ミュージカル映画の素晴らしさを再認識させてくれた「ザッツ・エンタテインメン」(1974)に続く、監督ジーン・ケリー、進行フレッド・アステア、ジーン・ケリーによるアンソロジー映画の第2弾。 |
・ジーン・ケリー / Gene Kelly / Pinterest
・ジュディ・ガーランド / Judy Garland / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジーン・ケリー
製作
ダニエル・メルニック
ソウル・チャップリン
脚本:レナード・ガーシュ
撮影:ジョージ・J・フォルシー
編集
バド・フリーデン
デヴィッド・ブレウィット
デヴィッド・ブレザートン
ピーター・C・ジョンソン
タイトル・デザイン:ソウル・バス
音楽:ネリソン・リドル
アメリカ 映画
配給 MGM
1976年製作 126分
公開
北米:1976年5月17日
日本:1977年2月
北米興行収入 $4,979,380
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ソウル・バスのタイトル・デザインから、本作のホスト役フレッド・アステアとジーン・ケリーの子供時代の写真と、出演者のクレジットが映し出される。
「バンド・ワゴン」(1953)の出演者フレッド・アステアらによって”That’s Entertainment!”が歌われ、同時に名作の各シーンが登場する。
そして、フレッド・アステアとジーン・ケリーが主な登場人物などを紹介し、見事なステップを披露する。
ジュディ・ガーランド、タップの女王エリノア・パウエル、ロバート・テイラーの歌、グレタ・ガルボのダンスなどが次々登場する。
次に、ミュージカルとは関係なく、”マルクス兄弟”の傑作「オペラは踊る」(1953)の、有名なキャビンのシーンで笑わせてくれる。 そして、「絹の靴下」(1957)のフレッド・アステアとシド・チャリシーの見事なステップ、リナ・ホーンやキャスリン・グレイソンの美しい歌声、マージとガワー・チャンピオンのダンス・・・。 そして、アステアとジュディ・ガーランド主演の「イースター・パレード」(1948)のクライマックス・シーンが映し出される。 ジーン・ケリーは、ビング・クロスビー、トミー・ドーシー楽団と、共演のジュディ・ガーランドとミッキー・ルーニー、ハリー・ジェームズとジミー・デュランテなどを紹介してモノクロ作品の素晴らしさを伝える。 ローレルとハーディ、アボットとコステロのギャグで一息入れ、トーキー作品初期のレビュー作品から、ミュージカル映画の中で、曲作りに悪戦苦闘する数々のシーンなどが紹介される。 「雨に唄えば」(1952)でジーン・ケリー、デビー・レイノルズ、ドナルド・オコーナーが歌い踊るシーン”グッド・モーニング”、「若草の頃」(1944)ではジュディ・ガーランドがマーガレット・オブライエンを歌で慰め、再び「イースター・パレード」(1948)のフレッド・アステアのステップが始まり、見事なトリック撮影のシーンが登場する。 ドリス・デイがジェームス・キャグニーに対して歌い、「巴里のアメリカ人」(1951)で、ジーン・ケリーが子供達を前に熱演する。 そしてジーン・ケリーは、1942年12月に始まった、フランク・シナトラの伝説を語り始める。 フレッド・アステアとジーン・ケリーは、多くの作品の中から名場面を紹介する。 その後ジーン・ケリーは、パリの魅力を伝える作品について語り始める。 モーリス・シュバリエ、ダイナ・ショア、そして、「巴里のアメリカ人」(1951)のジーン・ケリーとレスリー・キャロン、ジョルジュ・ゲタリーのレビューなどなど・・・。 フレッド・アステアは、アニメの人物と共演したジーン・ケリーの見事なステップを紹介する。 そしてアステアは、「上流社会」(1956)のビング・クロスビーとルイ・アームストロングを、ジーン・ケリーが「イースター・パレード」(1949)でのアステアとジュディ・ガーランド、ボビー・ヴァンの見事なパフォーマンスを紹介する。 続いて、「雨に唄えば」(1952)のジーン・ケリー、シド・チャリシーのダンス、更に「アニーよ銃をとれ」(1950)のベティ・ハットンとハワード・キールらの熱唱シーンが登場するジーン・ケリーは、9作品で共演している映画史上最高のコンビ、スペンサー・トレーシーとキャサリン・ヘップバーンについて語り始める。 その後、「いつも上天気」(1955)での、ジーン・ケリーのローラースケートで歌い踊るシーン、「恋の手ほどき」(1958)のモーリス・シュバリエとハーミオン・ジンゴールドのデュエット、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの最後の共演作「ブロードウェイのバークレー夫妻」(1949)の二人のステップ、スタントなしの実演、「百萬弗の人魚」(1952)での、圧巻のエスター・ウィリアムズの水上スキー・シーンが登場する。 そして、
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”That’s Entertainment!”を歌うフレッド・アステアとジーン・ケリーは、主な出演者を紹介しながら、華麗なステップで締めくくり固く握手する。
*参考
・「ザッツ・エンタテインメント」(1974)
・「ザッツ・エンタテインメント PARTⅡ」(1975)
・「ザッツ・エンタテインメント Ⅲ」(1994)
今回は前作とは違い、ホスト役をフレッド・アステアと、監督を兼ねるジーン・ケリーの二人だけが担当する。
前作の豪華なホストに比べると・・・と思いきや、さすがに一時代を築いた大スターの二人だけに、年齢は重ねたものの、その存在感やステップなどに衰えは見えない。
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フレッド・アステア:77歳
ジーン・ケリー:64歳
ジーン・ケリーに出演依頼されるものの、フレッド・アステアは、実はそれに消極的で、歌やダンスはなしという条件で出演を承諾し「ジーグフェルド・フォリーズ」(1946)以来30年ぶりの共演が実現した。
しかし、アステアは撮影が始まると、自ら積極的に意見を出し、その結果、見事なパフォーマンスを見せてくれることになったという経緯がある。
従来の彼の仕事とは、やや異質な感じがしないでもないが、ソウル・バスのタイトル・デザインはなかなか凝っている。
また、本作は前作とは違い、ミュージカル以外の作品も多く登場し、それがアクセントとして効果を上げ、ミュージカルだけではないMGMの”財産”を、堪能できる作品となっている。
個人的に、全編興奮の連続で、当時の映画界の牽引役でもあったMGMの、圧倒的なパワーを実感できる素晴らしい作品であり、躊躇せずに満点をつけた。
特に、日本未公開作品が前作より増えた分、逆に新鮮味があり、自分としては前作よりも気に入っている程だ。