気ままに生きる男が恋の空回りから巻き起こす騒動を描く、主演クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、ジェフリー・ルイス、ルース・ゴードン他共演、監督ジェームズ・ファーゴによるファイティング・アクション。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ジェームズ・ファーゴ
製作:ロバート・デイリー
脚本:ジェレミー・ジョー・クロンズバーグ
撮影:レックスフォード・メッツ
編集
ジョエル・コックス
フェリス・ウェブスター
音楽:スティーヴ・ドーフ
主題歌:エディ・ラビット
“Every Which Way But Loose“
出演
クリント・イーストウッド:ファイロ・ベドー
ソンドラ・ロック:リン・ホールジー=テイラー
ジェフリー・ルイス:オーヴィル・ボッグス
ルース・ゴードン:ママ・ボッグス
ジョン・クエイド:コーラ
ビル・マッキニー:ダラス
ダン・ヴァディス:フランク
ビヴァリー・ダンジェロ:エコー
グレゴリー・ウォルコット:パットナム
ハンク・ウォーデン:トレーラー置場管理人
ウォルター・バーンズ:タンク・マードック
ロイ・ジェンソン:ウッディ
ジョージ・チャンドラー:自動車教習所受付
ジェームズ・マクイーチン:ハーブ
ウィリアム・オコンネル:エルモ
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1978年製作 110分
公開
北米:1978年12月20日
日本:1978年12月30日
製作費 $5,200,000
北米興行収入 $85,200,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロサンゼルス。
トラック・ドライバーとメカニックの仕事をしているファイロ・ベドー(クリント・イーストウッド)は、ビールとカントリー・ミュージック、それに女好きな男だった。
ファイロは、隣に住む親友のオーヴィル・ボッグス(ジェフリー・ルイス)と組み、ストリートファイトで名を売っていた。
仕事帰りにファイロは、バーで男を挑発して喧嘩はじめ、トレーニング代わりに叩きのめして帰宅する。
オーヴィルは、老人にも拘らず何度失敗しても運転免許を取ろうとする母(ルース・ゴードン)に頭を悩ませていた。
ファイロにはもう一人?の相棒、オランウータンのクライドがいたが、オーヴィルの母は彼を毛嫌いしていた。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
トラック・ドライバーとメカニックの仕事をしている、女好きのファイロ・ベドーは、親友のオーヴィルと組んでストリート・ファイターとして名を売っていた。
ある日ファイロは、クラブで歌うカントリー歌手リンに一目惚れしてしまう。
リンは、金が目当てで男達に近づく女だったが、初心なファイロはそれに気づかず、益々、彼女の魅力に引かれてしまう。
しかし、ある日、リンは姿を消してしまい、ファイロはオーヴィルと相棒のオラウンター、クライドを連れて、彼女を追う旅に出る。
それを知った、ファイロに痛めつけられて恨みを持つ、バイカー一味や警官が彼への復讐を企む。
そしてファイロは、偶然リンに出くわし、一夜を共にするのだが、彼女は再び姿を消してしまう・・・。
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1980年には、続編「ダーティファイター 燃えよ鉄拳」が公開された。
誇り高き偉大なクリント・イーストウッドが、かつてはこんな作品も作っていたのかと、最近の作品しか見ていない方は驚かれるかもしれない。
しかし、当時のイーストウッドのイメージにマッチしたキャラクターは大いに受け、50歳手前で挑んだ彼のチャレンジ精神が窺える作品でもあるだ。
今では高尚な作品が多く、ハリウッドの伝説となりつつあるイーストウッドだが、個人的には、本作も含めて1970年代の彼の作品は気に入っている。
マネーメイキング・スターNo.1だったイーストウッドは、この時代、興行的に成功しているのも事実だ。
本作は、この年のNo.1ヒットとなった「スーパーマン」(1978)に続く興収を上げた作品でもある。
*520万ドルの製作費であるにも拘らず、北米のみで約8500万ドルのヒットとなった。
当時イーストウッドは、肉体を鍛えることを趣味にしていて、細身ではあるが長身(193cm)でもあり、上半身はかなり逞しい。
毎日のランニングやウエイトトレーニングは欠かさなかったらしく、他の出演作でもそんなシーンが見られる。
トラック・ドライバーで女好きだが、初心なストリートファイター、相棒のオランウータンを連れて歩き、結局はヒーローになるわけでもなく、何の変哲もない生活に戻っていくという、イーストウッドにしては珍しいキャラクターとストーリーではあるが、その素朴さがなかなかいい。
喧嘩のプロのように見えない殴り合いシーンは、やや物足りない気もするが・・・。
「アウトロー」(1976)の共演をきっかけに、イーストウッドと同棲を始め、彼の作品に連続して出演するようになった、ソンドラ・ロックの受けはあまり良くなかった。
自分の好みで彼女を出演させ続けるイーストウッドに批判が集まったことも確かだったが、全くお構いなしという雰囲気だったのも事実で、そんなところはいかにも彼らしい。
イーストウッド作品の常連、ジェフリー・ルイスやビル・マッキーニー、ダン・ヴァディスらもいい味を出している。
また、当時82歳のルース・ゴードンの大活躍や、ジョン・フォードやジョン・ウェイン作品でお馴染みのハンク・ウォーデン(77歳)の登場などは嬉しいばかりだ。
ハンク・ウォーデンはイーストウッドの次回作である「ブロンコ・ビリー」(1980)にも出演し、かつて、西部劇で活躍した彼に敬意を表しているのだろう。
本作のいいところは、コメディ・タッチとはいえ、自分達の生活を脅かす者に屈することなく、それぞれの立場の人々が、敢然とそれに立ち向かうところであり、それが実に痛快に描かれている。
その立ち向かう相手となる、悪党軍団の”ブラック・ウィドー”の連中が、 見掛け倒しで、老人にさえもかなわないところがまた可笑しい。
バイカー”ブラック・ウィドー”のリーダー、ジョン・クエイド、メンバーのビル・マッキニー、ダン・ヴァディス、ロイ・ジェンソン、ウィリアム・オコンネル、主人公らの旅に同行するビヴァリー・ダンジェロ、間抜けな警官グレゴリー・ウォルコットとジェームズ・マクイーチン、最強ファイターのウォルター・バーンズ、そしてTVシリーズ「ラッシー」にも出演していたジョージ・チャンドラーが、自動車教習所の受付で、にこやかな笑顔でルース・ゴードンに対応する場面が実に微笑ましい。
チャーリー・リッチ他も登場し、カントリー・ミュージックファンには、たまらない雰囲気の作品でもある。
公開当時、高校生だった私は、Tシャツ一枚とジーンズのイーストウッドの姿に憧れ、ヒットした主題歌”Every Which Way But Loose”を口ずさみ、本作に惚れ込んでしまったことを懐かしく思い出す。
(今観るとそれほどの感激はないが・・・)