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妹たちを救うために殺人を犯した女性が次第に罪の意識に追い詰められる姿を描く、監督チャールズ・ヴィダー、主演アイダ・ルピノ、ルイス・ヘイワード、イヴリン・キース、エルザ・ランチェスター他共演の心理スリラー。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:チャールズ・ヴィダー
製作
レスター・コーワン
ギルバート・ミラー
原作
”Ladies in Retirement”
レジナルド・デナム
エドワード・パーシー
脚本
ギャレット・フォート
レジナルド・デナム
撮影:ジョージ・バーンズ
編集:アル・クラーク
音楽:エルンスト・トッホ
出演
エレン・クリード:アイダ・ルピノ
アルバート・フェザー:ルイス・ヘイワード
ルーシー:イヴリン・キース
エミリー・クリード:エルザ・ランチェスター
ルイーザ・クリード:エディス・バレット
レオノーラ・フィスク:イソベル・エルソム
シスター・テレサ:エマ・ダン
シスター・アガサ:クイーニー・レナード
ベイツ:クライド・クック
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1941年製作 91分
公開
北米:1941年9月9日
日本:1946年9月10日
■ アカデミー賞 ■
第14回アカデミー賞
・ノミネート
音楽(ドラマ)・美術賞(白黒)
■ ストーリー ■
1885年、イングランド。
落ちぶれてはいるがプライドはある独身女性エレン・クリード(アイダ・ルピノ)は、裕福なレオノーラ・フィスク(イソベル・エルソム)の屋敷で、同じ家政婦のルーシー(イヴリン・キース)と共に働いていた。
静かに暮らすレオノーラは、若き日は奔放なコーラスガールとして知られた女性だった。
ある日、エレンのもとに一通の手紙が届く。
それは、エレンの二人の風変わりな妹が、下宿で奇妙な行動と迷惑行為を繰り返しているため、彼女たちに対し措置をとらなければ、警察を呼び下宿から追い出すという家主からの警告だった。
その内容は話さず、ロンドンの妹たちが寂しがっているといると、エレンはレオノーラに伝える。
レオノーラは、妹たちを屋敷に招く許可を求めるエレンに、いつでも歓迎すると伝える。
それを聞いて安心したエレンは、妹たちを連れて来ることになり、レオノーラの用事もありロンドンに向かう。
その後、屋敷に青年アルバート・フェザー(ルイス・ヘイワード)が現れ、エレンの甥だとレオノーラに伝える。
レオノーラは、アルバートが12ポンドをエレンに借りに来たことを知り、女性関係のことで今夜中に必要だと知り、彼に金を貸すことにする。
現れたルーシーが気に入ったアルバートは、彼女に迫るものの、仕事中だったために拒まれる。
二階から戻ったレオノーラは、アルバートの目の前で、貴重品を入れてある場所の扉を開けて、彼を疑いもせずに12ポンドを渡す。
エレンが妹たちを迎えに行ったことを知ったアルバートは、やっかいで問題を起こす彼女たちを、エレンが昔から世話をしていることをレオノーラに伝える。
アルバートは、借金や自分が来たことを、エレンに秘密にする約束をしてくれたレオノーラに感謝し、その場を去る。
屋敷に戻ったエレンは、妹のエミリー(エルザ・ランチェスター)とルイーザ(エディス・バレット)をレオノーラに紹介する。
レオノーラは、エミリーとルイーザを歓迎しつつ、風変わりな2人を見て、アルバートが話していたことを気にする。
その後、エミリーとルイーザは、たちまちレオノーラやルーシーにとって厄介な存在となる。
エミリーとルイーザの滞在は2、3日のはずだったが既に6週間が経ち、2人の行いに耐えかねたレオノーラは、彼女らを追い出そうとするのだが・・・。
■ 解説 評価 感想 ■
レジナルド・デナムとエドワード・パーシーの戯曲”Ladies in Retirement”を基に製作された作品。
ハンガリー出身で、ミュージカル、コメディ、フィルム・ノワールなど様々なジャンルで活躍するチャールズ・ヴィダーが監督し、主演はアイダ・ルピノ、ルイス・ヘイワード、イヴリン・キース、エルザ・ランチェスターなどが共演した作品。
妹たちを救うために殺人を犯した女性が次第に罪の意識に追い詰められる姿を描く心理スリラー。
当時のハリウッド映画としては、非常にダークで重厚な心理描写が特徴の作品。
世間から疎外された妹たちを社会から守ろうとする、苦しい立場の主人公の心理状態を、チャールズ・ヴィダーが繊細に描いている。
屋敷の主は主人公に殺害されて姿を消すが、彼女が身につけていたカツラや、死を悼むロウソクなどを小道具として有効に使い、その存在を強調する演出などは、後の作品に影響を与えた。
気品や風格、品位を感じさる恐怖の表現も高く評価され、地味な描写が多い中で、屋敷の周辺に漂う神秘的な雰囲気、カメラワークや影の使い方、さらに表情だけで恐怖を感じさせる演出も秀逸だ。
第14回アカデミー賞では、音楽(ドラマ)、美術賞(白黒)にノミネートされた。
主演のアイダ・ルピノは、撮影当時まだ20代前半とは思えない、実年齢よりはるかに上の女性を、落ち着いた雰囲気で見事に演じている。
主人公の弱みに付け込み心理的に追い込んでいく甥を好演するルイス・ヘイワード、彼に協力する、主人公と共に働く家政婦イヴリン・キース、主人公や周囲を悩ませる風変わりな妹エルザ・ランチェスターとエディス・バレット、主人公が仕方なく殺害する雇い主イソベル・エルソム、修道女のエマ・ダンとクイーニー・レナード、屋敷に通う馬車の御者クライド・クックなどが共演している。











