングは、聖杯が誕生したと言われる場に、杯など描かれていないことをソフィーに確認させる。 そして、男性とは逆に、女性の象徴は杯として考えることができるため、聖杯はカップではなく、女性そのものを示すことをティービングは語る。 それが”最後の晩餐”に描かれていると言うティービングは、そこには男だけでなく、女性マグダラのマリアが描かれていて、彼女はキリストの妻であり、磔にされた時には、彼の子を身ごもっていたというのだ。 ティービングは、シオン修道会が、キリストとマグダラのマリアの末裔を守ろうとしてるのだと説明する。 ニュース報道により、二人が殺人の容疑者だと知ったティービングは驚き、彼らを追い出そうとする。 しかし、ラングドンはソフィーが、シオン修道会のメンバーであるはずの、ソニエールの孫娘だと伝える。 ラングドンに”キー・ストーン”(クリプテックス)を見せられたティービングは、中には”聖杯”にたどり着く地図があることも知らせる。 その時、突然シラスが現れ”キー・ストーン”を奪おうとするが、隙を見て、ティービングがシラスを叩きのめし縛り上げる。 シラスが、ファーシュと同じバッジを付けているのに気づいたラングドンは、彼らがオプス・デイだということに気づく。 そこに警察が現れ、ラングドンらは、ティービングの自家用機で、シラスを連れてロンドンに向かおうとする。 その途中ティービングは、亡くなったマリアの遺骨と血脈の証拠をシオン修道会が隠し、 そしてその棺(聖杯)は人々から忘れ去られたことをラングドンらに話す。 ラングドンは、キー・ストーンのケースから、”教皇の葬った騎士がロンドンに眠る”というヒントを得る。 ロンドンに着いた一行は、ティービングの機転で、駆けつけた警察から逃れる。 その頃、資金を得たアリンガローサ司教も、使命感を感じながらロンドンに向かう。 ヒントを元にテンプル教会を訪ねた一行だったが、シラスがソフィーに襲い掛かる。 ティービング家の執事レミー・ジャン(ジャン=イヴ・ベルテルー)が銃を手に現れるが、彼はラングドンに銃を向け”キー・ストーン”を奪い、ティービングを殴り倒す。 レミーは、ティービングを車のトランクに入れるようシラスに指示を出すが、隙を見てラングドンとソフィーは教会から逃れる。 自分がシラスに指示を出していた導師だと伝えたレミーは、彼の働きを称え使命が終えたことを告げ、オプス・デイの宿舎で彼を降ろす。 その後ティービングは、自分を殴る芝居を打ったレミーを殺害し、”キー・ストーン”を奪い、警察にシラスの居場所を知らせる。 ”教皇の葬った騎士がロンドンに眠る”というヒントの騎士が、シオン修道会の総長でもあったアイザック・ニュートンだと気づいたラングドンは、ソフィーと共にニュートンが埋葬されている、ウェストミンスター寺院に向かう。 ヒントにあった”教皇(ポープ)”とは、”ローマ教皇”ではなく、ニュートンの友人であり、彼の葬儀を執り行った詩人の”アレキサンダー・ポープ”だったのだ。 そこで彼らを待っていたティービングは、ラングドンに銃を向けて”キー・ストーン”を開かせようとする。 ティービングの罠にはまった、シラスと命令を下していたアリンガローサ司教は、 駆けつけた警官と銃撃戦になり、シラスは誤って司祭を撃ってしまう。 アリンガローサ司教は、自分達が罠にはめられたことを伝え、シラスは警官に射殺される。 司祭は一命を取り留めるものの、ロンドンに到着していたファーシュは、自分が、オプス・デイに道具として利用されていたことを知り、 司祭を容赦なく連行させる。 ティービングは、キリストの末裔が”神”ではなく人間だということをラングドンに証明させようとする。 自分がオプス・デイの導師だと伝えて、ソフィーに”キー・ストーン” を開かせようとするティービングだったが、彼女はパスワードを知らなかった。 ラングドンが”キー・ストーン”を開こうとするが、それが不可能だと分かる。 そして、ラングドンはそれを投げ捨て、ティービングが受け止めようとするが地図は消滅してしまう。 そこにファーシュが駆けつけ、彼はティービングを逮捕する。 しかし、ラングドンは”キー・ストーン”を開いて、”聖杯は古のロスリンの下で待つ・・・”と書かれた文字を手に入れていた。 ラングドンとソフィーは、テンプル騎士団が建造し”ローズ・ライン”にちなんで命名された、スコットランドの”ロスリン礼拝堂”に向かう。 そしてソフィーは、以前にも、この礼拝堂に来たことがあることを思い出す。 その後二人は、建物の地下でマグダラのマリアの棺があった場所を発見する。 ソフィーは、自分の生い立ちを頑なに隠す祖父ソニエールが、恐ろしい儀式を行っていたのを目撃し、絶縁状態になったことをラングドンに話す。 ラングドンは、ソフィーがキリストとマグダラのマリアの末裔であると彼女に伝える。 シオン修道会は、子供だったソフィーを、事故死した家族と共に死亡したと見せかけて、彼女が生きていることを隠し、ソニエールが孫として育てたのだと説明する。 そしてソフィーは、礼拝堂に集まった、彼女を守る人々の中にいた祖母から、再びその真実を知らされる。 大きな運命を背負ったソフィーに、”何を信じるかが問題だ”と言い残し、ラングドンは彼女に別れを告げる。 パリ。
変死体で見つかったソニエールの写真を見せられていたラングドンは、それが、レオナルド・ダ・ヴィンチのデッサン”ウィトゥルウィウス的人体図”を模していて、ソニエール自身が行ったということが判明する。
...全てを見る(結末あり)
夜間支配人アンドレ・ヴェルネ(ユルゲン・プロホノフ)に迎えられたラングドンとソフィーは、例のフィボナッチ数列で暗証番号を解き金庫を開ける。
ラングドンは、”ローズ・ライン”と”キー・ストーン”の”聖杯は古のロスリンの下で待つ・・・”という言葉を手掛かりに、ルーヴル美術館の入り口広場にたどり着く。
参考:
・「ダ・ヴィンチ・コード」(2006)
・「天使と悪魔」(2009)
・「インフェルノ」(2016)
*(簡略ストー リー)
ルーヴル美術館で、館長のソニエールが殺され、彼自身が何かを訴えようとしたと思われる変死体が発見される。
パリで講演中だった、アメリカ人の宗教象徴学者ロバート・ラングドンが、その捜査を、司法警察中央局のファーシュ警部に依頼される。
しかし、ラングドンは容疑者として疑われてしまい、同局の暗号解読官で、ソニエールの孫娘だというソフィーの協力により、ソニエールが遺した謎を解き始める・・・。
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映画の公開前から始まった空前の“ダ・ヴィンチ”ブームは、社会現象と言えるほどの盛り上がりを見せた。
その結果、全世界で約7億5800万ドルの興行収入を上げた大ヒット作品。
・製作費 $125,000,000
・北米興行収入 $217,536,140
原作者側の、全てが事実に基づくという主張に対し、研究途中のキリストの婚姻や子孫に関しての確かな証拠はなく、ローマ司教区はキリストへの冒涜だと公然と非難している。
尚、映画では、登場人物、団体は全て架空という注釈が表示される。
また、原作と映画では大きな違いがあり、原作では主人公ラングドンとソフィーに愛が芽生えるが、映画では協力者の関係で終わる。
カンヌ映画祭での試写会で、失笑やブーイングを受けたことが話題になり、商業的な大成功とは対照的に、批評家の評価はかなり低かった作品でもある。
更に、宗教的に悪影響を及ぼすと判断され、上映禁止やボイコットにまでなった国も多数あった。
監督ロン・ハワードはラジー賞にノミネートされ、作品はアカデミー賞からも無視されてしまった。
宗教的な見解はともかく、史実と創作を見事に絡めた謎解きゲームのような展開は、純粋なミステリー作品としてはなかなかうまく仕上がっていて、娯楽的要素満載の作品となっている。
緊迫感を大いに煽る、ハンス・ジマーの音楽も印象に残る。
主演のトム・ハンクスは、学者らしく抑えた演技で通しているが、彼でなくともと思わせるインパクトに欠ける配役だったようにも思える。
大変な運命を背負う衝撃の事実を知ることになるオドレイ・トトゥは、地味な役柄がショッキングなクライマックスを一層引き立たせる。
結局は”オプス・デイ”の協力者だったベテラン、イアン・マッケランの好演が最も印象的で、異様な雰囲気で登場する”オプス・デイ”の使者ポール・ベタニー、その直属の司教アルフレッド・モリーナ、同じく彼の指示を受ける警部ジャン・レノと、”キー・ストーン”を狙う保管銀行員ユルゲン・プロホノフ、ルーヴル美術館館長ジャン=ピエール・マリエール、ティービング家の執事ジャン=イヴ・ベルテルーなどが共演している。