共和政ローマに抵抗し剣闘士・奴隷軍団を指揮して反乱を起こしたスパルタカスの戦いを描く、製作総指揮、主演カーク・ダグラス、監督スタンリー・キューブリック、ローレンス・オリヴィエ、ジーン・シモンズ、チャールズ・ロートン、トニー・カーティス、ピーター・ユスティノフ、ジョン・ギャヴィン他共演のスペクタクル超大作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:スタンリー・キューブリック
製作総指揮:カーク・ダグラス
製作:エドワード・ルイス
原作:ハワード・ファスト
脚本:ダルトン・トランボ
撮影:ラッセル・メティ
編集:ロバート・ローレンス
美術・装置
アレクザンダー・ゴリツェン
エリック・コルボン
ラッセル・A・ガウスマン
ジュリア・ヘロン
音楽:アレックス・ノース
出演
カーク・ダグラス:スパルタカス
ローレンス・オリヴィエ:マルクス・リキニウス・クラッスス
ジーン・シモンズ:ヴァリニア
チャールズ・ロートン:グラッカス
トニー・カーティス:アントナイナス
ピーター・ユスティノフ:レンタルス・バタイアタス
ジョン・ギャヴィン:ジュリアス・シーザー
ニナ・フォック:ヘレナ・グラブラス
ジョン・アイアランド:クリクサス
ジョン・ドール:マーカス・パブリウス・グラブラス
ハーバート・ロム:ティグリンズ・リヴァントス
チャールズ・マッグロウ:マルセラス
ジョアンナ・バーンズ:クローディア
ウッディ・ストロード:ドラバ
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1960年製作 184分
公開
北米:1960年10月7日
日本:1960年12月15日
製作費 $12,000,000
北米興行収入 $60,000,000
■ アカデミー賞 ■
第33回アカデミー賞
・受賞
助演男優(ピーター・ユスティノフ)
美術・撮影(カラー)賞
・ノミネート
編集・音楽賞(ドラマ・コメディ)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
紀元前1世紀、
共和政ローマが激動の時代へ移ろうとする頃、圧制に苦しむ人々は、 救世主の出現を望んでいた。
ローマの属州アフリカのリビアに、反抗的なトラキア人奴隷スパルタカス(カーク・ダグラス)がいた。
剣闘士奴隷商人のレンタルス・バタイアタス(ピーター・ユスティノフ)は、スパルタカスに目をつけて彼を買取る。
カプア。
その後スパルタカスは、奴隷のクリクサス(ジョン・アイアランド)らと、バタイアタスの剣闘士養成所に連れて行かれる。
スパルタカスは、剣闘士のトレイナー、マルセラス(チャールズ・マッグロウ)に目をつけられる。
自分を獣扱いする、バタイアタスやマルセラスに怒りをぶつけたスパルタカスは、女奴隷ヴァリニア(ジーン・シモンズ)をあてがわれ、やがて愛し合うようになる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
剣闘士として奴隷商人バタイアタスに買われたスパルタカスは、愛し合うようになった女奴隷のヴァリニアが売られたことを知り暴動を起こす。
奴隷達を引き連れ、ヴェスヴィオ山に拠点を構えたスパルタカスは、各地の奴隷達を解放して仲間に引き入れ、貴族達の財産を奪っていく。
ローマの元老院は警備隊を派遣し、奴隷軍団を討伐しようとする。
政治家であり軍人のクラッススは、自ら指名した警備隊長グラブラスを戦いの地に派遣する。
しかし、スパルタカスの最強軍団は警備隊を迎え撃ち壊滅させ、その責任を取ってクラッススは公職を退く。
その頃、元老院議員グラッカスは、バタイアタスを巻き込み、ローマの実権を二分するクラッススの鼻を明かそうとする。
一方スパルタカスは、大軍と仲間達を率い南下し、キリキアに脱出しようと考えるのだが・・・。
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1951年に発表された、ハワード・ファストの同名小説を基に映画化された作品。
本作は、製作を兼ねるカーク・ダグラスが演出まで牛耳り、撮影当時30才を過ぎたばかりのキューブリックをないがしろにしたらしく、それを不満に思うキューブリックは、生涯この作品を自分の監督作とは認めなかったという裏話がある。
クライマックスの奴隷軍団対ローマ軍の決戦場面は見ものだ。
大草原に隊列を組む何千もの兵士は、CGでは味わえない本物の迫力をで迫る。
度々登場する遠景のロングショットは、作品のスケールの大きさを際立たせている。
前年の「ベン・ハー」(1959)でも多く用いられた、グラスペイントを効果的に使っている。
建造不可能な神殿物等をガラスの上に描いて、画面の上半分に合成し、奥行きを持たせる手法は、コンピューターのない時代の最高技術だ。
製作段階でのゴタゴタを他所に、そのような点が、後年、本作の評価を上げている要因にもなっている。
第33回アカデミー賞では、助演男優(ピーター・ユスティノフ)、美術、撮影(カラー)賞を受賞した。
・ノミネート
編集・ドラマ・コメディー映画音楽賞
製作費は、当時としては破格の1200万ドル、北米興行収入は約6000万ドルの大ヒットとなった。
時代背景は、共和制ローマが内戦に突入する前の物語。
十数年後に、本作にも登場する実力者クラッスス、シーザー、ポンペイウスによる、第一回三頭政治が始まる。
ドラマ「ROME(ローマ)」(2005)も、 この時代の数十年後が舞台となる。
「ベン・ハー」(1959)は約100年後であり、そして「グラディエーター」(2000)と「ローマ帝国の滅亡」(1964)は約250年後の物語。
当時、カーク・ダグラスは40代前半で、小柄ではあるが、広い肩幅と逆三角形の逞しい上半身、そして精悍な面構えは凄まじい迫力を感じる。
そして、クラッススを演ずるローレンス・オリヴィエの抜きん出た存在感は、主演のカーク・ダグラスをも圧倒する。
オスカー(助演賞)を獲得したピーター・ユスティノフのキャラクターも注目で、見返りばかり求める姑息な奴隷商人役は、実にいい味を出している。
戦いの場面が目立つ本作の中で、ユーモアも交えてアクセント加えている。
権力争いに明け暮れる元老院の策謀の犠牲になるスパルタカスの妻役のジーン・シモンズは、苦難の生活が強いられる、剣闘士奴隷の中で美しさが際立つ。
元老院の長老チャールズ・ロートンも貫禄十分だ。
憎らしい強か者が、最後には女奴隷(J・シモンズ)に敬意を表し自由を与え自決する美談もいい。
甘いマスクのトニー・カーティスは、前年に公開された「お熱いのがお好き」(1959)とは対照的な、スパルタカスの忠実なる部下を演じ、芸達者ぶりを見せている。
ジョン・フォードに可愛がられた、剣闘士奴隷役のウッディ・ストロードは、カーク・ダグラスを除いて今一頑強に見えない剣闘士の中で、際立つ巨体と逞しさが一段と頼もしく見える。
若きジュリアス・シーザー役のジョン・ギャヴィン、警備隊長ジョン・ドール、その妹役ニナ・フォック、婚約者ジョアンナ・バーンズ、剣闘士クリクサスのジョン・アイアランド、キリキアの海賊ハーバート・ロム、剣闘士トレイナーのチャールズ・マッグロウなどが共演している。