世界初のトーキー・ミュージカルであり、その黄金期を支えたMGMミュージカルの第1作目となる記念すべき作品。 ブロードウェイのスターを夢見る姉妹と二人を支える歌手の奮闘とロマンスを描く、監督ハリー・ボーモント、作曲ナシオ・ハーブ・ブラウン、作詞アーサー・フリード、主演チャールズ・キング、ベッシー・ラヴ、アニタ・ペイジ他共演のミュージカル・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ハリー・ボーモント
製作:ハリー・ラプト
原作:エドマンド・グールディング
脚本:サラ・Y・メイソン
撮影:ジョン・アーノルド
編集:サム・S・ジンバリスト
音楽
ナシオ・ハーブ・ブラウン(作曲)
アーサー・フリード(作詞)
出演
エディ・カーンズ:チャールズ・キング
ハンク・マホーニー:ベッシー・ラヴ
クィーニー・マホーニー:アニタ・ペイジ
ジェド:ジェド・プローティ
ザンフィールド:エディ・ケイン
ジャック・ウォリナー:ケネス・トンプソン
フロー:メアリー・ドーラン
ピアニスト:ナシオ・ハーブ・ブラウン
アメリカ 映画
配給 MGM
1929年製作 100分
公開
北米:1929年2月1日
日本:1930年1月
製作費 $379,000
北米興行収入 $2,808,000
世界 $4,400,000
■ アカデミー賞 ■
第2回アカデミー賞
・受賞
作品賞
・ノミネート
監督
主演女優賞(ベッシー・ラヴ)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク。
作曲家でもある歌手エディ・カーンズ(チャールズ・キング)は、ブロードウェイの新作”ブロードウェイ・メロディー”をプロデューサーのザンフィールド(エディ・ケイン)に気に入られる。
ホテルの部屋に案内されたエディの恋人ハンク・マホーニー(ベッシー・ラヴ)と妹クイーニー(アニタ・ペイジ)は、窓から見える摩天楼を眺めながら成功を夢見る。
そこに現れた姉妹の叔父ジェド(ジェド・プローティ)は、二人との再会を喜ぶ。
二人に仕事を紹介しようとしたジェドは、ニューヨークの劇場やホテルで歌える歌手は少ないと言って二人に助言する。
しかし、ハンクがこの場で頑張ると言い張るため、納得したジェドは立ち去る。
クイーニーはジェドの仕事を断ったことで不安が募るが、ハンクはチャンスを掴むと言って彼女を励ます。 そこにエディが現れてハンクに歓迎され、彼は、美しく成長したクイーニーに驚く。 ハンクとの愛を確かめたエディは、自分が成功したのは彼女の励ましのお蔭だと言って感謝する。 自らの曲”ブロードウェイ・メロディー”を気に入りレビューにしてくれるプロデューサー、ザンフィールドに、エディは二人のことを話してあると伝える。 エディは、どのような曲になるかをその場で二人に実演して見せる。 ザンフィールド劇場。 二人の歌を聴いたザンフィールドは、クイーニーだけは使えるかもしれないと考える。 エディは、もう一度チャンスを与えてほしいとザンフィールドに頼むものの聞き入れてもらえない。 コーラス・ガールのフロー(メアリー・ドーラン)に嫌みを言われたハンクは、彼女と掴みあいの喧嘩を始めてしまう。 エディが制止するものの、ハンクの気持ちは収まらない。 ザンフィールドが自分だけを使うという話を聞いたクイーニーは、ハンクも一緒にコーラスに入れてほしいと頼み、彼は検討することを伝える。 それをクイーニーから知らされたハンクは、ザンフィールドの元に向かう。 ザンフィールドがクイーニーだけを使う気だと知っていたエディは、それをハンクには言わないことをクイーニーに約束して彼女にキスする。 エディは、その瞬間にクイーニーに惹かれていることに気づく。 クイーニーはエディの気持ちを知り戸惑い、自分のために全てを犠牲にしているハンクに、恩返しをしたいことを彼に伝える。 エディはクイーニーの考えを理解し、二人の関係に口を挟まないことを約束する。 ハンクがエディを愛していることを確かめたクイーニーは、姉の幸せを願う。 その考えは自分も変わらないことを伝えたエディは、戻ったハンクがリハーサルに加わることができたことを知りクイーニーと共に喜ぶ。 翌日、リハーサルの準備をするハンクとクイーニーは、現れたエディから、特派員のジェドが、”マホーニー・シスターズ、ブロードウェイに登場!”と記事にしてくれたことを知らされる。 クイーニーは緊張し、ハンクはリハーサルは初日より大変だと言って二人はステージに向かう。 舞台セットの高所から一人が落下してしまうが、リハーサルは始まる。 エディの独唱に続きハンクとクイーニーが登場するが、曲を止めたザンフィールドは、テンポが遅いと言って姉妹をステージから降ろす。 ハンクはフローにからかわれながら仕方なく舞台裏に向かい、再び曲は流れ、エディは歌いコーラスが登場する。 通して曲を終えたエディは、指揮者と意見が合わずに抗議する。 ハンクはザンフィールドに言い寄るが相手にされず、落下した女性の代役となったクイーニーは、その場にいた富豪であるプレイボーイのジャック・ウォリナー(ケネス・トンプソン)の目に留まる。 エディもクイーニーの美しさに見とれてしまい、彼女は微笑んでそれに応える。 クイーニーは注目を集め、彼女の成功を願うハンクだったが複雑な思いだった。 ジャックから食事に誘われたクイーニーは、それを断り楽屋に向かう。 エディは、二人を誘ってザンフィールドのパーティーに向かおうとするが、クイーニーはそれを断ろうとする。 クイーニーを残して行く気になれないエディは、彼女とジャックのことを疑う。 そこにジャックが現れ、クイーニーは彼の誘いを受けてしまう。 ジャックを外で待たせたクイーニーは、相応しくない相手だと言うハンクやエディの言葉も聞き入れずに、干渉されることを嫌いその場を去る。 ハンクはクイーニーのことを心配するが、エディは様子を見ることにする。 アパートに戻ったハンクは、その場にいたクイーニーがジャックの誘いを断ったことを知り安心する。 2週間後。 深入りを避けようとするクイーニーは、ジャックの好意だけは受け入れて感謝する。 ジャックはクイーニーに迫り、誕生パーティーをセッティングしてあることを伝える。 そこにエディが現れて睨みをきかせたため、ジャックは、クイーニーに指輪をプレゼントすると言って仕方なくその場を去る。 ジャックとの件でエディに意見されたクイーニーは苛立つ。 ジェドのオフィスを訪ねていたハンクは、クイーニーが毎晩ジャックと遊び回り変わってしまったことを気にして悩みを打ち明ける。 自分がその立場ならよかったと言って、エディと幸せな日々を願うハンクは、そろそろ結婚を考えるべきだとジェドに助言される。 エディは、ジャックとの関係よりも自分の気持ちをクイーニーに伝える。 クイーニーはエディに迫られて戸惑い、その場にハンクが戻ってきたために混乱してしまう。 ケーキを買い指輪を直してきたハンクは、クイーニーのために最高のパーティーを開くことをエディに伝える。 仲間も集まり準備を整えたエディらだったが、部屋に戻ったハンクは、クイーニーが別のパーティーに行ってしまったことを伝える。 ジェドは、気落ちするハンクのためのパーティーにしようとするが、エディが気を遣い自分の部屋で続きをする提案をする。 ハンクは寝室でクイーニーのために祈りを捧げ、エディに苦しい胸の内を伝え、彼が部屋を出た後でケーキのろうそくを消して涙する。 その頃ジャックは、クイーニーのために盛大な誕生パーティーを開く。 クイーニーは、ジャックが関係を迫ろうとすることを察してそれを拒もうとするが、高価なブレスレットを贈られ、”パーク・アヴェニュー”での優雅な生活をする気がないかを問われ、次第にその気になる。 翌早朝、眠れずに起きていたハンクは、酔って戻ったクイーニーがブレスレットを見せびらかす姿に涙ぐむ。 ブレスレットだけではなく優雅な暮らしが待っていると言うクイーニーに、いつか素晴らしい男性が現れると、ハンクは彼女の考えを正そうとするものの理解してもらえない。 その後、ザンフィールド劇場ではレビュー”Wedding of the Painted Doll”が上演され、”Boy Friend”でマホーニー・シスターズが登場する。 舞台裏に引き上げたハンクとクイーニーは、ジャックのことで口論になる。 エディが説得することになるが、彼はクイーニーに愛を伝えてしまう。 同じ気持ちだったために苦しんでいることを伝えたクイーニーだったが、ハンクのことを考えるとジャックと付き合うしかなかった。 エディは、ジャックとは付き合うなと言っても聞き入れない、クイーニーの考えを理解できないままステージに向かう。 クイーニーのためのアパートを用意したというジャックからのメモが届き、ハンクは妹をを引き留めようとする。 二人は争いになりハンクは突き飛ばされ、現れたエディは、ジャックの元に向かおうとするクイーニーを必死に止めようとする。 その際口にした言葉で、エディのクイーニーに対する気持ちを知ったハンクは驚く。 それを察したクイーニーは取り乱し、エディを罵倒して出て行ってしまう。 ジャックと共に車で去ったクイーニーを確認したハンクは、エディに後を追わせようとする。 クイーニーを愛しているのかをエディに問うハンクは、ジャックと闘う気はないのかと言って、自分の愛は偽りだったと伝える。 結婚する気もなかったとハンクに言われたエディは、臆病者呼ばわりされて憤慨して部屋を出る。 ハンクはエディに言った言葉を後悔し、愛していたと言いながら泣き崩れる。 エディとクイーニーの写真を前にして、泣きながらメイクを落としていたハンクはジェドに連絡し、提案してくれた仕事を受けることを伝える。 アパートでジャックに迫られたクイーニーはそれを拒み、現れたエディに助けを求める。 エディはジャックに殴られてしまい、クイーニーが彼に寄り添う。 クイーニーは、贈られたブレスレットなどをジャックに返し、起き上がったエディはその場の客に部屋から放り出される。 エディはクイーニーに介抱されながらアパートに向かう。 その後、エディとクイーニーは結婚し、ハンクは二人が新婚旅行から戻ることを知り、それをジェドに伝える。 ハンクとジェドは戻ったエディとクイーニーを歓迎し、ロングアイランドに見つけた家に住むことを二人から提案される。 それを遠慮したハンクを抱き寄せたジェドは、彼女は逆境に強い旅役者だと言って感傷的になる。 ハンクは、わだかまりが消えてパートナーとなったフローが現れたため、エディとクイーニーに自分達のパフォーマンスを見せる。 汽車の時間を忘れていたハンクは焦り、クイーニーとエディに別れを告げてその場を去る。 クイーニーは、自分のために身を粉にして働いてくれたハンクに、何もしてあげられなかったと言って悲しむ。 ハンクは幸せを求めた道を選び、夢を追っていると言ってエディはクイーニーを励ます。 ハンクが妹の幸せを喜んでいると付け加えたエディは、クイーニーとの愛を確かめる。 そして、マネージャーになったジェドとフローと共に汽車に乗ったハンクは、半年以内に必ずブロードウェイに戻ると言って旅立つ。
...全てを見る(結末あり)
レビューのリハーサルは始まり、エディは、現れた姉妹をコーラスに入れる許可をザンフィールドに得て、彼女らをテストしてもらう。
ジャックから誕生日の花が届いたクイーニーは、その場に現れた彼に驚く。
参考:”Broadway Melody”シリーズ
・「ブロードウェイ・メロディー」(1929)
・「踊るブロードウェイ」(1935)
・「踊る不夜城」(1937)
・「踊るニュウ・ヨーク」(1940)
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク。
作曲家でもある歌手エディ・カーンズは、新作”ブロードウェイ・メロディー”がプロデューサーのザンフィールドに気に入られる。
恋人のハンクと妹クイーニーを呼び寄せたハンクは、二人をザンフィールドに紹介する。
ザンフィールドはクイーニーだけは使えると判断し、それを知った彼女は姉ハンクを気遣う。
そんなクイーニーの成長した姿と美しさを再確認したエディは、彼女に惹かれてしまう。
エディの気持ちを知ったクイーニーは戸惑い、自分に好意を寄せる富豪でプレイボーイのジャックの誘いを受けてしまう。
ハンクとエディは、ジャックが相応しい男性でないと言ってクイーニーを説得するのだが聞き入れられない。
姉ハンクの幸せを願うクイーニーは、エディが自分に惹かれていることで悩む。
そしてクイーニーは、自分がジャックと付き合うことで、エディとハンクの関係を進展させようと考えるのだが・・・。
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映画史上初のトーキーによるミュージカルであり、MGMミュージカル第一作という歴史的な作品。
その後MGMミュージカルを支えることになる作詞はアーサー・フリード、ピアニスト役で登場する作曲ナシオ・ハーブ・ブラウンによる数々の古典的ミュージカル・ナンバーはファンにとって嬉しいばかりだ。
映像規制が厳しかったはずの当時を考えると驚いてしまうのは、主人公姉妹他、女性の肌の露出度が高いことだ。
それが本作のアピール・ポイントの一つでもあり、作品は大ヒットした。
しかし、完成度の低いレビューとちぐはぐな編集などは気になる。
公開時はそれで許されたのかもしれないと思いつつも、素人芸のようなものは許さない、プロの世界を好む国民性がまだ確立されていなかったのか・・・それとも当時はこれが最高のエンターテインメントだったのか疑問に思うところもある。
ともかく、本作の大成功により、MGMは、たたみかけるように続編的作品として「踊るブロードウェイ」(1935)、「踊る不夜城」(1937)、「踊るニュウ・ヨーク」1940)を製作した。
作品自体の評価は高くはなかったが、第2回アカデミー賞では作品賞を受賞した。
・ノミネート
監督
主演女優賞(ベッシー・ラヴ)
ブロードウェイに恋人と妹を呼び寄せて、共に成功と幸せを掴もうとする作曲家兼歌手チャールズ・キング、彼に支えらながら逞しく生きる姉妹の姉ベッシー・ラヴ、妹アニタ・ペイジ、姉妹の叔父ジェド・プローティ、プロデューサーのエディ・ケイン、富豪のプレイボーイ、ケネス・トンプソン、姉妹といがみ合うコーラスのメアリー・ドーランなどが共演している。