ニューヨークで暮らすハンガリー出身の青年といとこの少女の触れ合いを描く、監督、脚本ジム・ジャームッシュ、主演ジョン・ルーリー、エスター・バリント、リチャード・エドソン他共演のコメディ・ドラマ。
・ドラマ(コメディ)
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジム・ジャームッシュ
製作:サラ・ドライヴァー
製作総指揮:オットー・グロッケンバーガー
脚本:ジム・ジャームッシュ
撮影:トム・ディチロ
編集
ジム・ジャームッシュ
メロディ・ロンドン
音楽:ジョン・ルーリー
出演
ウィリー/ベラ・モルナー:ジョン・ルーリー
エヴァ・モルナー:エスター・バリント
エディ:リチャード・エドソン
ロッテ:セシリア・スターク
ビリー:ダニー・ローゼン
帽子を被った女性:サラ・ドライヴァー
アメリカ/西ドイツ 映画
配給 The Samuel Goldwyn Company
1984年製作 89分
公開
北米:1984年10月1日
日本:1986年4月19日
製作費 $100,000
北米興行収入 $2,436,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク。
ハンガリー出身で本名はベラ・モルナーという青年ウィリー(ジョン・ルーリー)は、おばのロッテ(セシリア・スターク)からの電話を受ける。
ブダペストから来る、いとこのエヴァ(エスター・バリント)を預かることになっていたウィリーは、1日だけの約束を10日間だと言われて迷惑に思う。
ロッテが入院するためだということで、ウィリーは仕方なく納得する。
The New World
現れたエヴァは、明日、クリーブランドに行くとウィリーに伝えるが、おばが10日間入院すると言われ、その間、この場に滞在することになる。
ウィリーから危険な場所を知らされて外出したエヴァは部屋に戻り、TVディナー(冷凍食品)を食べる彼から、これがアメリカの食事だと言われる。
...全てを見る(結末あり)
翌日、ウィリーと競馬に行くために現れた友人のエディ(リチャード・エドソン)は、エヴァが気に入る。
エヴァも連れて行こうとエディから言われたウィリーは、おとなしく部屋にいるようにと彼女に伝えて出かける。
その夜、ウィリーとフットボールを見たエヴァは、馬鹿げたスポーツだと思う。
翌日、部屋が汚れているために、エヴァは掃除機を使い掃除を始める。
その後エヴァは、スーパーからTVディナーなどを万引きして持ち帰り、ウィリーを喜ばせる。
夜になり外出から戻ったウィリーは、エヴァにドレスをプレゼントするものの、彼女は好みのデザインでないことを伝える。
その後、冴えないドレスを着てクリーブランドに旅立つエヴァは、名残惜しそうなウィリーに別れを告げる。
路地でドレスを脱ぎ捨てて着替えていたエヴァは、現れたエディに声をかけられ、クリーブランドに向かうことを伝えて別れる。
現れたエディからエヴァに会ったと言われたウィリーは、自分があげたドレスを着ていたことを確認する。
One Year Later
エディらとポーカーをしていたウィリーは、イカサマを疑われてその場を去る。
競馬でも勝っていたウィリーは気分を良くして、エディの兄の車を借りてクリーブランドに向かおうとする。
気が進まないエディだったが、仕方なくウィリー付き合うことにする。
雪の中、二人はクリーブランドに向かい、エディは、エヴァに会うまでハンガリー人だとは思わなかったことをウィリーに伝える。
おばロッテの家に着いたウィリーは、10年振りに会う彼女に歓迎され、エディと共に食事をご馳走になるものの口に合わない。
エヴァがホットドッグ・ショップで働いていることを知ったウィリーは、迎えに行くことにする。
店に現れたウィリーとエディに気づき、驚き喜んだエヴァは、20分で仕事は終わることを伝え、二人は車で待つ。
ボーイフレンドのビリー(ダニー・ローゼン)から映画に誘われたエヴァは、行く約束をしてウィリーとエディの車に乗る。
帰宅したエヴァは、ビリーと映画に行くことでロッテからい小言を言われ、ウィリーとエディが一緒に行くことになる。
4人は映画を楽しみ、ビリーを家に送る。
翌日、ウィリーとエディは家で過ごし、ポーカーをしてロッテに負けてしまう。
ビリーからの電話を受けたエヴァは、明日ウィリーが帰るので、今日は出かけられないことを伝える。
エヴァに誘われて凍りついたエリー湖に向かったウィリーとエディは、退屈な街だと彼女から言われる。
翌日、ウィリーとエディは、エヴァに別れを告げて旅立つ。
Paradise
所持金が550ドルあることをエディに確認させたウィリーは、フロリダ行きを提案し、エヴァを誘うために戻る。
ロッテに非難されながら三人は旅立ち、エヴァは逃げ出せたことを喜ぶ。
フロリダに着いた三人は、モーテルに泊まることになり、ウィリーは部屋代をケチって二人分しか払わず、気づかれないように裏から入るようエヴァに指示する。
疲れた三人は、簡易ベッドも使い眠ることになり、エディは、明日は競馬をすると言うウィリーをドッグレースに誘う。
翌朝、目覚めたエヴァは、ウィリーとエディがメモも残さず出かけたことを知り苛立つ。
とてもパラダイスとは思えない場所で一人で過ごしていたエヴァは、戻って来たウィリーとエディを批判する。
ドッグレースで所持金をスッてしまったウィリーは、誘ったエディのせいにして苛立つ。
三人で海岸を歩いて部屋に戻ったウィリーは、所持金50ドルでニューヨークに戻ろうと言うエディに、競馬で取り戻すことを考えて、エヴァを残してでかける。
その後、ギフトショップでストライプが入った麦わら帽子を買ったエヴァは、ヤクの売人に間違われて大金を渡される。
その後、売人だった女(サラ・ドライヴァー)が現れる。
部屋に戻り現金を確認したエヴァは、ウィリーとエディに金とメモを残してその場を去る。
競馬で勝ち浮かれて部屋に戻ったウィリーとエディは、現金とメモに気づき、エヴァが空港に向かったことを知る。
空港でチケットを手に入れようとしたエヴァは、45分後にブダペスト行きの便があることを知り、他のヨーロッパ便は明日になると言われる。
チケットカウンターでエヴァのことを訊いたウィリーは、彼女を連れ戻すために搭乗口に向かう。
ブダペスト行きの便は離陸してしまい、車で待っていたエディは、諦めてその場を去る。
その便に乗っていなかったエヴァは、モーテルの部屋に戻り、ソファにあった帽子を手にして休む。
■ 解説 評価 感想 ■
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク。
ハンガリー出身で本名はベラ・モルナーという青年ウィリーは、クリーブランドのおばロッテからの連絡で、ブダペストから来るいとこのエヴァを10日間預ってほしいと言われる。
ロッテが入院するために仕方なくエヴァを滞在させたウィリーは、迷惑に思うものの、10日が経ち彼女への考えが変わる。
1年後、エヴァがロッテの家に向かったことで寂しさを感じるウィリーは、友人のエディを誘い、クリーブランドに向かうのだが・・・。
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ジム・ジャームッシュの長編映画第二作で、学生時代の卒業製作作品「パーマネント・バケーション」(1980)とは比較にならない商業映画的完成度の高さに注目したい。
ニューヨークを舞台にする”The New World”、凍りつく雪の街クリーブランドの”One Year Later”、全くそれらしくないフロリダの”Paradise”による三部構成で展開する内容になっている。
三人の若者の触れ合いと巻き起こる出来事を淡々と描く無表情コメディであり、奇妙な可笑しさと、全編モノクロで撮影された効果による退廃的な描写などを含め、ジム・ジャームッシュの世界観の原点とも言える作品。
製作は、ジム・ジャームッシュのパートナーであり、フロリダで帽子を被った女性としても登場するサラ・ドライヴァーが担当している。
非常に高く評価された本作は、2002年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
「パーマネント・バケーション」(1980)でも出演と音楽を担当する、ニューヨークで自由気ままに生きるハンガリー人青年ジョン・ルーリー、そのいとこである、ブダペストからおば(セシリア・スターク)を頼って来た少女エスター・バリント、主人公の友人リチャード・エドソン、少女のボーイフレンドのダニー・ローゼン、フロリダの帽子を被った女性サラ・ドライヴァーなどが共演している。